うつ病が原因でやむを得ず退職されたとき、経済的な不安は大きな悩みですよね。
と心配な方もいるかもしれませんが、ご安心ください。
うつ病による退職は「特定理由離職者」に認定され、一般の自己都合退職よりも有利な条件で失業保険を受け取れる可能性があります。
この記事では、うつ病で退職された方が失業保険で損をしないために、以下の点を分かりやすく解説します。
- うつ病による自己都合退職でも失業保険はもらえるのか?
- 「特定理由離職者」として有利な条件で受給できるケースとは?
- 具体的な申請手続きの流れと注意点
- 失業保険以外に利用できる経済的な支援制度
- 無理なく社会復帰を目指すための就労支援サービス
この記事を読めば、失業保険に関する正しい知識を身につき、経済的な不安を解消できます。
まずは安心して療養に専念し、次の一歩を踏み出す準備を始めましょう。
うつ病での退職でも失業保険はもらえる

うつ病を理由に退職した場合、
と心配される方は少なくありません。
ご安心ください。結論から言うと、うつ病が原因で退職した場合、失業保険を受け取れる可能性は非常に高いです。 ただし、退職理由がどのように判断されるかによって、失業保険の受給開始期間や給付期間が変わる場合があります。
ここでは、通常の「自己都合退職」と、うつ病での退職が該当する可能性が高い「特定理由離職者」の違いを詳しく見ていきましょう。
「自己都合退職」で、給付制限があるケースとは?
まず、失業保険(正式名称:雇用保険の基本手当)は、働く意思と能力があるにもかかわらず、仕事に就けない方が、安定した生活を送りながら一日も早く再就職できるよう支援する制度です。
一般的な「自己都合退職」、例えば「他にやりたい仕事ができた」「個人的な理由で引っ越すことになった」といった理由で退職した場合、失業保険の申請後、原則として1ヶ月の「給付制限期間」が設けられます(※)。
この期間は、失業保険を受け取ることができません。
これは、会社都合での解雇など、予期せぬ失業をした人と区別するための措置です。
令和7年(2025年)4月1日以降に離職された方は、自己都合退職の場合、給付制限期間は原則1ヶ月となります。ただし、制度の細かな適用条件については、最新の情報をハローワーク等でご確認ください。
うつ病による退職であっても、客観的な証拠(医師の診断書など)がなく、単に「仕事が合わなかった」「人間関係が嫌になった」といった理由で自己都合退職として処理されてしまうと、この1ヶ月の給付制限が適用される可能性があります。
有利な条件で失業保険を受け取る方法
うつ病などの心身の病気によって働くことが困難になり、やむを得ず退職した場合、「正当な理由のある自己都合退職」とみなされ、「特定理由離職者」に該当する可能性が非常に高くなります。
ハローワークでは、離職理由について以下のように定めています。
体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者引用:ハローワークインターネットサービス
特定理由離職者に認定されると主に以下のようなメリットがあります。
- 給付制限が免除され、すぐに失業保険を受け取れる
- 一般の自己都合退職者と比べて、受給期間が長くなる可能性がある
- 国民健康保険料が軽減される場合がある
うつ病での退職は、決して「単なる自己都合」ではありません。
正当な理由として認められ、給付制限なしで、より手厚い条件で失業保険を受け取れる可能性が高いのです。
具体的な申請方法や認定されるためのコツは3章で詳しく解説しますね。
うつ病で退職した場合の受給額と期間の目安

うつ病で退職し、失業保険の申請を考える際、気になるのが「具体的にいくら、どのくらいの期間もらえるのか?」という点ですよね。
失業保険の受給金額(基本手当日額)と受給期間(所定給付日数)は、離職前の賃金、年齢、雇用保険に加入していた期間、そして離職理由によって一人ひとり異なります。特に、うつ病が理由で「特定理由離職者」と認定された場合は、一般の自己都合退職者と比べて受給期間が長くなる可能性があるなど、有利な条件で受け取れるケースがあります。
ここでは、その目安について解説します。
受給金額(基本手当日額)の目安は?
失業保険で1日あたりに受け取れる金額を「基本日額」といいます。
これは、原則として離職する直前6ヶ月間に支払われた賃金(賞与などを除く)の合計額を180で割った金額(賃金日額)に、一定の給付率(50~80%)を掛けて算出されます。
給付率は、賃金日額が低い方ほど高く設定されています。 ただし、基本手当日額には年齢区分ごとに上限額と下限額が定められています。
表1:基本手当日額の上限額目安(2024年8月)
| 離職時の 年齢 |
賃金日額の上限額(円) | 基本手当日額の上限額(円) |
|---|---|---|
| 29歳以下 | 14,130 | 7,065 |
| 30~44歳 | 15,690 | 7,845 |
| 45~59歳 | 17,270 | 8,635 |
| 60~64歳 | 16,490 | 7,420 |
表2:基本手当日額の下限額目安(2024年8月)
| 離職時の 年齢 |
賃金日額の下限額(円) | 基本手当日額の下限額(円) |
|---|---|---|
| 全年齢 | 2,869 | 2,295 |
【計算例】:離職前6ヶ月の賃金総額が180万円(月収30万円・35歳)の場合
- 賃金日額を計算
- 基本手当日額を計算
180万円÷180日=10,000
10,000円(賃金日額) × 給付率(約50%~80%) = 約5,000円~8,000円
※実際の給付率は賃金日額と年齢に応じて細かく定められています。この例の場合、離職時年齢が30~44歳であれば、給付率は約50%となり、基本手当日額は約5,000円です。ただし、上記の上限額を超えることはありません。
あくまで目安ですが、離職前のおおよその手取り月収の50~80%程度が受け取れる、とイメージしておくとよいでしょう。
受給期間(所定給付日数)の目安は?
失業保険を受け取れる最大の日数を「所定給付日数」といいます。
これは、離職時の年齢、雇用保険の加入期間、そして離職理由によって決まります。
うつ病が原因で退職し、「特定理由離職者」と認定された場合、所定給付日数は倒産や解雇などによる離職者(特定受給資格者)と同じ区分で扱われます。
これは、一般の自己都合退職者よりも手厚い給付日数となる場合が多いです。
具体的な所定給付日数は以下の表の通りです。
表3:自己都合退社の場合の給付日数
| 被保険者であった期間 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 | ||
| 区分 | 全年齢 | 90日 (※) |
90日 | 120日 | 150日 | |
表4:うつ病(特定理由離職者)の場合の給付日数
| 被保険者であった期間 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 | ||
| 区分 | 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
| 30歳以上35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | ||
| 35歳以上45歳未満 | 150日 | 240日 | 270日 | |||
| 45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | ||
| 60歳以上65歳未満 | 150日 | 280日 | 210日 | 240日 | ||
このように、うつ病による退職が「特定理由離職者」と認められるかどうかで、受給期間に数ヶ月単位の大きな差が出ることがあります。
うつ病で退職後に失業保険を申請するための流れ

うつ病で退職した後、失業保険を受け取るためには、ハローワークで所定の手続きを行う必要があります。
「体調が不安定な中でできるだろうか…」
と不安に感じるかもしれませんが、一つずつ順番に進めていけば大丈夫です。落ち着いて取り組んでいきましょう。
特にうつ病で退職された場合は、いくつか押さえておくべきポイントがあります。ここでは、申請から受給開始までの流れを6つのステップに分け、うつ病の場合の注意点も交えながら具体的に解説していきます。
STEP1:「離職票」を会社から受け取る
失業保険の申請に不可欠なのが「離職票」です。
これは、あなたが会社を辞めたことを証明する公的な書類で、「雇用保険被保険者離職票-1」と「雇用保険被保険者離職票-2」の2種類があります。
「離職票-1」は、退職者の基本情報や事業所情報などが記載され、失業保険の振込先などの記入欄があります。
「離職票-2」は、離職理由や離職前の賃金状況などが記載されます。
受け取り方法
通常、退職日から10日~2週間程度で、会社から郵送されてきます。退職前に、会社の人事担当者などに、いつ頃、どの住所に送付されるか確認しておくと安心です。
届かない場合
もし退職後2週間以上経っても届かない場合は、まず会社に問い合わせてみましょう。それでも対応してもらえない場合は、ハローワークに相談することができます。
うつ病の場合のチェックポイント
離職票が届いたら、特に「離職票-2」の「離職理由」欄を必ず確認してください。
うつ病が原因での退職の場合、「正当な理由のある自己都合退職」として扱われることが、給付を有利に進める上で非常に重要です。
具体的には、「疾病・負傷」や「心身の障害」といった項目にチェックが入っているか、または「具体的事情記載欄(離職者用)」に、うつ病により就労が困難であった旨が記載されているかを確認しましょう。
もし、単なる「自己都合」や事実と異なる理由が記載されている場合は、STEP4のハローワークでの手続き時に異議申し立てを行うことができます。
STEP2:申請に必要な書類一覧と準備のポイント
ハローワークで手続きを行う前に、必要な書類を揃えておきましょう。事前に準備しておくことで、手続きがスムーズに進みます。
基本的な必要書類
- 雇用保険被保険者離職票(離職票-1、離職票-2)
- 個人番号確認書類
マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載がある住民票のいずれか1点
- 身元(実在)確認書類
1点でOKなもの: 運転免許証、マイナンバーカード、官公署発行の写真付き資格証明書など
2点必要なもの: 公的医療保険の被保険者証(健康保険証)、児童扶養手当証書、年金手帳など
- 証明写真
- 印鑑:認印で可(スタンプ印は不可)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
うつ病での退職なら必ず準備したい書類
- 医師の診断書
これが特定理由離職者として認められるための最も重要な書類です。うつ病により「就労が困難であったこと」「退職(または休職)して療養が必要であること」が明記されている診断書を用意しましょう。退職を決意したら、なるべく早く主治医に相談し、作成を依頼してください。退職日以前に発行されたものが望ましいですが、退職後のものでも有効な場合があります。 - 会社とのやり取りを示す資料(あれば万全)
職中にうつ病について会社に相談した際のメール、面談記録、休職証明書などがあれば、状況を補足する資料として役立つ場合があります。
書類に不備があると手続きが遅れる可能性があるため、事前にしっかり確認しておきましょう。
STEP3:ハローワークで「求職申込み」をする
必要書類が揃ったら、あなたの住所地を管轄するハローワークへ行き、「求職の申込み」を行います。これが失業保険受給の第一歩です。
うつ病の場合のポイント
求職申込みは、あくまで「働く意思がある」ことを前提としています。うつ病の症状が重く、すぐに働くことが難しい状態であっても、「回復したら働きたい」という意思を示すことが大切です。
体調が優れない日に無理して行く必要はありませんが、失業保険の受給開始は申請日からとなるため、可能な範囲で早めに手続きを行いましょう。
STEP4:うつ病での退職理由をしっかり伝える
求職申込みと同時に、または後日、ハローワークの職員による「離職理由の確認」が行われます。
これは、失業保険の給付制限の有無や所定給付日数を決定するための重要なプロセスです。
手続きの内容
提出した「離職票-2」の内容に基づき、職員から退職理由について詳しく質問されます。
うつ病の場合のポイント【最も重要】
この面談で、「うつ病の影響で仕事を続けるのが難しくなりやむを得ず退職しました」というように、事実を正直かつ明確に伝えましょう。STEP2 で準備した医師の診断書を、ここで提出します。
もし、「離職票-2」の離職理由欄の記載(例:「自己都合」となっているなど)に納得がいかない場合は、このタイミングで異議申し立てを行います。診断書やその他の資料(会社とのやり取りの記録など)を提示し、客観的な事実に基づいて判断してもらうよう求めましょう。
ここで「特定理由離職者」と認定されるかどうかが、給付制限なしで早期に受給できるか、また受給期間が長くなるかどうかの分かれ道となります。落ち着いて、具体的に状況を説明することが重要です。
STEP5:受給資格決定!説明会参加と「雇用保険受給資格者証」受け取り
ハローワークでの審査の結果、失業保険の受給資格があると認められると、「受給資格決定」となります。
その後、以下の書類が交付され、説明会への参加が指示されます。
- 雇用保険受給資格者のしおり:失業保険の受給に関するルールや手続きの詳細が記載された冊子。
- 雇用保険受給資格者証:あなたの受給資格を証明するもので、基本手当日額や所定給付日数、失業認定日などが記載されています。今後の手続きで毎回必要になります。
- 失業認定申告書:次回の失業認定日に提出する書類です。
【雇用保険説明会】
後日、指定された日時に開催される「雇用保険説明会」への参加が義務付けられています。
ここでは、失業保険制度の仕組み、受給中のルール(求職活動、不正受給など)について詳しい説明があります。
通常、1~2時間程度です。
うつ病の場合のポイント
説明会の日時が指定されますが、もし体調的に参加が難しい場合は、事前にハローワークに連絡し、相談してください。日程の変更などが可能な場合があります。
無断で欠席すると、失業保険の支給が遅れる可能性があるため注意が必要です。
STEP6:失業認定日にハローワークへ!求職活動の報告
失業の認定を受けるには、原則として前回の認定日から今回の認定日までの間に、2回以上(※)の求職活動実績が必要です。うつ病の療養中の方でも、無理のない範囲で以下のような活動が実績として認められます。
- ハローワークでの職業相談、職業紹介
- 許可、届出のある民間職業紹介機関での相談、紹介
- 就職支援セミナーやイベントへの参加
- 興味のある企業への問い合わせや応募
- 就労移行支援事業所の見学・相談
体調が良い時に、まずはハローワークの窓口で「どんな求職活動が認められますか?」と相談してみるのが最初のステップとしておすすめです。
失業認定日の手続きの流れは以下の通りです。
うつ病で失業保険を受給する際のポイント5選

失業保険の受給中は、守るべきルールがあります。特に、うつ病の方は体調面での注意も必要です。
ルール違反は、受給停止やペナルティにつながる可能性もあるので注意が必要です。安心して受給を続けるために、以下の5つの重要ポイントを必ず押さえておきましょう。
「働ける状態」であることが前提
失業保険は、「働く意思と能力がある」方が対象です。
- うつ病の場合
完治していなくても、「回復したら働きたい」という意思があり、医師が就労可能と判断している(または軽作業なら可能など)状態が目安です。 - 療養専念の場合
医師から「就労困難」と判断されている場合は、正直にハローワークに伝え、失業保険の受給開始を遅らせる「受給期間の延長」を検討しましょう。無理は禁物です。
判断に迷う場合は、主治医やハローワークに相談してください。
絶対NG!不正受給のリスクとペナルティ
不正受給は絶対にやめましょう。 軽い気持ちでも、厳しい処分が待っています。
【主な不正受給】
【厳しいペナルティ】
- 支給停止:今後の受給が一切できなくなります。
- 返還命令:不正に受け取った額の全額返還。
- 納付命令:さらに不正額の最大2倍(合計で最大3倍返し)の支払い。
- 悪質な場合は刑事告発も。
正直な申告が鉄則です。
アルバイト・副業は必ず申告する
受給中にアルバイトや副業をする場合、収入の有無や時間に関わらず、必ず申告が必要です。
申告が必要なもの
パート、アルバイト、内職、手伝いなど、労働の対価を得る活動全般。
申告した場合
働いた日数や収入に応じて、失業保険が減額・不支給となる場合があります(不支給分は後日受給可能)。
申告しない場合
不正受給となり、厳しいペナルティの対象となります。
働く前にハローワークに確認すると安心です。
認定日を忘れない
失業保険は、原則4週間に1度の「失業認定日」にハローワークへ行き、失業状態の確認を受けないと支給されません。
行かない場合
正当な理由なく欠席すると、その期間分の失業保険は原則もらえません。
行けない場合
病気(うつ病の体調不良含む)などやむを得ない理由がある場合は、必ず事前にハローワークに連絡してください。医師の証明書などが必要になる場合がありますが、認定日の変更が可能です。
認定日のスケジュール管理は非常に重要です。
再就職が決まったら速やかに報告をする
再就職が決まったら(入社日が確定したら)、必ずハローワークに報告してください。
報告タイミング
原則、就職日の前日にハローワークへ行き、手続きします。
必要なもの
採用証明書(就職先で記入)、受給資格者証など。
報告しない場合
就職後も受給を続けると不正受給になります。
メリット
条件を満たせば「再就職手当」がもらえる可能性も。
最後の報告を忘れずに行いましょう。
うつ病の人が利用できる失業保険以外の経済支援3選

うつ病による休職や退職で経済的に困窮した場合、失業保険以外にも利用できる可能性のある公的な支援制度があります。
ここでは、代表的な3つの制度を簡単にご紹介します。
状況によってはこれらの制度が助けになるかもしれません。
傷病手当金
傷病手当金は、会社の健康保険(協会けんぽや健康保険組合など)に加入している方が、業務外の病気やケガで働くことができず、会社から給与が支払われない場合に受け取れる手当です。
主な対象
ポイント
- 連続して3日間休んだ後、4日目以降の休んだ日に対して支給されます。
- 支給期間は最長で1年6ヶ月です。
- 退職後も一定の条件を満たせば継続して受け取れる場合があります。
- 失業保険(働ける状態が前提)とは異なり、療養中で働けない期間の生活を支える制度です。原則として失業保険との同時受給はできません。
詳しくは、ご加入の健康保険組合や協会けんぽにお問い合わせください。
障害年金
障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。うつ病などの精神疾患も対象となります。
主な対象
ポイント
- 障害の程度に応じて「障害基礎年金」や「障害厚生年金」が支給されます。
- 申請には医師の診断書などが必要で、審査には時間がかかる場合があります。
- 失業保険や傷病手当金と併給できる場合もあります。
お近くの年金事務所や、社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。
生活保護
生活保護は、資産や能力などすべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とした制度です。
主な対象
ポイント
- 生活費、住居費、医療費などが支給(または現物支給)されます。
- 申請すると、資産状況(預貯金、不動産、生命保険など)や扶養義務者の援助の可否などが調査されます。
- 他の制度が利用できない場合や、利用してもなお生活が困難な場合の最後のセーフティネットです。
お住まいの自治体の福祉事務所が相談・申請窓口となります。
うつ病でも社会復帰を目指せる就労支援サービス3選

うつ病の方を対象とした就労支援サービスは、大きく分けて次の3種類があります。
- 就労継続支援A型
- 就労継続支援B型
- 就労移行支援
これらのサービスはいずれも、
- 病気や障がいへの理解や配慮がある環境で働ける
- 就職に必要な知識やスキルを身に付ける訓練が受けられる
といった共通点があります。利用することで、あなたに合った形での職場復帰を目指すことが可能です。
ここからは、それぞれのサービス内容を詳しく説明します。
就労継続支援A型
就労継続支援A型の最大の特徴は、利用者と事業所が「雇用契約」を結び、給与として「賃金」を受け取れる点です。
一般の職場と同様に最低賃金が保証されているため、安定した収入を得ながら働きたい場合に適しています。そのため、「障害者雇用で働くのは少し不安だけれど、収入は確保したい」という方にとって、就労継続支援A型は現実的な選択肢の1つとなるでしょう。
一般就労に近い環境で実務経験を積み、自信をつけてから次のステップへ進みたい方におすすめです。
就労継続支援B型
就労継続支援B型の主な特徴は、利用者と事業者が「雇用契約」を結ばず作業を行い、成果物に対して「工賃」を受け取る点です。
「工賃」は「賃金」とは異なり最低賃金の保証はありませんが、その分、体調に合わせて週1日や短時間からでも利用しやすいメリットがあります。作業内容は事業所によって様々ですが、主に軽作業や手工芸などの作業が行われています。
A型と比較すると、B型はより福祉的なサービスという側面が強く、働くことへの準備段階と位置付けられています。
まずは働くこと自体に慣れたい、生活リズムを整えたいという方におすすめです。
就労移行支援
就労継続支援が「働く場所」を提供するサービスであるのに対し、「就労移行支援」は、障害者雇用を含む一般企業への就職を目指すためのサポートに特化したサービスです。
利用期間中に賃金や工賃は発生しません。
その代わり、原則2年間という期間の中で、就職と職場定着を目標とした以下のような手厚いサポートを受けられます。
- PCスキルやビジネスマナーなど就職のために必要な知識、スキルを身に着ける訓練
- 自己理解を深めるためのコミュニケーション講座やカウンセリング
- 履歴書の添削や面接練習などの実践的な就職活動の対策
このように、就職そのものを目指すサービスのため、正社員での就職を考えている場合は、就労継続支援よりも就労移行支援を利用する方が近道となるでしょう。
いずれのサービスも、うつ病の方が「働きたい」という気持ちをサポートしてくれる心強い味方です。あなたに合った支援をうまく活用することが、無理なく働き続けるための第一歩になります。
まとめ
- うつ病による退職は「特定理由離職者」に該当する可能性が高く、その場合、給付制限なしで、一般の自己都合退職よりも有利な条件で失業保険を受け取れる。
- 失業保険の受給額や期間は、離職前の賃金や雇用保険加入期間、離職理由によって決まる。
- 失業保険の申請は、離職票の受け取りからハローワークでの手続き、認定日の訪問まで、ステップを踏んで進める必要があり、特にうつ病の場合は医師の診断書が重要になる。
- 失業保険の受給中は、「働ける状態」の確認、不正受給の防止、アルバイト等の申告、認定日への出席、再就職時の報告といったルールを守る必要がある。
- 失業保険以外にも、療養中の生活を支える「傷病手当金」や、長期的な支援となる「障害年金」、最終的なセーフティネットである「生活保護」といった経済支援制度があること。
- 回復後に再び働くことを目指す際には、「就労継続支援(A型・B型)」や「就労移行支援」といった、無理なくステップアップできる就労支援サービスを活用できる。
今回の記事では、うつ病での失業保険の受け取り方について、詳しく解説してきました。
うつ病で退職した場合、「失業保険はもらえないのでは?」と諦めてしまう必要はありません。まずはご自身の状況を整理し、医師やハローワーク、必要であれば専門家にも相談しながら、利用できる制度を適切に活用しましょう。
この記事が、あなたの経済的な不安を少しでも和らげ、心穏やかに療養に専念したり、前向きな次の一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。


