アスペルガー症候群とは、知的障害はないけれどコミュニケーションや社会性などに偏りが見られる発達障害のひとつです。現在では、「ASD(自閉スペクトラム症)」と診断されます。
「スペクトラム」とは、「特性に様々なグラデーションがある」という意味があり、一口にアスペルガー症候群と言っても障がいの特性の現れ方は個人差があります。
この記事を読んでいるあなたは、
「自分はアスペルガー症候群のあるあるに当てはまっているのかな?」
といった疑問をお持ちではないでしょうか。
この記事では、
- アスペルガー症候群の特徴
- アスペルガー症候群あるある
- アスペルガー症候群の特徴を生かせる仕事
について紹介していきます。
最後までお付き合い頂けると幸いです。
大人のアスペルガー症候群の特徴
大人のアスペルガー症候群には以下のような特徴があります。
- 興味や行動に偏りがある
- コミュニケーションが苦手
- 感覚が敏感だったり鈍感だったりする
- 運動が苦手で手先が不器用
これらの特徴は、学生時代には親や先生の協力で表に現れにくい一方で、大人になって働き始めてから困りごとが顕著になり、アスペルガー症候群に気付くことも多くあります。
これらの特徴について、以下で順に紹介していきます。
興味や行動に偏りがある
アスペルガー症候群の方には、興味や行動に偏りが見られる傾向があります。
具体的には、決められた手順やスケジュールへのこだわりが強く、予想外の事態に直面すると不安にかられたり、パニックを起こしたりすることがあります。また、物事の一部分のみにこだわってしまい、全体像を把握することが苦手な人もいます。
一方で、興味のあることには寝食を忘れて没頭するほど高い集中力を発揮することもあるのです。普通であれば退屈するような単純作業でも、興味があれば長時間集中して取り組むことができるでしょう。
そのため、得意な分野ではとても優秀な成績を収めるなど、素晴らしい結果につながることもあります。
コミュニケーションが苦手
アスペルガー症候群の方は、以下のような特徴から円滑なコミュニケーションを取ることを苦手とする傾向があります。
一方で、アスペルガー症候群の方は自分の興味がある話題になると喋りすぎてしまうことがあり、相手を困らせてしまうかもしれません。
このような特徴から、アスペルガー症候群の方は会話の中で相手に不快な思いをさせてしまったり、話しにくい人という印象を持たれたりすることがあります。
結果として、人間関係に問題を抱えやすくなってしまいます。
感覚が敏感だったり鈍感だったりする
アスベルガー症候群の方は、特定の感覚がとても敏感だったり、鈍かったりする場合があります。
感覚が敏感な例としては、
などのことがあります。
感覚が鈍感な例としては、
などのことがあります。
人によって感覚に現れる症状は様々であり、日常生活や社会生活に影響を与えてしまうことがあるのです。
運動が苦手で手先が不器用
アスペルガー症候群の方には、筋肉や関節の動きが脳に伝わりづらいという特徴があります。脳が身体の動きをうまく調整できないため力の加減やコントロールが難しく、運動が苦手だったり、手先が不器用だったりすることがあるのです。
この特徴は幼少期から見られる場合が多く、
などの経験がある方もいます。
これらの特徴を踏まえて、次項ではアスペルガー症候群のあるあるを紹介します。
大人のアスペルガー症候群あるある8つ
アスペルガー症候群の「あるある」を8つ挙げていきます。
- 急な仕事の依頼に臨機応変に対応するのが苦手
- 仕事のストレスで二次障害(うつ病、不眠症など)に陥る
- 他人の意図を理解できなくて、空気が読めないと言われたことがある
- 人に言われたことを、表面通りに受け取ってしまう
- 特定のことにこだわりたくて、他の作業が疎かになってしまう
- 物事が白か黒かハッキリしないと気が済まない
- 騒がしい場所が苦手で、耳をふさいだり立ち去ったりしたくなる
- 他人の発言をそのまま繰り返してしまう
これらの「あるある」は、上述した特性が原因になっています。
ですが、これらの「あるある」があてはまるからと言って、気にする必要はありません。自分にそのような特徴があることを認識するだけで、対策できることがあるからです。
次の項目では、そんなアスペルガー症候群の特徴を生かした仕事についてご紹介します。
また、アスペルガー症候群の特徴については、以下の記事でも詳しく解説しております。
大人のアスペルガー症候群の特徴を生かした仕事
この項目では、まずアスペルガー症候群の長所、短所を見ていき、それらを踏まえたうえで、その特徴を生かした仕事を紹介していきます。
アスペルガー症候群の長所
アスペルガー症候群の強みは一般的に、次のとおりです。
アスペルガー症候群の短所
一方、以下のようなことは苦手であることが多いとされます。
これらの長所、短所から向いている仕事は次の項で紹介します。
アスペルガー症候群に向いている仕事
アスペルガー症候群の方には、以下のような仕事が向いていると言われています。
- 経理・財務
- 法務・情報管理
- プログラマー・テスター
- コールセンター
- テクニカルサポート
- 電化製品等販売員
- CADオペレーター
これらの仕事は専門性が高いため、コミュニケーション能力よりも知識や技術が評価されやすい特徴があります。
また、マニュアルやルールがしっかり決まっていたり、人と直接かかわることが少なかったりする点も、アスペルガー症候群の方が働きやすいポイントとなるでしょう。そのため、前項までで紹介した長所を生かし、短所が現れにくいような職種になっています。
大人のアスペルガー症候群の特徴に当てはまったら
大人のアスペルガー症候群の特徴に当てはまっていると感じたあなたは、
このような疑問を抱えてはいませんか。
この項目では、これらの疑問にできる限り答えていきます。
アスペルガー症候群の原因は?
アスペルガー症候群は「先天的な脳機能の偏り」によって発現します。では、その「先天的な脳機能の偏り」は何が原因なのでしょうか?
原因として大きく二点があげられます。それは、遺伝子と環境(主に母親の胎内)です。アスペルガー症候群は、遺伝要因と環境要因が組み合わさって発現するのであって、決してワクチンや子育てが原因ではありません。
アスペルガー症候群は治せない?
結論から言うと、アスペルガー症候群の特性は治せません。
しかし、治せないからといって諦める必要はありません。アスペルガー症候群の特性への正しい対応を知れば、ある程度特性を抑えて生きづらさを緩和できる可能性があります。
次項では、アスペルガー症候群の特性を緩和させる具体的な方法について見ていきましょう。
アスペルガー症候群の特性を緩和させる方法
大人のアスペルガー症候群の特性を緩和させるために必要なのは、「自己理解」と「トレーニング」の2つです。
アスペルガー症候群の方は自分を客観視することが苦手で、自分がどのように周囲から見られているのか、一人ではわからないことが多いです。
家族や周囲の人と話すことや、医療機関やカウンセリングなどで自分の得意と苦手を明確にしましょう。それが「自己理解」に繋がります。自己理解を踏まえた上で、円滑なコミュニケーションの取り方を覚えるトレーニングを受けましょう。
なお、アスペルガー症候群には治療薬はありませんが、うつ病や不眠などの二次障害が起きている方には二次障害用の治療薬が処方されます。
アスペルガー症候群の仕事術
アスペルガー症候群の方が、自分の特性と付き合いながら仕事をこなしていくために、以下のようなことを心がけるとよいでしょう。
これらの仕事術を意識して、少しでも働きにくさが軽減されるように取り組んでみましょう。
まとめ
- アスペルガー症候群の方には、「興味や行動に偏りがある」「コミュニケーションが苦手」「感覚が敏感だったり鈍感だったりする」「運動が苦手・手先が不器用」といった特徴があります。
- アスペルガー症候群の『あるある』は数多くあり、どれもその特徴が表れています。完全に克服することは難しいですが、意識して生活することで改善することができます。
- アスペルガー症候群の強みを生かしやすく、弱みがハンデとならない職種や職場を選択することが大切です。
- 「自己理解」と「トレーニング」や「仕事術」によってアスペルガー症候群と上手に向き合い、困りごとを減らしていきましょう。
この記事を読まれたあなたが、アスペルガー症候群の特徴と上手に付き合っていけることを願っております。
また、アスペルガー症候群の人との接し方については、以下の記事でも詳しく解説しております。