就労移行支援事業所の利用には受給者証が必要!手続きの流れを解説します

KAORUKO

「就労移行支援を利用してみたいけれど、利用までの手続きがわからない…」
「受給者証の申請が複雑で自分でできるか心配…」

と悩まれている方も多いのではないでしょうか。

福祉サービスを初めて利用するときは、手続きの方法など不安を感じますよね。

  • 障害福祉サービス受給者証とは
  • 受給者証の申請手続き
  • 就労移行支援の利用までの流れ

について解説しています。

就労移行支援サービスを利用するまでの流れを知っておくと、スムーズに支援を利用開始できます。

ぜひ参考にしてみてください。

就労移行支援を利用するには障害福祉サービス受給者証が必要

虹と青空とハートマーク

就労移行支援は、障がいや難病のある方が利用できる福祉サービスの一つです。

利用者は、就職に向けたトレーニングや就職活動のサポートを受け、原則2年の利用期間内に一般企業への就職を目指します。

就労移行支援の利用には、自治体から交付される「障害福祉サービス受給者証」(以下、受給者証)が必要になります。

障害者手帳を取得している方でも、受給者証がなければ福祉サービスを利用できません。

障害者手帳を持っていない方は、医師の診断書や自立支援医療受給者証があれば申請することができます。

障害福祉サービス受給者証とは

受給者証は、福祉サービスを利用するための証明書です。

受給者証には、受給者証番号、住所・氏名などの利用者情報、利用するサービスの種類、支給決定期間など福祉サービスの利用に関する事項が記載されています。

受給者証が発行されるまでの期間はどれくらい?

受給者証が発行されるまでの期間は、自治体によって異なります。

就労移行支援を利用する場合、2週間~3週間程度で発行されることが多いようです。

発行には1か月以上かかることもあるので、利用する事業所が決まったら早めに申請しておきましょう。

申請から発行までの期間が気になる方は、自治体の福祉担当窓口に問い合わせてご確認ください。

受給者証を申請するタイミングは?

スマホの説明をする女性

受給者証を申請するタイミングは、大きく分けて2つあります。

  1. 利用する就労移行支援事業所が決まったとき
  2. 就労移行支援を利用しようと思ったとき

1. 利用する就労移行支援事業所が決まったとき

利用する事業所を決めてから申請を行います。
通所する事業所が決まっているので、2年間就労移行支援を利用できます。

このタイミングで申請すると、利用する事業所が申請のサポートをしてもらえるというメリットがあります。

デメリットとしては、受給者証の発行に時間がかかる自治体では、利用を開始できる日が遅くなってしまうことがあげられます。正式な利用開始までの間は、体験利用として通所できる事業所もあるので相談してみましょう。

2. 就労移行支援を利用しようと思ったとき

利用する事業所を決めてから申請を行うのが一般的ですが、就労移行支援を利用しようと思ったタイミングで申請することも可能です。

あらかじめ申請しておくことで、事業所を決めてから通所開始までの期間を短縮できます。

この場合、受給者証が発行されるまでの間に、見学・体験利用を行い、どこの事業所を利用するか決めることになります。

就労移行支援には、原則2年間という利用期間の制限があります。利用する事業所が決まらないまま受給者証が発行されると、通所できる日数が少なくなってしまうので注意しましょう。

障害福祉サービス受給者証を取得するまでの流れ

ステップ1〜3

受給者証の申請手続きは、大まかに次のような流れになります。
※申請手続きは自治体によって異なることがあります。

  1. 自治体の福祉担当窓口に申請
  2. 自治体の福祉担当職員による認定調査
  3. サービス等利用計画の作成・提出
  4. 暫定支給の決定
  5. 個別支援計画の作成
  6. 支給決定

ここからは、手続きの詳細をご説明します。

ステップ1|自治体の福祉担当窓口に申請

お住まいの自治体の福祉担当窓口で「就労移行支援を利用するため、受給者証を取得したいこと」を伝え、申請します。

申請した際に、自治体からサービス等利用計画の作成依頼があるので、作成して提出します。詳しくは、ステップ3の「サービス等利用計画案の作成・提出」で説明します。

ステップ2|自治体の福祉担当職員による認定調査

サービス利用の妥当性を確認するために認定調査(聞き取り調査)が行われます。

何を聞かれるか不安になるかもしれませんが、生活の状況や心身の状況、生活・就労に関する目標についての質問で、難しいものではありません。

ご自身の状況や希望をうまく伝えられるか心配な方は、ご家族や事業所の支援員に同行してもらいましょう。

ステップ3|サービス等利用計画の作成・提出

受給者証の申請をすると、自治体からサービス等利用計画の提出が求められます。

サービス等利用計画には「指定特定相談支援事業所が作成するもの」と「ご自身で作成するもの(セルフプラン)」の2種類があります。

指定特定相談支援事業所が作成するサービス等利用計画の提出が前提となる自治体が多いので、セルフプランでの提出を希望する場合、対応してもらえるか確認しましょう。

指定特定相談支援事業所とは?

自治体が指定する相談支援事業所のこと。

福祉サービスの利用に必要なサービス等利用計画の作成、定期的な面談、サービス等利用計画の見直し・修正などを行い、利用者が社会資源(福祉制度、施設等)を適切に活用できるようサポートを行います。

サービス等利用計画とは?

指定特定相談支援事業者が作成する支援計画。

利用者の生活全体の課題や目標をふまえ、支援に関わる人たちがぞれぞれの役割を果たせるようまとめた総合的な支援方針や計画のこと。

セルフプランとは?

指定特定相談支援事業所が作成する「サービス等利用計画」の代わりに本人(家族、支援者を含む)が作成する支援計画のこと。

指定特定相談支援事業所に依頼する場合

指定特定相談支援事業所と契約して、サービス等利用計画を作成してもらいます。

サービス等利用計画の作成や相談などのサポートは無料で受けることができます。

担当の相談支援専門員が、利用者の目標や希望、日常生活の様子、心身の状態などについてヒアリングしながら作成します。

作成したサービス等利用計画は、本人の同意と署名を得てから自治体に提出されます。

指定特定相談支援事業所に依頼すると「自分に合わせた最適な支援計画を立ててもらえる」「自治体や事業所との連絡調整をしてもらえる」というメリットがあります。

また、定期的に面談が実施されるので、希望や目標に変更はないか、行われている支援は適切かなどを確認してもらえます。

指定特定相談支援事業所は、福祉担当窓口で紹介してもらうこともできますし、自治体ホームページで調べることもできます。

ご自身で作成する場合

希望する生活や目標、解決したい課題、利用するサービスの種類、サービスを利用した場合のスケジュールなどを記入して提出します。

自治体によっては、様式の指定があるので、用紙をもらうか、ホームページからダウンロードして作成しましょう。

セルフプランには、自身の思いを直接プランに反映できるというメリットがあります。

しかし、指定特定相談支援事業所に依頼した場合に受けられるサポートがないというデメリットがあります。

セルフプランは、更新やサービス内容に変更があった場合、その都度作成して提出する必要があります。

自治体の相談員や就労移行支援事業所の職員が、セルフプランの作成をサポートしてくれるので、わからないことがあれば相談してみましょう。

ステップ4|暫定支給の決定

提出されたサービス等利用計画をもとに、サービスの支給決定が行われます。

支給決定後、受給者証が発行されたら、事業所と利用契約を結んで利用を開始します。

就労移行支援を初めて利用する場合、支給決定期間のうち最初の2か月間は、暫定支給期間となります。

暫定支給期間とは「本人の利用意思」と「就労移行支援を利用することが適切かどうか」を確認するために設定されるお試し期間のことです。

このお試し期間で、支援内容が合わない場合や、追加で必要な支援がある場合、サービス等利用計画の見直しが行われます。

ステップ5|個別支援計画の作成

就労移行支援の利用開始後、事業所の職員と相談しながら個別支援計画を作成します。

個別支援計画は、サービス等利用計画をふまえて、利用者の課題解決や目標達成のために、サービス提供事業者が取り組む支援をまとめたものです。

個別支援計画に沿って就職に向けた支援が行われます。

ステップ6|支給決定

暫定支給期間中に、本人に継続利用の意思確認を行い、就労移行支援の利用が適切であると判断されると、引き続きサービスを利用できます。

障害福祉サービス受給者証申請に必要なもの

チェックリスト ピンク系・2
受給者証申請には、下記のものが必要になります。

  • 申請書(窓口で記入することができます)
  • マイナンバー
  • 本人確認書類(マイナンバーカード、免許証等)
  • 障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳)
    または、医師の診断書、自立支援医療受給者証

障害者手帳を持っていない方は、医師の診断書や自立支援医療受給者証があれば申請することができます。

自治体によっては、収入がわかる書類の提示が必要なこともあります。

事前にどのような書類が必要か確認しておきましょう。

就労移行支援を利用するまでの流れ

就労移行支援を利用するまでの流れをまとめると下記のようになります。

  1. 就労移行支援事業所を探す
  2. 就労移行支援事業所の見学・体験利用
  3. 利用する事業所を決める
  4. 受給者証を申請する
  5. 受給者証の発行、利用開始

ステップ1|就労移行支援事業所を探す

自治体の福祉担当窓口に相談すると、通いやすい範囲にある事業所を教えてもらうことができます。また、WAMNET(ワムネット)やLITALICO仕事ナビなど、インターネットを利用して探すこともできます。

障害福祉サービス等情報検索|WAMNET(ワムネット)

全国の就労移行支援事業所|LITALICO仕事ナビ

障がいや職種に特化したカリキュラムが用意されているなど、事業所によってさまざまな特徴があるので、希望する支援が受けられるところを探してみましょう。

ステップ2|就労移行支援事業所の見学・体験利用

興味のある事業所が見つかったら、見学・体験利用をしましょう。

実際に事業所の雰囲気やカリキュラムの内容、職員の対応などを確認することで、利用後のミスマッチを防ぐことができます。

複数の事業所を見学すると違いがよくわかるので、自分に合った事業所を決めやすくなります。

ステップ3|利用する事業所を決める

見学・体験利用での印象や自分が受けたい支援・カリキュラムがあるかなどを基準に、利用したい事業所を決めます。

ステップ4|受給者証を申請する

就労移行支援を利用するには、受給者証が必要です。

利用する事業所が決まったら、申請手続きをしましょう。

就労移行支援事業所では、申請のサポートをしてもらえます。

ステップ5|受給者証の発行、利用開始

受給者証が発行されたら、事業所と利用契約を結んで通所がスタートします。

まとめ|障害福祉サービス受給者証

  • 就労移行支援は、障がいや難病のある方が利用できる福祉サービスに一つで、就職に向けたトレーニングや就職活動のサポートを受けられる福祉サービス。
  • 就労移行支援の利用には、自治体から交付される「障害福祉サービス受給者証」が必要。
  • 就労移行支援事業所を決めてから受給者証を申請する。
  • 受給者証を申請する際は、まず自治体の福祉担当窓口に行く。
  • 受給者証が発行されるまでの期間は自治体によって異なるが、2~3週間程度で発行されることが多い。発行には1か月以上かかることもあるので、利用する事業所が決まったら早めに申請を。

ここまで、受給者証の申請手続き、就労移行支援の利用までの流れを解説してきました。

受給者証の申請は、自治体によって手続きや必要書類が異なることがありますので、申請前に確認するようにしてください。

また、就労移行支援の利用が自分に合っているか判断するためにも、見学や体験利用をしてから受給者証を申請することをおすすめします。

初めて就労移行支援を利用する方にとって、ご自身で申請方法を確認しながら手続きを行うのは大変かと思います。

わからないことや不安なことがあれば自治体や就労移行支援事業所に相談しましょう。

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