大人のソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?具体例やテーマを紹介

KAORUKO
「大人対象のソーシャルスキルトレーニングでは何をするの?」
「具体的にどんな方法で行っているのかな?」

等の疑問はありませんか?

社会生活を送る上で必要になるソーシャルスキルは日常生活で身につけることができますが、トレーニングを行うとスキルアップにより効果が期待できます。

  • 大人のソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?対象者は?
  • 大人のソーシャルスキルトレーニング(SST)の具体例
  • 大人のソーシャルスキルトレーニング(SST)が受けられる場所

について解説していきます。

大人のソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?

握手するビジネスウーマン(顔なし)

まず、ソーシャルスキルとは社会生活において必要なスキルのことです。具体的には、良い人間関係を築くための言葉や行動のスキル、体調管理やお金の管理などの生活スキルを指します。

このスキルを向上させるために行うのがソーシャルスキルトレーニング(SST)です。

  • 場にふさわしい言葉遣いができない
  • 断り方が分からず仕事の量が増えていく
  • 上司に相談したくても声がかけられない
  • 残業続きで体調や薬の管理ができず体調を崩しがち

上記のようなことで悩んでいる方がゲームやロールプレイを行い、支援者からアドバイスを受けたり、参加者同士でフィードバックをすることでスキルの獲得や向上を目指します。

また、ソーシャルスキルは障がいの有無に関わらず誰もが生活していく上で必要です。

中でも発達障害や精神障害がある方は、相手の気持ちを考えることが苦手であったり、コミュニケーションに困難を感じやすく、日常生活からスキルを身につけることが難しいです。そのため、発達障害の方や精神障害を持つ方を対象としてSSTを行う場合が多いでしょう。

大人のソーシャルスキルトレーニング(SST)では何をする?

続いては、大人のSSTではどんなことをするのか具体的に紹介していきます。

まず、SSTは基本的に下記のような流れで行います。

  1. 教示
    なぜそのスキルが必要で、身につけることでどのような効果があるか、いつどのようなタイミングで必要になるスキルなのかなどを絵や言葉を使い伝えます。
  2. モデリング
    実際にお手本を見せます。正しい対応方法を見せたり、間違った対応方法の例を見せたりして、どのように改善したら良いかを考えてもらいます。
  3. リハーサル
    教示やモデリングで学んだことを、支援員や一緒にトレーニングを受ける方を相手に練習します。
  4. フィードバック
    リハーサルで行ったことの評価を受けます。支援員や他の利用者から良かったところや改善すると良い点を教えてもらえます。
  5. 般化
    SSTで身につけたことを、日常生活でも適切に使えるようにします。例えば、SSTのテーマが「職場での上司への報告の仕方」だった場合、練習としてその日に学んだことを家族に報告してみるなどがオススメです。

大人のソーシャルスキルトレーニング(SST)の具体例

続いて、具体的にどのようなトレーニング方法があるのか紹介していきます。やり方はさまざまなため、あなたに合った方法でスキルを向上させていきましょう。

ゲーム

ゲームでは多くのソーシャルスキルが必要になります。

「決められたルールを守る」「他の参加者たちと相談・協力しながら進める」「勝ち負けの結果を受け入れる」などの実際の社会生活にも重要な要素が学べるでしょう。

気軽にゲームを楽しみながらスキルを身につけることができるため、ゲームをすることが好きで、SSTに挑戦してみたいけれど悩んでいるという方にはオススメの方法です。

ここからはSSTで使われることのあるゲームを2つ紹介します。

  1. はぁって言うゲーム
    お題の言葉を状況に合わせて身振り手振りは使わず、表情と声だけで表現し、当ててもらうゲームです。例えば、「なんで?のはぁ」「力をためるはぁ」「ぼうぜんのはぁ」など多岐にわたる「はぁ」を表情と声だけで表し、どのような状況の「はぁ」だったのかをみんなで考えます。これはSST専用のゲームとして作られたものではありませんが、観察力が身に付きその場に合った行動が取れるようになる効果が期待できます。
  2. カタカナーシ
    カタカナ語のお題をカタカナを使わずに説明し、お題を当てるゲームです。このゲームもSST専用ではありませんが、相手の立場に立って考えることで、より分かりやすい説明ができるようになる効果や、言いたいことを上手く伝えるための練習になるでしょう。

ロールプレイ

ロールプレイでは、状況を設定し参加者同士で特定の役割を演じます。参加者が振る舞い方に悩んでいる場面を題材にすることで、実際にどのような言動をすれば良いのかを学ぶことができます。

ロールプレイで使われるテーマの例を2つ紹介します。

  1. 頼まれた仕事を断る
    自分の仕事量や体調に無理の無い範囲で業務を行うための上手な断り方を考えます。相手の立場に立って考え、嫌な思いをさせない言い方を考えてみたり、他の参加者の意見を聞きフィードバックをし合います。実際に同じ状況になったときや、仕事だけでなく食事の誘いを断るときなどへの応用もできるようになるでしょう。
  2. 報連相の仕方
    上司や同僚への報連相の方法や適切なタイミングを考えます。報連相は円滑に仕事を進める上で必須のスキルと言えるでしょう。あなたがやりやすい方法やタイミングを考えるだけでなく、報連相をする相手の状況を考えた振る舞い方を身につけることができるでしょう。

ディスカッション、ディベート

ディスカッションやディベートでは、決まったテーマについて参加者同士で意見を出し合います。

他の参加者との価値観の違いを知り受け入れることや、相手の話をよく聞いた上で、自分の意見を伝えるというスキルを身につけることができます。

共同行動

共同行動は、「何かを作って食べる」など一つの目標に向かって参加者同士で協力して作業していくSSTです。

役割分担をしたり、他の人に相談しながら進めたり、作業を進める上で助け合ったりなどのスキルを身につけることができます。

自分でできる方法

SSTのために施設に通うことや、他の人との交流はハードルが高いと感じる方もいると思います。そのような場合は、日常生活からソーシャルスキルを高めることを意識してみることがおすすめです。

例えば「あいさつ」はSSTとして日々の生活に取り入れやすいでしょう。

気持ちの良いあいさつができている人のタイミングや声の大きさ、使い分けなど真似してみたり、上司や家族に聞いてみたりして「あいさつをして自分も相手も良い気持ちになる」ことを実感しながら身につけていけると良いでしょう。

また、SSTについてのテキスト・書籍もたくさんあります。いろいろ試してみながら自分に合ったやり方が見つかると良いですね。

大人のソーシャルスキルトレーニング(SST)はどこで受けられる?

ハローワーク札幌北

大人のSSTは障がいや病気の有無に関わらずさまざまな方が受けることができます。

リワークプログラム(休職後の職場復帰に向けたプログラム)の一環として行われたり、職場定着支援として一般企業や就労移行支援事業所、就労継続支援A型・B型事業所でSSTを導入しているところもあります。

他にも下記の場所で受けられます。施設によって支援内容は異なるため、詳しくは各施設にお問い合わせください。

  • 精神科デイケア
  • 地域活動支援センター
  • 自立訓練事業所
  • ハローワーク
  • 地域障害者職業センター
  • 障害者就業・生活支援センター

それぞれ詳しく解説している記事やページがありますので、あわせて読んでみると良いでしょう。

精神科デイケア


自立訓練事業所
自立訓練(生活訓練)事業所|WAM NET

ハローワーク

まとめ|大人のソーシャルスキルトレーニング(SST)とは

  • 大人のソーシャルスキルトレーニング(SST)とは社会生活に必要な言葉や行動、生活スキルであるソーシャルスキルを高めるために行うトレーニングのこと。
  • ソーシャルスキルは病気や障がいの有無、年齢に関わらず必要ですが、発達障害や精神障害を持つ方はコミュニケーションが苦手な特性があるため、ソーシャルスキルトレーニングを受ける場合が多い。
  • 大人のソーシャルスキルトレーニング(SST)ではゲームやロールプレイなどを通して学ぶことができる。
  • 大人のソーシャルスキルトレーニング(SST)は病棟や精神科デイケアなどの医療機関だけでなくハローワークや就労移行支援事業所などでも受けることができる。

ソーシャルスキルは生きていく上で必要になるスキルです。自分の思いを相手に伝え、相手の立場に立って考え対応できるようになることで、対人関係への不安やストレスを軽減させることが目的です。

SSTを通して、周りの人と上手く関われるようになり、社会生活が送りやすくなるかもしれません。支援者や参加者同士で楽しくスキルアップができると良いですね。

この記事があなたにとって参考になれば幸いです。

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