うつ病では失業保険がもらえない?失業保険の受給条件や申請方法を解説

うつ病が原因でやむを得ず退職されたとき、経済的な不安は大きな悩みですよね。

悩む女性のアイコン
「自己都合退職だから失業保険はすぐにもらえないのでは?」

と不安に感じる方もいるかもしれません。

しかし、うつ病などの疾病により就労の継続が難しくなって退職した場合は、「特定理由離職者」として扱われ、給付制限なしで失業保険を受給できる可能性があります。

この記事では、うつ病で退職された方が失業保険で損をしないために、以下の点を分かりやすく解説します。

  • うつ病による退職でも失業保険はもらえるのか?
  • 「特定理由離職者」として有利な条件で受給できるケースとは?
  • 具体的な申請手続きの流れと注意点
  • 失業保険以外に利用できる経済的な支援制度
  • 無理なく社会復帰を目指すための就労支援サービス

まずは主治医やハローワークに相談しながら、ご自身の体調に合った制度利用や次の一歩を考えていきましょう。

うつ病での退職でも失業保険はもらえる

丸とバツで悩む女性

うつ病を理由に退職した場合、

「自己都合退職扱いになって、失業保険はすぐにもらえないのでは?」

と心配される方は少なくありません。

結論から言うと、うつ病で退職しても、受給資格を満たし、就労可能な状態と判断されれば、基本手当を受給できる可能性があります。
ただし、退職理由がどのように判断されるかによって、失業保険の受給開始時期や給付日数が変わる場合があります。

ここでは、通常の「自己都合退職」と、うつ病での退職が該当する可能性が高い「特定理由離職者」の違いを詳しく見ていきましょう。

「自己都合退職」で、給付制限があるケースとは?

失業保険(正式名称:雇用保険の基本手当)は、働く意思と能力があるにもかかわらず仕事に就けない方が、安定した生活を送りながら一日も早く再就職できるよう支援する制度です。

ただし、退職理由によっては、申請後すぐに受け取れない場合があります。

たとえば、「他にやりたい仕事ができた」「個人的な理由で引っ越すことになった」など、本人の都合で退職した場合は、一般的な「自己都合退職」として扱われます。
自己都合退職の場合、失業保険の申請後、原則として1ヶ月の「給付制限期間」が設けられます(※)。

この期間中は、失業保険を受け取ることができません。
これは、倒産や解雇などによって離職した方と、正当な理由のない自己都合退職の方とで、給付開始時期の扱いを分けるための措置です。

うつ病による退職であっても、客観的な証拠(医師の診断書など)がなく、単に「仕事が合わなかった」「人間関係が嫌になった」といった理由で自己都合退職として処理されてしまうと、この1ヶ月の給付制限が適用される可能性があります。

(※)給付制限期間について
2025年(令和7年)4月1日以降に離職された方は、正当な理由のない自己都合退職の場合、給付制限期間が従来の2ヶ月から原則1ヶ月に短縮されました。ただし、離職日からさかのぼって5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合離職し受給資格決定を受けた場合や、懲戒解雇された場合などは、給付制限期間が3ヶ月となります。
また、2025年4月以降は、離職日前1年以内または離職後に一定の教育訓練等を受けた場合、正当な理由のない自己都合退職であっても給付制限が解除される場合があります。
最新の適用条件は、必ずハローワークでご確認ください。

「特定理由離職者」として扱われる可能性があるケース

うつ病などの心身の病気によって働くことが難しくなり、やむを得ず退職した場合は、「正当な理由のある自己都合退職」と判断され、「特定理由離職者」に該当する可能性があります。

ハローワークでは、特定理由離職者の範囲について以下のように定めています。

体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
引用:ハローワークインターネットサービス

特定理由離職者に該当すると、一般的な自己都合退職とは異なり、主に以下のような扱いになる可能性があります。

  • 給付制限がかからず、7日間の待期満了後の失業認定対象期間から支給対象になる
  • 被保険者期間が「離職前1年間に6か月以上」あれば受給資格を得られる場合がある
  • 国民健康保険料(税)の軽減措置の対象となる場合がある

ただし、特定理由離職者に該当するかどうかは、離職票の記載内容、医師の診断書、本人の申立て、会社側の事情などをもとに、最終的にハローワークが判断します。

そのため、うつ病により就労の継続が困難だった場合は、医師の診断書や会社とのやり取りの記録など、退職理由を説明できる資料を準備しておくことが大切です。

具体的な申請方法や認定されるためのポイントは、のちほど詳しく解説します。

うつ病で退職した場合の受給額と給付日数の目安

お金とカレンダー

失業保険を申請する際、気になるのが「具体的にいくら、何日分もらえるのか?」という点ですよね。

失業保険の受給金額(基本手当日額)と給付日数(所定給付日数)は、離職前の賃金、年齢、雇用保険の加入期間、そして離職理由によって一人ひとり異なります。
また、「所定給付日数」と「受給期間」は意味が異なります。

所定給付日数とは、基本手当を受け取れる最大日数のことです。一方、受給期間とは、基本手当を受け取れる期限のことで、原則として離職日の翌日から1年間です。
病気などによりすぐに働けない状態が続く場合は、受給期間の延長申請を検討する必要があります。

ここでは、受給金額と給付日数の目安について解説します。

受給金額(基本手当日額)の目安は?

失業保険で1日あたりに受け取れる金額を「基本手当日額」といいます。

これは、原則として離職する直前6ヶ月間に支払われた賃金(賞与などを除く)の合計額を180で割った金額(賃金日額)に、一定の給付率を掛けて算出されます。
給付率は50〜80%で、賃金日額が低い方ほど高く設定されています。なお、60〜64歳の方は45〜80%です。

ただし、基本手当日額には年齢区分ごとに上限額と下限額が定められており、毎年8月1日に改定されます。

表1:基本手当日額の上限額(2026年8月1日改定)

離職時の年齢 賃金日額の上限額 基本手当日額の上限額
29歳以下 14,900円 7,450円
30〜44歳 16,540円 8,270円
45〜59歳 18,220円 9,110円
60〜64歳 17,400円 7,830円

表2:基本手当日額の下限額(2026年8月1日改定)

離職時の年齢 賃金日額の下限額 基本手当日額の下限額
全年齢 3,203円 2,562円

【計算例】:離職前6ヶ月の賃金総額が180万円(月収30万円・35歳)の場合

  1. 賃金日額を計算
    180万円 ÷ 180日 = 10,000円
  2. 基本手当日額を計算
    35歳の場合、30〜44歳の区分に該当します。
    賃金日額10,000円を2026年8月1日改定後の計算式に当てはめると、基本手当日額は概算で約6,307円です。

※実際の基本手当日額は、離職票の賃金額や年齢、ハローワークでの計算結果によって決まります。

目安としては、離職前の賃金から算出される「賃金日額」のおおむね50〜80%、60〜64歳は45〜80%が基本手当日額になります。

給付日数(所定給付日数)の目安は?

失業保険を受け取れる最大の日数を「所定給付日数」といいます。
これは、離職時の年齢、雇用保険の加入期間、そして離職理由によって決まります。

うつ病などの疾病を理由に退職し、「特定理由離職者」と認定された場合でも、疾病等による正当な理由のある自己都合退職であれば、所定給付日数は原則として一般の自己都合退職者と同じ90〜150日です。

一方で、特定受給資格者(倒産・解雇等)と同様の手厚い給付日数が適用されるのは、特定理由離職者のうち、期間の定めのある労働契約の更新を希望したにもかかわらず更新されなかった方など、一部のケースに限られます。

なお、この措置は、受給資格に係る離職の日が2009年3月31日から2027年3月31日までの間にある方を対象とした時限措置です。

うつ病での退職が特定理由離職者に認定されることで、主に以下のようなメリットがあります。

  • 給付制限がかからず、一般的な自己都合退職より早く支給対象になる
  • 被保険者期間が「離職前1年間に6か月以上」であれば、受給資格を満たせる場合がある
  • 国民健康保険料(税)の軽減措置の対象となる場合がある

具体的な所定給付日数は以下の表の通りです。

表3:一般の自己都合退職者・疾病等による特定理由離職者の所定給付日数

区分 1年未満 1年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
全年齢 90日(※) 90日 120日 150日
(※)一般的な自己都合退職では、原則として退職前2年間に12か月以上、雇用保険に加入している必要があります。ただし、うつ病などの疾病による退職で特定理由離職者と認められた場合は、退職前1年間に6か月以上の加入期間があれば、受給資格を得られる場合があります。

就職困難者に該当する場合は給付日数が長くなることがある

うつ病などの精神疾患がある方で、精神障害者保健福祉手帳を持っている場合や、障害の状態・医師の意見などを踏まえて職業生活に相当の制限があると判断される場合は、ハローワークで「就職困難者」として扱われる可能性があります。

就職困難者に該当した場合、所定給付日数は一般の自己都合退職者より長くなります。

表4:就職困難者に認定された場合の所定給付日数

区分 1年未満 1年以上
45歳未満 150日 300日
45歳以上65歳未満 150日 360日

ただし、うつ病で退職した方が必ず就職困難者に該当するわけではありません。
対象になるかどうかは、障害者手帳の有無、医師の意見、症状の程度、就労への影響などをもとに判断されます。

該当する可能性がある場合は、ハローワークで相談してみるとよいでしょう。

うつ病で退職後に失業保険を申請するための流れ

ハローワーク

うつ病で退職した後、失業保険を受け取るためには、ハローワークで所定の手続きを行う必要があります。

「手続きが難しそう…」
「体調が不安定な中でできるだろうか…」

と不安に感じるかもしれませんが、一つずつ順番に進めていけば大丈夫です。
特にうつ病で退職された場合は、いくつか押さえておくべきポイントがあります。ここでは、申請から受給開始までの流れを6つのステップに分け、注意点も交えながら解説していきます。

STEP1:「離職票」を会社から受け取る

失業保険の申請に不可欠なのが「離職票」です。
これは、あなたが会社を辞めたことを証明する公的な書類で、「雇用保険被保険者離職票-1」と「雇用保険被保険者離職票-2」の2種類があります。

「離職票-1」は、退職者の基本情報や事業所情報などが記載され、失業保険の振込先などの記入欄があります。
「離職票-2」は、離職理由や離職前の賃金状況などが記載されます。

受け取り方法

通常、退職日から10日~2週間程度で、会社から郵送されてきます。退職前に、会社の人事担当者などに、いつ頃、どの住所に送付されるか確認しておくと安心です。

届かない場合

もし退職後2週間以上経っても届かない場合は、まず会社に問い合わせてみましょう。それでも対応してもらえない場合は、ハローワークに相談することができます。

うつ病の場合のチェックポイント

離職票が届いたら、特に「離職票-2」の「離職理由」欄を必ず確認してください。
うつ病が原因での退職の場合、「正当な理由のある自己都合退職」として判断されるかどうかは、給付制限の有無などに関わるため重要です。

「疾病・負傷」や「心身の障害」といった項目にチェックが入っているか、または「具体的事情記載欄(事業主用/離職者用)」に、うつ病により就労が困難であった旨が記載されているかを確認しましょう。

もし、単なる「自己都合」や事実と異なる理由が記載されている場合は、STEP4のハローワークでの手続き時に異議申し立てを行うことができます。

STEP2:申請に必要な書類一覧と準備のポイント

ハローワークで手続きを行う前に、必要な書類を揃えておきましょう。事前に準備しておくことで、手続きがスムーズに進みます。

基本的な必要書類

  1. 雇用保険被保険者離職票(離職票-1、離職票-2)
  2. マイナンバーカード
  3. マイナンバーカードを持っていない場合は、個人番号確認書類と身元確認書類

    ・個人番号確認書類:通知カード、個人番号の記載がある住民票など
    ・身元確認書類:運転免許証、運転経歴証明書、官公署発行の写真付き身分証明書・資格証明書など
    ・上記がない場合:公的医療保険の資格確認書、児童扶養手当証書など異なる2種類

  4. 証明写真2枚(6か月以内、正面上三分身、縦3.0cm×横2.4cm)
    ※マイナンバーカードを提示する場合は、顔写真を省略できる場合があります。
  5. 本人名義の預金通帳(一部の金融機関を除く)

うつ病での退職なら必ず準備したい書類

  • 医師の診断書
    特定理由離職者に該当するかを判断してもらううえで、重要な資料の一つです。うつ病により「就労が困難であったこと」「退職(または休職)して療養が必要であること」が明記されている診断書を用意しましょう。退職を決意したら、なるべく早く主治医に相談し、作成を依頼してください。退職日以前に発行されたものが望ましいですが、退職後のものでも有効な場合があります。
  • 会社とのやり取りを示す資料(あれば万全)
    在職中にうつ病について会社に相談した際のメール、面談記録、休職証明書などがあれば、状況を補足する資料として役立つ場合があります。

書類に不備があると手続きが遅れる可能性があるため、事前にしっかり確認しておきましょう。

STEP3:ハローワークで「求職申込み」をする

必要書類が揃ったら、あなたの住所地を管轄するハローワークへ行き、「求職の申込み」を行います。これが失業保険受給の第一歩です。

手順
受付
ハローワークの総合受付で「失業保険の手続きに来ました」と伝え、指示に従います。
手順
求職申込書の記入
氏名、住所、職務経歴、希望する仕事の種類や条件などを記入します(マイナンバーカードがあればオンラインでの事前入力も可能です)。
手順
書類の提出と面談
窓口で準備した必要書類一式を提出し、職員と簡単な面談を行います。

うつ病の場合のポイント

求職申込みは、「就職したい意思」と「就職できる能力」があることが前提です。うつ病が完治していなくても、医師の判断などを踏まえて就労可能な状態であれば、ハローワークで求職申込みと受給手続きを進められる場合があります。

一方で、症状が重く、病気のためすぐに働けない状態が30日以上続く場合は、基本手当をすぐに受け取るのではなく、「受給期間の延長」を申請することになります。

判断に迷う場合は、主治医の意見を確認したうえで、ハローワークに相談しましょう。

STEP4:うつ病での退職理由をしっかり伝える

求職申込みと同時に、または後日、ハローワークの職員による「離職理由の確認」が行われます。
これは、給付制限の有無や所定給付日数を決定するための重要なプロセスです。

手続きの内容

提出した「離職票-2」の内容に基づき、職員から退職理由について詳しく質問されます。

うつ病の場合のポイント

この面談で、「うつ病の影響で仕事を続けるのが難しくなり、やむを得ず退職しました」というように、事実を正直かつ明確に伝えましょう。STEP2で準備した医師の診断書を、ここで提出します。

もし「離職票-2」の離職理由欄の記載(例:「自己都合」となっているなど)に納得がいかない場合は、このタイミングで異議申し立てを行います。診断書やその他の資料(会社とのやり取りの記録など)を提示し、客観的な事実に基づいて判断してもらうよう求めましょう。

ここで「特定理由離職者」と認定されるかどうかが、給付制限なしで早期に受給できるかどうかの分かれ道となります。落ち着いて、具体的に状況を説明することが重要です。

STEP5:受給資格決定!説明会参加と「雇用保険受給資格者証」受け取り

ハローワークでの審査の結果、失業保険の受給資格があると認められると、「受給資格決定」となります。
その後、以下の書類が交付され、説明会への参加が指示されます。

  • 雇用保険受給資格者のしおり:受給に関するルールや手続きの詳細が記載された冊子。
  • 雇用保険受給資格者証:あなたの受給資格を証明するもので、基本手当日額や所定給付日数、失業認定日などが記載されています。今後の手続きで毎回必要になります。
  • 失業認定申告書:次回の失業認定日に提出する書類です。

【雇用保険説明会】
後日、指定された日時に開催される説明会への参加が指示されます。地域により「雇用保険説明会」「職業講習会」「初回講習」などと呼ばれます。
ここでは、失業保険制度の仕組みや受給中のルール(求職活動、不正受給など)について詳しい説明があります。
通常、1〜2時間程度です。

うつ病の場合のポイント

説明会の日時は指定されますが、もし体調的に参加が難しい場合は、事前にハローワークに連絡し、相談してください。
日程の変更などが可能な場合があります。

無断で欠席すると失業保険の支給が遅れる可能性があるため、必ず事前連絡を行いましょう。

STEP6:失業認定日にハローワークへ!求職活動の報告

うつ病の療養中の方でも、就労可能な状態であれば、無理のない範囲で求職活動を進めることができます。
求職活動実績として認められやすいものには、主に以下のような活動があります。

  • ハローワークでの職業相談、職業紹介
  • 求人への応募
  • ハローワークや自治体、民間職業紹介機関などが実施する就職支援セミナーへの参加
  • 許可・届出のある民間職業紹介機関での職業相談、職業紹介

基本手当の支給を受けるには、原則として認定対象期間中に2回以上、初回認定日は1回以上の求職活動実績が必要です。

なお、企業への単なる問い合わせ、求人情報の閲覧のみ、就労移行支援事業所の見学・相談などは、内容や地域の運用によって求職活動実績として扱われるかどうかが異なる場合があります。

不安な場合は、事前にハローワークで「この活動は求職活動実績になりますか?」と確認しておくと安心です。

失業認定日の手続きの流れは以下の通りです。

手順
失業認定申告書の記入
前回の認定日から今回の認定日の前日までの期間について、求職活動の状況や就労・内職の有無などを「失業認定申告書」に記入します。
手順
ハローワークへ提出
失業認定日にハローワークへ行き、「雇用保険受給資格者証」と一緒に「失業認定申告書」を窓口に提出します。
手順
失業の認定
職員が内容を確認し、失業状態にあると認められれば、その期間分の失業保険が後日(通常、認定日から数営業日後)指定した口座に振り込まれます。

うつ病で失業保険を受給する際のポイント5選

指をさす女性

失業保険の受給中は、守るべきルールがあります。特に、うつ病の方は体調面での注意も必要です。

ルール違反は受給停止やペナルティにつながる可能性があるので注意しましょう。

「働ける状態」であることが前提

失業保険は、「働く意思と能力がある」方が対象です。

  • 就労可能な場合
    完治していなくても「回復したら働きたい」という意思があり、医師が就労可能と判断している(または軽作業なら可能など)状態が目安です。
  • 療養専念の場合
    医師から「就労困難」と判断されている場合や、病気のためすぐに働けない状態が30日以上続く場合は、基本手当をすぐに受け取るのではなく、「受給期間の延長」を検討しましょう。
    基本手当の受給期間は原則として離職日の翌日から1年間ですが、病気やケガなどで働けない期間がある場合は、その働けない期間分について、最長3年間まで受給期間を延長できる場合があります。
    つまり、原則1年間の受給期間に延長期間を加えて、合計で最長4年間まで延長できる場合があります。
    判断に迷う場合は、主治医やハローワークに相談してください。

絶対NG!不正受給のリスクとペナルティ

不正受給は絶対にやめましょう。 軽い気持ちでも、厳しい処分が待っています。

【主な不正受給】

就労・内職の無申告、求職活動の虚偽報告、就職隠し、働けない状態なのに働けると偽る、など。

【厳しいペナルティ】

不正受給が発覚すると、以下のような処分を受ける可能性があります。

  • 支給停止:不正行為があった日以降の基本手当等が支給されなくなります。
  • 返還命令:不正に受け取った金額の返還を求められます。
  • 納付命令:さらに、不正に受け取った金額の最大2倍に相当する額の納付を命じられる場合があります。


つまり、返還命令と納付命令を合わせて、最大で3倍相当の負担が発生する可能性があります。
悪質な場合は、刑事告発されることもあります。
失業保険を受給するうえでは、就労や収入、求職活動の状況などを正直に申告することが大切です。

アルバイト・副業は必ず申告する

受給中にアルバイトや副業をする場合、収入の有無や時間に関わらず、必ず申告が必要です。

申告が必要なもの

パート、アルバイト、内職、手伝いなど、労働の対価を得る活動全般。

申告した場合

働いた日数や収入に応じて失業保険が減額・不支給となる場合があります(不支給分は所定給付日数の範囲内で繰り越し可能)。

申告しない場合

不正受給となり、厳しいペナルティの対象となります。

働く前にハローワークに確認すると安心です。

認定日を忘れない

失業保険は、原則4週間に1度の「失業認定日」にハローワークへ行き、失業状態の確認を受けないと支給されません。

行かない場合

正当な理由なく欠席すると、その期間分の失業保険は原則もらえません。

行けない事情がある場合

病気(うつ病の体調不良含む)などやむを得ない理由がある場合は、必ず事前にハローワークに連絡してください。医師の証明書などが必要になる場合がありますが、認定日の変更が可能です。

認定日のスケジュール管理は非常に重要です。

再就職が決まったら速やかに報告をする

再就職が決まったら(入社日が確定したら)、必ずハローワークに報告してください。

報告タイミング

原則、就職日の前日にハローワークへ行き、手続きします。

必要なもの

採用証明書(就職先で記入)、受給資格者証など。

報告しない場合

就職後も受給を続けると不正受給になります。

メリット

所定給付日数を一定以上残して再就職した場合などの条件を満たせば、「再就職手当」が支給される可能性があります。

最後の報告を忘れずに行いましょう。

うつ病の人が利用できる失業保険以外の経済支援3選

お金とハート形の雲

うつ病による休職や退職で経済的に困窮した場合、失業保険以外にも利用できる可能性のある公的な支援制度があります。

ここでは代表的な3つの制度をご紹介します。

傷病手当金

傷病手当金は、会社の健康保険(協会けんぽや健康保険組合など)に加入している方が、業務外の病気やケガで働くことができず、会社から給与が支払われない場合に受け取れる手当です。

主な対象

在職中にうつ病で休職し、給与が出ない(または減額された)方。

ポイント

  • 連続して3日間休んだ後、4日目以降の休んだ日に対して支給されます。
  • 支給額は、原則として「直近1年間の平均的な標準報酬月額を日割りにした金額の3分の2程度」です。
  • 支給期間は、支給開始日から通算して最長1年6ヶ月です。
  • 退職後も一定の条件(退職日までに継続1年以上の被保険者期間があり、退職日に傷病手当金を受給中または受給条件を満たしていること等)を満たせば、継続して受け取れる場合があります。
  • 失業保険(働ける状態が前提)とは性質が異なり、療養中で働けない期間の生活を支える制度です。原則として失業保険との同時受給はできません。

傷病手当金については、以下の記事でも詳しく解説しています。

障害年金

障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。うつ病などの精神疾患も対象となります。

主な対象

うつ病により、長期にわたって日常生活や就労に著しい支障がある方(初診日の要件や保険料納付要件などがあります)。

ポイント

  • 障害の程度に応じて「障害基礎年金」や「障害厚生年金」が支給されます。
  • 申請には医師の診断書などが必要で、審査には数ヶ月がかかる場合があります。
  • 失業保険や傷病手当金と併給できる場合もあります。ただし、傷病手当金については、同一の傷病を理由とする障害厚生年金等を受ける場合、支給額が調整されることがあります。

お近くの年金事務所や、社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。

生活保護

生活保護は、資産や能力などすべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とした制度です。

主な対象

利用できる資産や他の制度(失業保険、傷病手当金、年金など)を活用しても、生活費が国が定める最低生活費に満たない世帯。

ポイント

  • 生活費、住居費、医療費などが支給(または現物支給)されます。
  • 申請すると、世帯の収入や資産状況などの確認が行われます。必要に応じて、扶養義務者からの援助の可否などが確認される場合もあります。
  • 他の制度が利用できない場合や、利用してもなお生活が困難な場合の最後のセーフティネットです。

お住まいの自治体の福祉事務所が相談・申請窓口となります。

うつ病でも社会復帰を目指せる就労支援サービス3選

雨宿りするカエルと虹

うつ病の方を対象とした代表的な就労支援サービスとして、次の3種類があります。

  • 就労継続支援A型
  • 就労継続支援B型
  • 就労移行支援

これらのサービスはいずれも、

  • 病気や障がいへの理解や配慮がある環境で働ける
  • 就職に必要な知識やスキルを身に付ける訓練が受けられる

といった共通点があります。利用することで、あなたに合った形での職場復帰を目指すことが可能です。

ここからは、それぞれのサービス内容を詳しく説明します。

就労継続支援A型

就労継続支援A型の最大の特徴は、利用者と事業所が「雇用契約」を結び、給与として「賃金」を受け取れる点です。

一般の職場と同様に最低賃金が保証されているため、安定した収入を得ながら働きたい場合に適しています。そのため、「障害者雇用で働くのは少し不安だけれど、収入は確保したい」という方にとって、就労継続支援A型は現実的な選択肢の1つとなるでしょう。

一般就労に近い環境で実務経験を積み、自信をつけてから次のステップへ進みたい方におすすめです。

就労継続支援B型

就労継続支援B型の主な特徴は、利用者と事業者が「雇用契約」を結ばず作業を行い、成果物に対して「工賃」を受け取る点です。

「工賃」は「賃金」とは異なり最低賃金の保証はありませんが、その分、体調に合わせて週1日や短時間からでも利用しやすいメリットがあります。作業内容は事業所によって様々ですが、主に軽作業や手工芸などの作業が行われています。

A型と比較すると、B型はより福祉的なサービスという側面が強く、働くことへの準備段階と位置付けられています。

まずは働くこと自体に慣れたい、生活リズムを整えたいという方におすすめです。

就労移行支援

就労継続支援が「働く場所」を提供するサービスであるのに対し、「就労移行支援」は、障害者雇用を含む一般企業への就職を目指すためのサポートに特化したサービスです。

利用期間中は、就労継続支援のような賃金や工賃は基本的に支給されません。

その代わり、原則2年間という期間の中で、就職と職場定着を目標とした以下のような手厚いサポートを受けられます。

  • PCスキルやビジネスマナーなど就職のために必要な知識、スキルを身に着ける訓練
  • 自己理解を深めるためのコミュニケーション講座やカウンセリング
  • 履歴書の添削や面接練習などの実践的な就職活動の対策

このように、就職そのものを目指すサービスのため、一般企業への就職を具体的に目指す場合は、就労移行支援が選択肢の一つになります。

いずれのサービスも、うつ病の方が「働きたい」という気持ちをサポートしてくれる心強い味方です。あなたに合った支援をうまく活用することが、無理なく働き続けるための第一歩になります。

まとめ

  • うつ病による退職は「特定理由離職者」に該当する可能性があり、その場合、給付制限がかからず、一般的な自己都合退職より早く支給対象になる。
  • ただし所定給付日数は一般の自己都合退職者と同じ90〜150日が基本。精神障害者保健福祉手帳を持っている場合や、障害の状態・医師の意見などを踏まえて就職困難者と判断される場合は、所定給付日数が長くなる可能性があります。
  • 失業保険の受給額や期間は、離職前の賃金・雇用保険加入期間・離職理由・年齢によって決まる。
  • 申請は離職票の受け取りからハローワークでの手続き、認定日への出席まで段階的に進めるが、特にうつ病の場合は医師の診断書が重要。
  • 受給中は「働ける状態」の確認、不正受給の防止、アルバイト等の申告、認定日への出席、再就職時の報告といったルールを守る必要がある。
  • すぐに働ける状態でない場合は、「受給期間の延長」により、原則1年間の受給期間に加えて、働けない期間分を最長3年間延長できる場合があります。
  • 失業保険以外にも、「傷病手当金」「障害年金」「生活保護」といった経済支援制度がある。
  • 回復後に再び働くことを目指す際には、「就労継続支援(A型・B型)」「就労移行支援」を活用できる。

今回の記事では、うつ病での失業保険の受け取り方について、詳しく解説してきました。

うつ病で退職した場合、「失業保険はもらえないのでは?」と諦めてしまう必要はありません。まずはご自身の状況を整理し、医師やハローワーク、必要であれば専門家にも相談しながら、利用できる制度を適切に活用しましょう。

この記事が、あなたの経済的な不安を少しでも和らげ、心穏やかに療養に専念したり、前向きな次の一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。

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