大人のADHDが原因の忘れ物・なくしもの対策5選!忘れ物防止アプリも紹介

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「そもそも重要書類などを受け取ったこと自体忘れている」
「置き場所をメモしたのに、メモの存在を忘れたりメモをなくしたりしてしまう」

ADHDの方には物忘れが多い傾向があり、上記のようなことが原因で、忘れ物・なくしものに繋がってしまうケースもあるでしょう。

この記事にたどり着いたあなたも、同じような悩みを抱えていませんか?

発達障害の中でも特に「ADHD」の方を困らせてしまうのが、「忘れ物・なくしもの」ではないでしょうか?

実は、私自身もADHDの診断を受けており、電車の中でカバンを確認すると「あれ、提出するはずの重要書類を入れ忘れている…」という事態や、「出かける時間なのに家の鍵が見つからない!提出するはずの重要書類が見当たらない!」というような、忘れ物・なくしものが多い生活を送っています。

  • ADHDの方が忘れ物、なくしものをしやすい原因
  • 忘れ物、なくしものを減らすための対策
  • 忘れ物、なくしものを対策するアプリ

について解説していきます。

私自身の忘れ物・なくしものが多い当事者としての目線を交えて、同じ悩みを抱えるあなたのお力になれれば幸いです。それでは、一緒に解決していきましょう。

ADHDに忘れ物・なくしものが多い原因とは

ミスするビジネスウーマン

ADHDは「注意欠如・多動性障害」とも呼ばれており、「不注意」「多動性(落ち着きがない)」「衝動性」という3つの特性が表れやすい生まれつきの障がいです。

そのため、名前の印象や「不注意」という傾向から、

「ADHDに忘れ物・なくしものが多いのはやっぱり注意力の問題なの?」

と思われがちです。

もちろん、忘れ物・なくしものの原因には不注意の特性も関わっていますが、実はそれ以外にも、ADHDの方に多い「ワーキングメモリの弱さ」が影響していると考えられています。

ADHDであってもほとんどの方は、忘れ物・なくしものが多いという性質についてはっきりと自覚できていますよね。自覚して気を付けているはずなのになぜか繰り返してしまうからこそ、大きな悩みの種になってしまうのです。

次の項目では、「ワーキングメモリー」と「不注意」により、どのようにして忘れ物・なくしものが発生してしまうのか、その原因を探っていきましょう。

忘れ物・なくしものの原因となる「ワーキングメモリーの弱さ」

ワーキングメモリーとは、脳の中に入ってくる情報を一時的に記憶して、必要に応じて覚える情報と削除する情報とを整理する能力のことです。

理由は明らかではありませんが、ADHDの方の中にはワーキングメモリーが弱い方が多いことがわかっています。

「電話内容を聞きながら必要な情報をメモする」
「質問された内容を整理して頭の中で適切な回答を用意する」

などの、瞬時に適切な判断を行う作業はこのワーキングメモリーの働きによってなされていると考えられています。

ワーキングメモリーは、脳の中にある「作業スペース」と例えられることがよくあります。つまり、「ワーキングメモリーが弱い」ということは記憶を整理するスペースが狭いということなのです。

狭いスペースの中にはたくさんの物を保管できないのと同じで、ワーキングメモリーが弱い方は一時的に保管できる記憶の量が少ないため、新しい情報が入ってくると古い情報は削除されてしまいます。

その結果、

「肉と卵を買おうとスーパーへ行ったところ、ナスが安売りされていて麻婆茄子を作りたいと考えてしまい、ナスだけ買って帰宅した時に肉と卵を買い忘れたことに気付く」

というような事態に繋がりやすいのです。この「物忘れ」「ど忘れ」が、忘れ物・なくしものの原因となるのです。

ADHDの「不注意」による忘れ物・なくしものについて

ADHDの特性は大人になると「多動性」「衝動性」の2つに改善が見られやすいため、結果として「不注意」特性が目立ちやすくなります。

忘れ物・なくしものに繋がりやすい不注意の特性には下記のようなものがあります。

  • 集中力が持続しにくく、気が散りやすい
  • 1つの物事に集中し始めると、他の物事に注意を向けることが難しい
  • 周囲のあらゆる物事が気になり、いろいろな考えが頭に浮かんでしまう

ADHDの方はこれらの特性によって脳にさまざまな情報が入ってきやすく、先述しているワーキングメモリの弱さと組み合わさることで、

「出勤前の10分間の暇つぶしに読書を始めたら、時間を忘れてしまい出勤時間を過ぎていた。慌ててカバンを持って出かけたら、電車の中で今日必要な書類を机に置き忘れたことに気付いてしまった。」

というような事態が起こってしまうと考えられます。

大人のADHD、忘れ物・なくしものを減らすための対策5選

対策

仕事で忘れ物やなくしものを繰り返してしまうと、「やる気はあるのか?」と言われて信頼を失うことや、仕事上で社外秘の情報が洩れるなどの「重大な問題」が発生してしまうことがあります。

そのため、仕事の場では「発達障害だから仕方がない」とはならず、一方の自分自身もわざと忘れ物・なくしものをしている訳でもないため、このような状況はADHDの方にとって大きなストレスとなってしまいます。

そこで次の項目では、大人のADHDの方に向けて忘れ物・なくしものを減らすためにできる対策を紹介します。

どのような対策が効果的であるかは人それぞれ異なるでしょうから、あなた自身が無理なく取り組める忘れ物・なくしもの対策を見つけるための一助としていただければ幸いです。

スマホのメモ帳アプリを利用する習慣をつけてみる

忘れ物や予定の勘違いなどを防止するためにメモを取るのは、当たり前ですが効果的な手段です。

一方で、仕事に慣れてくるとメモ帳を持ち歩かなくなってしまうこともありますよね。メモ帳を習慣的に持ち歩かなくなると、やはり「メモしたこと」事態を忘れがちになります。

また、ADHDの方には話を聞きながらメモを取る作業が苦手な方もいらっしゃるでしょう。

私自身は恥ずかしながら、慌ててメモを取るときは適当に開いたページに内容を書きなぐってしまうことが多くあります。結果的に、メモ帳の内容が整理されておらず「必要な情報をすぐに探し出せない」「内容を勘違いしてしまう」という事態に陥ってしまいがちでした。

しかし、スマホであれば常に持ち歩く習慣があるものですし、メモ帳アプリの機能もさまざまあり、内容の前に見出しを付けるなどの工夫で視認性も高まります。スマホでネット記事を読んだりSNSを見たりするついでにメモを見返せるため、「うっかり忘れた」という事態を回避しやすくなります。

LINEの予定管理bot「リマインくん」

リマインくんとは、リマインダー(思い出し)機能を持つbotで、LINEに友達追加をするだけで無料で利用できます。

スマホには「リマインダー」のアプリもありますが、私自身が使用感を試してみたところ「リマインくん」の方が機能がシンプルで使いやすい印象を受けました。ラインを頻繁に利用する方であれば、間違いなくリマインくんの方がオススメできます。

例えば、

「5月20日14時から会議 プレゼン資料はデスクの右の引き出し」
とリマインくんに送ると、
「覚えておくよ!いつ教えてほしい?」
と返信があります。
前日に日程を確認したい場合は
「5月19日13時」
と教えると、
「じゃあ、5月19日13時に言うね!」
と返信がきます。

こうして指定の日付・時間になったら、会議の日程とプレゼン資料の場所をリマインくんがラインで教えてくれるというものです。

ADHDの方にとっては予定表を作っても、それを自分で管理して見直さなくてはいけない、という状況を面倒に感じることもありますよね。

リマインくんには「確認」と送るだけで、登録しておいたこれから先の予定を全て教えてくれる機能もあり、管理の全てを一任できるため非常に便利です。

物の置き場所を決めて、必要以上に物を増やさない

ボールペンは胸ポケット、家の鍵は右のポケット、スマホは左のポケット、というように自分が管理しやすいように物の置き場所を決めることが大切です。

また、デスクの上が散らかっているとさまざまな物が目に入って気が散る原因にもなります。もう使わない書類をデスクに積み上げてしまいがちな方は要注意なため、整理整頓を心がけましょう。

以前私が機械設計の仕事をしていた頃は、

「図面のチェックのために使うペンが見つからず、引き出しを開けたり書類の山をかき分けたりしてようやくペンが見つかったと思ったら、今度は図面の紙が見当たらない」

ということが何度もありました。

物の置き場所を決めて整理整頓をする習慣は、なくしものを予防すると同時に仕事の効率アップにも繋がります。

後でできることは今やろう、後回しにしない習慣をつくる

ADHDの方には、先延ばし癖を持っている方が多いことが分かっています。意外にも、簡単な作業ほど後回しにしがちな方は多いのではないでしょうか?

例えば、

「明日は病院だから、保険証入れておかなきゃ」
「そういえば、今日はまだポストの中を確認していなかった」
「資料の印刷を頼まれたけど、すぐにできるから後でやろう」

このような生活・仕事で発生する細かなことは、細かなことだからこそ先送りしやすく、うっかり忘れやすいでしょう。

細かな「やること」を後回しにし続けると、いざ思い出した時に「あれもこれもやっていない」状態に陥りやすく、ギリギリになって慌てやすいものです。メインの作業以外に細かなやることが積みあがってしまうと、ADHDの方が苦手としやすいマルチタスクが発生します。

そのため、細かなやることを先に処理する習慣を身に着けることは、ADHDの方にとって有効な忘れ物・なくしもの対策になると同時に、仕事の効率アップも期待できます。

スマートタグを使用する

スマートタグとは、「忘れ物防止タグ」とも呼ばれており貴重品などに付けることで、なくしものを防止したりなくしたものを発見したりするサポートができるアイテムです。専用のアプリから操作して、スマートタグのアラームを鳴らして物を特定するという機能のものが一般的です。

スマホを置き忘れた場合、友達のスマホから自分のスマホに電話をかけて着信音を鳴らしながら探したことがある、という経験はありませんか?これと同じことがスマートタグを使うことで可能になるのです。

スマートタグには、鍵に付けやすいキーホルダータイプや財布に入れやすいカードタイプなど、さまざまな形状があるためあらゆる貴重品に導入が可能です。そのため、スマートタグはなくしもの対策の有効な手段になるでしょう。

一方で、スマートタグによっては、アラームの大きさやBluetoothの接続範囲によって有効範囲に限界があります。1つあたり2000円~3000円程度が相場となっており、あらゆるものに導入できるわけではない点は注意が必要です。

まとめ|ADHDの忘れ物対策

  • ADHDの方は「ワーキングメモリー」が弱い傾向があり、大人になると目立ちやすくなる「不注意」の傾向と合わさり、忘れ物・なくしものをしやすい
  • スマホの「メモ帳アプリ」や「リマインくん」を利用することで、スマホを開くついでに予定や忘れ物のチェックを行うことができる
  • 職場のデスク周りや自室を整理して、物の置き場所を決めておくことで、一目で何がどこにあるかを判断できる状況を作ることが大切
  • ADHDの方に多い「後回しにする癖」は忘れ物・なくしものの原因となり、いざという時にパニックになりやすい
  • 自室でのなくしものについては「スマートタグ」を導入するのも効果的

ADHDの方に向けた物忘れ・なくしものの対策について紹介しました。

「忘れないように無理なくチェックできる環境」と「いざという時に思い出せるきっかけ」を自分で用意することが、物忘れ・なくしものの対策には効果的です。


こうした工夫に加え、仕事での忘れ物や段取りの苦手さを専門的に改善し、就労を目指すなら「atGPジョブトレ」も有効です。発達障害専門の就労移行支援で、ADHDの特性に合わせた具体的な物忘れ対策や業務遂行スキルを学べます。

自信を持って働くための一歩として、まずは詳細を確認してみてはいかがでしょうか。

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