勝ち負けにこだわる一番病は大人の発達障がい?症状の具体例や5つの対処法を解説

この記事を読んでいるあなたは、次のような悩みをお持ちではありませんか?

KAORUKO

「上司に指示されると我慢ができないくらい腹がたつ」
「同僚や部下に注意されるのは納得がいかない…」

効率よく仕事を行うためには、上司や同僚との良好な人間関係が大切ですよね。しかし、発達障がいの方の中には一番になりたいという気持ちが先行してしまい、人間関係が上手くいかない方もいます。

一番に対する強いこだわりは、本人の意思ではコントロールできないのが辛いですよね。

一番にこだわってしまうあなたに向けて、

  • 大人の発達障害の一番病とは?
  • 一番にこだわる発達障害の種類
  • 一番病の具体例や対処法

について解説します。

この記事を、あなたの生きづらさを減らすためにお役立ていただければ幸いです。

一番病とは?大人の発達障がい?

苦悩するビジネスマン

一番病とは、「何事も一番じゃないと嫌だ」という思考から勝ち負けを求めて、一番になることにこだわってしまう特性のことです。

一番病そのものは正式な診断名ではないため、発達障がいとしては扱われていません。しかし、一番病によって生きづらさを抱えている方もいらっしゃいますよね。

下記の考えに当てはまる場合は、一番病の可能性があります。

  • 上司に指示されると我慢できないくらい腹がたつ
  • 同僚や部下に注意されるのは納得がいかない
  • 常に会話の中心でいたい
  • 何事にも負けたくない気持ちが強すぎて、精神的に苦しい
  • 勝負ごとに負けると生きていても意味がないと感じてしまう

一番へのこだわりが強いと相手を思いやることができなくなり、人間関係が上手くいかずに孤立してしまう場合があります。

自閉症スペクトラムと一番病の関係

ASD(自閉スペクトラム症) 背景

発達障がいの1つである「自閉スペクトラム症(ASD)」の方は、障がいの特性によって「完璧主義で失敗を恐れる」「曖昧な物事や状態を嫌う」などの考え方を持ちやすい傾向があります。

これらの特性からASDの方は、何事にも勝ち負けを求めて一番になることにこだわりを持つようになると、一番病が表出しやすいのです。

特に一番にこだわってしまう方は、

  • 批判的な言動が多い
  • 人の意見を受け入れられない
  • ものごとは勝ちか負けしかないと考えている

という特徴があります。

ASDの特性である「人間関係やコミュニケーションの困難さ」と「物事をはっきりさせることへの強いこだわり」が一番病を助長させていると考えられています。

ASDの「人間関係やコミュニケーションの困難さ」については、下記の記事でも解説しています。

一番病の3つの具体例

3つ 手 ジェスチャー 女性

一番病にはさまざまな特徴があります。ここでは3つの具体例をご紹介します。

知識で打ち負かそうとする

一番病の方は、自分の持っている知識で相手を打ち負かそうとする傾向があります。

具体的には、

  • 自分より知識がない相手に、ため息をついてしまう
  • 「そんなことも知らないの?」と相手に言ってしまう

などの言動をしてしまうことがあります。

知識が多いのは良いことですが、知識の多さで打ち負かそうとすると、相手はプレッシャーを感じて萎縮してしまうでしょう。

会話の主導権を持とうとする

一番病の方は、「会話の中心でいたい」という気持ちから相手の話を否定したり、一方的に話し続けてしまったりする傾向があります。

具体的には、

  • 自分と意見の違う同僚や部下に対して「それは違うと思う」と相手の意見を受け入れずに否定してしまう
  • 相手の話に耳を傾けず、一方的に話し続けてしまう
  • 仕事中の会話でAさんが、「前回の◯◯の仕事は大変でした」という発言に、「自分がやった仕事の方がもっと大変だったよ」と見栄を張ってしまう

などの例が挙げられます。

会話の主導権を常に持とうとすると、相手はコミュニケーションを取る気がなくなってしまいます。会社の方とのコミュニケーションが円滑にできないと、仕事の効率も落ちてしまうでしょう。

大声を出して勝とうとする

一番病の方のなかには、相手の会話や内容に納得できない場合、大声を出して相手に勝とうとする方もいます。

大声を出して相手を圧倒させる行為は、相手に「怖い」「一緒にいたくない」と思わせてしまいます。一度、相手に恐怖心を与えてしまうと、人間関係を修復するのは難しいものです。

本人の意思ではコントロールできない部分もありますが、パニックになった場合は、その場を一旦離れるなどしてクールダウンできると良いですね。

一番病の対処法5選

対処法

ASDをはじめとする発達障がいは病気ではなく障がいであるため、一番病を完治させることは難しいです。

そのため、自分に合った対処法を見つけて生きづらさを減らしていくことが大切になります。ここでは一番病の具体的な対処法を5つご紹介します。

勝てなかった時の対処法を想定しておく

一番病の方は、一番にこだわりすぎるあまり負けることに強いストレスを感じます。

そのため、「負けそうになる」「負けた瞬間」などにパニック状態に陥ることがあります。勝負事はいつも勝てるわけではないことを想定して、ストレスを感じたときにパニックにならないための対策をすると良いでしょう。

具体的には、

  • 勝負事で負けたら水を飲んで気持ちを落ち着かせる
  • パニックになりそうになったときは、静かで落ち着ける場所に移動して一旦クールダウンする
  • 相手を挑発してしまう発言をしそうになったら、深呼吸をしてリラックスする

このように、勝てなかったときやストレスを感じたときの対処法を想定し対策をすることで、パニック状態になるのを減らせます。

勝ち負けへのこだわりを長所にする

「勝ちたい、負けたくない」というこだわりの強さは、必ずしも悪いことではありません。

例えば、

  • ◯◯さんに負けないように自分も頑張ろう
  • ◯◯になりたいから、一生懸命に努力しよう

というように

「一番になりたい」という気持ちを、自己成長や目標達成への力に変えることもできます。特に一番病の方は、勝ち負けにこだわる気持ちが強い分、目標達成のために努力を惜しまない方が多いです。

具体的には、

  • 苦手なことでも投げ出さずに努力を継続する
  • 目標に向かって勉強や仕事を集中して取り組む

など。これらは、全員が当たり前にできることではありません。

勝ち負けへのこだわりを長所ととらえ、未来を切り開く力に変えていきましょう。

勝ち負け以外の達成感を味わう

世の中には勝ち負けにこだわらなくても達成感を味わえる物事がたくさんあります。

  • 家事の手伝いをする(掃除や料理)
  • 仕事を手伝ってくれた方に「ありがとう」と感謝を伝える

勝ち負けに関係ないことで達成感を味わうことは、自信や生きがいになります。「勝たなくてもいいんだ」という安心感を得られることで、ストレスの軽減にもつながるでしょう。

こだわりを無理に捨てない

一番病の方の「勝ち負け」への強いこだわりは、脳の働きが影響しています。

「一番になりたい」というこだわりによって精神が安定している場合、無理にやめようとすると精神に悪影響が出てしまいます。そのため、無理にこだわりを捨てる必要はないでしょう。無理にこだわりを捨てようとしてもストレスが溜まるだけですし、勝ち負けへのこだわりが余計に強くなりかねません。

勝ちたいという気持ちを無理やり押さえ込むのではなく、日常生活で困っている部分の対処法を考えることが大切です。少しずつで大丈夫ですので、困りごとを解消していきましょう。

一人で悩まずに医師に相談してみる

先述の通り、一番病はASDなどの発達障害が原因となって発症している可能性があります。

そのため、発達障がいの症状を和らげるための薬物療法や生活療法によって、一番病の特性も緩和できる場合があります。

生活療法には、

  • 心理的教育
  • ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)

などがあります。

心理的教育とは、障がいについて学び、理解を深めることで心の健康を保つための教育です。

また、ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)とは、良好な人間関係を築くために必要な言葉づかいや行動スキルを向上させるためのトレーニングのことを指します。

あなたが仕事や人間関係の悩みで生きづらさを感じている場合は、精神科医や心療内科医などの「こころの専門家」に相談することが大切です。

まとめ|一番病と発達障がい

  • 一番病とは「何事も一番じゃないと嫌だ」という思考から、勝ち負けをはっきりさせたり一番になったりすることにこだわりを持つ性質のこと。
  • 一番病は自閉スペクトラム症という発達障がいの「こだわりが強い」という特性によって現れやすくなる。
  • 一番病が発達障がいに起因している場合は完治させられないが、対処法を知ることで生きづらさを減らせる。
  • 一番病の対処法として無理にこだわりを捨てる必要はなく、勝てなかった時の対処法を想定しておく、こだわりを長所にする、勝ち負け以外の達成感を味わう、医師に相談するなど、障がいの特性と向き合うことが大切。

一番病の対処法を知り実践することで、少しずつですが生きづらさを減らしていけるでしょう。あなたの持つ一番になりたいというこだわりの強さは、未来を切り開く力にもなるはずです。

ご自身の特性を前向きにとらえていけると良いですね。

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