ニートの方の中には、
「収入がないのに払えるわけがない!」
等の疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃるのでは?
結論から話すと、収入がないニートでも納めなければならない税金はあります。あなたは、それらを把握できているでしょうか?経済的に税金の支払いが困難な場合は、支払い金額を免除または減額することも可能です。
こうした制度を利用するためにも、払うべき税金についてきちんと理解しておきましょう。
- ニートでも支払う必要のある税金や保険料4つ
- ニートが税金や保険料を滞納した場合に起きること
- ニートで税金や保険料が支払えない場合に利用できる制度
を解説していきます。
ニートでも支払う必要のある税金の種類
ニートでも支払い義務のある税金は「国民年金保険料」「国民健康保険料」「住民税」「介護保険料(40歳以上の方)」の4つです。一方で、「所得税」はニートには支払い義務がありません。ただし、ニートでも状況によっては、確定申告で所得税を納めることになる場合があるので注意が必要です。
この5つの税金について、詳しく説明していきます。
国民年金保険料(基礎年金)
国民年金保険料(基礎年金)は、日本国内に住所のある20歳以上60歳未満のすべての方に支払いの義務があります。ニートの方も例外ではありません。
国民年金保険料として納付する金額は、令和6年度時点で毎月16,980円です。きちんと支払うことで、老後に給付金を受け取ることができます。支払いは銀行や郵便局、コンビニ、スマートフォンアプリ、インターネットなどを通して行いましょう。
ただし、経済的な理由などで支払いが困難な場合は「免除制度」や「猶予制度」の利用が可能です。詳しくは後述します。
国民健康保険料
国民健康保険料は、働いていない場合でも全額免除されることはなく、支払いが義務となっています。納付する金額は、前年度の所得(収入から必要経費を差し引いて残った金額)と住んでいる地域によって決まるので、人それぞれ異なります。
法令で定められた所得基準を下回り、国民健康保険料を支払うことが難しい方は、後述する制度を利用して減額することができます。
住民税
住民税は「所得割」と「均等割」の2種類から成り立っています。所得割は前年度の所得に応じて決まる税金で、均等割は所得に関係なく支払う税金です。前年度もニートの場合は、均等割のみを支払うことになります。
反対に現在ニートで今年度の所得がなくても、前年度は働いていて所得があった場合は、所得割と均等割のどちらも支払わなければなりません。自身で所得額を把握しておくようにしましょう。
一例として、令和6年度時点で岐阜市に住んでいる方の場合、均等割額は下記の通りとなっています。
- 市民税:3,500円
- 県民税:2,500円
介護保険料(40歳以上の場合)
介護保険は、40歳以上の国民全員が加入することが義務とされています。そのため、介護保険料は無職でも必ず支払わなければなりません。
納付する金額は前年度の所得によって決まるので、前年度も無職の場合は保険料が安くなります。ただし、生活保護を受けている場合を除き、保険料を全額免除することはできません。
次の項目では、ニートに支払い義務はないものの、注意しておくべき税金について解説します。
所得税
所得税は、働いていて収入のある方(フリーターも含まれる)が納める税金です。個人の所得に対してかかるので、支払う金額は所得の額によって決まります。そのため、働いていないニートは所得税を支払う必要はありません。また、次に当てはまる方は親の扶養に入ることができるので所得税がかかりません。
- 年間の所得が103万円以下
- 親と同居している
「働いていない自分には関係ない」と思われるかもしれませんが、ニートでも関係がある方もいます。なぜなら、確定申告が必要な場合があるからです。
確定申告とは?
確定申告とは、自分の1年間の所得を計算して税務署に申告・納税する手続きのことです。申告するメリットとして、所得税を納めすぎている場合に還付金を受け取ることができる点があります。
ニートでも確定申告が必要になるのはどんなケース?
ニートであっても、次のような方は確定申告が必要です。
- 年間所得が20万円を超える場合
無職で給与所得がゼロでも、そのほかの所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要になります。 - 年の途中で退職してニートになった場合
年末調整(会社側が確定申告の代わりに行う手続き)を行う前に退職した方は、自分で確定申告をする必要があります。
確定申告はどこで行う?
確定申告は、税務署で行うことができます。期間は、毎年2月16日から3月15日の間となっています。
ニートが税金を滞納するとどうなるのか
支払う必要のある税金を納めなかった場合、滞納処分が行われることになります。滞納すると、本来払わなければならない金額に延滞金が加算されてしまいます。負担を抑えるためにも、早めに支払いをしましょう。
また、国税の場合は納税の期限から50日以内に、地方税の場合は期限から20日以内に督促状が送られてきます。地域によっては担当職員が自宅に訪問してきたり、電話で支払いを催促されたりすることもあるでしょう。
こうした催促も無視して放置し続けた場合は、法に基づいて調査され、最終的に財産の差し押さえが行われます。調査や差し押さえは、本人が拒否しても強制的に行われてしまいます。
このような事態を避けるためにも、税金は忘れずに支払いをすることが大切です。
しかし、収入のないニートの方にはそれが難しい場合も多いのではないでしょうか。
そんな方には、税金の免除や減額、支払いの猶予を認める制度が用意されています。次の項目で紹介する内容を参考に、そうした制度を活用するようにしましょう。
ニートで税金が支払えない場合に利用できる制度
先述のように、ニートで収入がなく税金の支払いが困難なときは、制度を利用することができます。制度の内容には金額の免除や猶予、減額などがあります。
ここでは2つの方法を解説するので、ぜひ参考にしてください。
国民年金保険料の免除・猶予制度
国民年金保険料の免除・猶予制度では、経済的な理由で保険料の支払いが困難な場合に納付義務を免除もしくは猶予することができます。
この制度を利用するメリットは、年金を受給する資格を維持することができる点です。「保険料が未納で、将来年金が受け取れなくなる」といった事態を防ぐことができます。
反対に、将来の年金給付額が少なくなるデメリットもあります。制度の利用期間中は、年金の受給資格を維持することはできるものの、「納付した」という扱いにはなりません。そのため、猶予や免除されている期間分、もらえる年金の額が減ることになります。
免除や猶予をしてもらえるのはありがたいですが、将来もらえる年金額が減るのは嬉しくないですよね。ですが、制度の利用後も年金を満額受け取る方法があるので、不安になる必要はありません。
年金を満額受け取りたい場合は、制度を利用していた期間分の保険料を後から納めましょう。これを「追納」といい、追納することで保険料を全額納付した場合と同じ年金額を受け取ることができます。追納は義務ではありませんが、追納した方が得だと言えるでしょう。
もし制度の利用を希望するなら、住んでいる地域の市町村窓口に申請書を提出しましょう。申請時に必要なものは下記になります。
- 年金手帳・基礎年金番号通知書
- 運転免許証やマイナンバーなどの本人確認書類
- 国民年金保険料免除・納付猶予申請書
- 年金証書(障がい年金を受け取っている方)
申請が通れば、支払いの免除や猶予が開始されます。詳しい内容は、日本年金機構のホームページで確認できます。
国民健康保険料を減額する制度
国民健康保険料の支払いが困難で、法令で定められた所得基準を下回る場合、保険料の減額を受けることができます。
減額の程度は世帯全員の所得によって決められるため、あらかじめ合計所得を把握しておくことが大切です。減額制度を利用したい場合は、各市町村の国民健康保険の窓口に問い合わせをしましょう。
国民健康保険の保険料・保険税や軽減・免除については、下記のページでも詳しく解説されています。
まとめ
- ニートにも支払い義務のある税金は、「国民年金保険料」「国民健康保険料」「住民税」「介護保険料(40歳以上の方)」の4つ。
- ニートでも確定申告をしなければならない場合があるため、自身の所得額はきちんと把握しておく必要がある。
- 支払いの義務がある税金を滞納すると厳しい処分が行われることもあるので、忘れずに納めることが大切。
- ニートで税金の支払いが困難な場合は、各種制度を利用することで支払い金額の免除や猶予、減額をすることが可能。
いかがでしたでしょうか?今回は「ニートが支払わなければならない税金」についてお伝えしてきました。
税金を滞納すると、延滞金の追加や支払いの催促、最悪の場合財産の差し押さえなどがされる場合があります。
収入が無いなどで税金の支払いが困難な場合は、金額の減免や猶予を申請することが可能なので、制度について調べ、利用していきましょう。
この記事が少しでもお役に立てば幸いです。