「アスペルガー症候群でも謝れるようになる方法はあるのかな?」
といった疑問をお持ちではないでしょうか。
アスペルガー症候群とは、知的障がいはないけれど、コミュニケーションや社会性などに偏りが見られる発達障がいの一つです。現在では「ASD(自閉スペクトラム症)」と診断されます。
そんなアスペルガー症候群の方の中には、「ごめんなさい」と謝れないことで困っている方がいます。
- 「ごめんなさい」が言えないと仕事でどんな困りごとにつながるのか
- 大人のアスペルガー症候群が謝れない理由
- 大人のアスペルガー症候群が謝罪できるようになる方法
について紹介します。
最後までお付き合いいただけますと幸いです。
「ごめんなさい」が言えないと仕事で困ること
本来謝罪しなくてはいけない場面で「ごめんなさい」と言えないばかりに困ってしまうことは、多くの方が経験されているでしょう。
その中でも特に、仕事上で直面しやすい困りごとについて紹介していきます。
人間関係を上手く作れない
ちょっとしたことでも、とりあえず「ごめんなさい」を言えないと、嫌な人だと思われてしまうことがあります。
例えば、少し体が触れてしまった時などは、軽く「ごめんなさい」と言えば何ともないことですが、何も言えないと失礼な人と思われるかもしれません。
小さなミスを大きな問題に発展させてしまう
仕事でミスをしたのに「ごめんなさい」と謝ることができないと、失敗を許してもらえず、問題を大きくしてしまうことがあるでしょう。
謝ってさえいれば簡単に許してくれたことでも、「ごめんなさい」と言えないと、相手の怒りが収まらず、大きな問題に発展する可能性があります。
大人のアスペルガー症候群の方が「ごめんなさい」と謝れない理由6つ
このように、「ごめんなさい」が言えないと仕事を円滑に進めることができません。それが分かっていても素直に謝れない理由には、アスペルガーの特性が影響しています。
アスペルガー症候群の方が「ごめんなさい」を言えない主な理由について、6つご紹介します。
他人の気持ちを推測し、共感するのが苦手
アスペルガー症候群の方は、自身の行動によって、相手がどのような気持ちになるのか想像するのが得意ではありません。つまり、嬉しい、悲しい、怒っている、驚いているといった他人の感情を理解するのが難しいケースが多いのです。
そのため、相手が怒っていることが理解できず、「ごめんなさい」と言えないことに繋がります。
こだわりが強い
アスペルガー症候群の方が持つ、「こだわりが強い」という特徴によって、言葉選びに制限がかかるケースもあります。本来言いたいことや伝えたい意図があっても、言葉に詰まってしまい、思うように表現できない場面が出てきてしまうのです。
そのような経験から生まれる「言わないこだわり」が、「ごめんなさい」を言い辛くしてしまいます。
自分自身の感情を言葉で表現するのが苦手
アスペルガー症候群の方は、自分が嬉しい、悲しい、怒っている、驚いているといった感情を抱いても、それを言葉で上手く伝えられないことがあります。
このため、他人が自分の感情を理解してくれることを期待するのも難しいのです。
うまく謝罪を表現しようと考えすぎてしまう
「うまく謝罪を表現しようと考えすぎてしまう」という特徴は、シンプルな言葉で伝えることが苦手で、ひねった表現を好む方に多く見られます。
本人に自覚がなくても、無意識にうまい表現を探してしまうアスペルガー症候群の方は少なくありません。そうした方は、「ありがとう」「ごめんなさい」といったシンプルな言葉を発するのを苦手としています。会話の相手から「遠回しな表現をするんだね」などと言われたことはありませんか?あなたの表現方法では、真意が伝わっていないかもしれません。
自分の非を認めると、罪悪感に耐えられない
「非を認めると罪悪感に耐えられないから素直に謝れない」というケースは、過去にひどく叱責されたり辛いことを言われたりした経験を持つ方に多く見られます。
明らかに本人が悪くても、非を認めてしまうとこの辛い状況を想像してしまいます。その時の罪悪感や恐怖感に耐えられないため、本能的に謝罪する状況自体を回避しようとするのです。
こうなると周囲に「反省の色がない」「生意気だ」と感じさせてしまい、仕事にも悪影響が及びます。
激しい羞恥心を感じる
発達障害を持つ方の中には、これまでに他者とあまり多く関わってこなかった方もいるのではないでしょうか。このような場合、感謝や謝罪という「気持ち」を伝えることに慣れていないため、過剰に羞恥心を感じてしまうケースがあります。
こうした方は、自分より目上の人には素直に感謝や謝罪の気持ちを伝えられても、対等もしくは目下の人にはそれができないことが多いです。
大人のアスペルガー症候群の方が「ごめんなさい」を言う方法3選
ここまで、アスペルガー症候群の方が素直に謝れない理由を解説しました。
こうした「ごめんなさい」が言えずに困っているアスペルガー症候群の方も、次の3つの方法を実践することで、少しずつ改善できる可能性があります。
- 始めに謝罪してから事情を説明する
- 小さなことでも「ごめん」と言うようにする
- 言葉以外の方法で伝える
詳しく見ていきましょう。
初めに謝罪してから事情を説明する
謝罪を伝えるのに羞恥心を伴う場合、どうしても「言い訳」と捉えられる事情を先に説明しがちです。事情を説明して、謝罪のダメージを緩和しようとするのです。
しかし、謝るのを後回しにするとさらにプレッシャーがかかります。何より、相手に誠意が伝わりません。そのため、「ごめんなさい」はできるだけ最初に言うことが大切です。そうすれば、事情についての説明も受け入れてもらいやすくなるでしょう。
小さなことでも「ごめん」と言うようにする
「ごめんなさい」と言うことを重大に考えすぎているかもしれません。そういう場合は、簡単なところから言ってみましょう。「落ちたペンを拾ってもらった」「軽く体が接触してしまった」ときなど、些細なことから伝えていくのがコツです。
「えっ!?こんな小さなことで?」と感じるかも知れません。しかし、このような些細なことでも「ごめん」が言えることが大切なことなのです。
言葉以外の方法で伝える
言葉で表現するのが苦手な場合、言葉以外のコミュニケーション手段を使うことでその弱点をカバーできます。
例えば、身振りや表情、音声のトーンなどを通じて感情を伝えることができるかもしれません。例えば、「ごめんなさい」と言えなくても、頭を下げることができれば、謝罪の意図は伝えられます。
また、行動を合わせてみることも大切です。具体的に言えば、「言葉とともに簡単なお菓子を渡す」ことや「相手が困っていた時に動く」ことで、言葉の伝わらなさを補えます。
まとめ|アスペルガー症候群は謝罪できない?
- アスペルガー症候群の方は、「他人の感情を読み取るのが苦手」「自分の感情を表現するのが得意でない」といった理由から、「ごめんなさい」を言えないことがある。
- 「ごめんなさい」が言えないと、人間関係がうまく作れなかったり、小さなミスが大きな問題になったりして困ることに繋がる。
- アスペルガー症候群の方は、小さなことから「ごめんなさい」と言うように心がけてみたり、言葉以外の方法を上手に使ってみたりすることで、弱点をカバーすることができる。
小さなことでも「ごめんなさい」を言うことから始めてみましょう。
この記事が、「ごめんなさい」と言えなくて困っているアスペルガー症候群の方の一助となっていましたら幸いです。