就労継続支援B型の事業所は年々増加しており、現在では全国に15,000件を超えるB型事業所があります。このような背景から、昨今では意外な作業を扱うB型事業所も登場するようになりました。
この記事にたどり着いたあなたは、
「就労継続支援B型の意外な作業内容にはどのようなものがあるの?」
このような疑問をお持ちではありませんか?
今回の記事では、
- 就労継続支援B型のよくある作業内容
- 就労継続支援B型の電子機器やパソコンを使った意外な作業内容
- 就労継続支援B型の利用日数や利用時間
について解説していきます。
この記事を読むことで、「興味のある作業・やれそうな作業」について整理しながら、あなたに合った就労継続支援B型事業所と出会うための一助となれば幸いです。
就労継続支援B型のよくある作業内容4選
就労継続支援B型は、障がいや病気により一般企業での就職が困難な方を対象として、
- 福祉サービスを受けながら自分のペースで働ける場所を提供する
- 就労を通して利用者のスキルアップや相談・生活支援を行う
という、「多様な人が社会参加をするための受け皿」としての目的で運営されています。
そのため、就労継続支援B型で提供する作業は「ハンデがある方でもこなせる内容」である必要がり、軽作業が中心となりやすい特徴があるのです。作業内容については、地域ごとのニーズの違いや事業所ごとの特色もありますが、全国的には食品関連の作業を扱う事業所が最も多く、清掃関連・衣類関連がその後に続きます。
以下では、就労継続支援B型でよく行われている作業について深掘りしていきましょう。
食品関連の作業の特徴
就労継続支援B型では、以下のような食品関連の作業が行われています。
食品の製造は、パン・クッキー・ケーキなどの焼き菓子の製造を行っている事業所が多いほか、弁当に詰めるおかずなどの調理を行っている場合もあります。食品の製造や調理は作業工程をマニュアル化しやすい特徴あり、決まった作業を行うことが多いため、うつ病や自閉症などの精神疾患をお持ちの方でも作業しやすいのです。これらの作業は、黙々と作業するのが得意な方やコミュニケーションが苦手な方にもオススメです。
また、カフェや飲食店が併設されている就労継続支援B型も多く、このような事業所では接客も作業内容に含まれるため高い工賃を貰いやすい特徴があります。自分が作った料理を食べて欲しい、作業を通して人と繋がりたいという方は、カフェや飲食店を運営しているB型事業所を探すのも良いでしょう。
清掃関連の作業の特徴
就労継続支援B型では、以下のような清掃関連の作業が行われています。
清掃作業では、B型事業所と取引先の企業との間で請負契約を結んで、利用者が先方に出向いて清掃を行うことが多くあります。施設外就労が中心となりやすいため、清掃作業は工賃が高くなりやすい傾向があります。汚れを落として「清潔な空間づくり」に貢献できるため人から感謝される作業であり、達成感を感じやすいでしょう。
また、清掃器具の扱い方やスキルを身に着けることで、B型事業所から一般就労へ移行するケースもあるため、ステップアップを目指せる作業という点も特徴的です。清掃は体を動かす作業であるため、運動不足の解消にも繋がると言われています。
一方で、「汚れる作業が苦手」という方には清掃作業は大きな負担となる場合もあるため、事業所に問い合わせて業務内容について確認するとよいでしょう。
衣類関連の作業の特徴
就労継続支援B型では、以下のような衣類関連の作業が行われています。
厚生労働省の発表によると、就労継続支援B型の中で最も工賃が高い作業は「クリーニング作業」となっており、貰える工賃の平均月額は「25,761円」となっています。業務用の洗濯機・乾燥機を使ったクリーニング作業の他にも、衣類のシワ取り・染み抜き・たたむ作業などの作業を扱う事業所が多くあります。
スキルアップに応じて国家資格である「クリーニング師」の取得を支援している事業所もあり、クリーニングは将来性のある作業と言えるでしょう。
また、縫製作業では服のお直しやリメイクを行っている事業所もあります。縫製作業から得られた縫い物の技術を生かして小物雑貨の作成販売を行ったり、Tシャツのデザインを考えたりという作業に結びつけている事業所もあり、服が好きな方には特にオススメの作業です。
軽作業の特徴
就労継続支援B型の作業の中でも最も多岐にわたるのが軽作業であり、軽作業の中には先述している食品関連・清掃関連・衣類関連の作業が含まれていることもあります。
B型事業所で行われている代表的な軽作業には、以下のようなものがあります。
軽作業全般はスキルや知識がなくても行える作業が多く、障がいによる特性を問わず体力や力に自信がない方でも作業に取り組みやすい特徴があります。事業所内での作業が中心となるため暑さ・寒さの影響も少なく、一定の環境で働きたいと考えている方に軽作業はオススメです。
一方で、軽作業は全体的に工賃が安くなりやすい傾向があり、同じ作業の繰り返しばかりで飽きてしまう可能性がある点に注意が必要です。
就労継続支援B型の意外な作業3選
- 発達障害をはじめとするあらゆる「障がい」の認識が広まった
- ストレス社会と言われる現代社会の環境要因
- 高齢者の増加の影響で障がいが認められる人も増えている
このような背景から日本における障がい者人口は年々増加しており、現在では日本全体の約8%が何らかの障がいを抱えていることがわかっています。そのため、就労継続支援B型事業所の設置拡大は障がい者の社会参加の一環として国が推進しているものでもあります。
そこで、以下では3つの「B型事業所の意外な作業」を取り上げていきます。B型事業所の利用を検討する場合、「興味があること・やりたいこと」が叶う事業所がないかという視点を持って探してみることも大切です。
ゲーム(eスポーツ)を用いた就労継続支援B型
「eスポーツ」とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略称であり、対戦ゲーム全般を指す言葉です。世界中でeスポーツを用いた大規模な大会が開催されるようになり、eスポーツのプロプレイヤーの台頭やプレイ人口の増加により市場規模が急速に拡大している分野でもあります。
このような背景から、eスポーツを用いた就労継続支援B型が全国に作られるようになりました。
このような疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思いますが、eスポーツを扱うB型事業所では作業を通して以下のようなスキルや知識を身に着けることに力を入れています。
また、就労継続支援B型が扱うeスポーツのタイトルには以下のようなものがあります。
このようなB型事業所の存在は「ゲームが好き」「YouTubeに関わってみたい」などの動機があれば、あなた自身がプレイヤーやクリエイターの側に回るまたとないきっかけになるでしょう。
一方で、eスポーツ関連のB型事業所は全体的に工賃が低い傾向があります。多くのB型事業所は、eスポーツのプロプレイヤーを育成するのではなく、ゲームの配信者や動画クリエイターを育成するという方針を取っている点にも注意が必要です。
クリエイターを育成する就労継続支援B型
昨今では、先述したeスポーツと並び「アニメ」「漫画」「イラスト」「VTuber」などのコンテンツはメジャーなものになりました。そのため、これらのコンテンツ制作に関わりたいというニーズに合わせて、全国的にクリエイターを育成するB型事業所が登場するようになりました。
クリエイターを育成するB型事業所では、以下のようなコンテンツ作成を取り扱っています。
また、以下のような理由によって、「やりたいこと」はあるけれど最初の一歩を踏み出せないという方も多いのではないでしょうか?
「初心者は何から勉強すればいいのかわからない」
そこで、「好きなこと」を共有できる仲間と共にスタッフからの指導を受けながらスキルアップを目指せる環境に身を置くのは、あなたの将来にとって有益な時間となるはずです。
昨今は、独学でクリエイターを目指す人が多くいますが、ほとんどの人は途中で挫折してしまう厳しい現実もあります。クリエイターとしてのスキルを身に着けるだけではなく、フリーランスとして独立するまでのサポートを行っているB型事業所もあるため、興味がある方は以下のリンクを参考ください。
パソコン作業を扱う就労継続支援B型
従来の就労継続支援B型では先述しているような単純作業が中心であり、仕事に「魅力」や「やりがい」を感じられない利用者が多い現状にありました。そこで、時代のニーズやスキルアップに応じてより高度な仕事に挑戦できるパソコン作業を扱うB型事業所が増加しています。
B型事業所が扱うパソコン作業は利用者のスキルに応じて以下のようなものがあります。
パソコン作業を扱う事業所では高い工賃を貰いやすく、スキルアップに応じて就労継続支援A型や一般就労へ移行できる可能性が高い特徴があります。パソコン作業はデスクワークで在宅勤務などにも対応しやすいため、障がい者にとって働きやすいのもオススメしやすいポイントです。
「IT業界に興味がある」「事務職を希望したい」と考えている方は、その一歩としてパソコン作業を扱うB型事業所の利用を検討してみてはいかがでしょうか?
就労継続支援B型の通所日数や作業時間はどれくらい?
就労継続支援B型では雇用契約を結ばないため、決められた勤務日数や勤務時間はありません。そのため、慣れるまでは週1日1時間程度から利用を開始するという方も珍しくありません。
また、就労継続支援B型では急用や体調不良などの事情に合わせて、欠勤や早退に臨機応変に対応してもらうことが可能です。そのため、あなた自身のペースで無理なく利用できる点が就労継続支援B型の最大のメリットとなっています。
ただし、事業所によっては「最低でも週2日以上は通所すること」などの独自ルールを設けている場合もあります。まずは事業所の職員や相談支援員の方と相談して、あなたが無理なく通所できるペースを維持するように努めましょう。
一般的には通所日数を週5日、1日あたりの作業時間を4時間として、週20時間前後が就労継続支援B型の利用時間の目安となっています。長時間の利用を希望する場合は事業所との相談が必要になる場合が多く、あなた自身の体調面などと合わせて検討することになります。
まとめ
- 就労継続支援B型では「食品関連」「清掃関連」「衣類関連」「軽作業」などの作業を扱う事業所が最も多い
- ゲーム(eスポーツ)に関わる作業を扱うB型事業所が登場しており、ゲーム配信者やゲームイベントの企画運営などに興味がある方にオススメ
- クリエイターを育成するB型事業所も登場しており、「動画編集」「イラストレーター」「VTuber」などに関わりたい方にオススメ
- パソコン作業を扱うB型事業所も増加しており、「オフィスソフトの習得」「プログラミングの習得」などのスキルアップに応じて収入アップや一般就労への移行などに繋がりやすい
- 就労継続支援B型では基本的に決められた利用日数や利用時間がないため、まずはあなた自身が無理なく通所できるペースを維持しながらステップアップしていくことが大切
今回の記事では、就労継続支援B型が扱う作業について7つ紹介しました。視野を広げてB型事業所を探すと、あなた自身の「やりたかったこと」ができる事業所に出会える可能性があることを知って頂けたら幸いです。
あなた自身が、「通所することが楽しい・作業にやりがいを感じられる」というB型事業所に出会えることを祈りつつ、この記事の最後とさせていただきます。
就労継続支援については、以下の記事でも詳しく解説しております。