「障がいを職場に伝えずに働きたいけど、大丈夫?」
等の疑問や不安はありませんか?
クローズ就労とは、職場に障がいの事を伝えずに働くことです。一般求人の方が障害者求人よりも求人数が多いため、就職したいと思う企業を見つけやすい反面、デメリットもあります。
しかし、障がいを隠して働くことは違法ではないか?と思ってしまいますよね。
- クローズ就労は違法?
- クローズ就労のメリット・デメリット
- 障がいがバレるケース
について解説します。
会社に隠して就職するのは違法?クビになる?
会社に障がいを隠して就職することは違法ではありませんが、トラブルの元になる可能性があります。
障がいのある方が障がいの有無を会社に申告することを義務づける法律はありません。しかし、注意点として、もし面接の際に病歴を問われた場合、正直に答えることをおすすめします。
理由は、会社との就労規則の中に、
- 虚偽の申告は解雇の対象
- 病気や障がいを理由に解雇することがある
と記載されている場合があるからです。
会社には『安全配慮義務』があります。労働契約法第5条「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」に基づくものです。
また、労働者には『自己保健義務』というものがあります。労働安全衛生法第26条に基づき、労働者は安全に働けるように行動する義務がある、というものです。
あなたが障がいの影響で体調管理がうまくできず欠勤が多かったり、顧客や会社に悪影響を及ぼすと判断された場合、解雇される可能性があります。
クローズ就労としてあなたの障がいを隠して働く場合は、会社や顧客に影響を与えないことが必要になります。
しかしながら、クローズで働き続けることは難しいというデータが出ています。障害者枠で就職した方の一年後の定着率は70.4%に対して、一般企業にクローズ就労した方の一年後の定着率は30.8%と、大きく差が開いています。
また、職場によって、採用後に虚偽の申告が発覚すると最悪解雇ということになりかねません。ご注意ください。
クローズ就労のメリット、デメリット
クローズとは、クローズ就労のことで職場に障がいのことを明らかにせず働くことです。メリット・デメリットの一部を挙げてみます。
クローズ就労のメリット
- 一般求人の方が障害者求人よりも数が多いため、就職したいと思う会社を見つけやすい場合がある
- 色々な仕事に取り組むことができる
クローズ就労のデメリット
- いつかバレるのではないかという不安や、病気を隠すということがストレスに繋がる場合がある
- 会社によっては、残業や休日出勤等を指示されることがある
- 職場内での悩みを話す相手がいない時は、自ら考えて解決しなければならない
障がいをクローズにして働きたい場合は?
障がいをクローズにして働きたい場合は、下記のような条件が当てはまる方が望ましいでしょう。
- 周りに障がいがあると感じさせない、症状も安定している
- 職場内での問題が起きた時に自ら解決出来る自信がある
- ミスのなさ、臨機応変な行動等、仕事に求められる作業遂行能力を備えている
障がいがある方の働き方としては、オープン就労、障害者求人からの応募で就職される方が多いです。
当初はクローズ就労で就職された方が、途中からオープン就労に切り替えた例もありました。メリット・デメリットを知っていただいた上で、ご自身の特性や、働き方、働きたい職種、受けられるサポートなど、さまざまな面を考慮して検討すると良いでしょう。
クローズ就労は迷惑?
誰がいつどのようにしてなるのかも分からない障がい。生まれた時から障がいを持っている方もいれば高齢となり、病気などによって障がいを患ってしまう方もいらっしゃいます。
障がいのある方はさまざまな場面に生きていく辛さを感じることもあり、障がいによって社会参加が難しくなる場合も少なくありません。生活保護や給付金によって生活している方もいます。
また、中には働きたいのにうまく就職先が決まらないという方や障がいがあるのにどのように働けばいいのか分からないという方もいらっしゃるでしょう。
クローズ就労は、業務に支障をきたさなければ、障がい者にメリットのある就労方法です。しかし、業務を的確に行えない場合には会社側に迷惑をかけてしまう場合もあります。もちろん、障がい者がクローズ就労を行うことが悪いということではありません。
ですが、障がいのある方にはオープン就労がオススメです。事業主に対して過重な負担になる場合を除き、障がい者から事業主に対して、支障となっている事情などを申し出ることで、仕事量や労働時間の調整など、合理的配慮を受けられます。
障がい者だからと言って仕事に制限を設けるのはおかしいと感じますか?障がいの有無に関わらず自身の能力に合った仕事を選択することは、仕事を長く続けるためのコツとなります。
就労の際には必ず医師の意見も聞きながら、客観的な意見を取り入れるようにしましょう。
どんなことで障がいがバレる?
実際にクローズ就労を行うとしても、思いもよらないことから障がいが発覚してしまうことがあります。どのようなケースがあるか、見ていきましょう。
クローズ就労で気になるケース
- 自己申告
- 税金の障害者控除
- 障害年金と障害者手帳
- 傷病手当金
- 健康診断と診断書
自己申告
上司はもちろん、仲の良い同僚から会社の人事部に漏れることは多いです。
クローズ就労で働いたのち、病院や体調不良、障がいによる行動や不審な動きを、働いている仲間は敏感に察知するものです。雑談レベルでも、障がいのことを話してしまうといつのまにか会社に知られていたという話はよく聞きます。
すすめはしませんが、お客さんや会社に、あなたの障がいによる影響がないのであれば、最後まで障がいのことを伝えないことがバレない秘訣です。
税金の障害者控除
障害者控除の対象となると会社にバレる可能性が高くなります。
所得税や住民税の金額が他の社員と異なることから人事部や給与を扱う部署が知ることになります。会社に知られないよう、年末調整を記入する際に障害者本人欄にチェックを入れずにいたいと思うかもしれません。
しかし、別途手続きをしなければ控除が受けられなくなります。年末調整で障がい者本人とチェックせず、確定申告で控除申請する方もいますが、結局次年度の所得税等の金額で会社に知られてしまいます。
障害年金と障害者手帳
障害年金の受給と障害者手帳の保有は個人情報保護にあたるため、会社に知られることはありません。
一見、年金を受け取っていると会社にわかってしまいそうですが、障害者基礎年金などは非課税のため会社は把握できないのです。税金での控除と違い、障害者手帳の保有や年金受給に関しては会社から市区町村へ問い合わせがあっても、プライバシー保護の観点から明かされることはないでしょう。
傷病手当金
傷病手当金の請求に当たって、事業主が証明を行う必要から障がいが明らかになる可能性があります。
傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
病気により会社を長期間休職した際に、健康保険上の制度だからと安心していると、障がいのことが会社に知られてしまうので注意しましょう。
健康診断と診断書
健康診断や診断書に障がいによる症状があると会社にわかってしまいます。
診断書は病欠で繰り返し休みを取った場合、会社から提出を求められる場合がありますが、医師が記入するため、障がいのことが伝わってしまう可能性があります。
まとめ|クローズ就労
- クローズ就労は違法ではないが、トラブルの元になる可能性がある。
- 一般求人は障害者求人より数が多いため、働きたい企業を見つけやすい。
- 障がいがあることを知られてしまうことに対する不安や病気を隠すことがストレスに繋がりやすい。
- 会社によっては残業・休日出勤を指示される可能性も。
- 何気ない雑談や税金など、想定していなかったところから障がいが発覚する場合がある。
クローズ就労は違法ではありませんがデメリットが多く、業務を的確に行えないなどのトラブルや、障がいがないと虚偽の申告をしたことによる規約違反での解雇、体調が安定していても人間関係悪化から再発なんてこともあり得ます。
そうならないためにもクローズ就労はやめておいた方がいいかもしれません。
障がいを隠して就職することは本当に大変です。クローズ就労の場合、離職率もとても高いです。ネットの情報に流されて、安易にクローズ就労を目指さない方がいいでしょう。
長く働き続けようと思うなら、オープン就労、または障害者雇用で合理的配慮をしてもらいましょう。