「やっぱり、自分が怠けてるだけなのかな…」
うつ病のとき、そう自分を責めてしまうのは本当につらいですよね。しかし、LINEの返信が難しくなるのは、うつ病の症状ではよくあることで、決してあなたのせいではありません。
- なぜ、うつ病だとLINEが返せなくなるのか?
- 心を縛る「~べき」思考から自由になる方法
- LINEの返信による負担を減らす工夫
- あなた自身の回復について大切なこと
これらについて、一緒に考えていきましょう。
うつ病だとLINEを返せなくなる3つの理由

うつ病の状態でLINEが返せないのは、あなたの意志の弱さや性格の問題ではありません。うつ病という病気が、心と身体に影響を与えているからです。
理由を知るだけで、「自分が悪いわけじゃないんだ」と、少しホッとできるかもしれません。
この項目では考えられる理由を3つ、紹介していきます。
脳機能の低下によって「考えること・動くこと」が難しい
うつ病は、脳の機能が低下しており、脳のエネルギーが不足しやすい状態です。
- メッセージを読む
- 内容を考える
- 言葉を選んで文字を打つ
健康な時はスムーズにできるこれらの一連の作業が、非常に大変に感じられてしまいます。
そのため、LINEの返信のような日常的な行動でさえ、「簡単なはずなのにできない…」といった感覚に陥りやすくなります。
自分を責める気持ちによって「返信しなければならない」プレッシャーが強くなる
うつ病の症状の1つとして「罪悪感」があり、自分を責めやすくなることがあります。「早く返さなきゃ」という義務感や焦りは、この自責の念から生まれることが多いです。
特に真面目で責任感の強い方に多いのが下記のような考え方です。
↓
強いプレッシャーになる
↓
さらにストレスを感じ、エネルギーが消耗する
↓
ますます返信する気力がなくなる…
といった流れの悪循環に陥りやすく、その思考がLINEの返信を難しくしてしまうことがあります。
不安が強まり過ぎて動けない
うつ病になると、不安を感じやすくなります。
「こんな内容で大丈夫かな」「変に思われたらどうしよう」といった心配が次々と浮かび、返信内容や相手の反応を過剰に気にしてしまう、という経験はありませんか?
過剰な心配は、エネルギーを消耗します。そのうえ考えれば考えるほど混乱し、考えは上手くまとまりません。結果として、「結局何も送れなかった…」となってしまうのです。
今一番大切なのは「心と身体の回復」

LINEの返信に悩むあまり、一番大事なことを見失っていませんか?
うつ病の治療中で一番大切なことは、あなた自身の心と身体の回復です。コミュニケーションも大切ですが、それが療養の妨げになっては意味がありません。この項目で改めて確認していきましょう。
無理のないコミュニケーションが関係を守る
相手との良い関係を続けたい気持ちはよく分かります。しかし、無理して返信を続け、心身が疲れ果ててしまっては逆効果です。
「今は少し距離を置く」「返せるときだけにする」など、今のあなたにとって無理のない関わり方を探してみませんか?健全な関係は、お互いが心地良いペースで成り立つものです。相手も同じように疲れているかもしれません。
「返せない期間があっても大丈夫」と、長期的な視点を持てたほうが、結果として関係を守ることにつながるはずです。
身近な人ほど返せないこともある
身近な人だからこそ、「心配をかけたくない」「しっかりしないと」という気持ちが強くなる場合や、逆に甘えが出る場合があります。期待に応えたいと思う故のプレッシャーや近いからこその遠慮のなさなど、さまざまな感情が複雑に絡み合い、かえってエネルギーを使う場合もあるでしょう。
それは一番理解してほしい相手だからこそではないでしょうか。正直な気持ちを伝えるのが一番の近道になるかもしれません。
本来の目的である「うつ病からの回復」に立ち返る
LINEの返信問題に心が囚われそうになったら、一度立ち止まって、「一番の目標は回復することだ」と思い出してみましょう。症状が和らげば、LINEに対する負担感も自然と軽くなる可能性が高いです。
「これは回復の助けになるか?」「ストレスになっていないか?」と時々自分に問いかけ、休息や治療など、回復につながることに意識とエネルギーを向けていきましょう。
相談できる場所がある:1人で抱え込まないこと
辛い気持ちを1人で抱え続けるのは、とても苦しいことです。信頼できる医師やカウンセラー、話せる家族や友人がいるなら、相談することも考えてみましょう。
- 専門家(通院先の医師、カウンセラーなど)
状況に応じたアドバイスや、医学的な対処法を提案してもらえます。 - 身近な人(家族、友人など信頼できる人)
話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。
「LINEを返すのがつらい」と正直に打ち明けることで、理解や協力を得やすくなる場合があります。
相談相手が思いつかない場合は、精神保健福祉センターなどの専門機関や電話・メールなどでの相談も可能です。
相談することは、自分を助けるために大切な行動の1つです。知っている人に話しづらい場合は第三者である専門機関などを活用して、自分の心を軽くしましょう。
電話やメールなど、相談方法から探したい場合は下記が便利です。
相談窓口等のご紹介|支援情報検索サイト|厚生労働省
LINEは難しくても、電話やメールなら返信できる場合もある
人によって負担に感じるツールは異なります。
LINEの即時性がプレッシャーに感じるなら、考える時間を持てるメールの方が楽な場合があります。逆に、文章を考えるのが難しい場合、短時間の電話の方が楽、という方もいるでしょう。
LINEが特につらいと感じるなら、他のツールを試してみてはいかがでしょうか。
相手に自分が使いやすいツールでの連絡を提案してみましょう。
「返さなくちゃ…」の思考から抜け出すには|心を軽くする考え方

そんなあなたのために、この項目では「〜すべき」という思考の罠から抜け出し、心を少しでも軽くするための考え方のヒントを3つご紹介します。
- LINEは「義務」じゃない:「コミュニケーション手段の1つ」と捉える
- 「思いやり」と「相手の期待」を分けてみる
- 今の「返せない自分」を否定せずに受け止めてみる
完璧に行う必要はありません。「こんな考え方もあるんだな」くらいの気持ちで目を通してみてはいかがでしょうか。
1.LINEは「義務」じゃない:「コミュニケーション手段の1つ」と捉える
LINEの返信は、人間関係における絶対的な義務ではありません。あくまで、数あるコミュニケーション手段の1つです。
「返信の速さや頻度だけで、関係の良し悪しが決まるわけではない」と考えてみてはいかがでしょうか。
「無理に返そうとして消耗するより、自分の心身を休ませることを優先しよう」と考えられて、結果的にあなた自身と大切な人との関係を守ることにもつながるはずです。
2.「思いやり」と「相手の期待」を分けてみる
相手を大切に思う「思いやり」と、自分の想像する「相手の期待」は、別物と考えてみましょう。
「嫌われたくない」
と考えるのは自然なことです。
しかし、そのために「早く返信する」「気の利いたことを書く」などの対応は本当に必要でしょうか。
そもそも、相手が何を期待しているのかは、本人以外、誰にもわかりません。
「早く返信してほしい」と思っているのか、どういう返信を求めているのか、などの本心は知りようがないのです。
見えない期待に応えようとすることは、心をすり減らす大きな原因になります。
と、少しずつ自分に許可を出していく練習をしてみませんか?
「返信しないと友だちがいなくなるのでは…」という不安への向き合い方
返信しないことで、大切な人とのつながりが消えてしまうことを、恐れている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、あなたのことを本当に大切に思っている方であれば、きっとあなたの状況を理解し、待っていてくれるはずです。
もし可能なら
という気持ちを伝えておくと、お互い安心できるでしょう。
3.今の「返せない自分」を否定せずに受け止めてみる
LINEを返せない自分を「ダメだ」と責める代わりに、「今は病気のせいで、返信するのが難しい状態なんだな」と、一旦、事実として受け止めてみましょう。
現状を否定せず、「今はそういう時期なんだ」と捉えることで、不必要な罪悪感や焦りから少し距離を置けます。
自己否定は、うつ病の症状を悪化させる可能性があります。「返せないのは、自分が悪いからじゃない。病気のせいなんだ」と自分に言い聞かせ、「今は休んでいいんだ」と自分自身を労わることを最優先にしてみましょう。
仕事のLINEが返せなくて、クビにならないか不安なときは?
仕事関係の連絡はプレッシャーが大きく感じますよね。
可能であれば、事前に上司や信頼できる同僚へ、体調が理由で返信が遅れる可能性がある事を相談できるとベストです。診断書などがあれば説明の助けになります。業務に支障が出ないよう、代替の連絡手段などを事前に相談しておくと、安心でしょう。
うつ病を1人で抱え込まず、職場に「助けてほしい」と伝えることを考えてみましょう。連絡だけでなく仕事にも支障が出ている場合、休職を提案される場合もあります。うつ病の治療に専念するのも1つの手です。
LINEに対するプレッシャーを和らげる工夫3選

考え方を変えるのが難しいときもあるでしょう。
この項目では、LINEを返信する際のプレッシャーを少しでも減らすための、具体的な工夫を3つご紹介します。
全部実践する必要はありません。「これならできそうかも」と思えるものがあれば、試してみてはいかがでしょうか。
【できるときだけ】正直に「今は難しい」と伝える
可能であれば、正直に「すぐに返信するのが難しい状況であること」を伝えてみるのも1つの方法です。相手に状況を理解してもらいやすくなり、「早く返さなきゃ」という自分の焦りも和らぐかもしれません。
長々と説明する必要はありませんし、伝えること自体が負担になるなら、無理に伝えなくても大丈夫です。ちょっとでも伝えてみようと思ったら、下記の例文のようなシンプルな形を参考にしてみてはいかがでしょうか。
【例文】
- 「ごめんね、今ちょっと体調が優れなくて。返信、少し待ってもらえると助かるな。」
- 「メッセージありがとう。確認しました。お返事は少し時間がかかっちゃうかも、ごめんね。」
- 「(スタンプや一言で返した後)ごめん、今はこれで。また改めて連絡させてください。」
「うつ病だから」と伝えることに抵抗があるけど、どう伝えたらいい?
病名を直接伝えることに抵抗があるのは自然なことです。
正直に「うつ病」と伝える必要はありません。
「最近疲れ気味で、あまりスマホを見られていなくて…」
「少しの間、連絡のペースがゆっくりになるかも」
など、具体的な病名を出さずに伝えるだけでも大丈夫です。相手との関係性に合わせて、自分がしっくりくる言葉を選びましょう。
【返信のハードルを下げる】スタンプや短い言葉で返してみる
「ちゃんと文章で返さなきゃ」と思い込まず、スタンプや短い言葉など、今の自分が楽にできる形で反応してみませんか?完璧を目指すほど、返信のハードルは上がってしまいます。「了解」「ありがとう」の一言やスタンプだけでも、「読んだよ」「受け取ったよ」という意思は伝わります。
どんな形であれ、「反応できた」という小さな事実が、罪悪感を少し和らげてくれるかもしれません。
「今の自分にできる範囲でOK」と考えてみましょう。
返信を催促されたらどうしたらいい?
返信を催促されると焦ってしまいますよね。
もし返信する余裕があれば、
のように状況を伝えて時間をもらうのも手です。
返信が難しければ、無理に対応する必要はありません。通知を一時的にオフにするなどして、まずは自分の心を守ることを考えましょう。
すぐに答えられない自分を責めないようにしましょうね。
【できる範囲で】スマホと距離を置く時間を作る
可能であれば、意識的にスマホから離れる時間を作ってみるのも、心を休める助けになることがあります。
スマホが近くにあるだけで、
- 通知が来るたびにドキッとする
- 返信のことを考えてしまう
など、無意識にプレッシャーを感じているかもしれません。
「今は休む時間」「返せる時に返せばいい」と割り切る時間を作ってみましょう。
なお、スマホから離れることで逆に不安になる場合は、無理に手放す必要はありません。
- 通知をオフにする
- 見る時間を決める
など、自分に合った距離の取り方を探ってみましょう。
「既読を付けたのに返さないのは罪悪感がある…」の対処法
「既読スルー」という言葉の影響で、既読を付けて返信しないことが悪いことのように感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、既読はあくまで「読んだ」サインです。「既読を付けた=すぐに返信する」という約束ではありません。
今の自分が「読めるけど、今は返信する体力が無い」という状態であることを認めましょう。罪悪感を感じすぎる必要はありません。
返せるタイミングが来たら、「遅くなってごめんね」と軽く伝えれば大丈夫でしょう。
グループLINEの通知が止まない時は?
グループは情報量が多くて疲れてしまうことも多いでしょう。
そんな時は、思い切って通知をオフにしてみませんか?内容の確認は自分のタイミングで見れば十分です。
「大事な連絡を見逃したら不安…」という心配があるなら、同じグループで親しい人に「何かあったら個別で教えてもらえると助かります」とお願いしておくのも良いでしょう。
グループ内のすべてを把握する必要はありません。まずは精神的な負担を減らすことを優先しましょう。
少し元気が出てきたとき|返信・連絡する際に気をつけること

少し元気が出てきたら、返信・連絡をしてみようと思うこともあるでしょう。素晴らしい一歩ですが、回復には波があります。
ここで焦って元のようにしようと頑張り過ぎないことが大切です。
「今日はこの人だけ」「短い返事だけ」など、無理のない範囲で、ゆっくり再開するようにしましょう。調子が良い時ほど頑張り過ぎてしまい、その反動で次の日には今までできていたことができなくなる場合もあります。
調子が良くてもやりすぎず、意識してセーブしていきましょう。
まとめ:うつ病で連絡ができない理由と返信できない時の対処法
- LINEが返信できない原因は、うつ病の症状。自分を責めずに「今はできなくても仕方ない」と受け止めよう。
- 無理なコミュニケーションで疲弊するより、しっかり休むことが大切。今は何よりも心と身体の回復を最優先に。
- つらい時は1人で抱え込まず、周りに助けを求めることも必要。自分を大切にする行動を。
- 「~べき」という思考を手放して、「LINEの返信は義務じゃない」「期待に応えられない自分でも良い」「うつ病だから、今は休んでいい」と考える時間を作ろう。
- プレッシャーを減らす具体的な工夫として「スタンプ」「短い返信」「できれば信頼できる人には正直に伝える」「スマホとの距離を置く」「通知をオフにする」などがある。焦らず、今の自分にできることから、無理のない範囲で取り入れてみよう。
すぐにすべてを変える必要はありません。困ったときに実践してみる、程度からで良いのです。
焦らず、自分のペースを大切にしましょう。
この記事が、あなたの心が少しでも軽くなるための一助となれば幸いです。


