「人間関係や過去のトラウマから一般企業で働くのは怖い…」
「フリーランスで働いてみたいけど、スキル不足で困っている…」
という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
障がい者や難病の方を対象に、就労のサポートを行っているのが就労移行支援事業所です。
就労移行支援事業所からフリーランスで働きたいという方もいると思います。
- 就労移行支援事業所からフリーランスになれるのか
- フリーランスになるときにおすすめの職種
- フリーランス以外にも働ける方法3つ
をまとめました。
あなたに合った働き方が見つかるかもしれないので、ぜひ参考にしてください。
※この記事では、フリーランスの定義を「開業届を提出し個人事業主として企業と契約して仕事をしている人」としています。
就労移行支援事業所からフリーランスになるのは難しい
就労移行支援事業所からフリーランスを目指すことは問題点が多く、難しいのが現状です。
総務省統計局によると、令和4年の時点で、有業者のうち本業がフリーランスの方の数は209万人となっており、全体のおよそ3%程度となっています。副業のみフリーランスをしている方も含めると250万人程度です。
「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」が策定されるなど、フリーランスとして働くための法整備が進められていますが、なぜ就労移行支援事業所からフリーランスになることが難しいのでしょうか。
就労移行支援事業所のゴールは企業と雇用契約
就労移行支援事業所は利用者に職業訓練を行って、就職をサポートする場所です。利用者と企業が雇用契約を結ぶことが、就労移行支援事業所のゴールと言えます。
しかし、フリーランスは企業と雇用契約を結びません。フリーランスは就職ではなく、開業した事業主になるとみなされるため、就労移行支援事業所としても扱いが難しいのです。
また、就労移行支援事業所では基本的に、就職するための知識や就職後のためのビジネスマナーなどを学ぶカリキュラムや支援が組まれています。フリーランスになるのであれば、一人で働くための知識やスキル、環境づくり、人脈が必要になるでしょう。
フリーランスは大変なことも多い
フリーランスは「人間関係や時間に縛られない自由な働き方」と思う方も多いのではないでしょうか。決して間違いではありませんが、フリーランスはすべて自分で仕事を取って、管理して、利益を上げ続けないといけません。納税のための確定申告を行う必要もあります。
これらは健常者の方でも、大変なことなので、フリーランスは非常に難しい働き方と言えます。体調が悪くても、代わりに作業をしてくれる人はいないので、自分で解決しないといけません。
また、報酬が振り込まれるのが数か月後になることや案件がない間は収入がなくなることもあるため、常に並行して仕事をしたり、もしものために備えをしたりする必要があります。
開業届を出す場合、小規模企業共済に加入できるなどのメリットもありますが、「事業主」扱いとなるため、失業手当がもらえなくなるデメリットもあります。
- 最初のうちは収入が安定しない
- 仕事が無くなったときに助けてくれる人脈や、頼りになる人も必要
- 時間の管理や税金対策、確定申告など、やるべき仕事は山のようにある
- 報酬が振り込まれるまでの間や案件がない間は無収入になるので、備えが必要
- 開業届を出す場合、失業手当がもらえなくなるデメリットもある
体力的、精神的、経済的にも不安定な働き方になるフリーランスは、事業所もサポートしにくいのが現状です。
今後、就労移行支援事業所からフリーランスは認められる?
就労移行支援事業所からフリーランスを目指しにくいのが現状です。どうしても会社勤めに勇気が出ない方にとっては、辛いことでしょう。
ですが、フリーランスとして働くことは決して悪いことではありません。働き方にも多様性が求められている今、フリーランスも立派な仕事として認められており、冒頭でも述べたような法整備が進められつつあります。
ここでは、就労移行支援事業所とフリーランスの今後について解説してきます。
将来的には就労移行支援事業所から直接フリーランスになることが認められる可能性がある
将来的には、フリーランスのためのカリキュラムを組んだ就労移行支援事業所が出てくる可能性が高いです。
障がいがあっても、高いスキルを発揮できる方はたくさんいます。
また、就労移行支援事業所でもプログラミングやWebデザインのカリキュラムを取り入れる所が増えてきました。「働き改革」や「働き方の多様性」が求められる中で、個人のスキルで仕事を得て活躍することは、選択肢の一つとなるでしょう。
さらに、SDGsの広まりによって、年齢や性別、障がいによって区別や差別の無い社会を作ることが定義されています。
障がいがあっても高いスキルで仕事ができて、フリーランスの働き方が一般的になれば、就労移行支援事業所を利用した後の選択肢として認められるときが来るはずです。
障がい者がフリーランスになるならどんな職種が良いか
就労移行支援事業所からフリーランスになることは難しいのが現状です。しかし、近年テレワークやリモートワークが急速に普及してきました。
人と関わるのが苦手で、就職に勇気が出ない方にはとっては、天職と言えるのではないでしょうか。
そこで、障がいがあっても目指せるフリーランスの職種をご紹介します。
初めての方でもおすすめなのは、次の3つです。
- webライター
- プログラマー
- webデザイナー
ここからは、この3つの職種について、詳しくみていきましょう。
Webライター
1つ目はWebライターです。文章力はもちろんですが、特定のジャンルに特化した深い知識や、物事を掘り下げて調べることが得意な方に向いています。なので、ただ単純に文章を書ければ良い、というわけではありません。お金を払ってでもあなたが書いた記事を読みたい、と思わせる文章力が必要です。
Webライターの年収ですが、記事の内容やスキルにもよりますが、約200万円程度が半数を占めます。正社員として働くライターの平均年収は約450万円なので、ここと比べるとかなり低いです。
しかし、経験を積んでプロのライターになればフリーランスでも600万円以上の年収を手にしている人もいるので、地道に努力をしましょう。
プログラマー
2つ目はプログラマーです。プログラマーは、プログラミング言語を使ってホームページやゲームアプリなどを開発する仕事です。
プログラマーは非常に需要が高い仕事なので、スキル次第では年収480万円以上。30代でも1,000万円以上を稼いでいるプログラマーもいます。障がいがあっても、スキルがあればここまで目指せるプログラマーは夢がありますね。
しかし、プログラマーになるにはプログラミング言語を覚える必要があります。プログラミング言語はたくさんあり、言語によって需要が異なるため、年収も変わってきます。
挫折せず、コツコツとプログラミング言語を学習し続ける忍耐力が必要です。
Webデザイナー
3つ目はWebデザイナーです。WebデザイナーはPhotoshopやIllustratorなどを使って、Webサイトのデザインやイラスト作成、画像加工などを行います。
Webデザイナーとしての平均年収は300万円程度。スキルを磨けば、これ以上の金額を稼ぐことも可能です。プログラマーと同様に非常に需要が高い職種なので、デザインに自信がある方は挑戦してみてはどうでしょうか。
そんなWebデザイナーですが、PhotoshopやIllustratorなどのソフトを使えるようになる必要があるほか、エンジニアと同程度のプログラミング力が求められる場合もあります。
また、クライアントからどんなイラスト、写真が欲しいのか、どこを修正して欲しいのかなど、要望を臨機応変に聞き取るスキルも必要です。近年では簡単にWebサイトが制作できるツールやサービスが登場しているため、それ以上の付加価値を提供できるかが重要です。
上記では例として3つの職種を取り上げましたが、ほかにも向いている仕事は数多くあります。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
フリーランス以外で働く方法3つ
「フリーランスになりたいけど、スキルも自信も無い…」
という方には、フリーランス以外の働く方法があります。
次の項目では、下記の3つをご紹介します。
- 就労継続支援A型事業所
- クラウドソーシングサービス(クラウドワークス、ランサーズ等)
- デリバリー配達員
※就労移行支援事業所に通いながら、福祉サービスの併用やアルバイトをすることは禁止されているので、就労移行支援利用後の選択肢としてお考え下さい。
就労継続支援A型事業所
就労継続支援A型事業所は雇用契約を結んで、就職を目指す福祉サービスです。就労移行支援事業所を調べている方にも、馴染みのある場所ではないでしょうか。
何より事業所と雇用契約を結んでいるので、最低賃金以上の給料を貰いながら社会復帰を目指せるのが大きな利点です。
勤務時間も4時間から6時間の所が多く、残業などもありません。
ご自身の障がいや不安なことを理解してくれる場所なので、一般企業よりも配慮が充実しています。スキルも無いし一般就労も不安、という方は就労継続支援A型事業所の利用も検討してみましょう。
近所の就労継続支援A型事業所が知りたい方は、こちらをご覧ください。
クラウドソーシングサービス
フリーランスとかなり近い分野ではありますが、「クラウドワークス」などのクラウドソーシングサービスを利用する、という手もあります。
クラウドソーシングサービス内には、単発な低単価な案件から、高単価なお仕事までたくさんあるので、自分ができるものを選びましょう。単価の低い案件であれば、特別なスキルは必要ありません。例えば、過去には「ドラマを見た感想を書く」や「学生時代のあるあるエピソードを書く」という案件がありました。単価の低い案件では生活ができるほどの収入は見込めませんが、フリーランスになる練習として活用できます。
最初は金額を気にせず、「家にいながら、自分の力でお金を稼いだ」という達成感を味わいましょう。小さな成功体験を積み重ねることで、自分に自信を付けてください。
クラウドワークスと同様のクラウドソーシングサービスに「ランサーズ」などがあります。データ入力やライティング、ロゴ作成、アプリ開発などを中心とした在宅ワークを探せるサービスです。
クラウドソーシングサービスに登録してみて、自分にできそうな案件があるか探してみましょう。登録は無料です。
デリバリー配達員
お客さんが注文した商品をお店まで取りに行って、自転車やバイクでお客さんの自宅などに届けるサービスです。スマホのアプリを使って、お店とお客さんの位置情報を確認して、素早く配達を行います。
このデリバリー配達員は、企業やチェーン店に雇われて行うものではありません。完全に個人で行うので、黙々と自分のペースで働くことができます。しかし、道に迷ったときや何かトラブルが起こっても自分で解決しないといけません。
お店の人や、お客さんとも僅かですが、コミュニケーションを取ります。全く人と関わらない、というわけでは無いことに注意しましょう。
自転車に乗って配達をするので、体力がある方や臨機応変に物事を解決できる方にはオススメです。
まとめ|就労移行支援事業所からフリーランス
- 就労が目的の就労移行支援事業所からフリーランスは難しいのが現状
- 就労移行支援事業所からフリーランスになるなら、Webライター、プログラマー、Webデザイナーがオススメ
- スキルに自信が無い方は就労継続支援A型事業所なども検討してみる
ここまで、就労移行支援事業所からフリーランスを目指せるかについて見てきました。
現在、フリーランスを推奨している就労移行支援事業所は多くありません。
決してフリーランスが悪いわけではなく、あなたに合った働き方をすることが何より大切です。
ゆっくりで大丈夫なので、あなたに合った働き方を少しずつ見つけていきましょう。