「交通費の支給がある事業所や自治体を知りたい…」
などの不安や疑問はありませんか?
就労移行支援事業所に通っている間は収入がない状態なので、交通費も経済的な負担になりますよね。
就労移行支援事業所の利用時にかかる交通費は、原則として自己負担になります。
しかし、事業所によっては交通費の支給をしている施設や、自治体によっては交通費の助成が受けられます。
- 就労移行事業所の交通費について
- 交通費の支給をしてくれる事業所や自治体
- 就労移行事業所の利用料や工賃について
について解説します。
これから就労移行支援事業所に通おうか検討している方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
就労移行支援事業所の利用料は9割の人が無料
就労移行支援にかかる利用料は、9割が国と自治体が負担し残りの1割を利用者が負担します。前年度の世帯収入を基準に、自己負担額の上限が決まります。
世帯の範囲は18歳以上の障がい者の場合、障害のある方とその配偶者が該当します。そのため、就労移行支援事業所の利用者中、およそ9割の方が自己負担額0円で利用しています。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 *1 | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯 *2 ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除く *3 |
9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
*2 収入がおおむね670万円以下の世帯が対象
*3 入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となる
訓練等給付の支給決定が出て、受給者証が発行されれば負担額もはっきりしますが、事前に知っておきたい場合は各自治体の担当者に確認してみましょう。
利用料の詳細に関しては、厚生労働省のホームページから確認することができます。
自治体によっては就労移行支援の交通費の助成を受けられる
ほとんどの方は利用料0円で就労移行事業所を利用できるため、交通費の支給があれば経済的な負担を少しでも減らせます。
お住まいの市区町村によっては、一定の基準を満たした利用者に交通費が助成されます。条件や支給額は、自治体によって異なりますので確認が必要です。
助成がある自治体の調べ方は、「○○市 就労移行 交通費」「△△市 通所施設 交通費」などで検索すると、交通費の助成がある市区町村のホームページが表示されます。
条件の確認ができたら居住地の行政相談窓口で、申請の手続きをおこないましょう。
ここでは、東海地方で交通費の助成がある自治体をいくつかご紹介します。
【岐阜県大垣市】
対象者:精神障害者保健福祉手帳の交付を受け、障害者総合支援法に基づく指定障害者福祉サービス事業所等へ通っている方
助成額:鉄道等を利用した所要交通費の2分の1相当の額
(定期券または回数券の場合、通所した日数に応じて計算した額)
【三重県伊賀市】
対象者:月8回以上訓練施設に通所等をしており、公共交通機関および自家用車を利用して通所等をされている方
助成額:公共交通機関を使用する場合は、通所に係る交通費の2分の1(上限月額10,000円)
自動車を使用する場合は、上限月額10,000円(使用距離に応じて日額が設定)
【静岡県掛川市】
対象者:障がいのある方で、市内に住所があり、指定障がい福祉サービス事業者(生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援を実施する事業所に限る)に通所している方
助成額:対象となる施設に通所した場合に要する通所費のうち、市の基準により月額上限20,000円まで
交通費の支給がある就労移行支援事業所
冒頭でもお伝えしましたが、就労移行支援事業所の利用にかかる交通費は原則として、自己負担です。
しかし、数は少ないですが独自で交通費の支給を行っている事業所もあります。
ここでは、交通費の支給がある就労移行事業所をいくつかご紹介します。
ココルポート(Cocorport)
交通費の支給がある事業所としては最も有名で、就労移行支援事業所の数は令和6年現在、全国に61か所あります。
ココルポートでは交通費応援制度として、交通費の補助を実施しています。
対象となる方や条件は下記の通りです。
対象者
- 公共機関を利用して通所される方
- 行政の交通費助成がない地域の方、もしくは行政の交通費助成があっても半額支給などで実費が発生している方
- 障害福祉サービス受給者証が発行され、正式利用になった方
金額
- 上限月額10,000円とし、通所日数×自宅から事業所までの往復交通費の実費
(福祉パス・割引区間がある場合、それを除いた実費のみの支払いとなる)
ヒューマングロー
ヒューマングローも交通費の補助を行っている就労支援事業所です。
東京都内に就労移行支援事業所が5か所と、就労継続支援事業所A型が2か所あります。
対象となる方や条件は下記の通りです。
対象者
- 電車やバスなどの交通機関を利用して通所される方
- 障害福祉サービス受給者証が発行されている方
金額
- 上限月額で12,000円を補助
チャレンズ
チャレンズは通所にかかる交通費を全額支給している事業所です。
事業所は、大阪市のカレッジ チャレンズ京橋校の1か所のみです。
対象となる方や条件は下記の通りです。
対象者
- 公共交通機関を利用して通所している方
- 開所日数の6割以上(月単位)の通所が必要
金額
- 通所にかかる交通費(公共交通機関)を全額支給
(上限20,000円まで)
ニューロリワーク
ニューロリワークも交通費の補助を行っている就労移行事業所です。
東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、福岡に展開しており、事業所は10か所あります。
対象となる方や条件は下記の通りです。
対象者
- 障害福祉サービス受給者証が発行された方
- 月に12日以上通所された方
※行政からの交通費助成を受給している場合、対象外となる
金額
- 自宅から事業所までの交通費を助成
(上限10,000円まで)
令和6年現在、上記のように、交通費の支給がある事業所は少ないですがいくつかあります。
通所を検討している事業所のホームページを確認するか、見学に行った際、交通費の支給があるのか事前に確認しておくと良いでしょう。
生活保護を受けている場合の交通費
生活保護を受けている方で就労移行支援を利用しようと思っている方の中には、「交通費が支給されると収入とみなされて、生活保護費が減額になってしまうのではないか…」と不安に思っている方もいるのではないでしょうか。
交通費が事業所から支給される場合は、障害者自立支援法(総合支援法)の障害者就労支援事業からの支給になります。
就労移行支援事業所は就職に必要な知識やスキルの向上のサポートをおこなう場で、訓練として位置づけられています。
そのため、就労移行事業所から支給される交通費は「就労に伴う収入」ではなく、「必要経費」となるので、収入認定はされません。
就労移行事業所は工賃はでるの?
原則として工賃の支給はありません。
就労移行支援事業所は、一般就労への訓練やスキルの向上が目的で、就職の準備を行う場であるためです。
障がい者手帳で交通費の割引が受けられるケース
精神障害・身体障害・知的障害などを抱える方が外出する際は、電車やバスなどの公共交通機関を利用する場面が多くあります。
障害者手帳を持っている方であれば、手帳を提示するだけでJRや私鉄の運賃が半額になったり、バスの料金が半額になったりと、さまざまな割引サービスが受けられます。
例えば、東京に住んでいて身体障害または知的障害がある方は、「都営交通無料券」を受け取れます。
割引サービスは、お住まいの地域・自治体によって違いがあるので、公共交通機関のホームページの確認が必要です。
このように、多くの公共交通機関では障害のある人を対象に運賃割引サービスを実施しています。
就労移行支援事業所を利用する際は、割引サービスについて知っておくと便利です。
まとめ|就労移行支援の交通費について
- 自治体によって交通費の助成が受けられる場合がある。
- 独自で交通費を支給している就労移行支援事業所もある。
- 手帳を持っていると運賃等の割引サービスが利用できる場合がある。
いかがだったでしょうか?
交通費の支給がある事業所や自治体の紹介とあわせて、利用料や工賃について解説しました。
交通費の支給や助成を受ければ、通所にかかる費用の負担を少しでも減らせます。
今回の情報を参考に、交通費の支給がある事業所に見学にしてみたり、自治体の助成や割引サービスを積極的に活用してみたりしてくださいね。