ハローワーク(公共職業安定所)は、厚生労働省が運営する雇用サービス機関です。
仕事をお探し中の方に向けて、「職業紹介」や「雇用保険」など、さまざまなサービスが無償で提供されています。そうしたサービスの1つとして、障がい者の方向けの専門的な就職支援もあります。
この記事を読んでいる発達障害をお持ちの方は、ハローワークについて
「発達障害があってもちゃんと就労できる?」
といった疑問を持っていませんか?
これからハローワークに相談しようと考えている発達障害の方に向けて、
- ハローワークの障害者専門窓口とはどのようなところか
- ハローワークの障害者専門窓口で受けられる支援の内容や、支援を受ける流れ
- 発達障害であることを就労申し込み先の企業に伝えるべきかどうか。
以上について解説します。
ハローワークの活用方法を知り、ご自身に合った働き方を見つけていきましょう。
ハローワークの障害者専門窓口とは?
ハローワークには、就職を希望する障がい者を専門的に支援する窓口が設置されています。そこでは、障がいの影響によって一般の企業で働き続けることが困難な方に向けた支援が行われています。
発達障害はもちろん、身体障害、知的障害、精神障害、高次脳機能障害、難病などさまざまな障がいに対応しています。
ハローワークの障害者専用窓口の特徴について、詳しく見ていきましょう。
精神・発達障害専門の担当者がいる
ハローワークの障害者専門窓口では、各種障がいの中でも特に精神・発達障害の方を専門に担当している「精神・発達障害者雇用トータルサポーター」を配置しています。そのため、精神障害や発達障害等のある求職者に対して、障害特性を踏まえた専門的な就職支援や職場定着支援が実施されています。
精神・発達障害専門の担当者が、就職に向けての不安や悩みなどの相談も受けてくれます。
障害者手帳の有無は問われない
障害者専門窓口は、障害者手帳を持っていなくても、障がいがあれば利用することができます。ただし、障害者手帳を持っている場合は初回に持参しましょう。
主治医の意見書を求められることがある
相談の内容に応じて、主治医の意見書等の提出を求められることがあります。
基本的に主治医の意見書は、病名や「症状が安定し、就労可能な状態であること」をハローワーク側が確認するための資料として使われます。主治医の判断として、通常勤務(1日8時間、週5日)で働けるのか、短時間勤務(1日4~8時間、週3~5日間)なら可能なのか、といった意見が求められることが多いです。
発達障害の方がハローワークで受けられる支援内容
ハローワークでは、発達障害のある方に向けて、様々なサービスを実施しています。
受けられる支援の内容について詳しく説明していきます。
職業相談・職業紹介
ハローワークの障害者専門窓口には発達障害専門の相談員がいるため、個々の障害特性に応じた職業相談が受けられます。
具体的には、「発達障害でも応募できる求人の探し方を教えてほしい」や「自分の障害特性にあった職場を一緒に探してほしい」のような相談に乗ってもらうことができます。
応募書類や面接の直接指導
就職に向けて履歴書の書き方支援や、模擬面接の実施など、障がいの特性に合わせた指導を直接してもらえます。特に指導をうけずに自分で応募書類を書き上げることができた場合にも、窓口に持って行って、担当者に見てもらい、ミスがないかチェックしてもらうこともできます。
もちろん、1から書類の書き方を教えてもらうこともできます。
働きたい職場での実習や求人開拓
ハローワークでは、各支援機関と協力した職場実習を実施しています。
利用者は、働く前に希望する企業で実習を受けることができます。また、希望の条件に合うような求人を事業主にお願いして出してもらうなど、マッチングをサポートしてくれる場合もあります。
障害者トライアル雇用事業
障がい者を一定期間(原則3か月)お試しで雇用する事業です。
求職者の適正や能力を見極め、事業主との相互理解を深めることで、継続雇用へ移行するきっかけとなることを目的としています。
長期で働くことが不安な場合、利用してみましょう。
ハロートレーニング(障害者訓練)
障がいのある方を対象に、個々の障害に応じた職業訓練を受けることができます。
訓練校毎に学科や募集人数などの違いがあるため、興味を持った方は下記ホームページから調べてみてください。
発達障害の方がハローワークで支援を受ける流れ
まずは一度、ハローワークの総合窓口に行ってみましょう。発達障害があること、障がい者向けのサービスを受けたいことを話せば、障害者専用窓口に案内してもらえます。そこで必要な手続きを進め、支援を受けることができます。
具体的な利用の流れは以下のようになります。
発達障害がある方のハローワーク利用の流れ
- 総合窓口へ行き、初めて求職サービスを利用したい旨を説明する
- 求職申込書に希望職種・収入・勤務時間などを記入する
- 窓口で求職申込みの本登録をし、「ハローワークカード」を受け取る
- 障害者専門窓口へ行き、相談する
- 必要があれば、セミナーや職業訓練を受けたり、面接練習に参加したり、応募書類を添削してもらったりする
- 求人を探す(窓口相談・ネット検索・掲示されている求人票などを利用)
- 求人票を準備し、ハローワークカードと一緒に窓口に持って行く(求人番号を控えていれば、窓口で求人票を印刷してもらえる)
- 障害者雇用などの条件面で交渉が必要な場合は、求人条件の調整が可能か窓口に問い合わせる
- 面接日程が決まり、紹介状を受け取る
- 応募先の企業で採用面接や試験を受ける
- 必要があれば、トライアル雇用サービスを利用する
- 本採用の可否が決定
発達障害であることは企業に伝えるべき?
- 総合窓口へ行き、初めて求職サービスを利用したい旨を説明する
- 求職申込書に希望職種・収入・勤務時間などを記入する
- 窓口で求職申込みの本登録をし、「ハローワークカード」を受け取る
- 障害者専門窓口へ行き、相談する
- 必要があれば、セミナーや職業訓練を受けたり、面接練習に参加したり、応募書類を添削してもらったりする
- 求人を探す(窓口相談・ネット検索・掲示されている求人票などを利用)
- 求人票を準備し、ハローワークカードと一緒に窓口に持って行く(求人番号を控えていれば、窓口で求人票を印刷してもらえる)
- 障害者雇用などの条件面で交渉が必要な場合は、求人条件の調整が可能か窓口に問い合わせる
- 面接日程が決まり、紹介状を受け取る
- 応募先の企業で採用面接や試験を受ける
- 必要があれば、トライアル雇用サービスを利用する
- 本採用の可否が決定
発達障害の方が就労する場合、志望する企業に発達障害であることを伝えずに就労することもできます。障がいがあることを伝えて就労することをオープン就労と呼び、障がいがあることを伝えずに就労することをクローズ就労と呼びます。
ここでは、それぞれの就労の仕方の違いやメリット、デメリットについてご紹介します。
オープン就労
オープン就労とは、障がいがあることを明示して、企業に配慮を求める方法です。一般的にオープン就労は、障害者手帳を使った、障害者雇用枠での雇用となる場合が多いです。
障害者雇用の場合、勤務時間や残業、仕事内容などで配慮されることが多いです。配属先も、残業が少なかったり、医療機関に通い安かかったりと、症状に合わせて勤務時間の調整がつきやすい部門を選んでもらえることがあります。
オープン就労にはデメリットもあります。応募する企業に発達障害の方を受け入れる準備がない場合、雇用を断られることになります。また、求人数が通常の枠に比べて少ないことや、一般雇用に比べて給与が少ないことも挙げられます。
クローズ就労
クローズ就労とは、障がいがあることを伝えずに就職する方法です。雇用する企業は、障がいがあることを知らないので、障がいに対する配慮を期待することができません。しかし、障害者枠で求人を探す際のデメリットである、求人数の少なさや、職種の選択肢の少なさなどの問題は軽減されます。給与も障がいのない人と同額が受け取れます。
一方で、障がいへの配慮が受けられないため負荷がかかりやすく、体調面の管理が難しくなります。通院が必要な場合は、仕事が休みの日に通うことになるでしょう。
まとめ
- 発達障害をもつ方は、ハローワークの障害者専門窓口を、障害者手帳の有無にかかわらず利用できる
- ハローワークの総合案内に行き、発達障害があることを話すと専門窓口に案内してもらえる
- 障害者専門窓口では、個々の障がいに合わせたきめ細やかな支援を受けることができる
- 発達障害の方は、障がいを隠して就職することも、明示して就職することもでき、それぞれに利点がある
ここまでお読みいただいた発達障害をお持ちの方に、ハローワークの障害者専門窓口を上手に利用していただき、就労につながることを願っています。
まずはハローワークの総合窓口に行ってみましょう。
ハローワークの利用方法については、以下の記事でも詳しく解説しております。