お金の管理ができない原因は発達障害?上手な金銭管理の方法を解説

あなたには、このようなお悩みがありませんか?

KAORUKO

「趣味にお金を使いすぎてしまって、生活用のお金が足りない…」
「ほしいものがあると我慢できず、浪費がやめられない…」

お金の管理がうまくできないのは、発達障害の特性が原因かもしれません。ついつい浪費してしまう原因を確認し、一緒に対策を考えてみましょう。

  • 発達障害の方がお金を上手く管理できない理由
  • 発達障害の方によくあるお金の困りごと
  • 発達障害の方がお金を上手く管理する方法
  • 発達障害の方が利用できるお金に関する支援制度

以上について紹介していきます。

お金の管理ができない原因は発達障害?

長財布から千円札を取り出す高齢女性の手元

発達障害は生まれつきの脳の働きの違いによるもので、症状や特性は人それぞれ違います。

主な種類としては以下の3つが挙げられます。

  1. 自閉スペクトラム症(ASD)
  2. 注意欠如・多動症(ADHD)
  3. 学習障害(LD)

今回は、お金の管理に直接関わる特性を持つ「自閉スペクトラム症」と「注意欠如・多動症」について、それぞれ詳しく解説していきます。

自閉スペクトラム症(ASD)

自閉スペクトラム症(ASD)の方には、次のような特性があります。

  • 対人関係の構築が苦手
  • 特定のものに強いこだわりを持つ
  • 興味や関心に偏りがある
  • このうち「特定のものに強いこだわりを持つ」という特性が、お金を使いすぎてしまう原因のひとつである可能性があります。

    例えば、「好きなコンテンツのグッズを片っ端から収集してしまう」「こだわりがある商品は、高価でも躊躇せず買ってしまう」といったケースが考えられるでしょう。

    注意欠如・多動症(ADHD)

    注意欠如・多動症(ADHD)は、「不注意」の特性が強い方と「多動性・衝動性」の特性が強い方、その両方を併せ持つ方に分けられます。

    不注意が強い方には、次のような特性があります。

  • 物事に集中して取り組むことが苦手
  • ケアレスミスが多い
  • スケジュール管理が苦手
  • 計画を立てて行動することが得意ではないため、お金を計画的に使えず浪費してしまうことがあります。無くし物が多く、そのたびに買い直すなど余分な出費をしている場合もあるでしょう。

    また、多動性・衝動性が強い方には以下のような特性があります。

  • 落ち着きがなく待つことが苦手
  • 衝動的な言動をしてしまう
  • こういった方は、やりたいことや欲しいものへの衝動を抑えることが苦手です。そのため必要以上にお金を使ってしまうことがあります。

    発達障害の方によくあるお金の困りごと

    暗い部屋で落ち込むアジア人男性

    続いては、発達障害の方が抱えるお金の困りごとについて紹介していきます。 あなたはどのような場面で困っているのか洗い出し、対策を考えていきましょう。

    衝動買い、無駄遣いをしてしまう

    ADHDで衝動性の特性が強い方は、衝動買いをよくしてしまう傾向があります。店で勧められたものを全て購入してしまったり、ネットショッピングのページを見るだけのつもりが、つい大量の買い物をしてしまったりするケースがあります。

    また、ASDには強いこだわりを持つ特性があるため、中には借金してでも欲しいものを手に入れようとする方がいます。こうした欲求が抑えられないと、借金癖につながってしまいます。

    計画的にお金を使うことが苦手

    ASDの方にもADHDの方にも当てはまるのが、計画を立てることが苦手という点です。家計簿などをつけることが苦手で、お金をうまく管理できず、無計画に浪費してしまう方は多いでしょう。

    「小さな出費が積み重なった結果、いつの間にか大量のお金を使っていた」ということも多々あるのではないでしょうか。特にクレジットカードの支払いはお金を使っている感覚が薄くなるため、計画的に使えないと危険です。

    詐欺に騙されやすい

    特にASDの方は、人の気持ちを読み取ることが苦手であるため、詐欺に騙されてしまう可能性が高くなります。また、「言われたことをそのまま受け取りやすい」「素直で人を信用しやすい」といった特性は、訪問販売などを真に受け、必要のないものまで買ってしまうことにもつながります。

    発達障害の方がお金を上手く管理する方法

    発達障害を持つ方でも、お金を管理できるようになる方法を紹介していきます。以下を参考にまずはできることから始め、周囲の助けも借りながら上手く管理していきましょう。

    支出を把握する

    まずは、支出を把握し、適切な金銭感覚を身につけることが大切です。

    あなたが一か月間にどれくらいお金を使っているのか、できる範囲で記録してみましょう。どのようなタイミングでどんなものを買っているのか、あなたの消費パターンを知り、その対策を立てると良いでしょう。

    例えば、次のような方法があります。

    1. ウィンドウショッピングのつもりが衝動的に買い物をしてしまう
      →行動範囲を限定し、「買い物はこのお店でしかしない」と決める
      →買う物を決めてから外出する
    2. クレジットカードを使いすぎてしまう
      →店頭のみで買い物をし、インターネットの買い物はやめる
      →現金のみを持ち歩く

    そして、収入に対して毎月の光熱費や趣味に使っているお金、一度の外食にかけるお金などは妥当な金額なのか、一度考えてみてください。

    身近な信頼できる人に、どのようにお金を使っているのか聞いてみるのも良いと思います。

    クレジットカードは使わない

    衝動買いや借金をしないために、クレジットカードを持たないという選択肢もあります。クレジットカード決済ではお金を使っている感覚が薄くなる傾向があるため、お金を使いすぎてしまう原因となることが多いでしょう。

    どうしてもクレジットカードを使いたい場合は、限度額を低く設定しておくのもひとつの方法です。

    事前にお金の使い道を決める

    衝動買い、無駄遣いを防ぐために、給料が入った時点ですべての金額の使い道を決めてしまうという方法もあります。

    私がおすすめするのは、封筒を使った管理方法です。

    給料日に口座からすべての金額を引き出し、封筒を準備したら、家賃・食費・日用品などの項目別に振り分けます。各封筒には、必要な金額だけを入れておきましょう。お金の使い方を決めるだけでも無駄遣いは減るかと思いますが、現金で管理するとお金の減りが目に見えて分かるので、より効果的でしょう。

    ほしいものリストの作成

    お金を計画的に使うことが苦手な方におすすめしたいのが「ほしいものリスト」の作成です。

    例えば、一か月単位で自由に使えるお金の上限を決めて、それを越えない範囲内で欲しいものをリスト化します。欲しいものが変わったり増えたりした場合は、優先順位の低いものと入れ替えるなど、上限額を越えない工夫をしましょう。

    信頼できる人に管理してもらう

    自分だけの力では管理しきれない場合もあるでしょう。そんな時は、家族やパートナーなど信頼できる周囲の人に管理を頼むのもひとつの方法です。

    ひとりで管理できるようになるまで、「支出の記録を手伝ってもらう」「自由に使えるお金は預かっておいてもらう」といった方法で協力してもらいましょう。

    発達障害の方が利用できるお金に関する支援制度

    サポート

    最後に、発達障害の方が利用できる支援制度について紹介していきます。ひとりでお金の管理をすることが難しい場合は、以下の支援機関の利用も検討してみてください。

    また、各サービスへの申請や制度利用には、医師の診断書や障害者手帳が必要となる場合もあります。利用を希望する場合は、精神科や心療内科にて診察を受けましょう。

    相談窓口

    発達障害者支援センター

    発達障害者支援センターとは、発達障害を持つ方や発達障害の可能性がある方、その家族向けに総合的な支援を行う機関です。発達障害に関するすべての相談に幅広く対応してくれるので、「どこに相談したらいいか分からない」と悩んでいる方は、まず発達障害者支援センターに行ってみてください。

    さまざまな関係機関と連携し、必要な支援やサービスが受けられるようサポートしてくれます。

    発達障害者支援センター所在地一覧

    詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

    障害者就業・生活支援センター

    障害者就業・生活支援センターでは、障がいのある方を対象として、就業面と生活面に関する相談対応や支援を行っています。センターには就業支援担当員と生活支援担当員が配置されており、障がいのある方が働きながら自立した生活が送れるようサポートしてくれます。

    仕事のことだけでなく、自己管理や健康についてのアドバイスもしてくれるので、お金の管理に関する悩みを相談してみると良いでしょう。

    利用できる支援制度

    障害年金

    障害年金とは、病気やケガによって日常生活や仕事に支障が出ている方が受け取れるお金です。

    障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」があり、病気やけがで初めて医師の診療を受けたときに国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。なお、障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。引用:障害年金|日本年金機構

    障害年金は、障害者手帳が無くても申請可能です。相談や手続きに関しては、全国の年金事務所や年金相談センターへお問い合わせください。

    障害者手帳

    障害者手帳とは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類を総称したものです。発達障害のある方は「精神障害者保健福祉手帳」、発達障害と知的障害がある方は「療育手帳」の申請対象になります。

    精神障害者保健福祉手帳を取得すると、次のサービスを受けることができます。

  • 公共料金の割引
  • 所得税や住民税の控除 など
  • さらに、地域によっては以下のような優遇措置もあります。

  • 美術館や博物館の利用料減免
  • バスや電車の運賃割引 など
  • 日常生活自立支援事業

    日常生活自立支援事業は、知的障害や精神障害などにより判断能力が不十分な方が、安心して生活を送れるようサポートしています。

    お金の管理が苦手な方にも、次のような支援をしてくれます。

  • 困りごとに対する助言
  • 福祉サービス利用開始の手続きをサポート
  • 通帳や印鑑管理のサポート
  • 必要なお金の出し入れ、支払いに同行
  • サービスは有料ですが、相談は無料で受け付けています。また、障害者手帳がなくても利用できます。

    成年後見制度

    成年後見制度とは、精神障害や知的障害によって判断能力が不十分な方を対象に、さまざまな手続きやお金の管理などをサポートする制度です。

    具体的には、次のようなサポートが期待できるでしょう。

  • 生活費のやりくりに関する相談
  • 買うべきか悩んでいるものについての相談
  • 医療や福祉サービス利用開始の手続き、契約の代行
  • 成年後見制度を利用するには、まず地域の窓口へ相談し、家庭裁判所へ申し立てをします。その後、家庭裁判所が成年後見人として、あなたの親族や福祉・法律の専門家などの中からあなたに合った人を選定します。

    申し立てや制度利用には一定の費用がかかり、診断書や障害者手帳のコピーなどが必要です。詳しくは、地域の相談支援専門員や地域包括支援センターへお問い合わせください。

    まとめ

    • 「お金を計画的に使えない」「強いこだわりがある趣味への支出がやめられない」といった悩みがある方は、発達障害の可能性がある
    • 発達障害の方がお金を上手く管理するには「支出を把握する」「クレジットカードは使わない」「事前にお金の使い道を決める」などの対策がおすすめ
    • 発達障害が原因でお金を上手く管理できない方は、各種支援制度を利用することで金銭管理のサポートが受けられる

    いかがでしたか?

    記事の内容を参考に、まずはあなたができそうだと思うことから始めてみましょう。一人で抱え込まず、周囲の信頼できる人や、支援機関に相談しながら、あなたに合った管理方法を見つけてみてください。

    無理のない範囲で、お金の管理が上手くできるようになると良いですね。

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