【大人のアスペルガー症候群】無意識に人を傷つける?その理由や対処法5つを紹介!

悩む女性のアイコン
「悪意はまったくないのに、相手を傷つけてしまった…」
「相手がなぜ怒っているのかわからない…」
「正直に伝えていたら、いつの間にか遠ざけられるようになってしまった…」
「人を傷つけない対処法を知りたい!」

無意識のうちに、職場などで上記のような状況になってしまったことがある方も多いのではないでしょうか?

大人の発達障害、アスペルガー症候群(現:自閉症スペクトラム、ASD)を抱えている方にとって、職場でのコミュニケーションや、社会での振る舞い方に対して、苦手意識が強い方もいらっしゃると思います。

このような悩みや不安を抱えている方に向けて、

  • アスペルガー症候群の方が無意識に人を傷つけてしまう原因
  • アスペルガー症候群の方が無意識に人を傷つけてしまう具体例
  • アスペルガー症候群の方が無意識に人を傷つけないようにする対処法

について解説します。

この記事があなたにとって、職場で誰かを傷つけてしまうことなく、周りとうまく付き合うためのヒントとなれば幸いです。

アスペルガー症候群の方が無意識に人を傷つけてしまう原因

スーツを着た男性170

アスペルガー症候群の方が、無意識に人を傷つけてしまう原因には、どのようなものがあるのでしょうか?

ここでは4つの特性について解説していきます。

  • 相手の表情から感情を読みとることが苦手
  • こだわりを押し付けてしまう
  • 空気を読むことや暗黙の了解、社会的通念の理解が苦手
  • 決まった手順やスケジュールへの執着

順に見ていきましょう。

相手の表情から感情を読み取ることが苦手

アスペルガー症候群の方は、相手の表情から感情を読み取ることが苦手な方が多いとされています。相手との距離感がわからないために、相手が嫌がっていても近づいてしまったり、失礼なことを直接言ってしまったりすることがあるでしょう。

また、相手の状況に関係なく、見たまま、感じたままを言葉にしてしまうこともあるので、相手からすると気分が悪くなってしまう場合もあります。

こだわりを押し付けてしまう

アスペルガー症候群の方は、相手の興味にかかわらず、自分の興味があることだけを一方的に話したり、自らのこだわりを一方的に押し付けたりすることがあります。

相手が話している途中で興味が移ってしまい、他のことを始めてしまうと、対人関係を築くことが難しくなってしまいます。

また、こだわりの強さから例外を認められなかったり、こだわりを否定されると相手を責めて傷つけてしまったりすることもあるでしょう。

空気を読むことや暗黙の了解・社会的通念の理解が苦手

アスペルガー症候群の方は、空気を読むことや暗黙の了解・社会的通念などを理解することが苦手とされています。

その影響から、場の雰囲気を壊すような言動をしてしまったり、会社のルールの内容を覚えられなかったりすることがあります。

他にも、時と場合に応じた挨拶などの礼儀や、「なんとなく」で存在しているルールに対して対応ができないなど、それがトラブルの元になってしまうこともあるでしょう。

日本社会には、相手に配慮して行動するという考え方、いわゆる「忖度」の文化があります。それゆえ、アスペルガー症候群の特性は、「非常識」「自己中心的」と見られやすく、周囲があえて遠慮していることをしてしまい、相手を傷つけてしまうことがあるのです。

決まった手順やスケジュールへの執着

アスペルガー症候群の方は、決まった手順やスケジュールへの執着がある方が多いとされています。

この特性の影響から、イレギュラーなことが起こってしまうと、パニックになって、相手を困らせてしまうことがあります。

他にも、会社が定めた正式な手順よりも、自分のこだわりを優先させてしまい、他の方の仕事に影響が出てしまう可能性もあるでしょう。

アスペルガー症候群の方が無意識に人を傷つけてしまう具体例

口論(喧嘩)中の医療従事者のアジア人男女

上記では、アスペルガー症候群の方がなぜ無意識に人を傷つけ、怒らせてしまうのか、原因を解説してきました。

ここでは、具体的にどのような場面で問題が発生しているのか、職場での例を中心に見ていきましょう。

パターン1

職場では、上司や取引先との関係性を意識した発言や、適切な敬語、そして自他のプライベートな事柄に関する距離感などが求められます。

しかし、「暗黙の了解・社会的通念の理解が苦手」という特性の影響で、職場でもつい友達に話すような口調で、会話をしてしまう可能性があります。

また、「相手の感情を読み取ることが苦手」なため、悪気なく思ったことを口に出すことも少なくないことでしょう。結果として相手を怒らせてしまうものの、なぜ怒っているのかを理解することもできないので、火に油を注ぐこともあります。

パターン2

相手の立場や前後の文脈を踏まえた言動ができず、思いやりがないなどと勘違いされてしまうことがあります。

具体的には、壁に寄りかかりながら話を聞いたり、相手の話に興味がないとあからさまにつまらなそうな表情をしてしまったりすることなどが挙げられます。

叱られた直後でもニコニコした表情をするといった行動をとって、相手を不愉快にさせてしまうこともあるでしょう。

また、悪意なく相手の容姿や体型についてコメントをして、相手を傷つけていることに気づかない場合もあるので、人間関係が悪化してしまう原因にもなってしまいます。

パターン3

自分に関心のないことの場合、話を聞き流してしまうことがあります。

そのため、最初に聞いたことを忘れて、後から聞き直しに行くことになり、相手から「あの時聞いていなかったのか」と失望されることに繋がってしまいます。

場合によっては、「言った」「言っていない」というトラブルになることもあるでしょう。

パターン4

職場では、たとえ自分の興味がないことでも、付き合わなければいけない場合があります。

しかし、そういった誘いを断ったり、途中で抜け出してしまったりすることで、相手を傷つけることがあります。本人からすれば、悪意はないので、次の日の態度などに相手が不満をもつことも考えられます。

仕事をする上で人間関係は非常に重要になってくるので、このような行動が繰り返されてしまうと、信用を失うことにも繋がってしまうでしょう。

無意識に人を傷つけないようにする対処法

対処法

上記では、アスペルガー症候群の特性の影響から、職場でどのような問題が起こってしまうのかを具体的に解説してきました。

アスペルガー症候群は、先天的な脳機能の偏りが問題なので、治すことはできません。

よって、仕事を円滑に進める為には、対人スキルを向上させて、無意識に人を傷つけてしまう機会を少なくしていくことを目指していきましょう。

ここでは、相手を傷つけないようにするための方法を5つご紹介します。

  1. 意識的に「黙る」
  2. 周囲からアドバイスをもらう
  3. マイルールをつくる
  4. コミュニケーションを取ることを心がける
  5. ソーシャルスキルトレーニング(SST)を受ける

順に見ていきましょう。

意識的に「黙る」

意識的に「黙る」ようにしてみましょう。

反射的に発言するのではなく、最後まで相手の発言を聞くよう心掛け、言葉を口に出すまでに少し時間をおきます。

口に出すまでの時間は3秒であったり、深呼吸をしたりする程度で大丈夫です。

「言いたいことを言ったらどうなるか」を考える時間が少しあるだけで、冷静になれるでしょう。

また、アスペルガーの方は、自分が思っているよりも一方的に話していることが多いかもしれません。

話が噛み合っていないと感じたときは、聞き役に徹します。そうすることで、相手が何を言いたいのかが理解でき、対応しやすくなります。

周囲からアドバイスをもらう

周囲の助けを借りることも重要です。

人付き合いが上手な方の受け答えを真似したり、職場の同僚などに相談して、アドバイスをもらったりすることも効果的でしょう。

その際に、すべてを取り入れなくても、ご自身に合った方法を身に付けることができれば、対人関係が少しでも良くなる可能性があります。

会話のルールを作る

相手との会話に一定のルールを作るようにすると良いでしょう。

具体的に設定するのは、下記のようなルールです。

  • 丁寧な言葉づかいを心がける
  • 相手の否定をせず、まずは肯定的な相槌を打つ
  • 会話の話題を自分から変えないようにする
  • 話のはじめに「今よろしいですか?」と一言付け加える
  • 「報連相」をこまめに行い、上司と話す機会を多く設ける
  • 伝える内容はメモ書きしてから伝える
  • 他人がやっていることに口を挟まない

このようなルールを作っておくことで、会話をする時に安心感が生まれます。苦手意識を少しずつでも軽減させていくことが大切になるでしょう。

コミュニケーションを取ることを心がける

特にチームで行う仕事の場合は、コミュニケーションを取ることを心がけましょう。

チームリーダーから聞いたことを確実に実行し、アドバイスを素直に受け入れることが大切です。次の工程に渡すときは、「こういったやり方で仕事をパスしても問題ないか」と確認するようにしましょう。

また、チーム内には暗黙の了解があるかもしれません。

仕事を進めるうちに、疑問に思ったことは、自分の考えを優先せず、周囲に素直に質問するようにしましょう。自分の中の「こうあるべき」はもちろん大事ですが、いったん脇におき、まわりを見てみることも重要です。

他にも、雑談はチーム内の距離を縮めるには有効な手段です。

しかし、アスペルガー症候群の方には、雑談が苦手な方も多いと思います。

雑談の仕方については、下記の記事にまとめていますので、興味のある方は、参考にしてみてください。

ソーシャルスキルトレーニング(SST)を受ける

ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは、社会的コミュニケーションを具体的なロールプレイで学ぶことができる認知行動療法です。

大人の発達障がいの方に向けたSSTは「精神科・心療内科」などの医療機関で受けられるほか、「地域若者サポートステーション」や「障害者就労・生活支援センター」、「就労移行支援事業所」などの就労支援機関で実施されている場合があります。

上記のような方法を試しても、どうしても改善できない場合は、医学的な対処法を受けることも検討してみましょう。人間関係の構築や仕事をするにあたって悩みが軽減する可能性があります。

また、先ほど紹介した就労移行支援の中には「atGPジョブトレ 発達障害コース」のように発達障がいに特化した事業所もあります。こういった専門の施設では、よりあなたの抱える悩みにアプローチしたトレーニングを受けることができるかもしれません。

まとめ|アスペルガー症候群が人を傷つけない方法

  • アスペルガー症候群は、相手の表情から感情を読み取ることや、暗黙の了解など場の空気を読むことが苦手。こだわりを一方的に押し付けてしまったり、決まった手順やスケジュールへの執着があったりするなどの特性もある。これらの特性の影響から、無意識のうちに相手を傷つけてしまうことがある。
  • アスペルガー症候群の方が無意識のうちに人を傷つけない対処法としては、意識して「黙る」ことが重要。相手の発言を最後まで聞いた上で、深呼吸したり、3秒間待ったりしてから、話し始めると良い。また、会話をする上で、自分の考えを優先せず、周囲に対して「このやり方で問題ないか」というふうに確認してから進めること。
  • 対処法を実行してもあまり良くならない場合は、ソーシャルスキルトレーニング(SST)といった、社会的コミュニケーションを具体的なロールプレイで学ぶことができる認知行動療法もある。

いかがだったでしょうか?

この記事では、アスペルガー症候群の方が職場で周りの方と付き合う上で、無意識に人を傷つけてしまう原因や、それを防ぐための対処法について解説してきました。

そもそも、会話はとても高度なコミュニケーションです。自然と日常的に起こっていることでもあり、すぐに改善できるというわけではありませんが、まずは対処法を試してみてください。きっと、周囲の方もあなたの努力に気づいてくれるはずです。

少しずつかもしれませんが、その積み重ねが人間関係を築く上でとても重要になってくるでしょう。

この記事がその参考となれば幸いです。

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