B型事業所とは、「福祉サービスを受けながら就労できる場所を提供する」という目的で運営されており、障がいや病気によって一般企業で就労するのが難しい方の受け皿となる役割を持っています。しかし、現在B型事業所を利用している方の中には、事業所に対して不満を持っている方もいますよね。
この記事にたどり着いたあなたは、
「B型事業所がおかしいと感じた時の相談先について知りたい」
このような悩みや疑問を抱えてはいませんか?
B型事業所を利用している方やその家族に向けて、
- B型事業所がおかしいと感じる6つの事例
- B型事業所がおかしいと感じた時の相談先
- B型事業所とのミスマッチを解消する方法
について解説していきます。
この記事を読むことで、あなた自身がB型事業所に対して抱えている不満を整理して、適切な対処方法を知るための一助となれば幸いです。
B型事業所のここがおかしい6選!トラブルの事例も紹介
B型事業所は一般就労が困難な障がい者を受け入れて、「居場所」「就労の機会」「福祉サービスを受ける場所」などを提供しているため、社会的意義が大きい事業と言えるでしょう。
しかし、実際にB型事業所を利用してみると、
という方もいらっしゃいますよね。
以下では、「B型事業所のここがおかしい!」というポイントを、実際の利用者の声などからまとめて6つ紹介していきます。
職員の態度・対応がおかしい
B型事業所の職員と利用者の間でなされる支援は人対人のやり取りであるため、そこには少なからず相性の良し悪しがあるでしょう。一方で、一部のB型事業所には職員として明らかに問題がある言動や態度を取ってしまう人もいます。
職員の態度・対応がおかしい事例には以下のようなものがあります。
当然ですが、いじめ・ハラスメント・嫌がらせなどは許されないことです。
それにも関わらず、
「たまたま耳にした職員同士の会話で利用者の悪口を言っていた」
「利用者にきつく当たってストレスのはけ口とする職員や、障がい者に対する差別的な言動をする職員がいる」
というように、B型事業所の職員の対応や人間性に問題があるケースも少なからず存在します。
利用者を子ども扱いする職員がおかしい
B型事業所の利用者の約50%は知的障がいを抱える方となっているため、職員は知的障がい者と接する時間が長くなりやすい傾向があります。そのため、精神障がいや身体障がい(非知的障がい)の方に対しても知的障がいの方と同様の「話し方」「対応」をしてしまう職員に、「自分は子供扱いされているのだろうか?」という違和感や不信感を覚える利用者もいるのです。
B型事業所の職員が利用者を「子ども扱い」してしまう事例は以下のようなものがあります。
職員と利用者が「仲良くなる」「信頼関係を築く」ことは大切ですが、互いの距離感が近づきすぎることで「モラル」「礼儀」が失われた会話になると、おかしいと感じる原因になるのです。
利用者同士のトラブルが辛い
B型事業所の職員とだけではなく、利用者同士のトラブルが発生することもあります。
もっとも、暴力や暴言などのトラブルを起こしてしまう利用者はごく一部ですが、利用者同士のトラブルの事例には以下のようなものがあります。
B型事業所の利用者は比較的重度の障がいを持った方が多いため、感情のコントロールやコミュニケーションを苦手とする方も多いでしょう。そのため、日々のすれ違いが積み重なって利用者同士で誤解が生まれてしまうケースがあるのです。
「なんでこの人がB型事業所にいるの?」という不満
B型事業所の利用者の中には、生活保護を受けながら通所している方もいます。しかし、一部の利用者はB型事業所本来の目的に沿わない理由で通所しているケースもあります。
もっとも、以下のような理由での通所が「どこまで問題があるのか?」「事業所は問題視していないのか?」を判断するのは難しいですが、真面目に通所して作業をこなしている利用者が不愉快に感じることもあるでしょう。
このような利用者が1人でもいることで、B型事業所の利用者全体への誤解やモチベーションの低下などに繋がることがあります。
作業・訓練内容に意味を感じられず不満
B型事業所が扱う作業は「ハンデがある方でもこなせる内容」である必要があるため、単純作業・軽作業が中心となりやすい特徴があります。
ですが、利用者の中には以下のような不満が蓄積されて、作業・訓練内容がおかしいと感じてしまう方もいらっしゃるでしょう。
このような不満を感じている場合、
という点について整理することが大切です。
現在は軽作業のみではなく「IT系・パソコン」「イラスト・デザイン」「調理・接客」などの作業を扱うB型事業所も増加しています。そのため、「別のB型事業所に移る」「A型事業所(最低賃金が保証されている)や就労移行支援にステップアップする」などの行動も視野に入れるとよいでしょう。
以下の記事でも詳しく解説しておりますので、あわせて読むことをオススメします。
安すぎる工賃がおかしい
B型事業所を利用するにあたり事業所と利用者の間に雇用契約は発生しないため、利用者が受け取る工賃には最低賃金が保証されません。令和4年度の工賃の全国平均は月額で「17,031円」となっており、これを時給に換算すると「243円」となります。
利用者が工賃への不満を募らせてしまう原因には以下のようなものがあります。
施設外就労などによって一般就労に近い作業をしている人ほど、工賃しか受け取れない現状に不満を抱えやすい傾向があります。ですが、B型事業所が支払う工賃については法律や規則によって決まりがあるため、事業所への相談や交渉では解決されにくい問題です。
一方で、数は少ないですが毎月10万円を超える工賃を支給しているB型事業所もあるため、まずは他のB型事業所の工賃金額や工賃の支払い形態について調べるとよいでしょう。
B型事業所の工賃については、以下の記事でも詳しく解説しております。
「B型事業所がおかしい!」と感じた時の相談先3選
B型事業所がおかしいと感じた場合であっても、話し合いで解決できる場合であればそれに越したことはありません。
「A型事業所や就労移行支援の利用に切り替える」
などの決断を1人で急いで出す必要はないのです。
以下では、B型事業所に対して不満がある場合の対処法を3つ紹介していきます。
B型事業所の職員に相談する
B型事業所でトラブルに見舞われた時は、まずは落ち着いて「トラブルの内容」「おかしいと思うこと」について整理してから事業所の職員に伝えましょう。
まっとうに運営されている多くのB型事業所では、他の利用者からのいじめ・嫌がらせや、職員からのハラスメントは見過ごせない問題です。また、職員がおかしいと感じている場合は本人に直接相談するのではなく、他の職員・サービス管理責任者・施設長などにトラブルの内容を伝えましょう。
B型事業所全体がトラブルの解決に積極的ではない場合は、以下で紹介する第三者へ相談するとともに利用する事業所を変更することも考えられます。
相談支援専門員に相談する
相談支援専門員とは、障がい者の意向を聞き取り自立した生活を実現させるための全般的な相談や、障害福祉サービスの利用にあたり必要な支援や情報提供、事業所や関係機関との連絡・調整などを行う人のことです。
あなたもB型事業所を利用する際に、利用計画案の作成や定期面談の時に顔を合わせている相談支援専門員がいるはずです。相談支援専門員は、B型事業所と利用者の双方を繋ぐパイプ的な役割も持っているため、相談することで「施設と話し合ってくれる」ことがあります。
「B型事業所自体がおかしいのか?」「トラブルは解決できそうか?」という相談について、第三者の立場から的確なアドバイスを受けることも期待できます。
障害福祉課などの行政へ相談する
B型事業所内のパワハラやいじめ、不正な運営などが常態化している場合は相談による自力解決が難しいケースもあります。このような時は、市役所にある「障害福祉課」や都道府県が設置している「障害者権利擁護センター」などの行政へ相談する必要があるでしょう。
特に職員からの暴力・暴言については障がい者への虐待に当たるため、行政への通報も効果的な手段の1つとなります。通報は虐待を受けている本人もからも、虐待の現場を見た方からも受け付けています。
一方で、「利用者同士のトラブル」「作業・訓練内容がおかしい」「工賃の問題」など、個別的な解決が必要な事例については行政が動きにくい問題なので注意が必要です。
2カ所のB型事業所を併用することも視野に入れてみよう
意外と知られていない事ですが、あなた自身が希望したり相談支援専門員が将来の自立に有効と判断したりという場合は、複数のB型事業所に通所することが可能です。
B型事業所を併用する場合には以下のような理由が必要になります。
- 一般就労を見据えてスキルアップをするため
- 現在利用中のB型事業所ではできない作業や訓練を受けるため
単に「工賃が高い事業所を利用したい」というような理由では許可が下りないケースがあるため注意が必要です。
現在利用しているB型事業所がおかしいと感じている場合は、
- やりたい作業や受けたい訓練は何か?
- 事業所の雰囲気は自分に合っているか?
- 将来の目標に沿った支援は受けられそうか?
というポイントに注目して、別のB型事業所を探すのがオススメです。
B型事業所がおかしいと感じる原因の多くは、「あなたのやりたいこと・目標」と「事業所の方針」との間にミスマッチがあることです。そのため、B型事業所の2か所利用を検討したり、さまざまなB型事業所を見学したりすることで、現在利用している事業所の良い点・悪い点を整理することが大切になります。
それでも納得できる事業所が見つからない場合は、「就労継続支援B型」という福祉就労サービス自体とのミスマッチがあるかもしれません。
このように考えている方ほど、自分がどうするべきか迷ってしまいがちです。そのような方は、まずはB型事業所の2カ所利用も検討してみてはいかがでしょうか?
まとめ
- 「職員の対応がおかしい」「利用者同士のトラブルが辛い」などの人間関係の問題が発生すると、B型事業所がおかしいと感じる原因になる
- 「作業や訓練の内容に意味を感じない」「工賃が安すぎる」などの不満が積み重なると、B型事業所がおかしいと感じる原因になる
- B型事業所がおかしいと感じている内容に応じて、「事業所内の職員」「相談支援専門員」「障害福祉課」などの相談場所がある
- B型事業所とのミスマッチを感じている場合、他の事業所の見学や事業所の併用を検討することも解決には有効である
B型事業所がおかしいと感じた時は、「居場所」「スキルアップの機会」「収入を得ること」など、何を求めて事業所を利用しているのかをあなた自身が明確にすることが大切です。B型事業所への不満を抱えたままでは、あなた自身の心身に大きな負担となることもあるため、適切な相談先を頼って早期解決を目指しましょう。