あなたはタクシーの障がい者割引、利用したことはありますか?

「手続きが面倒そう…」
と考えているあなたに朗報です。
- タクシーの障がい者割引とは?
- 対象となる障害者手帳3種
- タクシー障がい者割引の利用手順
- アプリが手帳の代わりになる?
- タクシー障がい者割引の注意点
について、解説します。
不安や疑問を解消し、もっと気軽にタクシーを利用してみましょう。
タクシーの障がい者割引とは?制度の概要とメリット
タクシーの障がい者割引は、障がい者手帳を持っている方がタクシーを利用する際、運賃が割引される制度です。
多くのタクシー会社が社会貢献の一環として割引を実施しており、障がい者手帳を提示することで、ほとんどのタクシー会社で運賃が1割引されます。
基本的に割引になるのは運賃のみで、迎車料金や予約料金など、運賃以外の部分では割引されません。
- 経済的負担の軽減
- 移動の選択肢が広がる
- 外出のハードルが下がる
対象となる障がい者手帳は3種類
タクシーの障がい者割引は、下記のいずれかの手帳をお持ちの方が対象です。
- 身体障がい者手帳
- 療育手帳(愛の手帳)
- 障がい者保健福祉手帳
手帳の等級による割引率の違いは、ほとんどのタクシー会社ではありません。
ただし、一部のタクシー会社や地域では、手帳の種別によって割引率や対象が異なる場合があります。割引が利用できるかも含めて、詳細は事前にWebサイトや電話などで確認しましょう。
【乗車時&降車時】タクシーでの障がい者割引の利用手順
タクシーの障がい者割引を利用するうえで1番不安要素になるのは、「どうやったら利用できるのか?」という点ですよね。タクシーに乗り慣れていない方の場合、なおさら心配でしょう。タクシーで障がい者割引を利用する手順は非常に簡単です。
この項目では、その手順について、乗車時と降車時に分けて説明します。
【乗車時】手帳を提示する(3ステップ)
乗車時は、下記の3ステップで手帳を提示するとスムーズです。
下記の手順は、カード形式の場合も同様の手順で問題ありません。
- 障がい者手帳を出しておく(顔写真と名前、等級などがわかるようにしておく)
- カバーは外しておくとスムーズ(必須ではありません)
(「障がい者手帳を持っています」と付け加えてもOK)
【ポイント】
乗務員に確認を求められるまで、障がい者手帳は手元に用意しておきましょう
【手帳を見せるのが恥ずかしい場合は?】
後述するスマホアプリを利用することで、手帳の原本を提示する場面が減らせるかもしれません。
気になる方はぜひチェックしてみると良いでしょう。
【降車時】料金確認&支払い
障がい者手帳の提示が済んでいるのであれば、あとは降車時にメーター表示額が割引されているかどうかを確認して、料金を支払うだけでOKです。
不安な場合は自分で計算(1割引の場合、メーター額 × 0.9)
(利用可能な支払い方法はタクシー会社や地域により異なるため、要確認)
多くの場合、車内に支払いについてのマニュアルがあるので、読んでおくとより安心できます。
「ミライロID」「S.RIDE」でスムーズ&便利に!
タクシーでの障がい者割引の利用が簡単にできるとしても、障がい者手帳を取り出すのに時間がかかったり恥ずかしかったりしますよね。
そんなときは、スマホアプリの「ミライロID」と「S.RIDE」を利用してみましょう。
ミライロID|障がい者手帳をスマホで表示
「ミライロID」は、障がい者手帳をスマホに表示できるアプリです。
対応しているタクシー会社であれば、表示された画面が障害者手帳の代わりになります。
利用方法
- App Store、またはGoogle Playから「ミライロID」アプリをダウンロード
- 手持ちの障がい者手帳を撮影して登録
- ミライロIDに対応しているタクシー事業者を利用する際に、障がい者手帳の代わりに提示
対応事業者
- 日本交通株式会社
- 大和交通
- 熊本タクシー
- 千葉県タクシー協会 など
※詳細はミライロIDのホームページにてご確認ください。
ミライロIDはタクシーに限らず全国4,000以上の事業者・自治体で利用することが可能で、利用できる事業者も拡大しています。
S.RIDE|ミライロID連携で乗務員に事前通知できる
「S.RIDE」は、前述したミライロIDと連携可能なタクシー配車アプリです。
連携しておくと、配車時に乗務員に「利用者に障がいがある」ことが連絡されるため、乗車時の障がい者割引の適用がスムーズになります。ただし、乗務員に連絡されるサービスは一部のエリアに限られている点に注意が必要です。
また、ミライロIDの提示で障がい者割引が受けられる事業者は限られているため、障がい者割引を希望する場合、状況によっては障害者手帳の原本を提示する必要があります。
ミライロIDが使える事業者は下記から検索できます。
ミライロIDが使える場所(障害者割引など)|ミライロID
利用方法
- ミライロIDをインストール、手元の障害者手帳をアプリ内へ登録
- AppStore、またはGooglePlayから「S.RIDE」アプリをインストール
- ミライロIDのホーム画面下部の「外部サービス」から「S.RIDE」を選択、アクセス許可、連携
- 次の配車から、対応エリア内でのみ乗務員に「障がいがある」旨が通知、障がい者割引の適用がスムーズになる
実際に障がい者割引を受けるには、乗車時に、ミライロIDもしくは障がい者手帳の提示が必要な点に注意しましょう。
対応エリア
2025年現在、ミライロIDとの連携で乗務員に「障がいがある」旨が通知されるサービスは、東京圏内のみとなっています。今後、順次拡大される可能性があるため、最新の情報は「S.RIDE」ホームページをご確認ください。
タクシー料金の助成制度
タクシーの障がい者割引としては、障がい者手帳の提示による割引のほかに、自治体からタクシー料金の助成や、福祉タクシー券の交付が受けられる場合があります。在宅で重度の障がいがあるなど、一定の基準を満たす方が受けられる制度です。
この基準は各自治体によって異なり、重度の身体障がい(1・2級)、重度の知的障がい(A1・A2)の範囲に限られている自治体が多いですが、重度の精神障がい(1級)が含まれる場合もあります。
助成内容やタクシー券の金額も、自治体によって異なります。タクシー料金の助成か、ガソリン等燃料代の助成から選択する形式が多いようです。交付を受けるには、お住まいの自治体に設置されている、障がい福祉を扱う窓口へ申請する必要があります。
基本的に福祉タクシー券が利用できるのは、自治体と契約している事業者のみがほとんどです。対応事業者は、自治体のホームページなどで確認できます。乗車時にはタクシー券だけでなく、障がい者手帳の提示も必要です。
また、自治体によっては、助成制度や福祉タクシー券制度が無い場合もあります。詳しくは、お住まいの自治体で障害福祉を担当している窓口に問い合わせましょう。
知っておきたいタクシーでの障がい者割引|利用時の注意点
タクシーでの障がい者割引を利用する際は、下記の点に注意しましょう。
- 深夜・早朝割増について
多くのタクシー会社では、乗車した区間の運賃に対して障がい者割引を利用可能です。
ただ、ほとんどのタクシーで深夜・早朝の時間帯は料金が2割増になるため、注意が必要です。 - ほかの割引との併用について
先述した自治体の発行する福祉タクシー券の利用など、他の割引制度との併用の可否は、タクシー会社や利用条件等によって異なります。
タクシーを利用する前に確認しましょう。 - 迎車料金・有料道路の通行料などについて
障がい者割引が利用できるのは、乗車した区間の運賃のみです。
運賃以外の料金には障がい者割引が適用されないため、気をつけましょう。
タクシーでの障がい者割引利用について不安な点がある場合は、ご利用されるタクシー会社サイトの確認や、窓口への問い合わせが確実です。
よくある質問(Q&A)
タクシーでの障がい者割引について、良くある質問をまとめました。
Q1:予約時に障がい者割引を利用したいことを伝える必要はある?
A1:障がい者割引を利用したいことを予約時に伝える必要はありません。ただ、伝えておくと提示などがスムーズにできる場合はあります。
Q2:障がい者割引を使用した場合、領収書にはどのように記載されますか?
A2:タクシーのレシート・領収証の表記は、各事業者によって違いがあります。領収書には基本的に、発行日や乗車時間、支払い料金、タクシー会社名・車両番号、連絡先などの情報が記載されています。
支払い料金の項目で、支払い料金のみ記載される場合もあれば、取引内容の明細として、運賃などの料金と障がい者割引の適用が併記される場合があります。
手書きの領収証であれば、取引内容の詳細は記載されませんが、最近は機械式のものが一般的です。
また、近年ではタクシーアプリで決済が完了し、アプリ上で領収書が発行される場合もあります。その場合も障がい者割引が表記されるかは事業者によって異なります。
Q3:車椅子でも障がい者割引は利用できますか?
A3:はい、利用できます。また、タクシー事業者によっては、車椅子に対応している車両を用意しています。
台数に限りはありますが、空き具合によっては適切な車両が手配できる場合もあるため、事前に相談しておくと良いでしょう。
Q4:付き添いの人も一緒に乗車する場合、付き添いの人の運賃も割引になりますか?
A4:タクシーは基本的に、何人で乗っても料金は変わりません。そのため、付き添いの方がいる場合も乗車時に障害者手帳を提示していれば割引が適用されます。
ただし、障がい者割引が適用されるのは、障がい者本人が乗車した区間の運賃のみで、障がい者本人が途中で降りた場合、割引が適用されるのは下りた地点までとなります。
Q5:タクシーの障がい者割引と同じように、他の公共交通機関の障がい者割引も利用できますか?
A5:いいえ、同じとはかぎりません。
公共交通機関によっては、障害者手帳や「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」の種別によって割引対象が変わる場合があります。また、割引率も異なります。
例えば、鉄道(JR)の場合、乗車券を購入する際に障害者手帳を提示することで割引が受けられますが、割引対象は下記のようになります。
対象 | 割引対象の乗車券類 | 割引率 | 備考 |
---|---|---|---|
第1種障害者と その介護者 |
普通乗車券 回数乗車券 普通急行券 定期乗車券 (小児定期乗車券を除く) |
50% | 他鉄道会社線とまたがる場合を含む。 ただし、回数乗車券はJR線区間単独のみ発売。 |
12歳未満の第2種障害者と その介護者 |
定期乗車券 (小児定期乗車券を除く) |
50% | 他鉄道会社線とまたがる場合を含む。 小児定期旅客運賃は割引が適用されない。 |
第1種、第2種障害者が 単独で利用する場合 |
普通乗車券 | 50% | 片道の営業キロが100キロを超える場合に限る。 また、他鉄道会社線とまたがる場合を含む。 |
公共交通機関でも、タクシーの場合と同様、障がい者手帳の代わりにミライロIDの提示で障がい者割引が受けられる場合もあります。しかし、マイナンバーと紐づけたものでないと割引が受けられない場合もあるため、公共交通機関を利用する前に確認しておきましょう。
まとめ|タクシーでの障がい者割引、利用方法
- タクシーでは、乗車時に障がい者手帳を提示すると、ほとんどの事業者で、運賃から1割引された金額で利用できる。
- タクシーでの障がい者割引の対象となるのは、身体障がい者手帳、療育手帳(愛の手帳)、精神障がい者保健福祉手帳の3種類。ただし、事業者によっては、手帳の種別によっては割引が適用されない場合もあるため、タクシーを利用する前に確認したい。
- 障がい者割引を利用するには、乗車時に障がい者手帳を提示し、降車時に割引料金を確認、支払いを行う。
- 障がい者手帳アプリ「ミライロID」が障がい者手帳の代わりになる。エリアによっては「S.RIDE」との連携で障がいがある旨が事前通達でき、提示がスムーズに進められる。
- 割引対象になるのは運賃のみで、割増時間帯によってはうまく適用されない場合がある。事前にタクシーを利用することが決まっている場合は、利用する事業者のサイトや問い合わせで確認しておくと良い。
タクシーは、鉄道やバスなどの公共交通機関と比べて費用が掛かるため、利用しづらいと感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、目的地が駅から離れている場合や、時間の余裕が無い場合、人の目が気になる場合など、使わざるを得ない場面もあります。タクシーでも障がい者割引が利用できることを知っておけば、もしもの時も焦らず利用できるでしょう。
この記事がタクシーでの移動を検討する際の役に立てば幸いです。