この記事を見ているあなたは、雨の日になると、

「雨の日は何もする気が起きない…」
などの症状に悩んでいませんか?
実は、うつ病は低気圧の影響を受けやすいため、雨の日に症状が悪化することがあります。
- なぜうつ病の症状は雨の日につらくなるの?
- うつ病の方が気をつけたい天気や時期
- 低気圧で体調不良が起きやすい時の対策
について解説していきます。
この記事を通して効果的な対処法を理解し、じめじめした暗い日を乗り切りましょう。
雨の日にうつ病がつらくなる原因
あまり知られていませんが、うつ病の症状は低気圧の影響を受けると悪化することがあります。そのため、うつ病の方は雨や曇りなど、天気の変化に敏感になることがあります。
気圧とは、空気の重さによって発生する圧力のことです。そもそも、雲は地表の空気が上昇することで形成され、やがて雨が降り出します。このことから、雨の日は地表の空気が減少するため気圧が下がり、「低気圧」が発生します。
低気圧になると、片頭痛、めまい、不眠、関節の痛みなどの不調が出やすくなりますが、うつ病の方はこれらに加えて、気分の落ち込みが強くなることもあります。例えば、仕事に集中できなくなったり、友人・家族・同僚にイライラしてしまったり、ひどいときには外に出る気力もなくなってしまうこともあるでしょう。
低気圧だとうつ病が悪化する2つの理由
なぜ雨が降って低気圧になるとうつ病が悪化するのでしょうか?
この項目では、その2つの理由を解説していきます。
低気圧による自律神経の乱れ
気圧が下がると自律神経のバランスが乱れやすくなります。
自律神経とは、自分の意思ではコントロールできない体の動きを調整する神経です。例えば、「心臓や血管の動き」「呼吸」「消化の動き」などは、自律神経の働きによるものです。
自律神経は身体の動きをコントロールするために
- 交感神経
緊張させる方向に働く - 副交感神経
リラックス(緩和)させる方向に働く
の2つの神経が働いており、バランスを取りながら身体の機能を調整しています。
しかし、自律神経が乱れると交感神経・副交感神経の切り替えが上手くできなくなるため、
- 頭痛
- 食欲不振や吐き気
- 気分が落ち込む
- 夜に眠れなくなる
などの不調が表れます。
そのため、低気圧で自律神経が乱れるとうつ病の症状が悪化する原因になるのです。
日照不足による神経物質の減少
低気圧の日は、天気は雨や曇りになります。天気が悪いと太陽の光を十分に浴びることができず、これがうつ病を悪化させる原因になるのです。
人間の脳は、日光を浴びることで幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」を生成します。このセロトニンは、夜になると眠りを誘うホルモン「メラトニン」へと変化します。うつ病は、この2つの神経伝達物質が不足することで症状が悪化する病気です。日照不足になる低気圧の日はセロトニンが減少するため、うつ病の症状が悪化しやすいのです。
要注意!うつ病が特にひどくなる3つの天気
低気圧の日にうつ病の症状が悪化しやすい理由は先述した通りです。もっとも、同じ低気圧でも、つらさを感じやすい日もあれば、そうでもない日もあります。
そこで、この項目ではうつ病の方が特に注意したい3つの天気について解説します。
これらの天気が近づいている時は、事前に仕事量を調整する準備をしたり、生活リズムを整えたりして、心と体を守る対策をしておきましょう。
梅雨
梅雨とは、主に日本を含む東アジアで見られる、5~7月にかけて曇りや雨の多くなる時期を指します。
この時期は、温かく湿った空気と冷たい空気がぶつかり合うことで雨雲が発達し、梅雨前線が停滞することで雨の降りやすい状況が続きます。雨や曇りなどの気圧が低い日が長く続くため、対策をせずに過ごしていると、仕事や日常生活に支障をきたすおそれがあります。
冬が過ぎて「温かくなってきたな」と感じたら、早めに梅雨に備えておきましょう。
台風
台風とは、熱帯で発生する「熱帯低気圧」のうち、最大風速が一定以上のものを指します。自然災害の1つであり、強い低気圧に加え、暴風や豪雨による風害や水害を引き起こします。
低気圧によるうつ病への影響もつらいですが、激しい雨風が不安感を高めることもあります。また、台風による実際の被害がストレスとなり、心身に大きな負担がかかる場合も。
台風が接近しているときは、外出を控え、室内で安全に過ぎるのを待つようにしましょう。
台風は移動などで「温帯低気圧」や「熱帯低気圧」に変わることもありますが、風雨の危険がなくなったわけではないので、警戒は必要です。
爆弾低気圧
爆弾低気圧とは、急速に発達する温帯低気圧のことを指します。温帯低気圧の中心気圧が急激に一定より下がったものが「爆弾低気圧」と呼ばれます。台風などの熱帯低気圧とは異なる現象です。
冬の日本海や本州の東海上、また春から初夏にかけては日本海で発生することが多く見られます。広い範囲で暴風や大雨が起こる他、突風やひょう・あられが降る場合もあります。気圧の変化が大きく、気温の変化も大きいため、自律神経が乱れやすく、体調不良になる方が多いです。
爆弾低気圧は正式な気象用語ではありませんが、テレビやニュースなどのメディアでよく使われるため、天気予報で耳にしたときは注意が必要です。
体調不良やうつ病の悪化を防ぐ3つの低気圧対策
低気圧によるうつ病の悪化を防ぐためには、事前の対策が重要です。
「台風がくるってニュースで見たから不安…」
そんな時は、この項目で紹介する準備をして、低気圧の日の不安を和らげてみましょう。
生活習慣を整える
普段から生活習慣を整えておくことで、気圧変化による体調の変化に耐性をつけることができます。
意識したいポイントは、次の3つです。
- 普段から適度な運動をする
- 栄養バランスを考えた食事をとり、腸内環境を整える
- 夜更かしを避け、十分な睡眠と規則正しい生活を心がける
これらは一見当たり前に思えるかもしれませんが、乱れてしまうと低気圧の影響を受けやすくなります。特に、うつ病の方は生活習慣が不規則になりやすいため、日常の生活を見直してみると良いでしょう。
「頭痛ーる」で気圧や体調をチェック
テレビやニュースで梅雨や台風の情報を確認し、きついスケジュールを避けるのも有効な対策です。
気圧の確認に便利なのが、気圧予報アプリ「頭痛ーる」です。
このアプリでは、日々の気圧を簡単に確認できるほか、どのような気象条件で体調不良になったかの記録ができます。
記録を続けることで自分の体調の傾向がわかり、より効果的な体調管理に役立てられるでしょう。また、主要都市の気圧・天気予報や、気圧変化の通知、頭痛や気圧について解説されているコラムなどの機能があります。
気圧・天気予報やコラムなどの機能はアプリだけでなく、ブラウザでも利用できるので、一度確認してみると良いでしょう。
耳の血行を良くする
気圧が下がると、体内の圧力バランスが崩れて自律神経が乱れます。これにより血流が悪化し、さまざまな体調不良が起こります。
特に、耳の奥にある「内耳」が敏感な方は、気圧の変化を強く感じやすく、不快感が出やすくなります。この不快感を和らげるためには、耳の周りの血流をよくするのが効果的です。
たとえば、
- 耳の後ろに温かいおしぼりを当てる
- 耳をもむ・引っ張るなどして、軽くマッサージする
などの方法で耳周りの血流を改善できるため、ぜひ試してみましょう。
つらい雨の日、オススメな過ごし方4選
「雨の日は何もやる気が起きず、仕事に集中できない」
うつ病の方は、いくら事前に対策をしていても、このような体調不良を避けられないことがありますよね。
この項目では、そんな時にオススメな雨の日の過ごし方を紹介します。
入浴してリラックス
低気圧で体が重く不調なまま一日を過ごすと、気分も悪くなってきます。そんな時は、ゆっくり入浴してみましょう。
38~40℃くらいのぬるめのお湯に浸かることで、血行が促進されリラックスできます。また、入浴には自律神経の乱れを整え、体の不調を和らげる効果があります。
長時間の入浴は体調を悪化させる可能性があるため、10~15分程度の入浴が良いでしょう。
軽い運動をする
室内での軽い運動もオススメです。
仕事や日常生活でストレスを感じていると、低気圧の日に血流が悪くなったり呼吸が浅くなったりします。そのような時は、伸びやストレッチを行うだけでも、血行促進、気分転換につながります。
また、休日であれば、深呼吸を交えて行うヨガも効果的です。
深い呼吸を意識しながら行うことで、交感神経と副交感神経のバランスを整うため、心身ともにリラックスできるでしょう。
雨音に耳を傾ける
雨の日は、雨の音に耳を傾けるのも良いでしょう。雨の音には、「1/f ゆらぎ」と呼ばれる自然のリズムが含まれており、このゆらぎにはリラックス効果があるとされています。
また、雨音を聞くことで脳内に「アルファ波」が発生します。アルファ波はリラックスしているときに出る脳波で、リラックス効果だけでなく、集中力を高める働きもあります。
ただ、雨音を聞くことで気分が落ち込みやすくなる方もいるので、無理をせずに過ごしましょう。
つらいときは薬を服用する
どうしても頭痛や吐き気などの症状がつらい時や、雨の日に行動しなくてはならない時などは、薬を服用するのも1つの方法です。精神科・心療内科を受診されている方であれば、気圧の変化による体調不良に対して漢方などの処方を受けられる場合があります。
また、近年では低気圧時の不調に特化した市販薬も登場しています。自身の症状に合わせて薬剤師に相談したり、病院を受診したりすることで、安心して対処ができるでしょう。
まとめ|低気圧でうつ病が悪化する理由と雨の日の過ごし方
- 雨の日は低気圧になるため、自律神経が乱れやすくうつ病の症状が悪化しやすい傾向にある。
- 雨の日の日照不足も、体内のセロトニンの分泌量が減少するため、うつ病の症状が重くなる原因になりやすい。
- 梅雨、台風、爆弾低気圧のときは長期的に低気圧が続き、気圧の変化が大きくなるため、特に注意が必要。
- つらい雨の日は、「入浴」「散歩」「雨音に耳を傾ける」など、リラックスしながら過ごすのがオススメ。
- 低気圧による体調不良に特化した市販薬もあるため、つらい時は薬剤師や主治医に相談することも大切。場合によっては漢方などの処方が受けられる場合もある。
低気圧になる雨の日は、特にうつ病の症状が強く出てしまいます。
雨の日の適切な対処法やリラックスできる過ごし方を身につけることが、雨の日の憂鬱さを改善する鍵となるでしょう。