ストレスコーピングの方法とは?発達障がいや精神障がい特有のストレスへの対処法も紹介

KAORUKO

「ストレスって何だろう?ストレスに上手く対処する方法が知りたい」
「発達障がいや精神障がい特有のストレスとはどのように付き合えばいいの?」

この記事を開いているあなたは、このような悩みや疑問を抱えていませんか?

現代は「ストレス社会」と呼ばれるほど、多くの人々は日常生活の中でさまざまなストレスに直面しています。

また、発達障がいや精神障がいを抱えている方は感覚過敏や社会的孤立、対人関係の困難など、障がい特有のストレス要因に悩まされることが多いです。では、こうしたストレスにどのように対処すれば良いのでしょうか?

  • ストレスとその種類について
  • ストレスコーピングとは何か
  • 発達障がい・精神障がいを抱える方のコーピング

について解説します。

ストレスとは?代表的な3つのストレッサー

勉強疲れ、失敗イメージ

世間では、苦痛やイライラを感じたときに「ストレスを感じる」「ストレスが溜まる」という表現が使われます。

元々「ストレス」という言葉は、外部からの圧力によって物体が歪む状態を指す物理学の用語でしたが、次第に医学の世界で刺激に対する体や心の反応を「ストレス反応」、その原因となる刺激や要因を「ストレッサー」と呼ぶようになりました。

ストレッサーにはさまざまな種類がありますが、分類に明確な定義はありません。

ここでは厚生労働省のHPの情報を参考に、大まかに3つに分けて紹介します。

ストレス|eヘルスネット|厚生労働省

物理的・化学的ストレッサー

物理的・化学的ストレッサーは体の外からの物理的影響によるストレスで、主に五感に関わるストレスが多いです。

例として、下記のようなものがあります。

  • 物理的ストレッサー
    強い光や騒音、暑さと寒さや湿気など
  • 化学的ストレッサー
    タバコ臭やアルコール臭、空気汚染など
  • 障がい特有のストレッサー
    感覚過敏によるストレス

生理的・身体的ストレッサー

生理的・身体的ストレッサーは体の中で発生するストレスで、主に体の不調に関わるストレスが多いです。

例として、下記のようなものがあります。

  • 生理的ストレッサー
    病気や体調不良、栄養不足など
  • 身体的ストレッサー
    ケガや睡眠不足、疲労など
  • 障がい特有のストレッサー
    不眠など、障がい由来の困りごとが表れることによるストレス

心理的・社会的ストレッサー

心理的・社会的ストレッサーは、主に精神的負担や心への刺激などによるストレスです。

例として、下記のようなものがあります。

  • 心理的ストレッサー
    不安や恐怖、怒りやプレッシャーなど
  • 社会的ストレッサー
    人間関係、仕事や学業、経済的な問題など
  • 障がい特有のストレッサー
    社会的孤立、対人関係のストレスなど

ストレスコーピングとは?代表的な方法5選と具体例を解説

ストレスマネジメントは大事!

「コーピング」には「対処する・切り抜ける」という意味があり、ストレッサーに対処するための行動や手法のことを「ストレスコーピング」と呼びます。

コーピングに絶対的な正解はなく、問題解決や感情のコントロール、社会的支援の活用など、ストレッサーや自分の能力、環境に応じて方法を調整することが重要です。

この項目では、代表的なストレスコーピングの方法を5つとその具体例を紹介していきます。

問題焦点型コーピング

問題焦点型コーピングは、自らの力でストレッサーを回避したり取り除いたりすることで、問題解決や状況の改善を図る方法です。このコーピングは、根本的な問題に直接取り組むため、解決されることでストレッサーをなくす、または軽減することができます。長期的なストレッサーであるほど良い恩恵が得られるでしょう。

ただし、ストレッサーに直接取り組むため、精神的負担がかかることがあることに注意が必要です。

具体例としては、

  • 残業続きでストレスが溜まっている場合、計画を見直したり業務量を調整したりする
  • 苦手な人との関わりがストレスとなっている場合、その人から意識的に距離を取る

などが挙げられます。

ほかにも、パソコンやスマホなどの電子機器にトラブルがあった場合、自ら対処法を調べて解決することも問題焦点型コーピングと言えます。

社会的支援探索型コーピング

社会的支援探索型コーピングは、ストレッサーについて周囲の方に相談したり支援を求めたりすることで、問題を共有してストレスの軽減を図る方法です。周囲の力を借りながらストレッサーの回避や除去を試みるという違いはありますが、先述の問題焦点型コーピングの1種として位置づけられています。

社会的支援探索型コーピングでは、周囲と協力したり客観的なアドバイスを得ることで精神的負担が軽減したり新しい解決方法を見つけられるかもしれません。

具体例としては、

  • 残業が多いことを上司や同僚に相談して、業務量の調整や業務分担を行う
  • 人間関係について上司に相談して、良好なコミュニケーションが取れる環境を作る

 
などが挙げられます。

また、同じような問題を抱える方や経験者と交流し、対処法やアドバイスを求めることも社会的支援探索型コーピングと言えます。

情動焦点型コーピング

情動焦点型コーピングは、ストレッサーによって生じた感情を誰かに話したり共有したりしてストレスを軽減する方法です。根本的な問題の解決が難しい場合や、解決に時間がかかる場合に自分自身の感情をコントロールして、ストレスとうまく向き合っていく方法です。

具体例として、

  • イライラや落ち込んでいるときに友人や家族に話を聞いてもらったり、励ましてもらったりすること

 
などが情動焦点型コーピングと言えます。

認知的再評価型コーピング

認知的再評価型コーピングは、ストレッサーに対して見方を変えて前向きに受け止め、自身の考え方を変えてストレスを軽減させる方法です。いわゆる「ポジティブシンキング」と呼ばれる考え方もこれに当てはまり、自然にできる方もいれば、意識しても難しい方もいるでしょう。

具体例として、

  • 仕事で失敗したときに「成長するチャンス」として受け入れる
  • 勉強がつらいときに、目標達成した未来を想像してやる気を出す

などが挙げられます。

ストレス解消型コーピング

ストレス解消型コーピングは、運動や趣味を楽しんだり、好きなことに没頭するなど、気分転換によってストレスを解消する方法です。ストレスコーピングの中では、特に意識せずとも普段から行っているコーピングと言えますが、意識してそういった時間を増やすことでより良い恩恵を得られるかもしれません。

具体例として、

  • ヨガやマッサージなどでリラックスする
  • 音楽や食事などを楽しむ

 
など、ストレス解消の方法は多岐に渡ります。

発達障がいや精神障がいを抱える方のコーピング方法3選

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前の項目では、ストレッサーと対処法について説明しましたが、ここからは発達障がいや精神障がいがある方のコーピングについて解説していきます。

解決に向けた意思を持ち、適切なコーピングを実践する

障がいの特性やそれによるストレッサーは複雑で、日々理解を深めて改善に向かう気持ちを持つことが大切です。

基礎的な部分ではありますが、どんなコーピングも「解決に向けた意思」を持つことが重要です。適切にストレッサーを解決できなければ、うつ病などの精神疾患の発症や症状の悪化に繋がる危険があるため、気づけば危機的な状況に陥ることもあるかもしれません。

自分を責めたり物事を悲観的に考えたりせず、周囲のサポートや支援制度を活用しながら適切なコーピングを実践しましょう。

コーピングリストを作成する

コーピングリストとは、ストレスを感じた時の自分に合ったコーピング方法を見つけておき、リスト化したものです。

ストレスを感じたときに実践したいことや、ストレス発散になる方法を思いつく限りメモに書き出し、いざというときにそのリストを参考にして対処していきます。

また、実践した後にどれだけ効果的だったのかを考え、より良いコーピングを実践していきます。

コーピングリストを作成することでストレスに対して適切な対処をすることが徐々に習慣化されていくため、ストレスコーピングに効果的です。

周囲の助けや支援機関を利用する

障がいの特性やストレスを乗り越えるためには、周囲の協力が不可欠です。家族や友人、職場の同僚など、信頼できる方々に自分の状況を理解してもらい、サポートをお願いすることを忘れてはいけません。

また、下記のような支援機関を利用することも方法の1つです。

  • 精神保健福祉センター
  • 発達障がい者支援センター
  • 障がい者就業・生活支援センター

順番に見ていきましょう。

精神保健福祉センター

精神保健福祉センターは、障がいの有無に関わらず、こころの不調や社会復帰の悩みなど、精神医療やこころの健康などについての相談を受け付けている支援機関です。各都道府県に設置されており、本人に限らずご家族からの相談も受け付けています。

メンタルヘルスに関する相談であれは、「病院に行くべきか」「悩みを聞いてほしい」「どうすればいいかわからないが、なんとかしたい」といった内容でも、福祉士や心理士などの専門職員に対応してもらえます。

全国の精神保健福祉センター|厚生労働省

発達障がい者支援センター

発達障がい者支援センターは、発達障がいを抱える方やその傾向がある方が社会生活を円滑に送るために設置された専門的な機関です。

発達障がいの特性や生活上の悩みを持つ本人やその家族などに対して、福祉制度や医療機関との連携も視野に入れつつ、総合的な支援を行っています。

発達障がい者支援センターについては、下記の記事で解説しています。

障がい者就業・生活支援センター

障がい者就業・生活支援センターは、障がいのある方が就業と日常生活の両面で自立できるように総合的なサポートをする機関です。令和6年4月時点で全国に337か所設置されています。

「なかぽつ」とも呼ばれており、日常生活の自己管理や改善のために、必要に応じて支援機関や医療機関との連携も行われています。

障がい者就業・生活支援センターについては、下記の記事で解説しています。

まとめ|障がい特有のストレスとストレスコーピング

  • ストレスの原因はストレッサーと呼ばれ、「物理的要因」「生理的・身体的要因」「心理的・社会的要因」などの種類がある。
  • ストレッサーに対処する行動や手法のことを「ストレスコーピング」と呼び、さまざまな手段があるためストレッサーや自分の能力、環境に応じて方法を調整することが重要。
  • ストレスに対する適切な対処ができなければ、うつ病などの精神疾患の発症や悪化に繋がるリスクが高まるため、ストレスコーピングのスキルを身に付けることが大切。
  • 発達障がいや精神障がいがある方は、特に周囲との協力や支援機関の利用も考えよう。

ストレッサーとコーピング、そして発達障がいや精神障がいがある方のストレスコーピングについて解説しました。

ストレスの要因は1人ひとり異なるため、自分自身でストレッサーや状況を理解し、適切なコーピングや対処法を考える必要があります。

また、自分1人で抱え込まず、周囲の助けや支援機関を利用することも大切です。

自分に合った方法を見つけ、少しずつでも前向きに取り組んでいきましょう。

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