あなたは、

「これからIT業界で働きたいと考えていたから不安……」
このような疑問や不安を抱えていませんか?
華やかなイメージとは裏腹に、長時間労働や高いプレッシャーなど、厳しい現実も存在するIT業界。実際に、多くのITエンジニアや関連職種の方が、心身の不調に悩んでいるというデータも存在します。
- IT業界で働く人に「うつ病」が多いのは本当なのか?
- IT業界で働く人が「うつ病」になりやすい5つの原因
- 「うつ病」を予防するための3つの働き方
- ITを学べる就労支援
- うつ病になってしまったときの相談窓口
について詳しく解説していきます。
この記事を通してIT業界とうつ病の関連を理解し、IT業界で働くことへの不安を解消していきましょう。
IT業界は病みやすい?「うつ病」との関係について
「うつ病になりやすいか?」については個人差がありますが、IT業界は全体的な傾向として、うつ病を発症しやすい職場環境だと言えるでしょう。
その背景にはIT業界特有の、
- プロジェクトの納期に追われるプレッシャー
- 常に変化し続ける技術に対応するための学習意欲
- チーム内でのコミュニケーション不足
- 激務や長時間労働
などの要因が挙げられます。
これらの要因が複合的に絡み合うと、心身のバランスを崩し、うつ病を発症するリスクが高まると考えられます。
さらに、近年ではリモートワークの普及により、通勤時間の削減や自由な働き方が可能になった一方で、オンオフの切り替えが難しくなり、孤独感を感じやすくなったという声も聞かれます。
では、具体的にどのような要因がうつ病を引き起こすのでしょうか? 次の章で、詳しく解説していきます。
IT業界のエンジニアが「うつ病」になりやすい5つの原因
ここでは、IT業界のエンジニアをうつ病へと追い込む、特に注意するべき5つの原因について解説していきます。
恒常的な長期間労働(オーバーワーク)
1つ目の原因は「恒常的な長時間労働」です。
IT業界における長時間労働は、もはや慢性的な問題と言えるでしょう。納期に追われるプロジェクト、度重なる仕様変更、突発的なシステムトラブルなど、業務を圧迫する要因はいくつもあります。
特に、ソフトウェア開発やシステム運用などの職種では、深夜残業や休日出勤が常態化しているケースも少なくありません。十分な休息を取れない状態が続くと、疲労が蓄積し、集中力や判断力が低下します。その結果、さらに業務効率が悪化し、長時間労働に拍車がかかるという悪循環に陥りやすくなるのです。
また、長時間労働は、睡眠不足を引き起こし、自律神経のバランスを崩す原因にもなります。自律神経が乱れると、倦怠感、イライラ、不安感など、様々な心身の不調が現れ、うつ病の発症リスクを高めてしまいます。
高いストレスと過度なプレッシャー
2つ目の原因は「高いストレスと過度なプレッシャー」が発生することです。
IT業界は、常に変化し続ける技術に対応していく必要があり、学習意欲が求められます。しかし、新しい技術についていけなければ、大きなストレスやプレッシャーを感じることになります。
また、プロジェクトの成功に対する責任、顧客からの厳しい要求、コンスタントな納期が存在することなど、精神的な負担も大きいのが特徴です。特に、プロジェクトマネージャーやリーダーなどの管理職は、より多くのプレッシャーにさらされることになります。
このようなストレス状態が続くと、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れ、感情のコントロールが難しくなったり、意欲が低下したりするなどの症状が現れることがあります。これも、うつ病の発症につながる要因の一つです。
コミュニケーション不足による孤立
3つ目の原因は「コミュニケーション不足による孤立」です。
IT業界では、パソコンに向かって黙々と作業する時間が長いため、他人とのコミュニケーションが不足しがちです。
昨今のIT業界では、働き方が選べることや自分のペースで仕事を行えるというメリットから、リモートワークを導入する会社が増えています。一方で、オフィスに出社する機会が減り、同僚との雑談や交流が減少してしまい、コミュニケーション不足による孤立を感じる原因にもなっているのです。
人間関係は、心の健康を維持するために不可欠な要素です。悩みを共有したり、相談に乗ってもらったりすることで、ストレスを軽減することができます。しかし、コミュニケーション不足の状態が続くと、誰にも相談できず、孤独感や不安感を抱え込み、うつ病のリスクを高めてしまいます。
運動不足と不規則な生活習慣
4つ目の原因は「運動不足と不規則な生活習慣」です。
IT業界で働く人は、デスクワークが中心となるため、運動不足になりがちです。長時間座りっぱなしの姿勢は、血行不良を引き起こし、肩こりや腰痛の原因となります。また、運動不足は、肥満や生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、脳の活性化を妨げ、精神的な不調にもつながることがあります。
さらに、納期に追われる日々の中で、食事時間が不規則になったり、コンビニ弁当や外食に頼りがちになったりすることも少なくありません。栄養バランスの偏った食生活は、体に必要な栄養素を不足させ、心身の機能を低下させてうつ病を発症する原因となります。
日光を浴びる時間の不足
5つ目の原因は「日光を浴びる時間の不足」です。
IT業界で働く人は、オフィスに長時間滞在するため、日光を浴びる時間が不足しがちです。日光を浴びることは、体内でビタミンDを生成するために不可欠です。ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨を丈夫にするだけでなく、精神の安定にも関わっていることがわかっています。
また、日光を浴びることは、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの分泌を促進します。セロトニンは、「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神安定作用や抗うつ作用があるのです。
そのため、日光を浴びる時間が不足すると、セロトニンの分泌が減少し、うつ病の発症リスクを高めてしまう可能性があります。
「うつ病」を予防するための3つの働き方改革
実際にうつ病を予防し、心身ともに健康な状態で働き続けるためには、どのような対策を講じれば良いのでしょうか?
ここでは、IT業界で働くすべての人に実践してほしい、3つの働き方改革についてご紹介します。これからIT業界でエンジニアとして働きたいと考えている人も、ぜひご参考ください。
労働環境と働き方の見直し
IT業界の働き方がつらいと感じたら、根本的な問題である労働環境と働き方を見直すことが大切です。
長時間労働を避ける
プロジェクトの初期段階で無理のないスケジュールを立て、納期に余裕を持たせることが重要です。
また、タスク管理ツールなどを活用し、業務の進捗状況を可視化することで、残業時間の削減につなげることができます。もし長時間労働が避けられない場合は、上司や同僚に相談し、業務分担の見直しを検討しましょう。
定期的な休憩を取る
作業に集中することも大切ですが、適度に休憩を取ることも重要です。1時間に1回、5分程度の休憩を取り、ストレッチや軽い運動を行うことで、心身のリフレッシュになります。
ツールを使い業務の負担を分散
プロジェクト管理ツール、コミュニケーションツール、自動化ツールなど、様々なツールを活用することで、業務効率を向上させることができます。
これらのツールを導入することで、単純作業を自動化し、創造的な業務に集中することができます。
メンタルヘルスケアの積極的に行う
激務や長時間労働に耐えながら働いていると、「気づいたらうつ病が進行していた」というケースはよくあることです。そのため、うつ病にならないようにあなた自身メンタルヘルスケアに積極的に取り組みましょう。
相談できる環境を作る
信頼できる上司や同僚、友人、家族など、誰でも良いので、悩みを打ち明けられる相手を見つけましょう。
抱え込まずに相談することで、客観的なアドバイスをもらえたり、気持ちが楽になったりすることがあります。また、社内に相談窓口やカウンセラーがいる場合は、積極的に利用しましょう。
ストレス発散の習慣を持つ
ストレスは、うつ病の大きな原因となります。自分に合ったストレス発散方法を見つけ、定期的に実践することが大切です。運動、音楽鑑賞、読書、映画鑑賞、趣味に没頭するなど、どんなことでも構いません。大切なのは、心からリラックスできる時間を持つことです。
健康的な生活習慣の実践
最後に、心身の健康を維持するために、健康的な生活習慣を実践しましょう。
適度な運動をする
毎日30分程度のウォーキングやジョギング、ストレッチなど、適度な運動を習慣にしましょう。運動は、血行を促進し脳の活性化さるほか、ストレス解消効果も期待できます。
日光を浴びる
毎日15分程度、日光を浴びるように心がけましょう。日光を浴びることで、体内でビタミンDが生成され、セロトニンの分泌が促進されます。セロトニンには精神安定作用や抗うつ作用があるため、減少しないよう心掛けることがうつ病予防には大切です。
睡眠をしっかりとる
睡眠時間を削らない工夫をしましょう。IT業界は仕事に納期があることが多いため、残業や長時間労働が原因となり睡眠時間を削ってしまうことも少なくありません。
しかし、睡眠不足は集中力や判断力の低下を招き、ストレスを感じやすくなります。睡眠時間を削ると余計に仕事の効率が悪化するため、しっかりとスケジュールを組み余裕をもって仕事をしましょう。
以下の記事では、健康管理や体力づくり等について解説しております。ひきこもり対策として解説しておりますが、うつ病の改善にも効果的です。
ITを学べる3つの就労支援と情報サイトを紹介
IT業界での就労を目指しているものの、スキルや経験に不安がある方もいらっしゃいますよね。そのような方のために、ITスキルを学びながら就労を支援する制度があります。ここでは、代表的な就労支援制度と、役立つ情報サイトをご紹介します。
就労継続支援と就労移行支援
ITを学ぶ就労支援には、「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」「就労移行支援」があります。
それぞれの特徴を以下の表に簡単にまとめました。
就労支援の種類:A型、B型、移行支援の違い
就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | 就労移行支援 | |
---|---|---|---|
対象者 | 企業等への就労が困難な方で、 雇用契約に基づき 継続的な就労が可能な方 |
企業等への就労が困難な方 雇用契約を結ばない |
一般企業等への就労を希望し、 知識・能力の向上や実習を通して 就労が可能と見込まれる方 |
雇用契約 | あり | なし | なし |
賃金 | 最低賃金以上の給与 | 生産活動への参加に応じた工賃 (最低賃金の保証はなし) |
原則、給与や工賃は発生しない (例外で訓練手当などが 支給される場合あり) |
利用期間 | 原則制限なし | 制限なし | 原則2年間 |
目的 | 雇用契約を結び、 安定した就労の機会を提供。 一般就労に近い環境で、 より実践的な スキルアップを目指す。 |
比較的軽作業を中心とした 就労の機会を提供。 自分のペースで、 無理なく働くことを重視。 |
一般企業への就労に 必要なスキルや知識を 習得するための訓練を提供。 就職活動の支援や、 就職後の定着支援も行う。 |
就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 | 就労移行支援 | |
---|---|---|---|
対象者 | 企業等への就労が困難な方で、 雇用契約に基づき 継続的な就労が可能な方 |
企業等への就労が困難な方。 雇用契約を結ばない。 |
一般企業等への就労を希望し、 知識・能力の向上や実習を通して 就労が可能と見込まれる方。 |
雇用契約 | あり | なし | なし |
賃金 | 最低賃金以上の給与 | 生産活動への参加に応じた工賃 (最低賃金の保証はなし) |
原則、給与や工賃は発生しない (例外で訓練手当などが 支給される場合あり) |
利用期間 | 原則制限なし | 制限なし | 原則2年間 |
目的 | 雇用契約を結び、 安定した就労の機会を提供。 一般就労に近い環境で、 より実践的な スキルアップを目指す。 |
比較的軽作業を中心とした 就労の機会を提供。 自分のペースで、 無理なく働くことを重視。 |
一般企業への就労に 必要なスキルや知識を 習得するための訓練を提供。 就職活動の支援や、 就職後の定着支援も行う。 |
それぞれの特徴があるので、自身に合った就労支援の種類を選び、ITの業務をやっている事業所を探せば無理なく自分のペースでITを学ぶことも出来ます。
各就労支援については、以下の記事でも詳しく解説しております。
ITスキルを学べる事業所を探すなら「就労継続ナビ」
ITスキルを学べる就労継続支援A型、B型、就労移行支援事業所は、どこで探せば良いのでしょうか? そんな時に役立つのが「就労継続ナビ」です。
「就労継続ナビ」は、IT業務やPC作業を扱う全国の就労継続支援A型・B型事業所、就労移行支援事業所の情報収集に特化したWebサイトです。扱いやすいサイト設計になっており、就労エリア・学びたいスキル・事業所の特徴などの項目から、自分にあった事業所を絞り込んで検索することも可能です。
気になる事業所が見つかれば、一度見学にいって説明を聞いてみると良いでしょう。
うつ病になった時に利用できる相談窓口5選
「就職後にうつ病を発症したらどうしよう……」と不安に思う人も多いでしょう。そんな時に頼りになるのが、以下で紹介している相談窓口です。
それぞれの窓口には特徴があるため、あなたの状況や受けたい支援に合わせて選ぶことができます。
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは、各都道府県・指定都市に設置されており、うつ病を含む精神疾患に関する相談や、社会復帰に関する支援を行っている専門機関です。
精神科医や精神保健福祉士などの専門家が在籍しており、専門的な知識に基づいたアドバイスを受けることができます。また、地域における精神保健福祉活動の拠点としての役割も担っており、様々な研修会やイベントなども開催されています。
以下のリンクから、全国の精神保健福祉センターそれぞれのサイトへとアクセスできます。自分の住む地域の最寄りの施設へとお問い合わせください。
保健所
保健所は、地域住民の健康をサポートする行政機関です。
うつ病に関する相談も受け付けており、保健師や医師などが相談に応じてくれます。精神保健福祉センターと同様に、専門的な知識に基づいたアドバイスを受けることができます。
また、必要に応じて医療機関の紹介や、地域の福祉サービスに関する情報提供も行っています。地域に密着した相談窓口であり、気軽に相談しやすいのが特徴です。
役所の障がい福祉課
役所の障がい福祉課では、障がい者手帳の申請や、障がい福祉サービスの利用に関する相談を受け付けています。
うつ病によって日常生活や社会生活に困難が生じている場合、障害者手帳を取得することで、様々な福祉サービスを利用できる可能性があります。
障がい福祉課では、障害者手帳の申請手続きや利用できるサービスについて詳しく教えてくれます。
こころの健康相談ダイヤル
こころの健康相談ダイヤルは、うつ病に関する悩みや不安を電話で相談できる窓口です。
専門の相談員を相手に匿名でアドバイスを求めることができるため、誰にも言えない悩みを抱えている場合でも気軽に利用することができます。
24時間体制で対応している窓口もあり、緊急時の相談にも対応しています。
家族会や当事者会
家族会や当事者会は、うつ病を抱える本人や、その家族が集まり、互いに支え合うためのグループです。同じような悩みや経験を持つ人々と交流することで、孤独感を解消したり、新たな視点を得たりすることができます。
また、情報交換の場としても活用されており、治療や生活に関する有益な情報を得ることができます。
まとめ
- IT業界で働く人はうつ病を発症しやすいというのは、本当のことである。IT業界特有の仕事上の環境が関係している。
- IT業界のエンジニアがうつ病を発症しやすい主な原因は、「恒常的な長期間労働」「高いストレスと過度なプレッシャー」「コミュニケーション不足による孤立」「運動不足と不規則な生活習慣」「日光を浴びる時間の不足」が挙げられる。これらの原因をうまく対処しながら働いていくことがポイントである。
- うつ病を防ぐための具体的な対処法は「労働環境と働き方の見直し」をして、働きやすい環境を整える・「メンタルヘルスケアの積極的な導入」をして、自身の心のケアを忘れない・健康的な心身を維持するために、「健康的な生活習慣の実践」をする、という3つが挙げられる。
- 就労継続支援や就労移行支援でも無理なくITスキルを学ぶことができ、「就労継続ナビ」のサイトで自分にあった事業所を調べることができる。
- うつ病になってしまったときの、相談窓口は「精神保健福祉センター」や「保健所」などがある。
ここまで読んでいかがだったでしょうか?
IT業界は、技術革新の最前線であり、常に新しいことに挑戦できる魅力的な世界です。うつ病になりやすい業界である一方で、昨今はITエンジニアの価値が高まりつつあるため将来性のある仕事と言えるでしょう。
また、うつ病を改善して働けるのが勿論良いですが、どうにもならない時には休職することも手です。
休み方については、以下の記事で詳しく解説しております。
この記事が、IT業界で働くあなたが、心と体の健康を守りながら、長く活躍するためのヒントとなれば幸いです。