この記事を読んでいる女性の方で、仕事や家事などの重要なタスクをつい後回しにしてしまうことはありませんか?
他にも、仕事や子ども関係の大事な書類を忘れてしまうなど、自分ではどうにもならないミスを繰り返してしまう方は、ADHDの可能性があります。
「怒られる場面が多くて、自信がどんどんなくなっていく…」
「ADHDの特性に当てはまるけど、どこに相談すればいい?」
などの悩みを抱えている女性に向けて、
- 大人の女性のADHDの特徴
- 女性のADHDによくある悩み
- 自分がADHDの特徴に当てはまった場合、どこに相談すれば良いのか
以上を解説していきます。
大人のADHD女性にはどんな特徴がある?
近年では発達障害の知名度も広がり、「自分はもしかしたら発達障害もしれない……」と思う方が増えています。
大人になってから診断を受けてはじめて発覚することも多く、「大人の発達障害」として知られています。これには、「幼少期の頃には見過ごされてきた特性が、年齢を重ねるにつれ生きづらさに変わっていく」という経緯があります。
ADHDは、そうした発達障害のひとつです。詳しい特徴を確認していきましょう。
ADHD(注意欠如・多動症)とは?
ADHD(注意欠如・多動症)とは、
などの特徴が目立つ発達障害のひとつです。
最近では、ADHDは脳の「前頭葉」の働きが弱いために、様々な症状が発生すると考えられています。前頭葉は、物事を順序立てて考えることやコミュニケーションを取ることなど、人間らしい行動を担っている部分です。
前頭葉の活性化には「ドーパミン」という神経伝達物質が必須になります。本来は、そのドーパミンを「ニューロン」という神経細胞が前頭葉まで運んでくれる仕組みです。
しかし、ADHDの場合はその連携が上手くいかず、前頭葉がドーパミン不足になってしまうのです。そのため前頭葉の動きが弱くなり、不注意や多動性・衝動性の特性に繋がると言われています。
ADHDは男性と女性のどちらに多い?
ADHDと診断される男女の割合は、幼少期は男の子のほうが女の子よりも3~5倍多いと言われています。ですが、成人になると男女の差はほぼなくなります。
女性は「不注意」の特性が強く出ることが多いので、良い意味でも悪い意味でも目立ちにくく、幼少期は見過ごされやすい傾向にあります。落とし物や忘れ物が多い・整理整頓が苦手・人の話を聞かないなどの特性は、「おっちょこちょいな子」「少し変わった子」で片付けられることも多いでしょう。
反対に、男性には「多動性」や「衝動性」の特性が強く出ることが多いです。じっとできない、喧嘩をしやすいといった特徴が目立つので、幼少期から診断に辿り着きやすいと考えられています。
ADHDの女性は、幼少期に診断を受けることがなかなか難しい環境にあり、生きづらさを抱えたまま大人になる方も多いのが現状です。
大人のADHD女性の「あるある」と対策
ADHDの特性は、時には日常生活に大きく影響を及ぼすことがあります。この記事を読んでいる方にも、そうした経験があるのではないでしょうか?
ここでは、大人のADHDの女性に起こりやすい、日常の困りごとや悩みをまとめました。それぞれの対応策についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
衝動買いをしやすい
ADHDの方は、衝動買いを繰り返してしまう場合があります。特に、カード支払いやネットでの買い物はお金の流れが目に見えにくいため、使いすぎに繋がります。
生活に困るレベルまで使いこんでしまうと、お金のトラブルから犯罪に巻き込まれる可能性も高くなります。特に女性は、心身ともに大きな負担になる性産業に誘導される場合もあるので、注意が必要です。
自制できないほどの買い物欲があり、生活に支障が出ている方は、精神科や心療内科に相談してみてもいいでしょう。
以下の記事でも詳しく解説しておりますので、あわせて読むことをオススメします。
予定を詰め込みすぎてしまう
自分のキャパシティを超えているのにも関わらず、仕事などを引き受けた結果、タスクを溜め込んでしまうこともあります。ADHDの方には、計画を立てたり優先順位を考えたりすることが苦手な特性があるため、このようなことが起こります。
ずっと行動しっぱなしでは、自分自身も周りの人も疲れてしまいます。意識的に休憩の予定を入れるなど、適度に休める環境をつくりましょう。また、カレンダーやスマホのリマインダーを利用すると予定が目に見えるようになり、計画的に行動しやすくなるためオススメです。
単純なミスが多い
ADHDの方は「ワーキングメモリ」が弱いとされています。ワーキングメモリとは、頭に入ってきた情報を取捨選択して、記憶したり消去したり整理する能力のことです。
この特性により優先順位を決めることが難しくなり、やらなければならないことよりも、自分が好きなことや興味があることを優先してしまいます。最終的に時間に追われてしまい、ミスをしやすくなるという悪循環が起こります。
気が散りやすかったり、逆にひとつのことに集中しすぎたりする特性もあるので、マルチタスクを求められる作業では、特にミスをしやすくなります。
仕事はもちろん、家事も常にマルチタスクの連続です。どうしても苦手な作業はパートナーに任せたり、便利な機能がある家電に任せたりして、負担を少しでも減らせる工夫をしていきましょう。
忘れ物や落とし物が多い
女性のADHDでは強く出やすい「不注意」の特性によって、忘れ物や落とし物をすることが多くなります。
仕事で使う大事な資料や子どもに関係する書類など、重要な物も忘れてしまうことがあります。何度も繰り返してしまうと、自分自身の評価が下がるのはもちろん、周りの人にも迷惑をかけてしまうので、精神的なダメージが大きいです。
昨今では、忘れ物を防止するアプリや、GPS機能がついた商品もあります。忘れ物をしてしまう回数を減らせる可能性もあるので、困っている方はこうした商品を利用してみるのもいいでしょう。
同性とのコミュニケーションが取り辛い
突発的に話し始めたり相手の話を聞かなかったりする特性から、ADHDの女性は、幼少期の頃から女の子のグループに入れないケースもあります。
特に現代は、SNSで時間や場所関係なく繋がれてしまう環境です。こまめにやり取りをすることが日常的になり、友人関係に疲れてしまうこともあるでしょう。
他者と自分の心地良い距離感を理解しておくと、関係が長続きしたりストレスが軽減されたりするかもしれません。思いがけないタイミングで仲良くなることや、共通の趣味から関係がぐっと深くなる場合もあります。SNSを活用すれば、人間関係はより広がるので、気の合う人が見つかる可能性も高くなるでしょう。
ADHDをはじめとした発達障害による影響については、以下の記事でも詳しく解説しております。
ADHD女性の特徴に当てはまった場合の相談先
ADHDの女性には、日常生活において様々な困りごとがあると分かりました。こうした特性によって精神的なストレスが強くなっている方は、まず信頼できるk機関や人に相談してみましょう。
ストレスをひとりで抱えたまま無理をしてしまうと、「二次障害」のリスクが高くなります。二次障害とは、過度なストレスから、うつ病や適応障害などの病気を引き起こしてしまうことです。
自分自身の身を守るためにも、次のような相談先を頼ることをオススメします。
精神科や心療内科
大人の発達障害については、「精神科」「心療内科」で相談できます。最近では、「発達障害外来」などを設置している病院も増えているようなので、気になる方はお近くの病院を探してみてください。
先述したように、ADHDは脳内の神経伝達の乱れから、前頭葉の機能が低下している状態です。そうした状態を改善してくれる治療薬があり、保険適用もされています。薬物療法で特性が改善される可能性があるので、まずは相談することが大切です。
他にも、カウンセリングを受けて、行動パターンやスケジュール管理などを見直す治療方法もあります。少しでも日常生活が送りやすくなるように、ネットの自己診断で終わるのではなく、まずは病院を受診してみましょう。
また、精神科においては「精神科デイケア」等のサービスを行っています。
以下の記事でも詳しく解説しておりますので、あわせて読むことをオススメします。
発達障害者支援センター
発達障害支援センターとは、発達障がい者の支援を総合的に行っている専門的な機関です。各都道府県に設置されていますが、自治体によって支援内容は変わってくるので、まずはお近くの機関を探してみましょう。
発達障害者支援センター・一覧│国立障害者リハビリテーションセンター
詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
周りの人に打ち明けてサポートしてもらう
ADHDの特性を知ってもらうことは、自分自身だけでなく周りの人にとっても、日常生活を送る上でとても重要です。何も知らない状態だと、双方に強いストレスがかかってしまうからです。
もちろん、発達障害はデリケートな問題であり、打ち明けることは人によっては簡単ではないでしょう。しかし、ADHDの特性を知ってもらうことで、双方にとってより快適な環境を作っていくことができます。
信頼できる人から少しずつ打ち明けて、サポートをしてもらえる環境に身を置くことが理想的です。
まとめ|大人のADHD女性の特徴
- 「大人の発達障害」の診断を受ける人が増えている。特に、女性のADHDは目立ちにくいので、大人になってから発覚する方も多い
- ADHDの女性は、マルチタスクが苦手で家事や仕事でミスが多い・計画的に行動できないなどといった困りごとに悩まされやすい
- ADHDの特性に困っている方はひとりで抱え込まず、精神科や心療内科、周囲の信頼できる人などに相談することが大切
この記事では、ADHDの女性の特性や困りごと、相談できる機関を解説しました。
ADHDは、決して本人の努力不足や怠けではありません。女性が担う機会が多い家事や子育てなども、特性により人一倍大変に感じることがあります。
適切な治療や工夫により改善できる可能性があるので、ADHDの特性に困っている方は、まず信頼できる人や機関に相談してみてください。日々の生活が、少しでも送りやすくなるかもしれません。