この記事を開いているあなたは、

「うつ病かもしれないと思ったらどうすればいいの?」
などの悩みや疑問を抱えていませんか?
涙は、悲しいときや嬉しいときに出るものですが、不安やつらい気持ちが積み重なることで溢れ出してしまうこともあります。そのためストレスを抱えながら仕事を続けていると、うつ病のサインとして「仕事中に泣いてしまう」症状が表れる可能性はあります。
- 仕事中に泣いてしまうのはうつ病が原因なのか?
- 涙のほかには?うつ病の初期症状
- うつ病かもしれないと思ったら意識したい行動手順
- 仕事中に泣いてしまったときにできる対処法
- 在職中にうつ病と診断されてしまったら?オススメの制度と支援機関
について解説していきます。
仕事中に泣いてしまうのはうつ病が原因?
急に涙が出るという症状は、アレルギーによるものやドライアイ、花粉症など、目のトラブルが原因で起こることもあるため、仕事中に泣いてしまうからといって、必ずしもうつ病とは限りません。
しかし、人間の防御反応として、強いストレスに対し、涙を流すことでストレスを緩和させることもあります。あなたが仕事に対して強いストレスを感じている場合は、うつ病の可能性があるでしょう。
うつ病とは?
うつ病とは主に、
- 悲しみを感じる
- 興味関心や喜びが減る
などの症状が、社会生活に支障が出るほど強くなってしまった状態を指します。
症状には個人差がありますが、普通は数日で回復するような気分の落ち込みが長期間続く場合は、この病気を発症している確率が高いと考えられます。
仕事が原因でうつ病になることはある?
仕事が原因でうつ病になることはありえます。
仕事とストレスは切り離せないものです。どんな職種でも仕事である以上は常に責任を求められ、少なからずプレッシャーがかかります。
また、仕事内容や職場環境によっては、
- 休みのない長時間労働
- 高いノルマを課される
- パワハラ・セクハラ・いじめなど、職場での対人関係の問題
- カスハラなど、理不尽な客への対応
などにより、さらに強いストレスがかかることがあります。
このようなストレスを我慢しながら働き続けることで、心身の限界を迎えてうつ病を発症してしまうケースは珍しくありません。
うつ病単体の数字ではありませんが、令和5年度に公表された「過労死等の労災補償状況」でも、仕事が原因でうつ病などの精神障がいを発症したと認められた労災認定の件数は883件存在しており、精神障がいは非常に身近な病気であることが伺えます。
仕事中に涙が出るとき|3つの対処法
仕事中に涙が止まらず困ったときは、まず落ち着くことが大切です。
対処法として下記の3つが考えられます。参考にしてみると良いでしょう。
席を外す
涙が出てしまうほどに強いストレスを感じているときは、可能であれば一度、その場から離れてみましょう。トイレに入ったり、外の空気を吸ったりすることで気持ちを切り替えられる場合があります。
不調を抱えたまま仕事を進めると、心理的ストレスが増加してしまうだけでなく、仕事の効率的も落ちてしまいます。なるべく落ち着いてから仕事に戻るようにしましょう。
気持ちを書いて整理する
紙などに感情を書くことは、それ自体にストレス発散の効果があります。「筆記開示法」と呼ばれる、ストレス解消の手法でもあります。また、書かれた感情を見れば、自分がどういった気持ちであり、どういったことでストレスを抱えているのか気づけるかもしれません。
人に見せる必要はありませんし、紙にこだわる必要もありません。スマホのメモなど、自分しか見ないものを使って試してみると良いでしょう。
腹式呼吸を意識してみる
泣いているとき、人の呼吸はどうしても浅く、乱れやすくなります。お腹に手をあてて、吸ったときに膨らみ、吐いたときに凹ませる、腹式呼吸を意識してみましょう。
自然と深くゆっくりとした呼吸が整うため、落ち着きやすくなります。ふとしたときに行っても効果があるので、試してみると良いでしょう。
涙のほかには?うつ病の初期症状をチェック
あなたがうつ病である場合、涙が出るほかにもサインが表れている可能性があります。
下記はうつ病の初期症状として挙げられる例の一部です。
- 精神症状
・気分の落ち込み
・自分に価値がないと思ってしまう、自信が無くなった
・罪悪感を感じる
・集中が続かず、ミスが増えた
・自暴自棄な行動、思考が増えた
・死にたい気持ちが強くなった など - 身体症状
・眠れない、または眠り過ぎる
・食欲がない、または食べ過ぎる
・短期間で体重が大幅に増減した
・疲れやすい、常にだるい など
これらに当てはまる症状が1日中感じられ、2週間以上続いているのであれば、病院で診察を受けることを強くオススメします。
うつ病かも?と思ったら|起こすべき3つの行動
うつ病かもしれないと思ったら、あなたの体調と相談しつつ、下記の3つの行動をしてみましょう。
➀ 通院を始める
うつ病は自己判断で診断、治療できる病気ではありません。専門医による正確な診断を受けることが大切です。
そのため、なるべく早く病院に相談し、薬やアドバイスを受けましょう。それだけでも症状が緩和する可能性が高くなり、その後の行動も取りやすくなるはずです。
病院に行く決心がついたけど、どの科に行けばいいか困ったときは、下記の記事が参考になるでしょう。
➁ 周囲に相談する
うつ病、またはそれに近い状態にある場合、判断力が低下していることがあります。そのため、困ったときは周囲の方に症状を打ち明け、助けを求めることが大切です。
ストレスに感じていることやつらい気持ちを共有できるだけでも楽になる場合がありますし、自分だけでは気付けなかった不調の原因を教えてもらえるかもしれません。1人で抱え込まず、早めに相談するようにしましょう。
周囲への相談が難しい、相談する相手がいない場合、保健センターや精神保健福祉センターなどへ相談する方法もあります。精神保健福祉センターの場合、近隣の医療機関を紹介してもらうこともできます。最寄りの施設を探してみると良いでしょう。
全国の精神保健福祉センター|厚生労働省
➂ 転職や休職・退職を検討する
「どうしても症状がつらい」「病院に通ってもなかなか治らない」といった場合は、うつ病の診断が出た段階で転職や休職・退職を検討してみましょう。
初診から6か月経てば、主治医は障がい者手帳の申請に必要な診断書を発行できるようになります。障がい者手帳があればさまざまな公的支援を利用できるため、それを考慮しつつ治療に専念できる環境づくりを考えてみましょう。
なお、「診断まで待つ余裕すらない」「考える余裕もない」という方は、無理は禁物です。医師や周囲の方に相談をした際「すぐに休んだほうが良い」と言われたなら、すぐに休職・退職することも視野に入れましょう。
状態を悪化させてしまっては元も子もありません。あなたの体調を優先して判断しましょう。
うつ病の診断を受けた際、退職しか選択肢が無いと思ってしまうかもしれませんが、休職など、別の選択ができる場合があります。詳しくは下記の記事をご覧ください。
うつ病の方が利用できる4つの支援制度
うつ病と診断されてしまった場合、これまで通りに働き続けることは難しくなるでしょう。また、収入が下がる不安を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、大丈夫です。
この項目では、休職や離職により収入が減少した場合に役立つ支援制度を4つ紹介します。
障害年金
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。引用:障害年金|日本年金機構
障がい年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
国民年金加入者であれば「障害基礎年金」を、厚生年金加入者であれば「障害厚生年金」を請求しましょう。会社員や公務員の方の場合、多くの方が厚生年金保険に加入しています。
うつ病の診断を受けている方の場合、住所地の市区町村役場の窓口から申請し、審査に通れば障害年金を受け取ることができます。収入が減ってしまった際の助けになるので、可能であれば検討してみましょう。
申請の際は、市区町村役場や年金事務所、年金相談センター窓口に備え付けられている「年金請求書」の他、医師の診断書や受信状況証明書などが必要です。必要な書類は加入している年金や、個人の状況によって変わります。
申請手順や必要書類などの詳細は、下記が参考になるでしょう。
労災保険
労災保険制度は、労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度です。引用:労災補償|厚生労働省
うつ病の原因が「過剰な長時間労働」や「ハラスメント」である場合は、労災保険の申請をしてみるのも1つの手でしょう。
一般論としてうつ病などの精神障がいでの労災認定は厳しいといわれていますが、前例は年々増加しており、「証拠が揃っている」「複数人が被害を訴えている」など、状況次第では通る可能性があります。
申請が通れば状況に応じた補償を十分に受けられます。心当たりがある場合は、一度管轄の労働基準監督署に相談してみましょう。
労働災害が発生したとき|厚生労働省
傷病手当
傷病手当金とは、
被保険者が病気やケガで仕事を休み、その間の給与を受けられないときに支給される給付金です。引用:傷病手当金|第4章 健康保険の給付金等について|全国健康保険協会 協会けんぽ pdf
給付の条件には「業務外でのケガや病気で療養していること」があるので、先述した労災の認定が受けられない場合、傷病手当を受け取ることになります。休職期間に入り労災認定を受けられない場合はこちらの制度を利用しましょう。
失業保険(基本手当)
失業保険(基本手当)とは、
雇用保険の被保険者の方が、定年、倒産、契約期間の満了等により離職し、失業中の生活を心配しないで、新しい仕事を探し、1日も早く再就職していただくために支給されるものです。引用:基本手当について|ハローワークインターネットサービス
この制度は「怪我や病気など以外が原因ですぐに働けない方」を対象としています。
なので「うつ病の人は申請できないのでは?」と思うかもしれません。しかし、最大3年間の期間延期が可能なので「うつ病の治療が終わったら受け取り始める」といった使い方ができます。
治療中は傷病手当を、治療後は失業保険を受けるといった利用方法も可能です。必要になったときは、一度窓口に相談してみましょう。
うつ病の方が利用できる4つの支援機関
うつ病の診断を受け、仕事や生活について困りごとを抱えてしまった場合、この項目で紹介する支援機関に相談してみましょう。
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは、精神的な悩みを幅広く相談できる支援機関です。
センターには基本的に医師がいるので、うつ病の症状に悩んでいる場合には、相談に応じた具体的なアドバイスをしてもらえます。
「うつ病を改善しながら社会復帰を目指したい」といった時の最初の1歩としてオススメです。
全国の保健福祉センターは、下記から探すことができます。
全国の精神保健福祉センター|厚生労働省
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、障がい者の職業生活における自立を図る目的で全国に設置されている支援機関です。令和6年度時点で全国に337か所あります。
ハローワークや医療機関、就労支援事業所などのさまざまな機関と連携しており、相談することで適切な自立支援を受けることができます。
「自分に必要な支援がわからない」という場合にはこちらへ相談してみましょう。
令和6年度障害者就業・生活支援センター 一覧 pdf
障害者就業・生活支援センターについての詳細は、下記の記事で解説しています。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、主に一般企業への就職を目指す障がい者を対象として、
- 就労に向けた訓練
(就労に必要な知識やスキルの学習、グループワーク、模擬訓練など) - 就活支援
(面接練習、履歴書の添削など) - 生活支援
(日々の体調管理)
などを提供する支援機関です。
また、事業所によっては障がい者手帳の取得や支援制度の申請・利用サポートを行ってくれる場合もあります。ただし、利用できる期間は2年間と定められていることに注意が必要です。
就労移行支援は社会復帰に向けた準備を整える役割があるため、「1日訓練を受けるのは体力的に難しい」方でも「午前中だけ参加」「週に3日だけ参加」などから利用できます。気軽に相談してみると良いでしょう。
就労移行支援事業所の利用条件については、下記の記事で解説しています。
就労継続支援事業所
就労継続支援事業所は、一般企業への就職が困難な障がい者を対象に、就労機会を提供している支援機関です。A型とB型があり、それぞれ雇用形態が異なります。
賃金は一般企業よりも低いですが、障がい者への配慮が充実しているため、うつ病で働けなくなった場合でもこちらでなら働ける可能性があります。困ったときは選択肢に加えてみましょう。
就労継続支援事業所についての詳細は下記の記事で解説しています。
まとめ|仕事中に涙が出るのはうつ病?対処法や受けられる支援を解説
- 仕事中に泣いてしまう理由として、アレルギー反応やドライアイなど、目の不調が原因の場合も多い。ただし、仕事に対して強いストレスを感じている場合も涙が出ることがあるため、うつ病が原因の可能性もある。
- 仕事中に泣いてしまった場合は「席を外す」「気持ちを書いて整理する」「腹式呼吸を意識する」などをして、まずは落ち着くことが大切。
- 仕事中に泣いてしまうほかに、「気分の落ち込み」や「眠れない」などのうつ病の初期症状がないかチェックしよう。2週間以上続く場合、病院の受診を。
- うつ病かもと思ったら「➀通院」「➁周囲への相談」「➂転職や休職・退職を検討」を行うこと。➁が難しい場合、支援機関への相談でも良い。
- 実際にうつ病と診断された場合には「障害年金」「傷病手当」「失業保険」などの制度や、「精神保健福祉センター」「障害者就業・生活支援センター」「就労移行支援事業所」などの支援機関を利用しよう。
仕事中に泣いてしまう場合に知っておきたい対処法や、うつ病の際に利用できる支援制度・支援機関などを紹介しました。
仕事中に泣いてしまうとどうしていいかわからなくなったり、焦ってしまったりしますが、落ち着いて対処しましょう。うつ病の初期症状として挙げた中に長く続くものがある場合、病院の受診や、専門機関への相談がオススメです。
この記事があなたの役に立つことを願っています。