「地域活動支援センターってどんなところ?私も利用できるのかな?」
などの悩みや疑問はありませんか?
地域活動支援センターはそんなあなたにぴったりの場所です。
- 地域活動支援センターとは、どのような場所か
- 地域活動支援センターの利用方法
- 就労支援事業所やデイケアなどとの違い
を解説します。
具体的にどのような活動をしているのか、利用するまでの流れや他の事業所との違いについて学んでいきましょう。
地域活動支援センターとはどんな場所?
そもそも「地域活動支援センター」とはどのような場所なのでしょうか。
地域活動支援センターとは、障害者総合支援法に基づき、障がいのある方を対象として創作的活動、生産活動、社会交流の機会を提供する施設です。
施設ごとに活動内容は異なりますが、創作活動や生産活動として園芸、農作業、料理などに取り組んで創造性や自主性を育むほか、社会交流として地域清掃への参加などを行っています。また、地域の方向けに研修を実施し、障がいがある方への理解を深める活動を行っています。
日常生活で困っていることの相談や公的制度を利用するためのサポート、就職や住宅についての情報提供も行っています。
障がいのある方が能力や適性に応じて自立した生活を送れるようにサポートしながら、社会からの孤立を防ぐため、さまざまな活動を行っています。
次の項目では、対象となる方や、費用はどのくらいかかるか、利用方法や地域活動支援センターの種類について、順番にお伝えしていきます。
地域活動支援センターを利用できる人は?
地域活動支援センターは、地域活動支援センターがある市区町村に住む、障がいのある方が利用対象です。
センターや自治体によっては、地域外に在住している方も利用できる場合があります。
また、施設によっては障害者手帳を取得していなくても、「自立支援医療受給者証」を持っているなど、他の条件を満たすと利用できる場合もあります。
自分が対象になるか分からない場合は、利用したい施設に事前に問い合わせてみると良いでしょう。
地域活動支援センターの料金はいくらかかる?
センターそのものの利用にかかる費用は無料のところが多いです。
しかし、創作的活動で使う素材や食事、入浴などで利用者が100~200円程度負担する場合もあります。
その他、日常生活やイベント事があったときに汚れてしまった衣服を洗ったり、取り替えたりする際の洗濯代や、イベントへの参加費などがかかる施設もあり、最初から項目ごとに料金が設定されている施設もあります。
施設によってかかる費用は異なるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
地域活動支援センターの利用方法は?
施設利用開始までの流れは下記の通りです。
- 利用の相談・見学
- 市区町村との手続き
- 審査
- 利用施設での手続き
- サービス利用開始
センターによっては、予約をしなくても好きなタイミングで活動に参加できる場合もありますが、基本的には窓口で利用したい旨を相談し、施設内の見学を経て、登録手続きをしてから利用開始する方法が一般的です。
また、登録手続きの際に地域生活支援事業の受給者証が必要なケースもあります。各自治体や地域活動支援センターによって手続きの流れや必要な書類が異なるため、利用を考えている施設や市町村の福祉支援窓口や障害福祉課などへ、気軽に相談してみましょう。
Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型の違い
地域活動支援センターにはⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型の3種類があります。
基礎的事業として創作的活動、生産活動、社会交流の機会を提供することは同じですが、機能をさらに充実させるために、それぞれの事業内容は異なっています。
その他、「職員配置」や「実利用者数」にも違いがあるため、3種類の違いについて順番に見ていきましょう。
地域活動支援センターⅠ型
- 事業内容
- 医療
- 福祉及び地域社会との繋がりを強化するための調整
- 地域住民のボランティア育成
- 障がいに対する理解を深めてもらうための活動
- 相談支援に関する事業の実施
- 利用者数
- 1日あたり20名以上
- センター数
- 1,005か所
- 職員数
- 3名以上(2名以上が常勤)
- 精神保健福祉士や社会福祉士などの専門職員
地域活動支援センターⅡ型
- 事業内容
- 雇用、就労が困難な障がいのある方に対し、機能訓練、社会適応訓練、入浴等の生活支援を実施
- 利用者数
- 1日あたり15名以上
- センター数
- 504ヵ所
- 職員数
- 3名以上(常勤1名以上)
地域活動支援センターⅢ型
- 事業内容
- 地域の障害者団体等が実施する通所による援護事業の実績が5年以上
(過去に「小規模作業所」と呼ばれた作業所。Ⅲ型として引き続き運営しやすいように設定された)
- 地域の障害者団体等が実施する通所による援護事業の実績が5年以上
- 利用者数
- 1日あたり10名以上
- センター数
- 1,016か所
- 職員数
- 2名以上(専任者1名)
各センター数は令和2年時点の情報のため、変更されている場合があります。
最寄りの地域活動支援センターについては、市町村の福祉支援窓口や障害福祉課などで聞いてみるのが確実です。
小規模作業所とは
先ほど「地域活動支援センターⅢ型」の説明でも述べた小規模作業所とは、地域活動支援センターの前身である施設です。
活動内容は地域活動支援センターと共通しており、障がいのある方を対象とした、働く場と地域交流の場を確保することを目指す民間事業所でした。
名称変更前は地域の住民や事業所の協力があり、障害のある方の家族や障害者団体、ボランティアにより運営されていました。
しかし、2006年10月から障害者自立支援法(現:障害者総合支援法)によってサービス体系が変更され、小規模作業所は「地域活動支援センター」の他、「就労移行支援事業所」「就労継続支援A型・B型事業所」へと移行・細分化されました。
地域活動支援センターと他の事業所の違い
この項目では、地域活動支援センターとは異なる支援を行う「就労継続支援事業所」や「就労移行支援事業所」、「デイケア」について、簡単に説明をしていきます。
就労継続支援事業所
就労継続支援事業所と地域活動支援センターⅢ型は似ています。
障がいのある方が通いながら生産活動を行う点は共通しており、大きな違いとして収入の有無と通所率があります。
就労継続支援事業所は働いて収入を得ることを軸に、就労・訓練を通して一般就労を目指します。A型事業所での通所は週5日の場所が多く、給与は雇用契約に基づいて最低賃金以上と定められています。B型事業所での通所は週1日、1時間以上から働くことができますが、雇用契約に基づくものではないため、給与ではなく作業に対する工賃が支払われます。
対して地域活動支援センターでは、無理のない範囲で自由に通所できることが特徴です。
利益より社会的なつながりを得ることや、活動を通して知識や能力を向上させることに重きを置いています。
就労継続支援事業所については、下記の記事で詳しく解説しています。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所では、一般企業などへの就労の見込みがある方を対象に、就職に必要な知識やスキルを身につけ、就労のためのサポートを行います。
地域活動支援センターでは創作的活動や社会交流が主となることに対し、就労移行支援事業所では身だしなみやビジネスマナーの勉強、職場見学、実習など、求職活動の支援を行っています。
利用者それぞれに支援計画書が作成され、障がいや特性に合った支援を受けることができますし、就職後に職場定着のための相談に応じてくれます。
支援を受けられるのは原則2年間で、一定の条件を満たせば65歳以上の方も利用可能です。
就労移行支援事業所については、下記の記事で詳しく解説しています。
デイケア
デイケアとは、通所リハビリテーションとも呼ばれる、医療的ケアや専門職によるリハビリなどを行う施設で、医療機関などに併設されています。身体障がいだけでなく、発達障がいや精神障がいの方などに向けた精神科デイケアを併設している病院もあります。
利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送れるよう、食事や入浴などの生活上の支援、生活機能向上のための機能訓練などを日帰りで提供します。
治療の一環となるため、利用するには主治医の許可が必要となります。職員は原則、介護士や看護師、理学療法士などのリハビリテーション専門職など、何らかの有資格者です。
利用費用は一般的に高い傾向にあります。自立支援医療の適用などで自己負担金額を1割または負担上限額まで抑えることはできますが、地域活動支援センターの利用にかかる費用と比べると高くなります。
デイケアの利用時間は決まっているため融通が利きづらいですが、時間が決まっていることで利用する方の自立を促し、規則的な生活を送るきっかけとなります。また、規則的な生活を送ることで症状・特性の安定を促すという目的も果たしています。
下記の記事では、精神科で行われるデイケアについて解説しています。
まとめ|地域活動支援センターとは?
- 地域活動支援センターは障がい者を対象とした、創作的活動や社会交流の機会などを提供する施設。
- 地域の方に向けて障がいのある方に対する理解を深める活動を行うこともある。
- 障がいのある方が利用対象で、障害者手帳や自立支援医療受給者証を持っているなど、条件を満たしていれば利用できる。
- 施設そのものの利用にかかる費用は無料のところが多いが、活動やイベントへの参加費など、施設によってかかる場合や費用が異なるため、事前に確認すること。
- 地域活動支援センターにはⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型の3形態があり、事業内容や1日当たりの利用者数、施設の数などが異なる。
地域活動支援センターの事業内容は形態によってさまざまなことを行っています。
障がい者を対象とした創作的活動や生産活動、社会交流の機会を提供しており、対象となる方や利用方法、利用料金が異なります。
上記のポイントを押さえて実際に見学へ行き、気になった点や疑問があれば質問するなどして、自分に合った雰囲気の場所を選びましょう。
生きづらさや孤独感が少しでも解消され、あなたにとって新たな居場所の一つになると良いですね。