就労継続支援B型で在宅ワークはできるの?在宅支援の内容やメリット・デメリットも解説

新型コロナウイルスが流行して以降、「在宅ワーク」という働き方は身近なものとなりました。それに伴い、昨今では在宅ワークを導入している就労継続支援B型も登場しており、2021年のデータでは15.9%のB型事業所が在宅支援を行っていることがわかっています。

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「就労継続支援B型を在宅で利用するにはどうすればいいの?」
「在宅ではどのような支援を受けられるの?メリットやデメリットが知りたい」

このような疑問をお持ちではないでしょうか?

  • 就労継続支援B型を在宅ワークで利用する方法や条件
  • 就労継続支援B型の在宅ワークにはどのような作業があるのか?
  • 在宅ワークのメリットとデメリット
  • 就労継続支援B型から一般就労は目指せるのか?

について解説していきます。

この記事が、就労継続支援B型での在宅ワークを希望しているあなたの一助となれば幸いです。

就労継続支援B型を在宅ワークで利用するための方法・条件

デッサン人形とアルファベットのB 03

就労継続支援B型を在宅ワークで利用する場合には、まずは在宅支援を行っているB型事業所を探す必要があります。その上で以下の2つの最低条件を満たすことが必要です。

  1. 本人が在宅勤務を希望している
  2. 在宅ワークによる支援で効果があると市町村が判断した場合

在宅ワークが認められるための判断基準は明確になっていませんが、

「障害によって通所は難しいけれど、作業をしたり訓練を受けたりしたい」

という理由があれば、在宅ワークの許可を貰いやすくなります。

一方で、B型事業所は「通所利用」が原則であるため、「在宅利用」は例外的に認められるという扱いになっています。そのため、新型コロナウイルスの流行のピークが過ぎ去った現在では、「在宅利用は原則として認めない」とする自治体が出てきました。今後は在宅利用が認められるための条件が厳しくなる可能性がある点には注意が必要です。

在宅利用のための判断基準は自治体によっても異なるため、B型事業所を探す際に「在宅利用を希望している旨」を事前に相談するよう心掛けましょう。

以下では、在宅利用をする場合の条件について詳しく見ていきましょう。

在宅利用でも月に1度は通所か支援員の訪問が必要

「就労系障害福祉サービスにおける在宅での利用にかかるガイドライン」の13ページには、「少なくとも月に1度は通所か事業所職員の訪問により、訓練目標の達成度の評価を行うこと」という記載があります。

そのため、

  • 日々の体調の変化を把握する
  • 作業や訓練の取り組み状況を評価する
  • B型事業所の利用を通じて1カ月の振り返りと、今後の課題や目標を整理する
  • このような目的で、月に1度はB型事業所への通所か職員の訪問が必要となります。

    もっとも、このカイドラインの内容は義務ではありませんが、多くのB型事業所はガイドラインに沿った運営をしています。

  • 障がいや病気により月に1度の通所が難しい場合
  • B型事業所の職員が訪問できない事情がある場合
  • などは、在宅ワークを利用できない可能性があるため注意が必要です。

    1日に2回以上はB型事業所との連絡を取ることが必要

    「就労系障害福祉サービスにおける在宅での利用にかかるガイドライン」の19ページには、「1日に2回は連絡・助言・進捗の確認などを行うこと」という記載があります。そのため、在宅ワークの場合は始業時間の朝礼と就業時間の終礼に加えて、必要に応じた報告・連絡・相談を実施しているB型事業所が多いようです。

    連絡手段には、

    • 電話やメール
    • チャットアプリ
    • リモート会議ツール

    などが使用されています。

    連絡手段は原則として利用者が確保する必要がありますが、B型事業所によってはパソコンの貸し出しサービスを行っている場合もあります。

  • メールやチャットによる連絡や指示が困難である場合
  • 利用者が在宅ワークに必要な環境を整えられない場合
  • などは、在宅ワークを利用できない可能性があるため注意が必要です。

    就労継続支援B型の在宅ワーク、作業内容は何がある?

    入力するビジネスウーマン

    就労継続支援B型が提供している在宅ワークは、「IT系・パソコン作業」「軽作業・内職」の2種類を中心に提供されています。B型事業所の在宅ワークでは、必ずしもパソコンを使えなければ作業ができない訳ではありません。

    以下では、それぞれどのような内容の作業が扱われているのかを解説します。

    IT系・パソコン作業の在宅ワーク

    IT系・パソコン作業では、

  • メルカリやAmazonなどのネットショップへの出品代行
  • データ入力
  • 文章作成やWebライティング
  • WebデザインやWebサイトの作成
  • プログラミング
  • 画像の加工や動画編集
  • などの作業を取り扱うB型事業所があります。

    IT技術の進歩やIT系人材の不足から、時代のニーズに合わせた作業が提供されている点が特徴的です。プログラミングなどの作業は専門性が高い一方で、ネットショップへの出品代行などの作業はパソコンが苦手な方でも始めやすいでしょう。

    IT系・パソコン作業は全体的に高い工賃を貰いやすい傾向があり、スキルアップに応じてよりレベルの高い仕事に挑戦することも可能です。将来的には就労継続支援A型や一般就労へ移行して在宅ワークをしたいと考えている方にとって、IT系・パソコン作業を扱うB型事業所から一歩を踏み出すのは特にオススメの選択肢となります。

    軽作業・内職の在宅ワーク

    軽作業・内職では、

  • 部品の分解や組み立て
  • チラシなどの広告物の折り込み
  • バーコードなどのシール貼り
  • 手芸などによるハンドメイド商品の制作
  • 商品の箱詰めや梱包
  • などの作業を扱うB型事業所があります。

    軽作業・内職では、作業に必要な材料が郵送やB型事業所職員の訪問によって自宅に届けられます。マニュアルに従って作業を行い、完成した成果物を事業所に渡すという流れが一般的です。

    軽作業・内職では、障がいの特性やスキルの有無を問わず誰でも取り掛かれる作業が提供されている点が特徴的です。「働くことに自信がない」という方でも始めやすいでしょう。一方で、IT系・パソコン作業と比較すると工賃は低い傾向があります。

    単純作業が中心となるため、

  • 黙々と作業をこなすのが苦手
  • 同じ作業の繰り返しでは飽きてしまう
  • といった方には不向きな可能性があるため注意が必要です。

    在宅ワークのメリット・デメリットは?

    デジタル化のメリットとデメリット_

    先述の通り、B型事業所は通所利用が原則であり、在宅利用は例外的に認められるという位置付けになっています。B型事業所は「就労の機会の提供」以外にも「福祉サービスを受ける場所」という役割を持っているため、在宅利用ではきめ細かな支援を提供しにくいと考えられているのです。

    一方で、在宅ワークを導入しているB型事業所では、利用者・事業所の双方から「通所とは違う良さがある」「支援の幅が広がった」という声もたくさん聞こえてきます。

    以下では、B型事業所を在宅ワークで利用する場合のメリット・デメリットについて解説します。

    在宅ワークのメリット

    B型事業所の在宅ワークには、以下のようなメリットがあります。

    • 通所による移動の負担がない
    • 通所時や事業所内など、人が多い場所を避けられる
    • 通所が難しいエリアにあるB型事業所も利用できる
    • 慣れている環境で、自分の障がい特性に合った作業環境を整えられる
    • 体調が悪い時に休みやすく、体調管理がしやすい

    B型事業所を在宅ワークで利用したいと考えている方には、様々な障がいや病気による事情があるかと思います。

  • 引きこもりや不安障害などで外出が苦手
  • 車椅子を利用しているため移動に困難がある
  • 感覚過敏が原因で周囲の雑談の声や物音に悩んでいる
  • このような方は、通勤の手間をなくしたり自分が作業しやすい環境を整えたりすることで、働く上での心身の負担が軽減されるため在宅ワークにより得られるメリットが大きくなります。

    在宅ワークのデメリット

    B型事業所の在宅ワークには、以下のようなデメリットがあります。

    • 困りごとの相談や受けられるサポートが不十分になりやすい
    • 職員や他の利用者とコミュニケーションを取る機会が少ないため、孤立しやすい
    • 規則正しい生活習慣を維持するなどの面で自己管理が必要になる
    • 作業時間とプライベート時間の切り替えが難しい
    • パソコン作業の場合はセキュリティ面でリスクがある

    B型事業所を在宅ワークで利用する場合は、通所利用と比較すると手厚い支援は受けられないのが最大のデメリットとなるでしょう。また、一時期は「Zoom疲れ」という言葉が話題になった通り、パソコン操作が苦手な方やオンライン通話がそもそも合わないと感じる方にとっては、在宅ワークにより大きなストレスを感じることもあります。

    在宅ワークになると外出の機会が激減するため生活習慣が乱れやすく、体調不良や障がいの悪化に繋がるケースもあるため注意が必要です。

    就労継続支援B型の在宅ワークから、一般就労に移行できるの?

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    結論から、就労継続支援B型で在宅ワークをしている方が一般就労に移行することは可能です。しかし、B型事業所から一般就労へ移行できた人は全国平均で約1.3%となっており、難易度は非常に高いことがわかります。そこに「在宅ワーク希望」という条件が加わると、一般就労への移行はさらに難しくなるでしょう。

    一般就労へ移行するためには、「B型事業所を安定して週5利用できているか?」という点が問われます。

    それに加えて、

    • 障がいや病気の症状が安定しているか?
    • B型事業所よりも厳しい環境で就労できる状態であるか?
    • 一般就労が可能なスキルは身に付いているか?

    このような点も重要な判断基準となります。

    つまり、B型事業所の利用中に改善すべき課題が見つかった場合は、その課題を見直すことから始めることが大切です。

    B型事業所から一般就労を目指す場合は、

    B型事業所 → A型事業所・就労移行支援 → 一般就労

    という流れを踏むケースが一般的です。

    「将来的には一般就労をしたい」という目標を持つのは素晴らしいことですが、ステップアップを焦らずに目先の課題を一つずつ解決するよう心掛けましょう。

    まとめ

    • 就労継続支援B型を在宅ワークで利用することは可能であるが、通所利用が原則であり必ず在宅ワークで利用できるとは限らないため注意が必要
    • 就労移行支援B型を在宅ワークで利用するには、「あなたが在宅ワークを希望している」「在宅ワークによる支援が効果的であると認められる」という2つの最低条件がある
    • 就労継続支援B型の在宅ワークには、大きく分けて「IT系・パソコン作業」「軽作業・内職」の2種類がある
    • 「通所の負担がない」「あなたに合った作業環境を整えやすい」「体調に合わせて働きやすい」という点が在宅ワークの大きなメリットである
    • 「困りごとをすぐに相談しにくい」「作業面や生活習慣において自己管理が求められる」という点が在宅ワークのデメリットである
    • B型事業所から一般就労への移行は可能であるが非常に難しいため、まずは「就労継続支援A型・就労移行支援」を目指して焦らずにステップアップすることが大切

    今回の記事では、B型事業所の在宅ワークについて解説しました。

    在宅ワークは新しい働き方として「ライフワークバランス」を重視する方から注目されており、障がいなどの理由で通所・出勤が難しい方を雇用と結びつけるための効果的な手段でもあります。一方で、在宅ワークにもメリット・デメリットがあることや、向いている人・向いていない人がいることは理解しておきましょう。

    就労継続支援B型を在宅ワークで利用するという選択が、あなたの将来にとってプラスに働くことを祈りつつ、この記事の最後とさせていただきます。

    就労継続支援については、以下の記事でも詳しく解説しております。

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