引きこもりでも生活保護は受けられる?受給に必要な条件を解説

KAORUKO

「今後のお金のことが心配…」
「よく聞く生活保護って何?」
「自分が生活保護を受けられるか興味がある」

といった不安や疑問をもたれる方も多いのではないでしょうか?

現在、さまざまな理由から就労をしていないニートや引きこもり状態の方にとって、お金に対しての不安は尽きないでしょう。

一人暮らしをしている方も家族と同居している方も、年齢問わず自分自身の収入がないと不安になりますよね。ニートや引きこもりの方も生活保護を申請できますが、厳しい条件を満たす必要があります。生活保護の前に利用できる支援制度も紹介するので、そちらも参考に自分に合った生き方を探っていきましょう。

  • 生活保護を受給するにあたって必要な条件
  • 生活保護を拒否されるケース
  • 生活保護の受給資格が停止になる条件
  • ニートや引きこもりが利用できる就労支援制度

を解説していきます。

そもそも生活保護ってどんな制度?

生活保護申請書のイメージ

生活保護について、なんとなくは知っていても、具体的にどんな制度なのか理解しきれていない方も多いのではないでしょうか?

まずは生活保護の目的や、受給できる金額についてみていきましょう。

生活保護の目的

生活保護の目的について、厚労省のホームページでは次のように説明されています。

生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。生活保護制度|厚生労働省

生活保護の申請は国民の権利です。病気や介護、育児などさまざまな理由から「働きたくても働けない」状態である方にとって、生きていく上で最後の砦になります。

受給金額の目安

生活保護の受給金額は「最低生活費」で決まります。最低生活費とはその名の通り、生活に必要な最低限のお金のことを指します。

また、必要な費用に応じて保護の種類が分けられています。例えば、

  • 生活扶助 (生活費)
  • 住宅扶助 (住宅費)
  • 医療扶助 (医療費)

などがあり、他にも5つの種類があります。

物価が高い都会や、暖房費用がかさむ豪雪地帯など、お住まいの地域の条件によっても金額は変化します。無収入で一人暮らしの場合は、10~15万円程度の支給が目安となるでしょう。

引きこもりが生活保護を受給するのに必要な条件

家のチェックリスト

ニートや引きこもりの方も生活保護を申請できますが、受給する際にはさまざまな条件があります。

生活保護を受ける上で必要になる、主な条件は下記の通りです。

  • 最低生活費に世帯収入が満たない
  • 怪我や病気などで働けない
  • 10万円以上の資産がない
  • 親族からの経済的支援が受けられない

順に解説していきます。

最低生活費に世帯収入が満たない

最低生活費に自分自身の収入や世帯収入が満たないことは、生活保護を受け取る上で前提となる条件です。

なお家族と同居している方の場合、支給額は「最低生活費-世帯収入」となり満額分はもらえません。生活保護は、あくまで最低生活費が足りない分を補う形になるからです。

怪我や病気などで働けない

怪我や病気などのやむを得ない理由から、「働けない」状態にあることも条件になります。「働きたくないから働かない」という方は、生活保護を受給できません。

家族と同居している方の場合、自分自身が働けない状態でも、世帯収入が最低生活費を上回っていれば対象外です。

10万円以上の資産がない

さらに、銀行口座の残高や所有する資産の価値をすべて合わせても、10万円以下である必要があります。価値の高い資産を所有している場合、それを売却すれば生活費があるとみなされるからです。

資産とは、具体的には下記のようなものを指します。

  • 保険
  • 不動産(条件によっては持ち家)
  • 土地
  • ブランド品や貴金属類

これらを保有していると10万円以上の資産があるとみなされ、まず受給の条件には当てはまりません。

ただし例外として、「田舎で土地の価値が認められない」「車がないと生活が成り立たない」といった事情が考慮されることもあります。

親族からの経済的支援が受けられない

「両親は既に他界している」「他の親族は高齢で働くことが困難である」などの理由で、身内から経済的な支援を受けられないことも条件です。

生活保護を申請すると、扶養照会が行われます。扶養照会とは、自治体が申請した方の3等親までの親族に、仕送りができるかどうかなどの聞き取り調査をすることです。

一人暮らしをしている方も、金銭的に実家に頼れると判断された場合、審査に落ちることがあります。ただし、その判断は自治体によって委ねられているので、家族との関係性などの事情を考慮してもらえる場合もあるようです。

引きこもりが生活保護を受給できないケース

手でバツのポーズをする女性

生活保護を申請しても、審査に落ちる場合があります。上記の条件を満たしているにもかかわらず生活保護を受けられない原因には、次の2つが考えられます。

  • 借金がある
  • 生活保護以外の制度が利用できる

順に解説していきます。

借金がある

借金がある方は、生活保護を申請する前に借金を整理する必要があります。専門家に債務整理の相談をしたり、自己破産をしたりする方が優先と考えられているからです。ただし、民間企業からの借金ではない奨学金などは例外とされています。

生活保護で受給したお金の用途は厳しく決められているので、もちろん借金返済に充てることはできません。そのようなことが発覚した場合は、保護を停止される可能性もあります。

また、生活保護の受給中に新たにお金を借りることもできません。収入とみなされるからです。

生活保護以外の制度が利用できる

年金や失業保険、傷病手当金など、生活保護以外の制度が利用できると判断された場合、審査に落ちることがあります。

最初の方にも書きましたが、生活保護は最後の砦です。さまざまな制限もかかるので、まずは他にも利用できる制度があるかどうか、確認することが大切です。

引きこもりが生活保護の受給資格を停止される条件

責められる女性

生活保護の受給を開始した後は、ケースワーカーとの定期的なヒアリングが行われます。そこで下記のようなことが発覚すると、生活保護を停止されてしまう可能性があります。

  • 虚偽の報告をして不正受給をしていた
  • 最低生活費を満たす収入を得た
  • 福祉事業所などの調査に非協力的
  • ケースワーカーの指示に従わない

順に解説していきます。

虚偽の報告をして不正受給をしていた

貯金を隠していたり、同居家族の収入の申告で嘘をついていたりすると、虚偽の報告をしたとみなされ、保護が停止されます。ニュースなどで耳にすることも多い、いわゆる「不正受給」です。悪質な場合は逮捕されることもあるので、絶対にやめましょう。

最低生活費を満たす収入を得た

バイトなどの仕事ができるようになり、最低生活費を満たす収入を得た場合、保護を停止される可能性があります。

病気や怪我が完治していなくても、「最低生活費を稼げる=働ける状態である」と判断されるからです。症状や状態が落ち着いたかどうかは、一般的に医師の診断書で判断されます。

福祉事業所の調査に非協力的

先述したように、生活保護を受給するにあたってはさまざまな条件があります。継続的に必要かどうかを調査するためにも、福祉事業所からの定期的な家庭訪問や聞き取り調査は必ず受けなければなりません。

そこで問題となるような言動を取ってしまうと、協力的ではないとみなされ、保護を停止されてしまう可能性があります。

ケースワーカーの指示に従わない

ケースワーカーとは、生活に困っている方からの相談を受け、社会復帰に向けて支援をする専門職のことです。生活保護の停止や廃止ができる権利を与えられています。

保護が開始されると、受給者には担当のケースワーカーが付きます。ケースワーカーが行う口頭指導や文書指導などに従わないと、保護を停止される可能性があります。

例えば、次のような指導が想定されるでしょう。

「健康状態が安定してきたので、就職活動をしましょう」
「病院へ行ってきてください」

生活保護は、あくまで自立した生活を目指すための制度なので、病気などの症状が良くなっても働く意欲がないと、社会復帰に積極的ではないとみなされてしまいます。

引きこもりは支援を受けて就職を目指そう

サポートと書かれたノート

このように、生活保護を受給するには厳しい条件があると分かりました。現在保有している大切なものや、思い出の詰まっている場所と別れなければならない可能性もあります。

残念ながら、今の環境は永遠には続きません。生活保護を検討する前に、まずは支援を受けて社会復帰を目指してみてはいかがでしょうか?

引きこもりやニートの就職を支援してくれる制度には、次のようなものがあります。

  • ハローワーク
  • 地域若者サポートステーション
  • ジョブカフェ
  • 就労移行支援

詳しくみていきましょう。

ハローワーク

ハローワークは、職業紹介をしている雇用サービス機関です。全国に500か所以上設置されているので、最も身近な相談機関だと言えます。

年齢制限はなく、就職を望む方であれば誰でも利用できます。就職活動の他にも、職業訓練などを行っている場所もあります。原則、利用できるのは平日の8:30~17:15なので、生活リズムを整えることから始めてみるのもいいでしょう。

まずは、お近くのハローワークを確認してみてください。下記のサイトや記事を参考にするのがおススメです。

地域若者サポートステーション

地域若者サポートステーション、通称「サポステ」は、働くことに不安や問題を抱えている15~49歳の方が利用できる支援機関です。こちらも全国に177か所設置されているので、比較的利用しやすい環境にあります。職業訓練やさまざまなプログラムが行われています。

あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、厚生労働省委託の支援機関なので安心です。

詳しくは、下記のサポステHPや記事も参考にしてみてください。

ジョブカフェ

ジョブカフェは通称で、正式名称は「若年者のためのワンストップサービスセンター」と言います。名前の通り、主に若者に向けて、さまざまなサービスをこの1か所で受けることができます。

現在、46か所の都道府県に設置されていて、ハローワークやサポステよりは数が少ないですが、ハローワークと併設されている場所もあります。

興味のある方はぜひ利用してみてください。

就労移行支援

就労移行支援とは、「就労を希望しているけど、働くことに対して不安がある」という方に対して、就職に向けたサポートをしてくれる福祉サービスです。就労移行支援の利用を通して、人との繋がりを作ることや生活リズムを整えることができます。他にも、多くの場所でPCスキルを学ぶことができます。

詳しくは下記の記事も参考にしてみてください。

まとめ

  • 生活保護の申請は国民の権利。健康で文化的な最低限度の生活を保障して、生活の自立を助ける制度。
  • ニートや引きこもりも生活保護を申請することができる。ただし厳しい条件があるため、審査に落ちる可能性もある。
  • 生活保護を受給できたとしても、その後の調査などで保護を停止される場合がある。
  • ニートや引きこもりが利用できる支援制度はたくさんある。生活保護の前に、まずはこうした機関へ相談してみよう。

今回の記事では、ニートや引きこもりの状態でも生活保護を受給できるのか、その条件や拒否されるケース、支援制度などを紹介しました。

現在引きこもりの人たちも、勇気を出して福祉サービスに頼ることで、再び社会との繋がりを得ることができます。支援制度といっても、結局辿り着くのは人との繋がりです。最初に頼った場所が合わなかった際は、どうしてもエネルギーは要りますが、別の場所を探して頼ってみてください。手を差し伸べてくれている方は絶対にいます。

今、少しずつでも行動していくことが数年先の自分や周りの人の助けになるはずです。

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