「就労移行支援が複雑でよくわからない…」
などの疑問や不安はありませんか?
就労移行支援事業所の利用を検討している方にとって、気になるのはお金の問題ではないでしょうか。
初めて利用する方にとっては、複雑でイマイチよく分からないという方も多いと思います。
- 就労移行支援事業所では工賃・賃金が貰えるのか
- 就労移行支援事業所と就労継続支援A型事業所のお金の面の違い
- どっちを選べばいいのか
について、就労継続支援事業所を運営しているぎふ就労支援センターが解説いたします!
お金に関する悩みを解決できる可能性が高いので、ぜひ読んでみてください。
就労移行支援事業所は工賃(賃金)が発生しない
就労移行支援事業所では、基本的にお金を稼ぐことはできません。
就労継続支援A型事業所やB形事業所だと賃金が発生してお金が貰えるのに、なぜ就労移行支援事業所では報酬が無いのでしょうか。
就労移行支援事業所で工賃が貰えない理由は、働いて報酬を得る場所ではなく、一般企業へ就職するための訓練をする場所だからです。いわば、「就職するための学校のような場所」と言えばイメージしやすいでしょうか。
稀に工賃を支給している就労移行事業所もある
稀にですが、工賃を支給している就労移行支援事業所もあります。実際に生産活動を行って、お金を貰うことで責任や、やりがいを感じてもらうためです。また、金銭管理の訓練という意味合いもあります。
しかし、就労移行支援事業所の工賃はとても安く、月に数千円ほどです。工賃のために事業所を選ぶよりも、就職率やカリキュラムの充実性を重要視しましょう。
就労移行支援事業所の工賃は確定申告が不要
事業所によっては工賃が支給されますが、この工賃に対する確定申告は不要です。工賃は雑所得という区分になり、本来であれば確定申告の対象になります。
しかし、年間の収入が65万円以下の場合は確定申告の対象外となるので、安心してください。就労移行支援事業所での年収は65万円以下であることがほとんどなため、確定申告の必要はありません。
お金から見る就労移行支援と就労継続支援A型の比較
就労移行支援事業所と就労継続支援A型事業所を比較してみましょう。
それぞれの事業所を比較することで、自分にとってどちらが最適なのかを判断することができます。お金のことはもちろん、サービスの目的や対象者を比べて、違いを理解してみましょう。
また、違いが分かったうえで、就労移行支援事業所と就労継続支援A型事業所のおすすめの使い方も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
就労継続支援A型事業所はお給料が出る
就労継続支援A型事業所では、毎月働いた分だけお給料が貰えます。同様にB型事業所でも、最低賃金を下回りますが工賃としてお金を受け取ることができます。
対して就労移行支援事業所では、基本的には給料や工賃は発生しません。利用期間も2年間と決められており、計画的に利用することが大切です。
就労移行支援事業所 | 就労継続支援A型事業所 | |
---|---|---|
工賃 | なし | あり |
時間給 | なし | 947円(全国平均) |
月収 | なし | 83,551円(全国平均) |
目的 | 就職するための訓練の場 | 働く場所 |
対象者 | 一般企業への就職を希望している方 | 今は就職が困難で 一般企業には不安がある方 |
利用期間 | 原則2年間 | なし |
雇用契約 | なし | あり |
令和4年の時点で、全国の就労継続支援A型事業所の平均月収は83,551円、平均時給は947円でした。
同様に就労継続支援B型事業所の平均月収は17,031円、平均時給は233円となっています。
就労移行支援事業所から就労継続支援A型事業所にも行ける
就労移行支援事業所で訓練を行ったけど、就職ができなかった場合、就労継続支援A型事業所に進むのがオススメです。
一般企業の障害者雇用における給料の平均は約162,000円。対してA型事業所の平均給料は83,551円です。
約2倍差はありますが、障がいと向き合いながら働いて、お給料を貰うことに変わりはありません。
そのため、今後の選択肢として、万が一就労移行支援事業所を利用しても就職できなかった場合、就労継続支援A型事業所を選択肢に入れてみてはどうでしょうか。
A型事業所の利用対象となる方
- 18歳以上65歳未満の障がい者
- 就労移行支援事業所や特別支援学校を卒業後に就職活動をしたが、雇用に結びつかなかった人
- 一般企業で就業経験はあるが、障がいが理由で退職した人
就労移行支援事業所と就労継続支援どっちがいいのか
就労移行支援事業所と就労継続支援、お金のことを考えると結局どちらが良いのでしょうか。
ここからは、それぞれの事業所に向いている方をご紹介します。
就労移行支援事業所に向いている方
- 就職する意欲が強い
- 社会人マナーを身に付けて、早く社会復帰を目指したい
- 将来やりたい職業や、取得したい資格がある
- 家族からの援助が受けられて、経済的な負担が少ない
- 社会復帰に向けて自信をつけたい
こういった思いがある方は、就労移行支援事業所に向いています。
工賃は発生しないうえに、利用できる期間も原則2年間と決められていますが、就職に向けてスキルアップできるのが特徴です。体調が優れないときでもスタッフと相談しながら対策を考えて、無理なく学習ができるので安心してください。
就労継続支援A型事業所に向いている方
- 就職するのは不安だけど収入を確保したい
- 体調を整えながら無理のない範囲で働きたい
- 一般企業を退職したので、もう一度自信をつけたい
- 最低限のコミュニケーションや作業をこなす自信がある
こんな方にA型事業所はおすすめです。就労継続支援A型事業所はお給料が出るのが最大のメリットです。
利用者の個性や能力に応じて、スタッフが仕事量や内容を調整してくれます。1日4時間程の短時間勤務で、残業や休日出勤もないので安心ですよね。
しかし、就労移行支援事業所ほど就職に関する訓練は強くありません。あくまで働きながら、生活リズムを整えて就職を目指す場所だと覚えておきましょう。
お金を稼ぐなら就労継続支援A型事業所、就職を目指すなら就労移行支援事業所
似た名前の福祉サービスですが、詳しく比較してみると全然違うことが分かります。
今は一般企業へ就職するのは不安だけど、お給料を稼ぎながら体調を整えたいのなら就労継続支援A型事業所。
お金は貰えなくても、就職するためにビジネスマナーやスキルアップを学習したいのなら就労移行支援事業所というイメージです。
全国の就労移行支援事業所から約15,000人以上、全体の57.2%の方が一般企業へ就職されました。
就労継続支援A型からは26.2%、就労継続支援B型からは10.7%なので、いかに就労移行支援事業所が就職に強いかが分かるのではないでしょうか。
まとめ|就労移行支援事業所と工賃
- 就労移行支援事業所では原則、工賃は発生しないが就職に強い
- 就労移行支援事業所で就職ができなかった時は、就労継続支援を検討することも大切
- 就職を目指すなら就労移行支援事業所、お金を稼ぐなら就労継続支援A型事業所
ここでは、就労移行支援事業所と工賃に関する内容をみてきました。
就労移行支援事業所では工賃は出ませんが、就職に対するスキルを学ぶことができます。
工賃を目的に事業所を選ぶのではなく、自分が学びたいカリキュラムのレベルや就職率が高い事業所を選びましょう。