注意欠如・多動症とも言われるADHDの方は、珍しくありません。
以前は「ちょっと変わり者」という認識でしたが、最近では発達障害の一つとされています。あるゆることにおいて不注意が多く、落ち着きがない、待つのが苦手などの特徴があります。
こうした特性の影響から、「きちんと時間どおりに起きているのに、いつも遅刻してしまう」という悩みを抱えているADHDの方も多いでしょう。
「遅刻癖を治せないせいで、会社で怒られてばかりで辛い…」
この記事を読んでいるあなたも、こうしたお悩みをお持ちではありませんか?
- ADHDの方は遅刻が多いのか
- ADHDの方が朝起きているのに遅刻をしてしまう理由
- ADHDの方が遅刻をせずに出社するためにできる対策
以上について解説していきます。
ADHDの方が朝定時に起きているのに遅刻をしてしまう理由を考え、遅刻をしないで出社するための対策を探ってみましょう。
ADHDの方は遅刻が多い?
ADHDの方に遅刻が多いのは事実です。早起きが苦手という以外に、
- 朝は起きているのに、他のことに気を取られて遅くなる
- 身支度や持ち物を揃えるのに時間がかかる
といった方が案外いるからです。
小学生ぐらいだと、保護者の方が支度を手伝うことや、「時間だよ」と声をかけて学校に行かせることが多いです。ですから、何とか遅刻の常習犯にならないで済んでいるのですね。
しかし、中高生や社会人になると保護者の方もあまり忠告しなくなり、本人も保護者の方からの小言ぐらいではマイペースを修正しないものなので、遅刻が目立って来るのも当然ですね。
ADHDの方が朝起きているのに遅刻をしてしまう理由は?
ADHDでない方も、寝坊して遅刻をする経験はしばしばあるでしょう。前日に遅くまでテレビを見ていたり、ゲームをしていたりして夜更かしをすれば、朝起きられないのは当然です。
一方、
というケースは、ADHDの方に特に多いです。
ADHDの方は注意力が散漫な方や、好奇心が旺盛な方が多いです。そのため、朝きちんと起きても、テレビのニュースで何か珍しい話題があると熱心に見てしまったり、新聞の記事が気になって隅々まで読み出したりすることもあるのですね。
そんなときには時間など目に入らなくなり、気付けばバスや列車の時間に間に合わないということになるわけです。
あるいは、今日はどのスーツを着ていこうか、靴はどれにしようかなど些細なことが気になり、時間に間に合わなくなってしまうということもあります。
また、整理整頓が苦手な方も多いため、出かける直前になって鍵がない、定期入れがない、今日提出する書類が見つからないなどの問題が発生し、パニックになることもあるでしょう。
ADHDをはじめとする発達障害の特徴については、下記の記事でも詳しく解説しております。
ADHDの方が遅刻をせずに出社するための対策
ADHDの方には、能力の高い方も多いです。職場で遅刻が多いからという理由で低評価されるのはとても残念なことですね。
そこで、ADHDの方ができる遅刻対策としては次のようなことに注目してみましょう。
自覚して目標を立てる
遅刻は何としても避けるべきだと自覚することは重要です。
遅刻が多いと職場での評判は悪くなり、信用されずに重要な仕事を任されなくなるかもしれません。あまり頻繁に遅刻すれば、ボーナスの査定に響くこともあります。
そうしたことを本人が十分に自覚するならば、遅刻を減らそうと思うでしょう。
ですから、本人が自覚することは非常に大事なのです。本人が気付いていないならば、周りの方や上司が教えてあげるといいですね。
ですが、ある時点で「絶対に遅刻をしない」と決めても、いきなり完全に実行するのは難しいでしょう。毎週遅刻をしているなら、一週間は遅刻なしで頑張ろうとか、できれば一か月は遅刻しないという実行可能な目標を立てることがお勧めです。
ADHDの方は「これだけはやる」と決めると頑張れる方が多いです。したがって、「遅刻をしない」というこだわりを持つことは有効です。
やることは時間を決めてその通りに実行する
朝、時間があるのに支度が遅くなるのは時間配分ができないからです。
例えば、
- 7時に起きる
- 7時15分から朝食
- 7時半から歯磨きや着替え
- 7時50分に家を出る
などといった感じで時間を決めてみましょう。あまり細かく決めると予定外のことに対応できませんから、アバウトがいいです。
ただし、あまり次の予定にずれ込まないように気を付ける必要があります。特にADHDの方はのめり込む傾向があるので、気を付けなくてはなりません。
例えば、
などといったことがあります。そうならないためには、机やリビングの目立つところに予定を書いた紙を貼っておくと良いでしょう。
よくトイレで本を読んだりスマホを見ていたりする方がいますが、これも危険ですね。
対策としては、トイレや洗面所、玄関にも時計を置いて、時間を確かめる習慣をつけることが効果的です。
また、スマホにリマインダーをかけて、この時間には何としても出かけるという合図をすることもいいですね。こういった、予定や時間を記録することができるアプリなどを用意すると、時間通りの行動をとりやすくなります。
下記の記事でも解説しておりますので、あわせて読むことをオススメします。
前日にできることをしておく
ADHDの方は、整理整頓が苦手な方も多いです。「物を置きっぱなしにした結果、必要な時に見つからない」ということもしばしば起こります。
朝の忙しい時に「あれがない、これが見つからない」ということになると、遅刻に直結してしまいます。ですから対策としては、前日までにその日の持ち物や着るものを揃えておくのがいいですね。
ADHDの方の中には、忘れ物をしないためにやたらと大きなカバンを持ち歩き、必要になりそうなものを全部入れている方もいます。
その人なりに対策を考えてのことでしょうが、あまりにもたくさん不要なものを持ち歩くのは非合理的とも言えますね。
できたら、自分にご褒美を与える
少し子どもじみているように思われるかもしれませんが、目標を達成したら自分にご褒美を与えるのも効果的です。
例えば、朝早々に支度が出来たら、ドリップのコーヒーを飲んでリラックスするのはいいですね。
一週間遅刻をしないで出社できたら、週末にはケーキを買って食べるとか、欲しいと思っていたCDを買うなど、ちょっとしたご褒美は大人でも嬉しいものです。一か月頑張ったら、見たいと思っていた映画やステージを見に行くなどもありですね。
家族に協力してもらう
特に遅刻してはいけない日というのがありますね。出張で早い時間に飛行機や新幹線に乗らなくてはいけない日や朝一番に大事な会議がある日に、寝坊したり余計なことに時間を取られて遅刻したりしたら大変です。
遅刻してはいけないと思うと、心配でよく眠れないこともあります。こういう場合は、同居している家の方に頼んでおいて、万一遅れそうなら声をかけてもらうのも良いでしょう。
いつも家族を当てにしていては自立できませんが、特に必要な時だけ手助けしてもらうのは恥ずかしいことではありません。結果的に安眠できるし、翌朝もすっきり起きられるはずです。
独り暮らしをしている方も、絶対に遅刻できない日は実家の親や友人など頼れる方にお願いして、電話で起きていることを確認してもらうのがお勧めです。
一口にADHDの方と言ってもそれぞれに事情が違います。まずは自分に合った方法で時間配分をして、定時に家を出ることを心掛けることが大事です。
まとめ
- ADHDの方の中には、注意散漫で整理整頓が苦手な特性などが原因で「起きているのに遅刻してしまう」という悩みを抱える方も多い。
- ADHDの方が遅刻しないためにできる対策としては、まず自分の現状を理解して、目標を立てることが重要。目標は実行可能なものにすることがポイント。
- 何時に何をするか、大まかな予定を決めておくことも有効。また、直前になって慌てずに済むように、必要な持ち物は前日のうちに用意しておくのが良い。
- 遅刻しなかったら自分にご褒美をあげるようにすると、モチベーションにつながる。どうしても遅刻できない日は、家族など信頼できる方に頼ることも大切。
ADHD(注意欠如・多動症)の方は遅刻が多い傾向にあります。注意散漫で好奇心が旺盛な特性が一つの原因です。
朝起きていても遅刻することもありますが、対策を立てましょう。自分に合った方法で遅刻を減らし、気持ちよく仕事を続けたいものですね。