「映画料金は安くないから、付き添ってくれる方に申し訳ない…」
など、障がいを抱えていると、映画館にわざわざ出かけてまで映画を見に行くのって、なんだか気が進みませんよね。
映画館があるような商業施設は混雑していることが多いため、精神的にも余計に疲れてしまいます。また、障がいによっては他人の目が気になることもあると思います。
そんなあなたにオススメしたいのが、「映画館の障害者割引」です。映画館の障害者割引を利用すると、付き添い人も含めて、1,000円で映画を見ることができるようになります。
付き添い人にも割引が適用されるのは、一緒に外出するきっかけにもなるため嬉しいポイントですよね。普段は外出に気が進まない方も、もう少し気軽に映画館へ行ってみようと思えてきませんか?
本記事では、「映画館の障害者割引」について、詳しく解説しております!ぜひ参考にしてみてください。
- 映画館の料金が障害者割引により割引される理由
- 映画館における障害者割引の概要
- 付き添い人が映画館の障害者割引を利用する条件
- 映画館で障害者割引を利用する方法
- 映画館で障害者割引を利用するうえでの注意点
上記について解説していきます。
障害者割引により映画館の料金が割引される理由とは?
結論からいえば、障害者割引は障がい者の社会参加を促すためにあります。障がい者が社会との関わりを持とうとすると、健常者よりもコストがかかることが多々あります。
具体的には、車移動が必要、介護者が必要、補装具(補聴器や車いす)等の購入やメンテナンスが必要、といった日常生活に必要な出費です。他にも、障がいのための治療費や思うような就労が困難となるケースから、経済的余裕がない場合もあるでしょう。
障害者割引は、このような障がい者の社会参加へのハードルを下げ、支援することで、平等に社会参加できるようにするために設けられた大切なサービスです。
映画館における障害者割引の概要
映画館の障害者割引は、身体障害者手帳、療育手帳、精神保健福祉手帳のいずれも等級に関係なく、「すべての障害者手帳の保持者」が利用できます。
2023年に入ってからは、電気代や人件費などの運営コストの上昇を背景に映画料金の値上げが相次いでおり、現在の通常料金の多くは2,000円に推移しています。(2024年7月現在)
障害者手帳を提示することにより、全国のどの映画館でも、一律1,000円に割引されます。一般の通常料金が2,000円に値上げされていることを考えると、1,000円はかなりお得に映画館で映画を楽しめるといえます。
TOHOシネマズでの表記 『障がい者割引』
障がい者割引 ¥1,000
Disabled Person
※付き添い1名様まで同料金。
※割引をご利用の方は障がい者手帳もしくは障がい者手帳アプリ「ミライロID」のご提示をお願いいたします。
(割引が適応される手帳:障がい者手帳、療育手帳、身体障がい者手帳、精神障がい者保健福祉手帳)
引用:TOHOシネマズ新宿「料金・割引サービス表」
シネマサンシャインでの表記 『ハンディキャップ』
ハンディキャップ ¥1,000
※障がい者手帳をお持ちのご本人様。
※付き添いの方1名様まで同じ料金になります。
※障がい者手帳、療育手帳、難病手帳(指定難病受給者証)、身体障がい者手帳、精神障がい者保健福祉手帳、もしくは障がい者手帳アプリ「ミライロID」要提示
引用:グランドシネマサンシャイン池袋「料金案内」
特別上映・特別な席の追加料金は障害者割引が適用されない
ただし、3D、4DX®、MX4D®、IMAX®などの特別上映やプレミアムボックスシートなどの特別な席の追加料金は、障害者割引が適用されません。
例えば、TOHOシネマズの特別上映において、追加料金は下記のようになっています。
TOHOシネマズの追加料金
サービス | 料金 |
---|---|
プレミアラグジュアリーシート | ご鑑賞料金+¥3,000 |
プレミアムボックスシート | ご鑑賞料金+¥1,000 |
DOLBY ATMOS | ご鑑賞料金+¥200 |
IMAX®レーザー 追加料金 | ご鑑賞料金+¥700 |
MX4D® 追加料金 | ご鑑賞料金+¥1,300 |
3D鑑賞料金 | ご鑑賞料金+¥500 (内訳:3Dご鑑賞料金300円+3Dメガネ代200円) |
この映画館の例で、障害者割引を利用してプレミアムボックスシートでIMAX®の映画を見ると、
が合計の鑑賞料金になります。
付き添い人が映画館の障害者割引を利用するには
映画館の障害者割引は、本人のほかに付き添い人も1~2名まで割引料金でご利用できます。付き添い人に関しては誰でも問題ないため、家族はもちろん、友人や恋人であっても、付き添い人として障害者割引が適用されます。
付き添い人の条件に特別な指定がない点は、気軽に友人などと一緒に外出するきっかけにもなりうるでしょう。
抱えている障がいによっては「付き添い人に迷惑をかけてしまいそう…」と考えて、混雑する場所に行きにくい方もいらっしゃると思います。そういった方にとって、付き添い人にも同様の割引が適用されることは、とてもありがたいですよね。
大手映画館における付き添い人の規定人数は、下記のようになっています。
大手映画館の付き添い人の規定人数
映画館 | 付き添い |
---|---|
イオンシネマ | 2名まで |
109シネマズ | 2名まで |
TOHOシネマズ | 1名まで |
ユナイテッド・シネマ | 1名まで |
シネマサンシャイン | 1名まで |
障害者1人につき、規定された人数の付き添い人までしか割引が適用されず、超過した人数分は通常料金になる点に注意しましょう。
実際に映画館で障害者割引を利用する方法
実際に、障害者手帳を利用して映画館の割引を得る方法を詳しく解説していきます。
自動券売機/窓口で購入する場合
自動券売機または窓口で購入する場合は、下記のような流れになります。
この際、付き添い人も同様の手順で購入してください。また、入場する際は事前に障害者手帳を準備しておくとスムーズに入場できます。
ネット予約で購入する場合
ネット予約でも、付き添い人も含めて障害者割引にてチケットを購入できます。こちらも同様に、入場する際には、係員に障害者手帳を提示する必要があります。
よくあるお問い合わせ>障がい者手帳を持っています。インターネット販売vitは利用できますか?|TOHOシネマズ
ミライロIDの提示でも障害者手帳の代わりになる
障害者手帳を毎回提示するのは、人の目も気になりますし、面倒ですよね。なにより、持ち歩かなければならない機会が多いと、紛失にもつながりかねません。そこでオススメしたいのが「ミライロID」になります。
ミライロIDについて、公式HPで下記のように説明されています。
デジタル障害者手帳「ミライロID」は、障害のある人に向けたスマホ用アプリです。
カバンや財布から取り出していた障害者手帳を、スマホでパッと提示できます。
引用:ミライロID-障害者手帳アプリ「ミライロIDとは」
このように、障害者手帳の代わりにミライロIDを提示する事で、対応している映画館であれば気軽に割引サービスを受けることができます。これなら、人の目も気になりませんし、紛失のリスクもないため安心ですね。
下記は、ミライロIDが使える映画館の例になります。
ミライロIDが使える映画館の例(2024年3月現在)
- TOHOシネマズ
- イオンシネマ
- ユナイテッド・シネマ
- ティ・ジョイ
- 109シネマズ
- シネマサンシャイン
- …etc
ミライロIDが使える場所(障害者割引など)|障害者手帳アプリ-ミライロID
障害者割引で映画館を利用する上での注意点
映画館で障害者割引を利用する際は、下記のポイントに注意しておきましょう。
- 障害者手帳を忘れた場合は割引が適用されない
- 劇場係員から受けられるサポート範囲を知っておこう
- 車椅子の方は、前もって劇場に確認をとっておこう
- 自分の障がいにあわせて「バリアフリー上映」を選ぼう
順に紹介していきます。
障害者手帳を忘れた場合は割引が適用されない
障害者手帳を忘れてしまった場合は、割引の適用がされません。映画を見に行く際は、忘れないように必ず持参しましょう。そういった意味でも、先で紹介した「ミライロID」があると便利ですね。
劇場係員から受けられるサポート範囲を知っておこう
劇場係員は介助のプロではないため、体を持ち上げる、車椅子を持ち上げるといった対応は安全のためできません。しかし、手や肩を貸すと言ったサポートは可能であるため、そういった範囲であれば劇場係員に声をかけてお願いしてみると良いでしょう。
車椅子の方は、前もって劇場に確認をとっておこう
全ての映画館が対応している訳ではありませんが、映画館には車椅子スペースを用意している映画館が一般的です。
特に、TOHOシネマズでは車椅子スペースに設置・固定ができる可動式座席が設置されている場合があり、2席分のスペースを利用して利用者と可動式座席利用者が並んで座ることができます。
しかし、こういった車椅子スペースには限りがあるので、事前に劇場に確認しておくことをオススメします。
また、車椅子利用の座席は、非常時の際に迅速な対応ができるよう、非常口に近い場所で案内がされます。映画館によってはスクリーン最前列付近に車椅子席が用意されているため、人によっては見づらさを感じてしまいます。
移乗(トランス)が可能な方であれば、係員に一般の席での鑑賞を希望することを伝えてみても良いでしょう。
自分の障がいにあわせて、「バリアフリー上映」を選ぼう
そんな方々にも映画を楽しんでいただけるよう「バリアフリー字幕」「音声ガイド」などを備えて上映される「バリアフリー上映」があります。
バリアフリー上映(音声ガイド付き上映)とは?
バリアフリー上映(音声ガイド・字幕ガイド付き上映)とは「見えない、見えにくい方」「聞こえない、聞こえにくい方」が、いつもでも、どこでも映画が楽しめるよう、音声ガイドや字幕ガイド付きでご鑑賞いただける上映です。
引用:TOHOシネマズ「お知らせ」
バリアフリー上映に対応している作品では、字幕用メガネやスマートグラスを使用したり、専用アプリをインストールしたスマートフォンとイヤホンを使用したりして、映画を鑑賞することができます。
「HELLO!MOVIE」などの専用アプリがあり、字幕・音声ガイドデータを事前にダウンロードして、劇場内で使用します。アプリによっては対応していない作品等もあるので、確認してからチケット等を予約しましょう。
また、劇場によっては字幕用メガネの貸し出しを行っている場合もあります。
数に限りがあるため字幕メガネを使用したい場合は、必ず字幕メガネを予約してからチケットを購入するようにしましょう。
バリアフリー上映対応作品は、上映スケジュールにて「バリアフリー」と記載がある作品になります。バリアフリー上映を利用する際は、あらかじめアプリのインストール、イヤホンの用意、使用方法の確認などを済ませておくようにしましょう。
まとめ
- 映画館の障害者割引では、障がいの種類や程度に関わらず一律1,000円に割引される。特別上映や特別な席における追加料金では、障害者割引が適用されない
- 障害者1名につき、付き添い人(親や友人、恋人でも可)も1~2名まで同様に割引が適用される
- 実際に映画館で障害者割引を利用する際は、『①「障害者割引」で購入 ②入場時に障害者手帳を提示』が基本的な流れ。ネット予約でも同様の流れで利用が可能
- 対応している映画館であれば、「ミライロID」を提示することで障害者手帳の代わりになる
- 障害者割引を利用するなら障害者手帳を忘れないこと、係員のサポートには限度があると理解しておくこと、車椅子の場合はあらかじめ劇場に確認をとっておくことがポイント
本記事では、映画館の障害者割引について紹介しました。
映画館における障害者割引は、障がいの種類や程度にかかわらず障害者手帳を所持していれば誰でも適用される他に、付き添い人も1~2名までなら割引料金で利用が可能です。この付き添い人に関しては、家族はもちろん、友人や恋人など、誰でも問題ありません。
このように、映画館の障害者割引は付き添い人も利用できる大変便利なものとなっています。映画館の障害者割引を上手に使って、外出のきっかけや気分転換に利用していきましょう!
また、今回紹介した映画館の障害者割引以外でも、便利な割引があります。こちらの記事で詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。