人との距離感がわからない原因は発達障害?具体的な対処法を5つ解説

KAORUKO

「職場で友達言葉を使ったら、相手を怒らせてしまった」
「異性に距離が近いと言われて、嫌な顔をされてしまった」

などの経験はありませんか?

大人の発達障害の方の中には、人との適切な距離感がわからずに困っている方がいらっしゃいますよね。

ここでいう距離感とは、物理的な距離と心理的な距離の両方を指しますが、人に不快感を与えない距離感は曖昧で理解しにくいため、戸惑ってしまいますよね。

人との距離感に苦労しているあなたに向けて

  • 人との距離感がわかりにくい2つの発達障害
  • 人との距離感がわからないと起こり得るトラブル
  • 大人の発達障害でも人との適切な距離感をつかむ方法

について解説します。

人が不快に思わない距離感を学び、良好な人間関係を築くための参考にしていただければ幸いです。

人との距離感がわかりにくい2つの発達障害

2つ 手 ジェスチャー 男性_s

職場やプライベートで関わる人との適切な距離感がわからないのは、発達障害が原因の可能性があります。

人との適切な距離感がわかりにくい発達障害としては、

  • 自閉スペクトラム症(ASD)
  • 注意欠如・多動症(ADHD)

こちらの2つが挙げられます。

発達障害を持っている方は、人間関係や対人コミュニケーションを苦手とする傾向があります。この傾向が、人との適切な距離感をわからなくさせてしまう状態に繋がっているかもしれません。

そのため、相手を不快にさせてしまうことが多かったり仕事に支障が出たりしている場合には、発達障害の可能性が高くなるでしょう。

次の項目では、「ASD」や「ADHD」だと、なぜ人との距離感がわかりにくくなるのか、詳しく解説していきます。

自閉スペクトラム症(ASD)

ASDの方は、

  • 表情やジェスチャー、声のトーンから相手の気持ちを理解することが苦手
  • 冗談や曖昧表現を理解するのが苦手
  • 相手の様子を伺わずに一方的に話し続けてしまう

などの性質が表れやすいです。

その結果、

  • 相手の嫌がっている表情や社交辞令がわからずに近づいてしまう
  • 「自分のことをわかってくれる」と感じた人には出会ったばかりでも馴れ馴れしく接してしまう

などが起こりやすくなります。

ASDの方に見られやすい「共感能力が低さ」が、人との適切な距離感をわかりにくくしていると考えられます。

注意欠如・多動症(ADHD)

ADHDの特性の1つに「衝動性」があります。衝動性とは、思いついたことや外部の刺激に対して衝動的に行動、反応してしまう特性です。

ADHDの方は衝動性が原因で、

  • 思いついた言葉をすぐに口に出してしまい相手を傷つけてしまう
  • 適切な段階を踏まずにプライベートな質問をしてしまう
  • 会話のタイミングを掴むことや空気を読んで発言することが苦手

などの性質が表れやすいです。

その結果、ADHDの方は興味のある相手に衝動的に話しかけてしまい、一方的にコミュニケーションを取ってしまうことがあります。

初対面の相手なのにも関わらず、プライベートについての質問をしてしまうことから、いきなり距離感を詰めすぎて相手を困らせたり馴れ馴れしい印象を持たれたりすることに繋がるのです。

人との距離感がわからないと起こりうるトラブル

トラブル

コミュニケーションにおいて人と適切な距離感がわからないと、相手を不快に思わせてしまったり、トラブルの原因になったりしますよね。

具体的には、

  • 社外の方に対して馴れ馴れしい言葉遣いをしてしまい、相手を怒らせてしまう
  • 信頼関係を築いていないのにも関わらずボディータッチをしてしまい、相手に不快な思いをさせてしまう
  • 悪気なく相手のコンプレックスを指摘してトラブルに発展してしまう

などがあります。

人との距離感を間違えると会社に迷惑がかかるだけではなく、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントなどの犯罪につながることもあります。

相手に誤解を与えてトラブルに発展しないためにも、対処法をしっかりと確認しましょう。

大人の発達障害でも人と適切な距離感をつかむ方法5選

同僚と昼食をとる男性ビジネスマン

ここでは大人の発達障害の方でも人と適切な距離感をつかむための方法をご紹介します。

  • 対人距離は1.2m〜3.5mを基準にする
  • 敬語を使う
  • プライベートな話題を質問しない
  • 相手の外見についての話をしない
  • 専門家や相談窓口に相談する

順番に見ていきましょう。

対人距離は1.2m~3.5mを基準にする

対人距離とは、他人が接近してきた時に不快と感じてしまう空間のことで、パーソナルエリア、パーソナルスペースとも呼ばれています。 対人距離は人間関係や場面によって変化しますが、多くの方は相手との物理的な距離感を保ちながらコミュニケーションを取っています。

具体的な距離感は、アメリカの文化人類学者エドワード・ホールの研究である「対人距離の分類」を参考にしてみてください。

対人距離の分類
密接距離:0~45cm
  • 簡単に体に触れることができる距離
  • 家族や恋人など親しい方がこの距離にいることは許されるが、それ以外の人がこの距離に近づくと不快に思う
個体距離:45cm~1.2m
  • お互いの表情が読み取れるかつ、二人が共に手を伸ばせば相手に届く距離
  • 友達同士の個人的な会話では、この程度の距離がとられる
社会距離:1.2m~3.5m
  • 体に触れることができない距離
  • 同僚や上司と接するときにとられる距離
  • 仕事の会議や打ち合わせなどの場面で使われる距離
公衆距離:3.5m以上
  • 講演会や公式な場での対面の時にとられる距離

この表から分かるように、職場の方や関係が深くない方と会話をする場合は、1.2m〜3.5mの範囲を基準にすると良いです。

一定の距離感を保つことで、相手は安心した状態であなたと会話することができるでしょう。

ただ、業務の中では

  • 名刺交換をする
  • お茶を出す
  • 上司や同僚に相談する

など、相手との距離が近くなる場合もあるでしょう。

その際は、「失礼いたします」や「今、お時間はよろしいでしょうか?」など、相手に一言伝えると良いですね。

急に相手に近づくと、相手を驚かせてしまったり不快に思わせてしまったりする原因になります。一言だけでも前置きを挟むことで相手は話す準備ができ、あなたと安心してコミュニケーションが取れるでしょう。

敬語を使う

職場の方や関係が深くない方との会話は、敬語で話しましょう。敬語は相手に敬意を示す言葉である一方、相手と心理的な距離を取るために使われる言葉でもあります。

上司や社外の方にはもちろんのこと、同僚や関係が深くない方との会話も敬語を基本にすると良いですね。

敬語を使うことで、馴れ馴れしい言葉遣いが原因で相手を怒らせてしまうことは減るでしょう。

プライベートな質問をしない

相手とトラブルにならないために、初対面の方と話すときはプライベートな質問をしないことも大切です。

具体的には、

  • 休みの過ごし方や趣味などの行動について
  • 家族のことや恋人の有無

などのプライベートな話題は、人間関係を深めるために必要なときもありますが、人によっては個人的な話をしたくない方もいらっしゃいます。

相手と親しくなるまでは、プライベートな話題は相手に質問された時に返答する程度が丁度良いでしょう。

相手の外見についての話をしない

相手とトラブルにならないためにも、

  • 相手の髪型や顔などの容姿
  • 相手の服装

など、外見について話題は避けるのが無難です。

自分の外見に何らかの悩みを抱えている方は8割を超えていることが分かっているため、多くの方にとって外見の話題はセンシティブなテーマです。

相手を褒めるつもりで言った言葉でも、相手がコンプレックスに感じている場合は相手を傷つけたり、不快に思わせたりしてしまいます。

専門家や相談窓口に相談する

あなたが人との適切な距離感がわからずに困っていたり、仕事に支障が出たりしているならば、専門家や相談窓口に相談することも大切です。

専門家や相談窓口に相談することで、あなたが抱えている生きづらさが軽減される可能性があります。

具体的には、

  • 「精神科」や「心療内科」の医師
  • 障害者就業・生活支援センター、発達障害者支援センター

などの専門家や相談窓口に相談してみてください。

発達障害の特性についての相談

発達障害の特性については、「精神科」や「心療内科」の医師に相談してみましょう。発達障害の検査や診断を通して、医師があなたの特性・性質を判断してもらえます。

あなたに適した治療を受けることで今の状態が改善されたり、ストレスが軽減されたりするでしょう。

発達障害についての相談窓口

障害者就業・生活支援センターや発達障害者支援センターは、発達障害のある方を総合的に支援してくれる専門機関です。

日常生活や仕事、人間関係などの困りごとの相談に応じています。

専門機関で適切なサポートを受けることで、生きづらさを軽減できるでしょう。

障害者就業・生活支援センターについては、下記に詳しい情報があります。

発達障害者支援センターについては、下記の記事で紹介しています。

まとめ|発達障害と人との距離感の取り方

  • 人との適切な距離感がわからないことが原因で仕事に支障が出たり、相手を不快にさせてしまったりする場合は、発達障害の可能性がある。
  • 自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)の「人間関係」や「対人コミュニケーション」の苦手さが、人との適切な距離感がわからないという特性を助長させている可能性がある。
  • 人との適切な距離感がつかめないと会社や異性との間でトラブルが起きることもあるため、対処法を学ぶことが大切。
  • 人との適切な距離感をつかむためには、対人距離は1.2m〜3.5mを基準にする、敬語を使う、プライベートな質問をしない、相手の外見についての話をしない、専門家に相談する、などの方法が効果的。

人との適切な距離感はわかりにくいかもしれませんが、対処法を実践して職場やプライベートで良好な人間関係を築いていきましょう。

この記事が、あなたの生きづらさを減らすための一助になれば幸いです。

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