声のボリュームが調節できないのは大人の発達障がい?4つの原因と改善方法を解説!

この記事を読んでいるあなたは、大人同士の会話なのに

KAORUKO

「声が大き過ぎるからもう少しボリューム落として」
「聴こえないからもっと大きな声で話してほしい」

このような注意をよくする、よくされるといったことはありませんか?

声のボリュームをうまく調節できないと、会話がままならないことも多いでしょう。では、一体なぜこのような問題が起きてしまうのでしょうか?

声のボリューム調整には「心」と「身体」の要因が複雑に関わっており、

  • 聴覚障がい
  • ストレスによる緊張や興奮
  • うつや統合失調症などの精神障がい

などの原因が声の大きさに現れている可能性があるほか、「大人の発達障がい」が関係している場合もあります。しかし、一概に原因を定めることは難しいため、「どうすればいいの?」と困ってしまいますよね。

  • 「心」と「身体」の問題で声のボリュームを調整できなくなる理由
  • 声のボリュームが調整できない場合の3つの改善手順
  • 声の調節ができない大人は発達障がいなのか?

について解説していきます。

お悩みの方はぜひご一読ください。

発声の過程から考える、声のボリューム調整ができない4つの原因

ボリュームの文字

声のボリュームには、「心」と「身体」が深く関わっています。

原因を理解するために、まず人が発声するまでにどういった順序を踏んでいるのかについて考えてみましょう。

人が発声するまでの過程

「突然の危機に対して反射的に声を出す」といったケースを除けば、発声までに必ず下記のような過程があります。

STEP
動機を得る
五感から刺激を受けて「相手へ返事をしたい」「自分の意思を伝えたい」「なんとなく叫びたい」など、さまざまな動機を得ます。
STEP
内容を考える
動機に対応した内容を考えます。
STEP
周囲を分析し判断する
「ここがどこか」「どんな場所か」を考えて、発声するかどうか、するとしたらどのようにするかを判断します。
STEP
発声のために身体を動かす
判断に応じて舌や声帯の形を整え、息の量を調節します。
STEP
発声する
「STEP2」で考えた内容が声として発声されます。

声のボリュームが調整できなくなる原因

発声までの5つの過程の中で、心理的側面が影響を受けて「STEP1:動機を得る」「STEP2:内容を考える」の段階で問題が生じた場合、必然的にその後の工程も上手くいかなくなるので、声のボリューム調整に影響が出ると考えられます。

また、身体的側面を中心に考えると、人が発声するまでの過程のうち「STEP3:周囲を分析し判断する」か「STEP4:発声のために身体を動かす」で問題が生じた場合、声のボリュームが調整できない可能性があります。脳や身体が判断や動きを誤れば、声のボリュームも誤ったものになるからです。

実際にどういったことが原因で問題が生じるのかについては諸説ありますが、例として挙げられるのは主に下記の4つです。

  • 聴覚障害
  • ストレスによる緊張・興奮など
  • うつや統合失調症などの精神障害
  • 発達障害・グレーゾーン

順番に見ていきましょう。

聴覚障がい

声の大きさは主に周囲の音の大きさを基準として調整されています。なので周囲の音の大きさが正しく聴こえていないと、「STEP3:周囲を分析し判断する」の段階で勘違いが起こりやすくなります。その場合、自分の発した声も正しく聴こえないので、「STEP4:発声のために身体を動かす」が正しく行えたのかどうかは、声を出した後の自身の感覚と周囲の反応で確認するしかありません。

結果として、会話する相手の声が聞き取りにくいだけでなく、自身の声のボリューム調整まで上手くいかないケースが出てしまうのです。

ストレスによる緊張・興奮など

病的なものでなくとも「STEP1:動機を得る」か「STEP2:内容を考える」の段階で「早く伝えたくて焦っている」「話の内容に自信がない」「ミスに対して怒っている」などの不調理由が生じることがあります。

この場合、緊張・萎縮・興奮などの感情によって平静を失いやすく、以降の発声の過程もそれに伴い影響を受けやすくなります。「周りがよく見えなくなる」といった心理状態に陥ると、「STEP3:周囲を分析し判断する」段階で問題が発生しやすく、声のボリュームを抑えようと意識しても身体が力んで、「STEP4:発声のために身体を動かす」が上手くいかないケースがあるのです。

うつや統合失調症などの精神障がい

精神的な病気のなかには、理解力や判断力を著しく削ぐものが含まれる場合が多く、「STEP1:動機を得る」や「STEP2:内容を考える」だけでなく「STEP3:周囲を分析し判断する」の段階にまでしばしば悪影響を与えます。

「心」と「身体」の連携が取りにくいこともあって「STEP4:発声のために身体を動かす」部分でも影響が出て、意図しない強張こわばりで声が出にくくなったり、震えてしまったりすることもあるようです。

発達障害・グレーゾーン

発達障害は生来の脳機能の偏りによって起こります。グレーゾーンとは「発達障害」という診断にまで至らないものの発達障害の性質がある方を指す言葉です。

発達障害のなかでもASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)に分類されるものは、脳機能の偏りによって下記のような問題が生じることがあります。

  • ASD
    「STEP2:内容を考える」や「STEP4:発声のために身体を動かす」ばかりに集中してしまい、自身の声量を客観的に把握できない
  • ADHD
    衝動性が高いため「STEP1:動機を得る」で平静を失いやすく、以降の段階に問題が生じやすい

発達障害のある方は会話自体に苦手意識を抱きやすいため、対人関係の中でストレスが蓄積しやすく、先述した精神障害を併発しやすい傾向があります。

発達障害が精神障害に隠れてしまうことも多いため、自覚できない発達障害が原因となり、声のボリュームが上手く調整できないという形で特性が表れている可能性はあるでしょう。

声のボリュームが上手く調整できない場合の3つの改善方法

改善

声のボリュームについては、大抵の場合はその場の注意で解決してしまう話です。それにも関わらず、改善が必要と判断されるほどとなると、相当お悩みなのでしょう。

とはいえ、人の心に関わるデリケートな問題です。焦らず慎重に進める必要があるので、改善を試してみる場合、下記の手順を試してみましょう。

  1. 声のボリュームが上手く調整できない原因を考える
  2. 原因に対する解決策を考えて試す
  3. それでも改善しない場合は医療機関を頼る

問題の性質上、客観的な意見が無ければ改善は難しいでしょう。「声のボリュームに問題がある」と考える当事者間で協力して試しましょう。

声のボリュームが上手く調整できない原因を考える

まず原因を考えることから始めましょう。

  • 聴覚に問題はないか
  • ストレスの原因となっている物事はないか
  • 精神障害の兆候はあるか
  • 発達障害の可能性はあるか

など、問題を抱えているご本人の場合は自主的に、ご本人ではない場合は相手に働きかけてそれぞれ確認してみましょう。ここで問題がはっきりすればするほど、有効な改善策を行うことができます。

原因に対する改善策を考えて試す

原因がを推測できたら、その問題についての解決策を考えて試しましょう。

食事・睡眠・運動などの基本的な体調管理や周辺環境の改善等、初歩的なものから試していくことで、原因を絞り込めます。周囲の方に相談しやすい環境ができるだけでも改善に繋がるかもしれません。

病的なものではない単純なストレスによる緊張・興奮などであれば、ここで一定の改善が見られるはずです。

それでも改善しない場合は医療機関を頼る

先述のような対応を尽くして解決しない、または病気や障がいを疑う場合は、医療機関の協力を受けることが望ましいでしょう。職場や周囲の方と相談のうえで通院し、適切な診断と治療を受け、状況に合った改善策を行ってください。

医師からの助言が優先ですが、具体的で詳細な方法は当事者が考える必要があるかもしれません。下記の3つを参考にしてみましょう。

聴覚障害の場合

あなたの「聴こえにくい」という情報を共有し、声量より口を大きく動かしてゆっくり話すことを心掛けてください。

言葉が伝わりやすくなり、適切なボリュームでのやり取りが行いやすくなります。その上で要点は筆談を用いるなど、伝え方の工夫をすると良いでしょう。

鬱などの精神障害の場合

必ずご本人が通院し、病院で受けた指示を周囲に共有してください。医師の診断を受けることで、適切な配慮や判断を受けやすくなります。

関係する方は声のボリュームに問題が生じるケースをご本人と確認し、なるべく問題を避けられる形でのやり取りを行うようにしましょう。症状が悪化する可能性があるので、決して無理はさせないようにしてください。

発達障害・グレーゾーンの場合

特性の把握に努めましょう。前述した過程のどこで問題が起きているのかを理解すれば、その部分を意識して訓練することによって解決していく場合があります。

「小さな声で話し始めて、聞き返されるたびに少しずつ大きくしていく」といったすぐに試せる方法もあれば、「録音して声を聴いてみる」や「声量を10段階に分け、場面に応じて使い分ける」といった少しずつ学習していく方法もあるので、自分の特性に合ったものを試してみましょう。

声のボリューム調整ができない大人は発達障がい?

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ここまで説明した通り、声のボリュームが上手く調節できない原因が発達障害にある可能性はありますが、即座に発達障害と結びつけることは困難です。誤ったレッテルを貼らないためにも、慎重に原因を探るべきでしょう。

発達障害はその定義の通り、生まれつきの障がいとされていますが、実態は個人の特性と捉えられるものです。多くの問題は障がいのない方が感じる苦手の延長上にあり、「性格の問題」として正しく理解されずに見過ごされてしまうことがあります。

そのため、「大人になってから支障が出始めて、医師にかかって初めて発達障害の診断を受けました」といった「大人の発達障害」と呼ばれるケースが起きても決して不思議ではないのです。

発達障害は障がいではありますが、普通の方が感じる苦手の延長上にあるということは、悩みの共有は不可能ではないということでもあります。

難しい問題ですが、「声のボリュームが調整できない」などの困りごとを自力で改善できない場合は専門医を頼ることを忘れずに、きちんと向き合いながら悩みを周囲と共有することが大切です。

大人の発達障害については、下記の記事でも解説しています。

まとめ|声のボリューム調整ができない理由

  • 声のボリュームは人の発声の過程である「STEP1:動機を得る」「STEP2:内容を考える」「STEP3:周囲を分析し判断する」「STEP4:発声のために身体を動かす」の4つのうちのどこかで問題が起きると上手くいかなくなる。
  • 発声の過程に影響する原因は「聴覚障害」「ストレスによる緊張・興奮など」「鬱や統合失調症などの精神障害」「発達障害・グレーゾーン」などさまざま。
  • 改善方法は「1.声のボリュームが上手く調整できない原因を考える」「2.原因に対する解決策を考えて試す」「3.それでも改善しない場合は医療機関を頼る」がある。
  • 声のボリューム調整ができない大人は必ずしも発達障害ではないが、可能性はある。

声のボリューム調整は、原因がどんなものでも、基本的に周囲の理解と協力が不可欠です。ご本人も周囲の方も問題と向き合い、焦らず丁寧に改善していきましょう。

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