「思ったことがすぐに口に出てしまって、失言が多くて困っている…」
など、この記事にたどりついたあなたは、このような悩みを抱えてはいませんか?
発達障害の一種であるADHD(注意欠如・多動症)は、脳機能の発達の偏りが原因となって日常生活や社会生活に困難が発生する生まれつきの障がいです。
ADHDは「不注意」「多動性(落ち着きがない)」「衝動的な行動」という3つの傾向が挙げられている発達障害です。そのため、これらの特性がおしゃべりにも表れることでADHDの方は特徴的な話し方になることがあります。
- ADHDの方がおしゃべりを止められない理由
- ADHDの方がおしゃべりを止められなくて困ること
- おしゃべりが止まらない時の対処法や話し方のコツ
について解説していきます。
実は、私自身もADHDの診断を受けており「おしゃべりが止まらない」という症状に悩まされていたことがあります。今回の記事を通して、ADHDの方が上手にコミュニケーションを取る方法について一緒に考えていきましょう。
ADHDの方のおしゃべりが止まらない理由
ADHDの方がしゃべりすぎてしまう原因には、
- 「多動性」の特性により頭の中にアイデアや話題が次々と浮かんでくる
- 「衝動性」の特性により思いついたことをすぐ言葉にしてしまう
- 「過集中」の特性により一度始めたことに集中しすぎて周りが見えにくくなる
これらが関係していると考えられています。
ADHDの方は話題が豊富である一方で、会話の中のワードなどから発想が連鎖的に広がっていきやすい特徴があります。会話の中で気になる話題や興味がある内容があれば、衝動的に質問したり話題を転換したりすることがあるため、「おしゃべりが止まらない」「話題の本筋から遠ざかってしまう」ということが起こりやすいのです。
これらの特性から、ADHDの方は自分の考えをまとめるのが難しく、「要点を絞って端的に話す」ということを苦手とするケースがあります。
そのため、伝えたいことがあって話していたのに「ごめん、何が言いたいのかよくわからない…」と言われてしまったり、会話中に話題が二転三転してしまって何を話していたのか忘れてしまったり、といったことは、ADHDの方によくあることなのです。
おしゃべりが止まらなくて会話で困ること3選
ADHDの方には、個人差こそありますが話し方に特徴がみられることが多くあります。
そのため、ADHDの方はコミュニケーションに対して苦手意識を抱えてしまうことや、周囲の方から「話が噛み合わない・話しにくい人」という印象を持たれることがあります。
ですが、ADHDの特性により一度身に付いた話し方の特徴は、正しく自覚していても改善が難しいのです。簡単には改善できないからこそADHDという障がいの特性として扱われていると言えるでしょう。
次の項目では、ADHDの方はおしゃべりが止まらないことでどのような困りごとを抱えているのかについて整理していきましょう。
話が長すぎて相手にうんざりされる原因
ADHDの方がおしゃべりを止められなければ、
- 会話のリズムやテンポが崩れて相手が話についてこられない
- 同じ話題の繰り返しになって話が先に進まない
- 自己中心的な印象を与えてしまうことがある
などのことから、相手にうんざりされてしまう原因になります。
要点を得ない長話は理解しにくく会話の内容に興味を持たれにくいため、相手を「話はまだ終わらないの?時間がもったいない…」という気持ちにさせてしまうことがあるのです。
つい話過ぎてしまう原因はADHDの特性以外にも、
- 起こった出来事などを全て話し切りたい
- 抜け漏れなく正確な情報や考えを伝えなければ理解されないのではないかという不安
このような心理が関わっていると言われています。
話を遮ってしまいあなた自身が話の内容を理解できなくなる
ADHDの方は、会話中に相手の話をさえぎって衝動的に発言してしまうことがあります。
その結果、
- 気付いたら最初に相手が話していた内容とは違う話題になっていた
- 元の話題に戻ることができず相手の話を正確に理解できなかった
などが起こる可能性があります。
ADHDの人は話題が二転三転すると会話を理解しにくくなる傾向がありますが、ADHDの特性である「多動性」や「衝動性」がさらに会話を複雑にしてしまうのです。また、これらの特性から「失言が多い」「空気を読めない発言をしてしまう」などの悩みを抱えているADHDの方も珍しくありません。
相手の話を遮ってしまうことは「あなたの話に興味がありません」という意思表示として受け取られることもあるため、「自己中心的な人」「話を聞けない人」という評価を受ける原因にもなるのです。
結論を急ぎすぎてしまう
ADHDの方は相手の話を聞いている時に、「きっとこの人はこういうことを言いたいのだろう、それなら結論はこうなるだろう」と相手の話を聞き終わる前に、自分の頭の中で話が完結してしまうことがあります。
最後まで話を聞かずに断片的な情報のみで結論を出してしまうことがあるため、
- 相手と話が噛み合わずに「理解力がない人」と思われてしまう
- 配慮ができない冷たい人だと思われてしまう
など、誤解に繋がる原因となるのです。
また、お互いに誤解が生じてしまうことで意見が対立してしまい、「本当は違うんだ、こうなんだ」という思いからまくし立てるように話してしまうこともあるでしょう。
おしゃべりが止まらない時の対処法や話し方のコツ4選
ADHDの方は、おしゃべりが止まらなかったり一方的に話してしまったりという症状から、「コミュニケーションが苦手」「良好な人間関係を築けない」などの悩みを抱えてしまうことは珍しくありません。生きづらさを感じてしまうこともありますよね。
次の項目では、ADHDの方がおしゃべりが止まらない時の対処法や話し方のコツについて紹介していきます。
会話に区切りを作る癖を身に着ける
「少し話過ぎてしまっているかも」と感じた時は、話すことに集中しすぎないように会話を区切るタイミングを見つけることが大切です。
しゃべりすぎの防止には、具体的に下記のような方法が効果的です。
- 時計の秒針や分針を見て会話の時間を意識する
- 口元に手を当てて会話を区切る
- 「まずは」「次に」「だから」などの接続詞を意識して段落で会話を区切る
- 「あなたはどう思いますか?」などの言葉で相手への投げかけを発する
まずは、自分は話過ぎてしまう傾向があることを認識して、時間を意識して話の長さを調節できるようになると良いでしょう。
聞き手である相手の反応や態度に注目する
自分が話している時の相手の反応や態度に注目して、聞き手に配慮していることを意識的に示すよう心掛けましょう。
聞き手があなたの話に興味を示している時は、
- 「それでどうなったの?」「もっと教えて!」などの肯定的な反応が多い
- 相槌やうなずきなどの多く、積極的に会話に参加しようとする
- 視線を合わせて笑顔や驚きなどの表情をしている
このようにポジティブな反応や態度を見せることが多くなります。
一方で、聞き手があなたの話に対して失っている時は、
- 相槌やうなづきが減り、リアクションを示さなくなる
- スマートフォンや時計を気にしたり、話題を変えようとしたりする
- 視線をそらして無表情になっている
このようにネガティブな反応や態度を見せることが多くなります。
「しゃべりすぎているかも?」感じた時は、聞き手のネガティブな反応や態度に注目して、話題を変えたり相手に話す順番を譲ったりして会話のテンポを調整することが大切です。
結論から先に話すことを意識する
結論を意識して会話を進行できなければ、ADHDの方は話の目的を見失いやすく話題が二転三転する原因となり、しゃべりすぎてしまうことに繋がります。
そのため、話の内容を端的に伝えたい場合は「結論から先に話す」ことが大切です。
結論を話してから理由や詳細を補足するという話し方は、聞き手に会話を論理的に伝えられるという効果があるため、特にビジネスシーンで好まれている会話手法になります。
「会話の結論は何か?」という点を意識できると、その後に伝えるべき理由や補足情報の優先順位も明確になりやすいため、しゃべりすぎの防止に繋がります。
自分が聞き役に回るように意識する
「コミュニケーションが上手い人=聞き上手な人」と言われるほど、「聞く力」は会話において重要な要素になります。意識的に聞き役に回れるようになるとしゃべりすぎの防止に繋がることに加えて、相手に「この人は話しやすい・話を聞いてくれる」という印象を与えることができます。
聞き役に回るために意識したい点は下記の3つです。
- 相手の話に「そうなんですか」「なるほど」などの肯定的な言葉で反応する
- 相手から質問された時は聞かれたことにだけ答える
- 相手の話を批判したり、求められていないのにアドバイスを言うことは避ける
「自分の話を聞いて欲しい」という欲求は誰しもが持っているものです。この欲求をコントロールして聞き役に回れるようになると、周囲の方とより良いコミュニケーションが取れるようになります。
まとめ|一方的に話してしまう時の対処法
- ADHDの方は「多動性」「衝動性」「過集中」の特性によって、頭の中で連鎖的に発想が広がりやすく気になったことは衝動的に発言しやすいため、要点をまとめて端的に話すことが苦手でしゃべりすぎてしまうことがある
- おしゃべりが止まらないと、聞き手にうんざりされてしまったり、「自己中心的な人」などと思われたりする原因になる
- ADHDの人がしゃべりすぎないためには、「聞き手が退屈そうにしていないか?」などの相手の態度や反応に気を配ることが大切
- 先に結論を話してから補足となる情報を伝えることは、しゃべりすぎの防止に有効であり話を論理的に伝えられる効果もある
- 意識的に聞き役に回り、相手の話に共感を示すことが大切
ADHDの方のおしゃべりが止まらない原因やその対策について紹介しました。
ADHDの特性によりコミュニケーションに苦手意識を抱えてしまうと、人間関係のストレスなどから適応障害やうつ病などの精神疾患を発症する原因になることがあります。
コミュニケーションとは高度なやり取りではありますが、あなた自身がADHDの特性を理解して会話の際の意識を少し変えるだけでも、「おしゃべりが止まらない」ことに対する対策が可能なのです。
職場でのコミュニケーションについては、下記の記事でも解説しています。興味のある方は参考にしてみてください。]