「A型事業所を休みがちな時の対処法を知りたい!」
「どこに相談したらいいか、わからない…」
などの疑問や不安を抱える方もいらっしゃるでしょう。
現在、就労継続支援A型(通称:A型事業所)を利用している中で、休みがちになってしまってはいませんか?
A型事業所は雇用契約を結んで働くので、あまりに欠勤日数が多いと、事業所側から問題視されてしまう可能性があります。
- A型事業所を休みがちになってしまう理由
- A型事業所を休みがちな時の対処法
- A型事業所を利用することが難しくなった時の相談先
について、詳しく解説していきます。
A型事業所を休みがちになってしまう理由
A型事業所で働く際は、雇用契約を結びます。よって、さまざまな理由から休みが多くなってしまうと、最悪の場合、事業所側から「利用の仕方を考えてほしい」と言われかねません。
現在、「A型事業所を利用することが苦痛になっている……」という方は、まずは休みがちになってしまう理由を明確にしておきましょう。
今後の動きに役立つ可能性があります。
具体的には、以下のような理由が挙げられます。
- 仕事内容が自分に合っていない・量が多い
- 職員や利用者との人間関係が苦痛
- 通勤することが身体的・精神的に辛い
- 職場のバリアフリー環境が整っていない
- 働くことに疲れを感じる
- 事業所に通い続けても就職できるイメージが沸かない
- 自分の中で通う理由が分からなくなった
ご自身の中で、「事業所側に問題があるのか」「仕事内容に不満があるのか」「自分自身の問題なのか」などを、しっかり言語化できるようにしておきましょう。
問題が明確になれば、対処法を考えられるようになるので、再びA型事業所を利用できるようになるかもしれません。
A型事業所を休みがちな時の対処法6選
上記で、A型事業所を休みがちになってしまう理由を紹介しましたが、ご自身に合った対処法を見つけることができれば、再び前向きに利用できるようになる可能性もあります。
ここでは、主にA型事業所を休みがちな時の対処法を6つ、紹介していきます。
- 通所の日数や勤務時間を見直す
- 仕事内容を変えてもらう
- 自分の中での判断基準を作っておく
- 生活リズムを整える
- 別のA型事業所を探す
- 他にも利用できる福祉サービスを探す
順に見ていきましょう。
通所の日数や勤務時間を見直す
A型事業所は、基本的に週に5日、4~6時間の勤務のところが多いです。「最初の頃はちゃんと通えていたのに……」という方は、通所の日数や勤務時間を見直してみましょう。
さまざまな理由から一般就労で働くことが難しい方にとって、肉体的・精神的な調子には波がありますよね。そこで大切なのは、しっかりとアクセルとブレーキを使い分けることです。「無理をして働くこと」は決していいことではありません。
A型事業所によっては、相談を受けて勤務形態の調整をしてくれるところもあるので、まずは職員の方に、現在のご自身の状態を話してみることが大切になります。
仕事内容を変えてもらう
近年、A型事業所では仕事が多様化しています。ですが、ご自身に合っていない仕事を行っている場合、休みがちになってしまう大きな要因になるので、仕事内容を変えてもらうことも検討してみましょう。
体調や障がいの特性から、極端に苦手なことや、できないことがある方も多いと思います。
例えば、身体障害の方や体調に不安のある方が、清掃などの肉体労働の仕事をしたり、発達障害の方がマルチタスクを必要とされる仕事を任されたりなど、仕事をする上で身体的・精神的なストレスになっている場合もあるので、改めて仕事内容を見直すことをオススメします。
同じA型事業所の中の仕事でも、ご自身に合った仕事に移ることができれば、休まずに行ける日が増えるかもしれません。
「仕事を任せてもらったんだから、しっかりやらなきゃ……」と一人で抱え込まずに、まずは職員の方に相談してみることが解決の第一歩になります。
自分の中での判断基準を作っておく
天気や気圧などの影響で、体調や精神を安定させて働くことが難しい方は、自分の中で行動に移せる判断基準を作っておくことをオススメします。
例えば
など、ご自身の中で「今日は休みたいけど、○○○はできるから、とりあえず行ってみるか」のような判断基準を設けておくことで、行動を起こしやすくなる可能性があります。
また、大きな目標を最初に設定して、やる気が無くなってしまう場合は、まず小さな目標をクリアしていくイメージで準備を進めていくと、意外と動けるようになるかもしれません。
大きな目標 ⇒ A型事業所に出社する
小さな目標 ⇒ 起きる、朝ご飯を食べる、着替える、バス・車に乗る、など
自分の曖昧な感覚で判断をし続けていると、休みたいのは「気持ちの問題」なのか「体調や精神的な問題」なのかが分からなくなってしまう時もあると思います。
それを防ぐためにも、自分の中でオリジナルの判断基準を作って、なんとなくでも行動に移せる日を少しずつ多くしていきましょう。そうすれば、A型事業所を休む日を減らせる可能性があります。
生活リズムを整える
体調不良が続く時や、精神的に不安定な時は、意図せず生活リズムが乱れてしまっていることがあります。
特に、慢性的な睡眠不足は、負債が身体に蓄積されて、年齢関係なくさまざまな不調を引き起こします。この状態のことを「睡眠負債」と言い、現代人の多くが陥っているとされています。
睡眠負債の具体的な症状には、下記のようなものがあります。
- 疲労感や倦怠感が続く
- 免疫力が低下する
- 太りやすい
- 抑うつ状態になる
- 判断力が鈍る
- 感情が不安定になる
普段の体調に加えて、上記のような症状が出てしまっては、働くこと自体難しくなってしまいますよね。
他にも、偏った食事や運動不足など、動物の根源的な部分である「食べる・寝る・動く」を疎かにしてしまうと、さまざまな体調不良が引き起こされてしまいます。
いきなり全てを完璧にやろうとすると疲れてしまうので注意が必要ですが、少しずつでも改善していけるところは、目を向けていきましょう。
心当たりがあって改善してみたいと思う方は、第一段階としてまず、
- いつもより15分~30分早く寝る
- 冷凍野菜を取り入れる
- ラジオ体操をする
など、できるだけハードルを低くして、気軽に始めてみましょう。
一時的ではなく、長期的に継続することが大切なので、無理をしないことが重要です。
別のA型事業所を探す
現在利用しているA型事業所がどうしても合わない場合は、別のA型事業所を探すことも選択肢に入れておきましょう。
A型事業所は全国に約4,000か所も設置されているので、軽作業から専門性の高い仕事まで幅広く取り扱っています。現在の仕事内容に対して思うことがある方は、思い切って全く違う職種のA型事業所に挑戦してみるのもいいですね。
人間関係の問題で休みがちになってしまっている方は、事前に見学などを申し込んで、職場の雰囲気や、職員の方や利用者の働く様子をよく観察するようにしましょう。
A型事業所を辞める時の詳しい内容や、見学時のチェックするポイントなどは、以下の記事でも解説しています。興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
ほかにも利用できる福祉サービスを探す
どうしても週に5日働くことが難しい場合は、A型事業所以外の福祉サービスを利用することも検討してみましょう。
A型事業所の他にも、B型事業所や就労支援移行など、雇用契約を結ばずに利用できる福祉サービスは複数あります。
特にB型事業所は、週に1日から利用できるところも多いので、一度B型事業所を利用して、体調などが安定して働けるようになったと思ったら、再びA型事業所を利用するといった方法もあります。
ただし、B型事業所は雇用契約を結ばずに働くので、どうしても収入の面ではかなり低くなってしまいます。
厚生労働省によると、令和4年度の就労継続支援B型の平均工賃は、月額17,031円になっています。就労継続支援A型の平均工賃(賃金)は、月額83,551円なので、どうしても差額は大きくなります。
就労支援移行は原則2年間しか利用できないなど、それぞれにメリット・デメリットがあるので、よく調べてご自身に合った福祉サービスを利用していくことが大切になります。
下記の記事では、より詳しくB型事業所や就労支援移行について解説しています。興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
A型事業所を利用することが難しくなった時の相談先
ここまでは、A型事業所を休みがちになってしまう理由や、休みがちな時の対処法について解説してきました。
ここからは、さまざまな理由からA型事業所を利用することが難しくなってしまった時の相談先を紹介していきます。
具体的には、以下の3つがあります。
- 障害者就業・生活支援センター
- 発達障害支援センター
- 第三者に相談をして客観的な意見をもらう
順に見ていきましょう。
障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)
障害者就業・生活支援センター(通称:なかぽつ)では、障がい者の職業生活の自立を図るために、地域全体でさまざまな機関と連携して支援を行っています。
就職面と生活面の双方から総合的な支援を受けることができるので、生活面での不安なことや困っていることなども相談できます。全国に337か所あり、比較的アクセスしやすいことが特徴です。
下記のリンク先が一覧表になります。興味のある方は、お近くの障害者就業・生活支援センターを探してみましょう。
令和6年障害者就業・生活支援センター 一覧(計337センター)
発達障害支援センター
発達障害支援センターとは、発達障害の方の支援を総合的に行っている専門的な機関です。発達障害の悩みに特化しているので、障がいの特性からA型事業所を利用が難しくなっている場合は、まず相談してみましょう。解決の糸口が見つかるかもしれません。
各都道府県に設置されていますが、自治体によって支援内容は変わってくるので、まずはお近くの機関を探してみましょう。
発達障害者支援センター・一覧|国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター
第三者に相談して、客観的な意見をもらう
「支援機関にいきなり行くのはハードルが高い…」と思う方は、まずは、身近な第三者に相談をして、客観的な意見をもらってみましょう。
例えば、
- かかりつけ医や支援員
- 家族や友人
- 同じ環境に身を置いているネットの人
など、とにかく話しやすい相手に、「自分はどうしてA型事業所を休んでしまうのか」を説明していくうちに、自分の中で考えが整理されていくことがあります。
相談機関に行くことはエネルギーがいる行為なので、ひとまず気軽に「誰かに相談をする」ということが、とても重要です。
まずは小さな行動を起こすことで、次の行動に移せる準備ができる場合もあります。
まとめ|A型事業所を休みがちな時の対処法
- A型事業所を休みがちになってしまう理由として、仕事内容や人間関係が合わないことや、通勤すること自体が苦痛になっていることがある。他にも、精神的に疲れてしまったなどの理由もあるので、何が問題なのかを自分の中で言語化できるようにしておくと、のちのち役立つことがある。
- A型事業所を休みがちな時の対処法として、通勤や勤務時間、仕事内容などの見直しや、自分の中で行動できる判断基準や生活リズムを作っておくことが効果的。また、別のA型事業所や福祉サービスを探すことも視野に入れておくといい。
- A型事業所を利用することが難しくなった時の相談先として、障害者就業・生活支援センターや、発達障害支援センターなどがある。ハードルが高いと感じる人は、まずは第三者に相談をして、客観的な意見をもらうこともオススメ。
この記事では、A型事業所を休みがちになってしまう理由や、休みがちな時の対処法、A型事業所を利用することが難しくなった時の相談先について解説してきました。
A型事業所では、基本的に週に5日利用することが求められます。どうしても休みがちになってしまう場合は、早めに手を打って対処法を探しましょう。
とにかく、「一人で抱え込まない」ことが大切になります。一番良くないパターンは、休むことに対して自分を責めてしまい、自己肯定感が下がってしまうことです。
生活を送っていく上で、体調や精神的な波があるのは当然なので、いかに上手く対処していくかが鍵になるでしょう。
A型事業所の社会保険などについては、以下の記事で詳しく解説しています。
興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。