障がい者手帳に運転免許が取れないデメリットなんてない!理由を徹底解説

障がい者手帳は持っているとさまざまな福祉サービスや支援が受けられるため、障がい者の生活において重宝されます。

しかし、あなたはこんなうわさを耳にしたことはありませんか?

KAORUKO

「障がい者手帳を持っていると運転免許が取れなくなるデメリットがある?」
「運転免許証の更新の際に障がい者手帳があると更新ができないかもしれない」

結論、このようなデメリットはありません。ですが、障がい者手帳を持っていると「何かデメリットがありそう…」と感じてしまう気持ちは非常によく分かります。

  • 障がい者手帳を持っていても運転免許証は取得・更新できるの?
  • 問題がないかどうかは医師に確認したほうが良い?
  • 不安な場合は安全運転相談窓口にも相談できる
  • 障がい者の方が受けられる運転免許取得の助成は?

について解説していきます。

障がい者手帳を持っていても運転免許の取得・更新にデメリットはない

障害者手帳03

運転免許証は、あなたが運転ができると証明された際に取得・更新できるものです。障がい者手帳の有無自体は運転免許証の取得・更新に一切関係ありません。ただし、「障がい者手帳を取ることになった要因が運転に支障をきたす状態かどうか」という点は確認が必要です。

この項目では、この視点で考えていきましょう。

病気や障がいがある方の取得・更新を判断する基準

下記は警視庁の資料を参考に、運転免許の取得・更新ができなくなる条件を要約したものです。

  • 認知症である
  • メガネ・コンタクト等では解決できない視力の問題がある
  • 運転に必要な身体操作性に問題がある
  • 意識障がいまたは運動障がいをもたらす病気(てんかん、睡眠障がいなど)がある、または再発の可能性がある
  • 薬物中毒、精神疾患等によって生じる、運転に支障をきたすような認知等に関わる症状(幻覚、せん妄など)がある、または再発の可能性がある

 
上記に一つでも当てはまる場合は、運転免許証の取得・更新はできません。当てはまらなければ通常の手順で問題なく運転免許証の取得・更新ができます。もっとも、これらの症状が疑われた場合には診断書の提出命令が出ることがありますが、そこで運転可能だと証明できれば同じように運転免許の取得・更新が可能です。

上記以外の条件は存在しないため、障がい者手帳の有無に関わらず一律にこの条件のみで判断されます。そのため、障害者手帳の有無は関係ないと断言できるでしょう。

調べられるのはあくまでも「運転ができるかどうか」

取得時 更新時
  1. 申し込み
    身分証はマイナンバー等を要求
  2. 適性検査
    視力検査とアンケート形式の質問項目への記入
  3. 技能・学科教習と試験
    仮免許取得
  4. 技能・学科教習と試験
    教習所卒業
  5. 運転免許センターで学科試験・適性検査
  6. 免許証交付
  1. 免許証更新連絡書がハガキで届く
  2. 運転免許証と免許証更新連絡書を提出
  3. 必要事項と病気等を問う質問票へ記入
  4. 視力検査等の適性検査
  5. 講習
    70歳以上は高齢者講習、75歳以上は認知機能検査が発生
  6. 免許証交付

この過程で調べられるのは運転技能・交通ルールなどの基礎知識を問う筆記試験・視力だけです。

車椅子の方なども、同様にこの手順で取得・更新が行われます。

そのため、取得時・更新時のいずれも重要なのは「運転ができるかどうか?」という点であり、障がいや障がい者手帳の有無などの情報は必要ありません。

「障がいを伝えるか?」は自己判断だが、申告が必要なケースもある

運転免許の取得・更新の際に、あなたが「障がいを抱えていること」「障害者手帳を所持していること」などを伝えるかどうかは、自己判断に委ねられています。例外として75歳以上の方には認知症の検査義務が発生しますが、それ以外であなたの許可なく病気や障がいについて調べられることはありません。

「自分が障がい者であることを知られたくない」という方も、運転に影響を与えない病気や障がいについては申告が不要なので、この点は安心してくださいね。

ただし、障がい者手帳の有無を問うものではありませんが、運転免許の取得・更新時には病気等の状況について下記の5項目の質問に「はい・いいえ」で回答する必要があります。

  1. 過去5年以内において、病気や治療を原因として、又は原因は明らかでないが、意識を失ったことがある。
  2. 過去5年以内において、病気を原因として、身体の全部又は一部が思い通りに動かせなくなったことがある。
  3. 過去5年以内において、十分な睡眠時間を取っているにもかかわらず、日中活動している最中に眠り込んでしまった回数が週3回以上になったことがある。
  4. 過去1年以内において、「飲酒を繰り返し、絶えず体にアルコールが入っている状態が3日以上続いたことが3回以上ある」または、「病気の治療のため、医師から飲酒を止めるよう指導を受けているにもかかわらず、飲酒したことが3回以上ある」のいずれかに該当したことがある。
  5. 病気を理由に医師から、運転免許の取得又は運転を控えるように助言を受けている。

この質問の中に、一つでも「はい」の項目があれば、「運転が可能である旨」を証明できる主治医の診断書の提出が求められるため注意が必要です。

岐阜県警のサイトに掲載されているものを参照しましたが、質問内容は全国共通です。

運転に問題がないかどうかは医師に確認しよう

診察する女子高生

先述の通り、運転免許の取得・更新に障がい者手帳の有無は関係ありませんし、障がいの有無も運転に影響がなければほぼ問われません。しかし、運転免許証の交付当時に障がいの状況に問題がなくても、その後の経過で「状況に変化がないか?」はあなた自身が気を付ける必要があります。

当然ではありますが、車の運転は人の命に関わります。あなたの自己判断によって運転を続けていて万が一の事故が起きた場合、あなた自身はもちろん他人まで不幸にしてしまう可能性があります。

「運転できているから大丈夫」ではなく、きちんとかかりつけの医師からお墨付きをもらい、自信を持って「問題ありません」と言える状況にしておくことが大切です。

安全運転相談窓口にも相談できる!適性検査を受けてみよう

あなたが障がいや病気で運転に不安を抱えている場合は医師に相談しましょう。問題がなければ、その証明として診断書を書いてもらえるはずです。

そのうえで、一度安全運転相談窓口に相談してみることをオススメします。安全相談窓口は障がいがある方や高齢の方が運転免許について相談できる窓口です。電話することで、診断を踏まえた適性検査をしてもらえる場合があります。

専門家の視点があるとより安全です。ぜひご利用ください。

安全運転相談窓口について|警察庁

障がい者が利用できる運転免許取得の助成がある

電卓とお金

「障がい者自動車運転免許取得費助成事業」という制度があります。これは、その名の通り障がい者が運転免許を取得する際の費用を支援するという制度であり、障がい者の就労や自立した生活を促進させる目的で実施されています。

障がい者自動車運転免許取得費助成事業の内容は自治体によって異なっていますが、

  • 教習にかかる一部費用(上限10万円~20万円の自治体が多い)の助成
  • 車の補助装置(車椅子昇降リフトなど)の改造費用の助成
  • 診断書の作成費用や適性検査費用の助成

このような経済的支援を受けられる場合があります。

もっとも、「障がい者手帳〇級以上」「仕事に必要な場合のみ」などの条件を設けて助成を行っている自治体があるほか、まれに制度自体を設けていない自治体もあるため注意が必要です。

障がい者手帳を所持している方は、「免許取得にあたり受けられる支援制度がないか?」を、お住まいの自治体に設置されている障がい福祉課などの担当窓口に問い合わせてみましょう。免許取得時の負担を軽減できるかもしれません。

まとめ|障がい者手帳と運転免許

  • 障がい者手帳の有無自体は運転免許証の取得・更新に一切関係がないため、普通の人と同じように免許の取得・更新ができる。
  • 運転免許証の取得・更新時に障がいの有無を伝える必要はないが、きちんと医師と相談しておき、「問題ない」と伝えられるようにすることが大切。
  • 不安な場合は医師と安全運転相談窓口に相談するのがオススメ。
  • 自治体によっては障がい者の方が受けられる運転免許取得の助成があるので確認しておくと良い。

障がい者手帳も運転免許証も、どちらも日々の生活に関わる大事なものです。正確な情報の把握に努め、自身に必要なサポートを十分に受けられるようにしておきましょう。

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