「親が死んだら生活できなくなるかもしれない」
あなたがこの記事にたどり着いたということは、このようなお悩みをお持ちではないでしょうか?
50代引きこもりの子を80代の親が面倒を見ている状態を意味する「8050(はちまる・ごうまる)問題」が、昨今メディアでも取り上げられるようになりました。
親子が共に経済的にも精神的にも疲弊していく8050問題を放置し続けることで、望まない末路を迎えてしまう家庭も珍しくありません。
50代の引きこもりとなれば利用できる支援制度が限られるようになり、現状を変えたいと思っても八方ふさがりの状況に孤独や絶望を感じることもありますよね。
- 50代引きこもり・8050問題の先にある末路
- 50代引きこもりが頼るべき生活保護について
- 50代引きこもりが相談できる機関や利用できる制度
- 50代引きこもりが利用できる就労支援はあるのか?
を解説していきます。
この記事を読みながら、50代引きこもりはどのような機関に相談できるのか、どのような行動を起こすべきなのか、一緒に考えていきましょう。
実は女性の方が多い50代の引きこもりの割合
内閣府が2023年に行った引きこもり調査の結果、引きこもりは全国に146万人いると推計されています。15歳~39歳の世代では62万人、40歳~64歳の世代では84万人の引きこもりがいると推計されており、合計して約146万人となる計算です。
この調査について以前内閣府に問い合わせたところ、30代、40代、50代のような細かな世代で分けて引きこもりの人数は集計していないと回答を頂いており、50代で引きこもりの状態にある人数はわかっていません。
しかし、この調査の結果から引きこもりは若年層よりも中高年の方が深刻な問題となっていることがわかります。
また、2023年に名古屋市が実施した生活状況の調査から、名古屋市内で引きこもり状態にある方は2万2,600人いると推計されています。その中でも、40代~50代の引きこもりが最も多く、全体の6割を占めていました。
これまで、引きこもりは男性の方がなりやすいものと考えられてきました。しかし、内閣府の引きこもり調査の結果から、40歳~64歳の引きこもりのうち52%は女性であることが明らかになりました。
引きこもりとは、男性・女性を問わず誰にでも起こる可能性がある問題なのです。
下記の記事では、女性の引きこもりについても解説しています。
50代引きこもりがたどる末路とは?
引きこもりとなり家族と過ごす時間が増えるようになると、高齢化した親の衰えを間近で見続けることになります。日に日に増えていく親の物忘れ、少しずつ困難になっていく日常生活や家事…。これまでと同じ生活を続けていくことは難しいと感じる瞬間が訪れるはずです。
最悪の結末を回避するためにも、まずは8050問題の先に待ち受ける末路について一緒に考えていきましょう。
過去に起きた3つの事件から考える8050問題
50代引きこもりの末路の中には、あまりにも切なく痛ましい事件に発展してしまったケースがあります。これから紹介する3つの事件は、生活困窮や親の突然の死、介護による疲弊から起こってしまったものです。
8050問題は社会問題として認知されるようになって久しいですが、この問題に直面している当事者たちから「もう限界、助けてほしい」という声があがるケースはあまりにも少ない現状があります。8050問題を家庭の問題として限界まで抱え続けた結果、事件という形で表面化してしまうのです。
札幌母娘餓死事件
2018年に札幌市内のアパートで82歳の母親と52歳の娘が餓死してしまった事件です。栄養失調による低体温症により死亡しているところを、検針に来たガス業者によって発見されました。
ストーブにはエラーの表示が点灯しており冷え切った室内に空の冷蔵庫、床にはお菓子の空き袋や調味料が散乱していたそうです。娘は人間関係に悩んで退職してから10年以上の引きこもり状態にあり、高齢の母親が面倒を見ていました。
収入は年金のみで、生活保護や福祉サービスは受けていませんでした。餓死の間際、近所を力なく歩く娘の姿が目撃されていたにも関わらず、医療機関などを受診した形跡も見つかっていませんでした。
親の遺体を放置し、年金を不正受給して逮捕された事件
このように語る58歳の息子は、2012年に死亡した父親の遺体を2019年に発見されるまで放置してしまい、7年間の年金を不正受給した罪で逮捕されています。
無職であった息子は母親の亡き後、年金を頼りながらも一人で父親の介護を行っていました。ある朝目覚めた時、息をしていない父親を発見した息子は心臓マッサージを試みるも、父親が息を吹き返すことはありませんでした。その後、父親の死亡を役所に届け出なかったことが問題となりました。
この事件の裁判を傍聴していた方は、「不器用な受け答えの中にも彼なりの努力や苦悩が感じられた。年金の不正受給が目的だったのではなく、父親の死をどのように言い出せばよいのかわからなかったのではないか?」と推測していたそうです。
この事件が起きた2019年には、子が親の遺体を放置してしまう事件が38件発覚しており、この事件が特別なケースではないということがわかります。
京都伏見介護殺人事件
「そうか、あかんか。一緒やで。」
この会話の後、54歳の息子が86歳の母親の首を絞めて殺害、息子自身も刃物とロープで自殺を図るも未遂に終わった事件です。高齢の親の介護により生活苦に直面して起きてしまったこの事件は、「あかんか」という通称でネットでも有名になりました。
父親の亡き後、息子は認知症が悪化した母親の介護のために会社を退職しています。退職後、息子は3回にわたり生活保護の相談のため福祉事務所を訪ねるも、失業給付を受給していることを理由に生活保護の申請は認められませんでした。
介護と両立できる仕事が見つからないまま失業給付が打ち切られ、カードローンの借り入れも限度額に達して生活する手段を失い、母親との心中を決意しました。
「母親の命を奪ったが、もう一度母の子に生まれたい」という息子の供述がこの事件の悲痛さを物語っています。同時に、息子の相談に真摯に向き合わず、生活保護の説明も十分に行わなかったとされる行政に批判が集まりました。
裁判後、息子は殺人事件としては異例の執行猶予を受けて釈放されますが、それから8年後に自殺という結末を迎えました。
50代引きこもりは、困ったら迷わず生活保護の申請を
経済的な困窮や親の介護、あなた自身が働けない状態で生活が成り立たない場合、迷わず生活保護を頼ってください。先述した3つの事件も、生活保護を頼ることができていれば最悪の末路を回避できていた可能性が十分に考えられます。
50代引きこもりの方にとって、生活保護は現実的な自立の形の一つとも言えるでしょう。
「自分よりももっと生活が苦しい人が受給するべきなのでは?」
「生活保護の申請は簡単にはできず、窓口で怒られるのでは?」
これらは全て誤解です。
生活保護の申請は国民の権利であり、生活困窮者の最後の砦です。
ここからは、生活保護を受けるためにはどうすればいいのかを解説していきます。
生活保護の申請条件
生活保護を申請するために必要な条件は、世帯収入があなたの住んでいる地域の最低生活費よりも低いことです。これが絶対条件となっています。
最低生活費は、下記4項目の合計金額で定められます。
- 1類費(生活費)
- 2類費(光熱費等)
- 各種加算(障害、母子加算等)
- その他扶助費(住宅費、医療費等)
最低生活費は地方によって異なります。一例として、50代前半の方の東京23区と北海道函館市での最低生活費を比較すると下記の通りになります。
地域 | 最低生活費 |
---|---|
東京都23区内 | 130,940円 |
北海道函館市 | 117,430円 |
※この表は単身世帯の場合の最低生活費です。
(令和5年10月時点)
地方よりも都心の方が住宅費は高くなるため最低生活費も高くなりますが、どの地方でも月に生活費として使える金額はおおむね7万円~8万円です。
収入(給料、各種年金、保険金、財産を処分して得たお金など)が最低生活費を下回る場合、その差額分を生活保護費として受け取ることができます。
そして、最低生活費の確保のために下記4つの取り組みを行うことも生活保護を申請するための条件となっています。
- 資産の活用
預貯金や生活に利用されていない土地は売却して生活費にすること。 - 能力の活用
心身に問題がなく働くことが可能な場合は能力に応じて労働すること。 - あらゆるものの活用
各種年金や失業給付などの手当を受けられる場合は、これらを生活保護より優先して活用すること。 - 扶養義務者の扶養
父母・祖父母・兄弟・子供・孫などの3親等以内の人から援助を受けられる場合は、生活保護よりも優先して活用すること。
過去の記事では引きこもりの方に向けた生活保護の解説を行っています。生活保護が打ち切られてしまうケースなどについて気になる方はぜひ一読ください。
生活保護の申請を断られる代表的なケース3選
生活保護は条件を満たしていれば誰でも申請できますが、次のような状況に当てはまる方は申請を見送られる場合があります。
貯金が10万円以上ある場合
生活保護の原則として、申請時点で生活困窮の状況に陥っている方が保護対象になります。将来的に生活が困窮するから、という理由での申請は断られるケースがほとんどです。
しかし、将来的に生活困窮の可能性がある場合は、事前に福祉事務所を訪ねて生活保護の相談を行うと良いでしょう。
資産を持っている場合
主に下記の資産を持っている場合は生活保護の申請を断られるケースがあります。
- 不動産(場合によっては住宅を含む)
- 車
- 各種保険
- 株
- 高級ブランド品など
持ち家の中でも住宅ローンが残っている場合は生活保護を受けることができません。また、ローンを完済している住宅の場合でも、住宅の価値に応じて所持が認められるのか売却する必要があるのかの判断が分かれる場合があります。
生活保護の申請を考える時は、生活が成り立たなくなる前に、住んでいる自治体で所持が認められている資産は何かを確認しておくことが大切です。
借金がある場合
民間の金融機関などからの借金がある場合は、債務整理や自己破産を行わなければいけません。生活保護費を借金の返済にあてることは原則として禁止されているからです。
ただし、奨学金の返済などは例外とされています。
仕事が見つからない=生活保護を受けられる「岸和田生活保護訴訟」
生活保護の申請に行ったにもかかわらずこのようなことを言われてしまうと、大きなショックを受けてしまいますよね。
50代引きこもりという状況からの就職活動にはたくさんの困難があります。年齢や経歴、ブランクがある、現役で働ける期間が短い、などの理由で雇ってくれる企業が見つからない事態は十分に考えられます。
そこで知っておきたいのは、「就職活動をしているが、就職先が決まらず生活に困窮してしまった」という状態になった場合、生活保護を受けることができるということです。
これは、2009年に大阪地裁で行われた「岸和田生活保護訴訟」の判決が根拠になっています。この訴訟では、まさに「就職活動をしているが、就職先が決まらず生活に困窮してしまった原告には、生活保護の必要性があるか?」という点が問われました。
この判決では、上記の事情で生活保護を申請しに行った原告を追い返したことが「原告の生活保護の申請権を侵害している」として、生活保護却下処分の取り消しと国家賠償請求を認めるという、原告の完全勝利判決が出ています。
「仕事が見つからなければ、餓死しかないの?」 岸和田生活保護訴訟完全勝利!|民主法律協会(民法協)
50代引きこもりが相談できる機関や使える制度
引きこもりの問題は、長期化して当事者が高齢化するほど解決が難しくなります。50代の方の引きこもり期間を平均すると13年に及ぶとされており、20年~30年以上の間引きこもり状態にあるケースも珍しくありません。
50代引きこもりの大きな問題として、対応してくれる支援が少ないという現状が挙げられます。国の支援機関は就職支援を含む多くのものに利用できる年齢の制限が設けられており、民間団体まで視野を広げて探しても、50代引きこもりの支援を積極的に行っている場所はほとんどありません。
50代引きこもりからの社会復帰の成功率は極めて低く、30代までの若年層を中心に行われている引きこもり支援のノウハウでは、中高年に対して十分な効果を期待できない事情があるのです。
引きこもり問題の根は深く、引きこもり当事者に向けられる世間の目は未だに「怠けているだけ」「働かざるもの食うべからず」という冷たいものがあります。このような背景から世間体を気にする親は、引きこもりや生活困窮の問題を相談してはいけないと思い込んでしまいます。
それでも、令和に入った今では50代引きこもり・8050問題の相談先が少しずつ整備されるようになってきました。親子が共に限界を迎える前に、相談できる窓口や制度について紹介していきます。
ひきこもり地域支援センター
引きこもり支援推進事業の一つとして、平成21年から各都道府県に設置されているのが「引きこもり地域支援センター」です。社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持った支援員が中心となり、相談支援や地域の関係機関と連携した支援を行っています。
「孤独で寂しい」「生きていても意味がない」など、どんな思いを話しても大丈夫な場所です。面談を通して50代引きこもり・8050問題の今直面している問題、将来的に直面するであろう問題を未然に防ぐために適切な支援プランを提供してくれます。
ひきこもり地域支援センターと連携している機関には、次のようなものがあります。
地域包括支援センター
地域包括支援センターとは、介護、医療、福祉などの面から高齢者を支えるための機関です。8050問題で親の介護に悩む場合に相談できる場所になっています。
【はじめての方へ】地域包括支援センターとは?その役割と賢い活用法|LIFULL 介護
精神保健福祉センター
精神保健福祉センターとは、うつ病などをはじめとする心の病気の改善や予防、自殺防止などを目的とする機関です。心の病気を抱えた方の自立や社会復帰に向けた援助も行っています。
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、発達障がいに起因すると考えられる「生きづらさ」の問題を解決するために、適切な相談支援・生活支援や医療機関とつなげるパイプの役割を持っています。
発達障害者支援センターとは|国立障害者リハビリテーションセンター
利用方法は下記の記事でも解説しています。
生活困窮者自立支援制度
生活困窮者自立支援制度とは、経済的に困窮して生活の維持が難しくなるという危機に直面している方への支援を行うための制度です。
生活困窮者が生活保護の受給に至る前に、自立した生活を送れるようにするという目的があります。各都道府県に設置されている自立相談支援事業所が、相談の窓口です。
生活困窮者自立支援制度では、主に次のような支援事業が行われています。
生活困窮者自立支援制度について|困窮者支援情報共有サイト~みんなつながるネットワーク~
住居確保給付金
やむを得ない事情により経済的に困窮しており、住居を失う可能性がある方に、就職活動を行うなどの条件の元で一定期間の家賃相当額を支給する制度です。
就労準備支援事業
「社会に出ることに不安がある」「コミュニケーションや対人関係が苦手」という理由ですぐに就職することができない方を対象に、半年~1年の期間で就職のサポートを行っています。
フードバンク
包装の破損や印字ミスが原因で品質に問題がないにも関わらず廃棄されてしまう食品を集めて、生活困窮者に対して無償で提供を行う制度です。
引きこもり外来のある精神科・心療内科
引きこもりの方が何らかの精神疾患・発達障がいを抱えているケースは8割を超えていると考えられています。
引きこもりの状態はなかなか周囲から辛さを理解されないため、ストレスを受けやすくなります。自己肯定感の喪失や昼夜逆転の生活はうつ病や適応障害を発症する原因になるのです。
また、「対人関係が苦手」「仕事で何度もミスを繰り返してしまう」「社会生活にうまく適合できなかった」などの理由で退職して引きこもりとなった場合、その原因の根底には発達障がいが隠れていることは珍しくありません。
そのため、精神科・心療内科には引きこもり外来が設置されている病院があります。引きこもりの方すべてに、精神科・心療内科を受診する必要があるわけではありませんが、上記で紹介した「引きこもり地域支援センター」などから紹介を受けて医療と繋がるケースも考えられます。
あなたがもしメンタル面に不調を感じる場合、適切な医療を受けることが大切です。
病院を受診して病名が付いた場合に利用できる福祉制度は、たくさんあります。次の項目で、どのような制度が利用できるようになるのか紹介していきます。
自立支援医療制度
うつ病などの特定の精神障がいによって継続的に通院が必要となる場合、通常の健康保険では医療費の自己負担額が3割のところ、自立支援医療制度を利用することで1割の自己負担で医療を受けられるようになります。
通院や薬の処方のための費用を3分の1に抑えられるようになるため、経済的負担が大きく軽減されます。
精神障害者福祉保健手帳
精神科・心療内科の受診により精神疾患が認められた場合、初診から6か月経った後に申請できるのが精神障害者福祉保健手帳です。
自治体によって内容が異なる場合もありますが、取得することで下記のサービス・支援を受けられます。
- 公共交通機関の運賃割引
- 公共施設(美術館やスポーツジムなど)の利用料割引
- 携帯電話料金の割引
- 公営住宅の優先入居
- 所得税や住民税、相続税などの控除
- など
障がい者の認定を受けることに最初は抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、手帳を所持していても提示するかどうかは自分の意志で決められます。精神障害者福祉保健手帳を所持することのデメリットはありません。
障害年金
病気や事故で障がいを負った方を対象にして国から年金が給付されるのが障害年金という制度です。うつ病などの精神疾患も受給対象になっており、症状に応じて月5万円~9万円を年金という形で受け取ることができます。
初めて病院を受診した日(初診日)から1年6か月が経過した時点で一定の障がいの基準を満たしていること、初診日の前日時点で年金保険料を3分の2以上収めていることが申請の条件になっています。
障害年金を受給したからといって、将来受け取れる老齢年金が減額されることはありません。
就労継続支援A型
先ほど紹介した精神障害者福祉保健手帳を所持している場合、就労継続支援A型を利用することができます。
就労継続支援A型とは、週3日~5日程度で4時間〜6時間の時短勤務を行う事業所です。雇用契約を結ぶため最低賃金が保証されており、月8万円程度の収入を得ることができます。
障がいを持った方に対する「就労機会の提供」と「就労を通したスキルアップ」を目的としていることが多く、「対人関係が苦手」「社会復帰に不安がある」などの悩みについて一定の配慮がある職場で働くことができます。
50代引きこもりからの社会復帰として、現実的な選択肢の一つです。
下記の記事では就労継続支援A型について詳しい解説を行っています。
50代引きこもりからでも利用できる就労支援
50代引きこもりの方の社会復帰が困難な理由として、利用できる就職支援制度が見つからないことが挙げられます。
例えば「地域若者サポートステーション」という公的な就職支援機関では、引きこもりの方の社会復帰を支援している実績はありますが、利用できる年齢が15歳~49歳までとなっています。
ハローワークは年齢制限がないため誰でも利用できますが、50代引きこもりからの社会復帰が難しいことは言うまでもないでしょう。しかし、あなたが「働きたい」という強い気持ちを持っているのであれば、50代引きこもりからでも働くことができます。
50代引きこもりでも利用できる就職支援を2つ紹介していきます。
求職者支援訓練(職業訓練)
「月10万円の給付を受けながら就職のための勉強ができる」のが、ハローワークが実施している求職者支援訓練です。教科書などは自己負担となりますが、授業は無料で受けられます。
おおむね3か月~1年(一部2年の訓練コース有)の期間で、就職に必要なスキルを身に付けたり資格取得をしたりといったことが可能です。
求職者支援訓練は50代引きこもりの方でも受講できます。実際、求職者支援訓練は40代以上の中高年の方が受講するケースも珍しくないため、50代引きこもりの方でも教室内で浮いてしまうといったことはありません。
地域によって受けられる訓練の内容に特色がありますが、代表的な講座には下記のようなものがあります。
- IT・プログラミング
- Web制作
- 機械設計・CAD
- ビル管理(メンテナンス)
- 介護職員養成
訓練を通じて就職先の紹介なども行っているため、50代引きこもりから社会復帰を目指す上での近道となります。お住まいの地域のハローワークが申し込み窓口になっているため、まずは直近で受講できる求職者支援訓練に何があるのかを確認するとよいでしょう。
就労移行支援
一般就労(企業の障がい雇用枠)を目指している、障がいを持つ方の支援を行っているのが就労移行支援です。年齢制限はありますが18歳~64歳までとなっており、50代引きこもりの方でも利用することができます。
利用には精神障害者福祉保健手帳や医師の意見書が必要となるため、先述している通り病院の受診と合わせて検討すると良いでしょう。
1年、2年というスパンで個別に就職計画を作成していくため、すぐに就職することは難しいですが、一歩一歩段階を踏んで社会復帰を目指したい方や、就職後に仕事が続けられるか不安という方にオススメのサービスです。
就労移行支援を利用した事で就職に成功した50代の方がたくさんいます。
下記の記事では引きこもりの方の就労移行支援の活用方法についてまとめています。
まとめ|50代引きこもりが受けられる支援制度
- 50代引きこもり・8050問題を相談できないまま抱え込んでしまった結果、最後は悲惨な事件として表面化してしまう事例が後を絶たない。
- 50代引きこもりの方にとって生活保護は自立に向けた現実的な選択肢である。生活保護を頼るのは決して恥ずかしいことではない。
- 50代引きこもり・8050問題の相談は、まず「ひきこもり地域支援センター」を頼ることがオススメ。
- 引きこもりの原因には精神疾患や発達障がいが隠れているケースもあるため、必要に応じて医療機関の受診を検討することも大切。
- 求職者支援訓練は50代引きこもりからの社会復帰に効果的。
今回の記事では、50代引きこもり・8050問題に直面している方が頼れる機関や制度について解説しました。生活が成り立たなくなる前に、利用できる機関や制度について知識を持っておくことは将来への備えになります。
また、50代引きこもり・8050問題の解決に向けて、親がまだ元気な間に今後の方針を決めておくことも非常に重要です。
- 家庭にどれだけの財産があり、何を処分して何を残すのか?
- 親が認知症などで介護が必要になった場合はどうするのか?
- 親が死んだ後、残された子はどのように生活すればいいのか?
親が元気な間に世帯分離をして、子が生活保護を受け取れる状況まで繋ぐというのも一つの手段となるでしょう。
この記事が、50代引きこもり・8050問題に悩むあなたの力になれたなら幸いです。