
「うつ病と診断されて転職を考えているけれど、向いている仕事はないかな?」
この記事を開いたあなたは、このような悩みや疑問を抱えていませんか?
うつ病を抱えながら仕事を探すのは、決して簡単なことではありません。
しかし、自分のペースや体調に合わせた仕事を見つけることで、社会とのつながりを保ちながら自分らしい生活を送ることができます。
- うつ病とはどんな病気か?
- うつ病の方が仕事で抱える悩み
- うつ病の方に向いている仕事・向いていない仕事
- うつ病の方が仕事を探す時のポイント
- うつ病で働くことが難しいときの支援制度
について、詳しく解説していきます。
自分に合った環境を見つけるためのヒントとして、参考にしてみると良いでしょう。
うつ病とはどんな病気?あなたは当てはまる?
厚生労働省が運営するメンタルヘルスについてのサイトでは、うつ病の特徴として下記の症状を挙げています。
- 悲しく憂うつな気分が一日中続く
- これまで好きだったことに興味がわかない、何をしても楽しくない
- 食欲が減る、あるいは増す
- 眠れない、あるいは寝すぎる
- イライラする、怒りっぽくなる
- 疲れやすく、何もやる気になれない
- 自分に価値がないように思える
- 集中力がなくなる、物事が決断できない
- 死にたい、消えてしまいたい、いなければよかったと思う
上記のうち、1か2を含む5つ以上の状態が、2週間以上続いている場合、うつ病の可能性があります。
うつ病は誰でも発症することがある身近な病気であり、うつ病を抱えたまま働くのは簡単なことではありません。
「うつ病かもしれない」と感じた時は、1人で抱え込まずに精神科や心療内科を受診しましょう。適切な治療や支援を受けながら、あなたに合った仕事を探していくことが大切です。
精神科と心療内科との違いは下記の記事で解説しています。
うつ病の方が仕事で抱える悩みとは?
うつ病になってしまうと、意欲が低下して仕事にさまざまな悪影響が出てきます。
うつ病を抱えながら働いている方が抱える悩みとして、主に下記が挙げられます。
- 仕事でのミスが増える
・仕事に集中できなくなったり、注意力が散漫になったりする - 他人との関わりを避けるようになる
・うつ病には他人との関わりやコミュニケーションを避ける症状がある
・職場で孤立しやすくなるため、業務の連絡がうまくできなくなる - 遅刻や当日欠勤が増える
・うつ病の症状は、朝に強く出る傾向にある
・朝気分が落ち込み仕事に行きたくない、ベッドから起きられないことも
そのため、うつ病のまま働き続けると、
「以前のように仕事ができないことに強いストレスを感じてしまう」
などが積み重なり、より大きな悩みを抱えてしまう場合もあります。
うつ病の方でも働ける4つの労働条件とオススメの仕事
先述した通り、うつ病は仕事に悪影響が出ますが、うつ病を抱えながらでも仕事をすることはできます。しかし、辛い仕事に耐えながら働き続けるのは、症状の悪化や他の精神疾患を併発する危険があるため、絶対に避けるべきです。
そのため、うつ病の診断は、これまでの仕事やライフスタイルを見直すきっかけとも言えるでしょう。
この項目では、うつ病の方に向いている仕事を紹介していきます。
自分のペースで取り組める「在宅ワーク」
まず、うつ病の症状には、
- 朝方に抑うつ症状が表れやすく、午後になるにつれて改善しやすい
- 日によって気分の浮き沈みの激しさに波が見られやすい
などの特徴があることを理解しましょう。
その上で、症状に合わせて「自分のペースで働ける仕事」を軸に仕事を探すことが大切です。
症状が強く表れる日は、意欲や集中力の低下から満足に仕事ができないこともあります。その時に無理をしなくてもいいように、業務の調整ができる「在宅ワーク」の仕事がオススメです。
- システムエンジニア
- プログラマー
- Webライター
- Webデザイナー
- 翻訳家 など
最低限のコミュニケーションで良い仕事
うつ病の症状が強く出ていて抑うつ状態にあるときは、人とのコミュニケーションを取りたくないと感じやすくなります。他人に気を遣ったり、周囲を気にしてしまったり、など人と関わることに強いストレスを受けてしまうからです。
そういったストレスを避けるために、コミュニケーションが少ない仕事を選ぶのも1つの選択肢です。
- システムエンジニア・Webライターなど、在宅ワークの仕事
- 清掃員
- 農家や自然関係の仕事
- 配達員
- 研究職
- データ入力等の事務職
- 検針員 など
マニュアルに沿って進められる仕事
マニュアルに沿って進められる仕事は想定外の状況や対応が少ないため、うつ病の方でも働きやすい特徴があります。業務の具体的な手順は「マニュアルを見ればわかる」ことが多いため、精神的な負担も受けにくく安心して業務に取り組めるでしょう。
- 清掃員
- 配達員
- 工場のライン作業
- オペレーター
- データ入力等の事務職
- 検針員 など
短期で行える仕事
うつ病を抱えながらフルタイムで仕事をすることに、不安を感じている方もいますよね。その場合は、いきなりフルタイムから働くことはせず、短期で働ける仕事から始めてみるのも良いでしょう。
短期で働ける仕事としては、派遣やアルバイトが挙げられます。このような仕事は労働期間や労働日数を自分で決めることができます。短期の仕事を行い、自分に合う仕事を見つけるのも1つの手です。
- データ入力等の簡易事務
- 軽作業(工場のライン作業・倉庫整理)
- イベントスタッフ
- 飲食店スタッフ
- コンビニやスーパーのアルバイト など
うつ病の方に向いていない仕事|3つの特徴
うつ病の方にオススメの仕事は先述した通りですが、うつ病の方に向いていない仕事もあります。
うつ病の症状や程度は人によってさまざまですが、この項目ではうつ病の方には負担になりやすい仕事を紹介していきます。
納期が厳しい仕事
納期が厳しい仕事の場合、納期に追われるプレッシャーからストレスを受け、うつ病が悪化するリスクがあります。特に、「クリエイティブな仕事」や「技術職」の場合は納期に厳しい仕事が多いため注意が必要です。
また、在宅ワークは自分のペースで働ける点や人との関わりが少ないというメリットはありますが、納期によっては進捗の管理を徹底しなければいけないデメリットもあります。仕事がスムーズに進まなければ、残業や睡眠時間を削って働く必要もあるでしょう。
あなたが希望している仕事に納期が存在するなら、
「自分の技術や作業スピードで間に合うのか?」
を面接などでしっかり確認することが大切です。
ノルマがある仕事
ノルマがある仕事の代表例として、営業職・販売員が挙げられます。
このような仕事では、「高いノルマが設定されている・コンスタントなノルマ達成を求められる」場合が多く、うつ病の方に向いていない可能性があります。
特に営業の仕事の場合、訪問先へ何度も足を運び、自社が扱う商品の良さを伝え、顧客から信頼を得てようやく契約を獲得できるというケースが一般的です。ベテランであっても苦労することが多く、仕事が思うような結果に結びつかず、ノルマに追われて体調を崩してしまう方は珍しくありません。
また、顧客から信頼を得るためのコミュニケーション能力だけでなく、ノルマ達成に向けて職場の方との協力や連携が必要となる場合は、うつ病の方にとって厳しい労働環境となるでしょう。
うつ病の方にとってはメンタルだけでなく体調も崩しやすいため、あまりオススメできない仕事です。
人と関わることが多い仕事
多くの人と関わることが多い仕事の例としては、営業職・接客業などが挙げられます。
人と関わる事が多いということは、職場内での対人関係トラブルの発生や、相手の期待に応えるためにプレッシャーを感じる機会が多くなるということでもあります。
特に、営業職や接客業では自分のミスがクレームに発展しやすいため、コミュニケーションで相手に気を遣う場面が多いです。また、時間を相手に合わせて働く必要があるため、自分のペースで働くことが難しく、激務に陥りやすい傾向もあります。
このような点からうつ病の方にとって、多くの方と関わる仕事は精神的に大きなエネルギーを使うことになるため、負担が大きくなりやすいです。
うつ病の方が仕事を探すときのポイント5選
ここまでは、うつ病の方にオススメの仕事、向いていない仕事を紹介してきました。それでは、うつ病の方が仕事を探す時、どんなことに気を付けて探せば良いのでしょうか?
この項目では6つに分けてご紹介します。
長く働き続けられそうか?
うつ病の方は、先述した「オススメの仕事」と「向いていない仕事」の条件を整理し、長く働き続けられる仕事を選ぶことが大切です。
短期離職を繰り返してしまうと、再就職に向けた活動がさらに大きなストレスにつながりやすくなります。就職の度に環境が変化し、人間関係の再構築が必要になるのも、大きなエネルギーを使う原因となります。
就職した会社が自分には合わない場合、無理をして続ける必要はありません。しかし、何度も離職を繰り返すのは自身のストレスになるだけでなく、企業側に良くない印象を持たれる要因にもなります。
仕事を選ぶ段階では、給料などの条件より自身が長く働き続けられる仕事・環境を優先しましょう。
うつ病に理解があるか?
うつ病に理解がないと、自分が体調が悪いとき「怠けている」と捉えられてしまう可能性があります。
そのため病気や障がいに理解があり、一定の配慮を求められる職場を探すのも1つのポイントです。自分が働き出して、もし体調を崩すことがあっても、病気や障がいに配慮がある会社であれば、カウンセリングを受けたり、その人に合った合理的な配慮を受けたりできます。
その他、定期的に病気や障がい、メンタルヘルスに関する研修を取り入れている会社もあり、そういった会社の従業員は病気や障がいに対する理解が高い傾向にあります。
職場の理解度が高いと、自分が辛いとき、周りへ助けを求めやすくなるでしょう。
働き方は柔軟か?
うつ病は日によって症状に波がある病気です。天気・気圧・寒暖差などの変化による体調不良の影響を受けやすく、調子が良い日もあれば、気分が落ち込み無気力になる日もあります。
そのような時のために、
- 体調に合わせて時短勤務に変更できる
- 出勤時間を遅らせるなどの時差出勤が可
- 勤務時間ではなく成果で仕事を評価する裁量労働が可能
などの柔軟な働きができる職場であれば、比較的無理をせずに仕事を続けられるでしょう。
また、福利厚生が整っている会社であれば、体調が悪いときに有休を利用して休養をとることも可能です。
就労条件が合っているか?
給料・休日の日数・昇給などの待遇や、通勤時間・経路、残業時間などの労働条件を自分に当てはめ、就職したい会社が無理のない範囲で働ける職場なのかを判断することも、うつ病の方には非常に重要です。
転職事例として、下記2つの会社を比べてみましょう。
以前の会社A | 新しい会社B | |
---|---|---|
通勤時間 | 10分 | 1時間以上 |
通勤手段 | 徒歩 | 電車 |
残業 | 多い | 無い |
休日 | 少ない | 多い |
給料 | 高い | 低い |
以前の会社A | 新しい会社B | |
---|---|---|
通勤時間 | 10分 | 1時間以上 |
通勤手段 | 徒歩 | 電車 |
残業 | 多い | 無い |
休日 | 少ない | 多い |
給料 | 高い | 低い |
以前の会社Aで残業の多さと休日の少なさから疲弊してしまい、うつ病を発症し退職したとします。次の会社はうつ病の原因となった、残業と休日の数に着目し、それ以外の事は仕方ないと妥協して新しい会社Bを選択しました。
ですが、実際に働いてみると、
「朝は満員電車で憂鬱になる」
「残業は無くなり休みは多くなったが、給料が少なく生活が苦しい」
などの新しい不満やストレスが出てくる可能性があり、うつ病の再発や悪化につながることも考えられます。
そのため、全て希望通りの条件が揃った職場を見つけるのは難しいですが、あなたが大切にしたい労働条件に優先順位を付けて、その労働条件で働いたらどのような生活になるかをイメージしながら仕事を探しましょう。
興味のある仕事か?
自分にとって興味がある仕事かどうかも大切なポイントです。
例えお金の為であっても、興味がない仕事を続けることはストレスを溜める要因になります。一方、興味がある仕事であれば集中力を発揮しやすく、楽しく働くことができ、モチベーションも保ちやすいです。
自分のこれまでを振り返り、得意な事、好きな事、興味・関心がある事を考えながら仕事を選んでいきましょう。
うつ病で働けない時に利用できる就労支援サービス3選
うつ病により、「正社員を目指すのが不安」「働けないかもしれない」と感じた時は、就労支援サービスを利用するのも1つの選択肢です。
この項目では、就労支援サービスについて詳しく見ていきましょう。
就労支援サービスは主に3つあります。
- 就労継続支援
・就労継続支援A型
・就労継続支援B型 - 就労移行支援
就労継続支援
就労継続支援とは、障がいや難病などのために一般就労が困難な方を対象として、働く機会や場所を提供する障がい福祉サービスです。障がいによる困りごとや体調に合わせて自分のペースで働けるほか、就労を通したスキルアップを目指すことができます。
就労継続支援はA型とB型で共通する点が多く、
- 就労機会の提供
- 職業指導
スキルや知識の指導、能力向上に必要な訓練 - 就労支援
就職活動のサポート、職場での適応を助ける支援 - 生活支援
健康管理など日常生活における支援、社会参加の促進
などの支援を行うことで、障がい者の自立や社会参加を促進することを目的としています。
就労継続支援A型
就労継続支援A型の主な特徴は、利用者と事業所が「雇用契約」を結び、「賃金」を受け取る形で働くことができる点です。A型では一般企業と同様の労働条件が適用されるため、最低賃金が保証されています。働く時間は事業所によって異なりますが、一般企業での労働時間より短く設定されていることが多く、残業もほとんどありません。
A型の給料のみでの生活は難しいですが、障がい年金と合わせることで経済的な安定を図りつつ、自立した生活を目指すことができます。障がい者雇用で働く前の準備段階として、就労継続支援A型で働くのも選択肢の1つとなるでしょう。
書類整理などの事務作業や清掃業務、データ入力、近年ではWebサイト制作などのIT分野など、A型事業所が行う仕事は多岐に渡っており、事業所によって異なります。
障がい者や病気のある方がA型事業所での支援を通して経験を積むことで、一般企業への就職を目指すためのサポートを受けられます。
就労継続支援B型
就労継続支援B型の特徴として、利用者と事業所が「雇用契約」を結ばず作業を行う点があります。雇用契約を結ばないので「賃金」はありませんが、「工賃」を受け取ることができます。「工賃」は「賃金」とは異なり、最低金額の保証がされていません。令和4年度の工賃平均時給は「243円」となっています。
B型で働く時間は、事業所にもよりますが「週に1度」や「1日1時間程度から」の利用が可能です。雇用契約を結ばないため、A型よりも働く時間を短くできるので、体調が安定しない時には日数や時間を減らす働き方ができます。
B型では、軽作業や手工芸、パン・菓子の清掃・販売などの作業が行われています。
B型で働く習慣を身につけ、A型への移行を目指す方も多いです。ただ、利用対象に年齢制限がないので、A型よりも「障がい福祉サービスを受ける場所」の意味合いが大きい傾向にあります。
A型、B型ともに、働く感覚を身につけ、就職を目指すための準備段階と言えます。
就労移行支援
障がいや病気がある方の就労を支援する障がい福祉サービスとして、就労継続支援のほかに「就労移行支援」があります。就労移行支援は、障がい者雇用を含む一般就労に向けた就職活動の支援に特化したサービスです。
利用にあたり賃金や工賃は発生しませんが、最大2年間を目安として、
- 就職のために必要な知識やスキルを身につける訓練
- コミュニケーションに関する講座
- 自分の障がいに対する理解を深めるための面談
- 履歴書や職務経歴書など、応募書類の添削
- 面接練習などの就職活動の対策 など
を受けることができます。正社員での就職を目指す場合は、先述した就労継続支援A型・B型よりも、就労移行支援を利用する方が近道となる場合もあります。
いずれの就労支援も、障がいがある方や病気を抱えている方の働きたい気持ちをサポートする点は同じなので、自分の状況に合わせて適切な支援を選択することが大切です。
まとめ|うつ病の方に向いている仕事とオススメの労働条件
- うつ病とは、「意欲の低下」「無気力」「判断力の低下」などのさまざまな症状が表れる、誰でも発症する可能性のある身近な病気。
- うつ病の方は仕事で、「ミスが増える」「他人との関わりを避けるようになる」「遅刻や当日欠勤が増える」などの悩みを抱えやすい。
- うつ病の方に向いている仕事としては「自分のペースで取り組める在宅ワーク」「最低限のコミュニケーションで良い仕事」「マニュアルに沿って進められる仕事」「短期で行える仕事」が挙げられる。
- うつ病の方に向いていない仕事の特徴は「納期が厳しい」「ノルマがある」「人と関わることが多い」ことが挙げられる。
- うつ病の方が仕事を探す時は「長く続けられそうか?」「うつ病に理解があるか?」「働き方が柔軟か?」「労働条件が合っているか?」「興味のある仕事か?」のポイント5つに着目すると良い。
- 一般企業で働くことが難しい時に受けられる就労支援制度として「就労継続支援A型」「就労継続支援B型」「就労移行支援」がある。
うつ病は無理をして働き続けると、気づかないうちに悪化してしまう怖い病気です。
決して1人で抱え込んで働こうとせず、自分が「うつ病かもしれない」と思ったら、まずは医師などの専門家に相談しましょう。その上で、助けを求めやすい環境や、あなたに合った環境の仕事を探していく事が重要です。
就労支援サービスを利用すると、自分にあった働き方や病気との付き合い方を見つけることができます。就労支援を受けられる環境で無理のない範囲で働いてみて、うつ病を抱えながら働く経験を身につけてから、一般就労のフルタイム等で働くことをオススメします。