「ニートで社会経験が少ないから、自己PRの内容が思いつかない…」
就職へ向けた一歩を踏み出そうとしているあなたへ、こんなお悩みはありませんか?
空白期間がある方にとって、履歴書に何を書くかは、就職活動において常についてくる問題の一つです。「空白期間はスキルアップのための取り組みなどは何もやっておらず、ゲームとパソコンをいじる毎日。そのために、社会復帰しようと思った時、履歴書の書き方にはとても苦労した」という話が一例として挙がるほどです。
- 何もしていない空白期間は履歴書にどう書くのか?
- 学歴や職歴はどう書けばいいのか?
- 志望動機や自己PRを書くコツはないのか?
ニートや引きこもりの方に向けて、上記の疑問にお答えします。
魅力的な履歴書を書いて、社会復帰への第一歩を踏み出しましょう。
そもそも履歴書って何?
履歴書とは、面接時にあなたの身元を証明する書類です。
企業が人を雇う場合、労働基準法によって「労働者名簿」を作成するよう定められています。そのため、どのような場合でも仕事の面接時には履歴書が必要になります。
- 氏名、年齢、住所、電話番号
- 学歴、職歴、資格、スキル
- 志望動機、自己PR
これらは履歴書に書く代表的な情報です。
面接官とあなたはその日が初対面となる場合がほとんどですから、相手に自分の基本情報や得意な事、趣味などを履歴書を通して知ってもらう目的もあります。
履歴書を書く前に
履歴書を書く前に下記のことを進めておくと、スムーズに作業ができます。
- 履歴書のフォーマットを決める
- 自己分析をしっかり行う
- 企業研究をしっかり行う
一つずつ解説していきます。
履歴書のフォーマットを決める
履歴書のフォーマットは、企業からの指定がない限り、どの形式を選んでも問題ありません。
「履歴書 フォーマット ダウンロード」などのキーワードで検索すると、WordやExcelで編集可能な書式を入手できます。就職エージェントも多くの履歴書のフォーマットを提供しています。
紙の履歴書は、書店やコンビニの文房具コーナーなどで購入することも可能です。
とはいえ、ニートや引きこもりの方は、書ける学歴や職歴があまりない場合もあるでしょう。そのような時は、志望動機や自己PRの欄が大きいフォーマットを選び、自分の意志や特技をしっかり伝えるよう心掛けると、充実した履歴書になります。
また、「履歴書をパソコンと手書きのどちらで作成したか」という点が合否の決め手となるケースは昨今ほとんどありません。自分の作成しやすい手段を選ぶようにしましょう。
自己分析をしっかり行う
自分が理解していないことを相手にアピールすることはできません。面接は自分を企業に売り込む場であるため、自分の強みや魅力をしっかり把握しておくことが大切です。
- 子供の頃から現在までの印象に残っていることを書き出す
- 時系列ごとに、大変だったこと、努力したことを書き出す
- 努力の結果、何が起こったのかを思い出してみる
- 自分に今何ができるか、将来は何がしたいかを考える
上記は、自己分析をする上で意識したいポイントです。
もし、今が何もできていないニートの状態だったとしても、過去のエピソードから自分の長所・短所を発見できる場合があります。ポジティブなエピソードが見つかったら、その話を深く掘り下げていきましょう。
自分の思考回路のクセ、物事の判断基準なども明確にしておくと良いです。一人で考えることが苦痛な時は、友人や家族などの第三者に意見を求めることも効果的です。
また、就職エージェントの多くは、質問に答えるだけで答えが出る自己分析ツールを無料で提供しています。あいまいな考えを言語化できない場合は利用してみましょう。
企業研究をしっかり行う
説得力のある志望動機を書くためには、企業研究をしっかり行うことが大切です。
多くの面接官は、なぜ自社を志望しているのか知りたいと考えています。そのため、企業理念や行っている事業内容を調べて理解しておくことが重要です。
企業の求人情報だけでなく、ホームページやSNSなどもチェックするようにしましょう。相手のことを良く知ることで、「同業他社ではなくこの企業で働きたい」という理由を具体的に説明できるようになります。
また、企業研究を行うことによって、相手の企業がどのような人材を求めているかがわかる場合もあります。
コミュニケーションを重視する職場であれば「学生の頃から友達が多く、誰とでも仲良くなれる」、黙々と作業する職場環境であれば「集中力が高く、正確な作業が得意である」といったように、自分のアピールポイントを逆算して考えられるようになります。
なお、企業研究はホームページやSNSだけではなく、ハローワークなどの就職支援機関などでも進めることができます。
ハローワークについては、下記の記事でも詳しく解説しております。
履歴書を書いてみよう
履歴書を書く際は、主に下記の点に困惑する方が多いかと思います。
- 学歴欄
- 職歴欄
- 志望動機
- 自己PR
それぞれの書き方について、詳しく解説していきます。
学歴欄の書き方
学歴欄には、高校入学以降の学歴を記載するのが一般的です。学校の名前は略称ではなく正式名称で、学科や学部も忘れずに記入しましょう。
記入例は下記の通りです。
- 2013年 4月 〇〇市立〇〇高等学校 普通科 入学
- 2016年 3月 〇〇市立〇〇高等学校 普通科 卒業
- 2016年 4月 〇〇大学 経済学部 入学
- 2020年 3月 〇〇大学 経済学部 卒業
注意する点は、西暦・和暦は職歴欄も含めてどちらかに統一することです。また、あらゆる理由で学校を卒業しなかった場合も明記する必要があります。
途中で学校を辞めた場合は「途中退学」、在学中に学校を移った場合は「転入学」、中退後に学校を移った場合は「編入学」と記載します。高校へ進学せず最終学歴が中卒となっている場合、中学校の卒業年度のみを記載しましょう。
下記は、高校を中退して最終学歴が中卒となった場合の学歴欄の記入例です。
- 2013年 3月 〇〇中学校 卒業
- 2013年 4月 〇〇市立〇〇高等学校 普通科 入学
- 2015年 3月 〇〇市立〇〇高等学校 途中退学(経済的事情のため)
職歴欄の書き方
一般的に職歴として書ける内容は、契約社員や正社員として働いた場合とされています。
しかし、アルバイトの経験しかない場合やアルバイト先に長く在籍している場合、アルバイトの経験を記載することは有効です。
以下、正社員として働いた後にアルバイトを経験して現在離職している場合の記入例です。
- 職歴
- 2011年 4月 株式会社〇〇 入社(正社員)
- 2013年 8月 株式会社〇〇 一身上の都合により退社
- 2013年 9月 セブンイレブン〇〇店 入社(アルバイト)
- 2015年 6月 セブンイレブン〇〇店 退社
- 以上
アルバイトを含めて職歴がない場合、職歴欄の下に「なし」と明記する必要があります。
また、アルバイトを掛け持ちしていた場合や多くのアルバイトを経験してきた場合は、そのすべてを履歴書欄に書くのは避けた方が良いです。長く続いた仕事、特にアピールできるエピソードがあるか、応募する企業に経験が生かせる業種か、という点を考えて記入するアルバイトを選びましょう。
履歴書には、学歴欄と職歴欄がまとめられているフォーマットが多いです。どこまでが「学歴」で、どこからが「職歴」なのか一目でわかるよう配慮してください。
職歴を書き終えたら、一番下に右寄せで「以上」と記載するのが望ましいです。
志望動機の書き方
志望動機を書く上で大切なのは、企業研究をしっかり行うことです。事業内容と企業理念を中心に調べてください。そうすることで、下記のことがわかります。
- どんなサービスや商品を提供しているのか?
- どのような考えを持っている会社なのか?
- どのような形で社会貢献しているのか?
- 社員への教育体制はしっかりしているか?
企業への理解が進むにつれて、「この商品知ってる!」「このサービスを利用してみたい!」「この仕事をやってみたい!」と思う部分が見つかるはずです。それが志望動機となります。
また、会社の教育体制に注目するのも良いです。新人教育がしっかりしている会社や、仕事に必要な資格取得のための支援が受けられる会社は数多くあります。
「会社に入ってどのような人間になり、将来どのようなスキルを身に付けたいか」が明確になれば、立派な志望動機となります。
さらに、「どのような形で会社に貢献してくれるか?」という問いへの回答も見えてきます。
給与が高い、休日が多い、残業が少ない等の条件面だけで志望動機を書くと悪い印象を持たれてしまうので気を付けましょう。
自己PRの書き方
自己PRを書く上で大切なのは、自己分析をしっかり行うことです。
とはいえ、社会復帰への第一歩を踏み出す時は「自分の良いところやポジティブなエピソードなんて、何もないのでは…」と悩んでしまいますよね。
自己PRが上手く書けない場合、「リフレーミング」という手法をオススメします。リフレーミングとは、物事を違う視点でとらえようとする試みのことです。リフレーミングには気分や感情を前向きにさせる効果があり、自分が短所だと認識していたことが、実は長所にもなると気付くきっかけになります。
下記がリフレーミングの例です。
- 自分の意見を持てず、周囲に流されて生きてきた
⇒他人を尊重できる性格だ - 優柔不断で結論をすぐに出せない
⇒何事にも慎重になれるため、大きな失敗をすることが少ない - 深く考えることが苦手
⇒アクティブな性格だ
下記は、私のエピソードを用いたリフレーミングの例です。
- 前職で機械設計の仕事をしていた時、作成する図面にミスが許されず納期もあり、厳しいプレッシャーの中からうつ病になってしまった
⇒時間意識を持って仕事に臨むことができ、責任感が強く全力で仕事に取り組める性格だ
履歴書の自己PRでは、自分にしかない特別な経験を書く必要はありません。自分の過去を振り返り、あなたの人間性をよく表せているエピソードを探しましょう。
そのエピソードが短所であった場合、リフレーミングを用いて長所へ変換すると良いです。
履歴書を書く時の注意点
履歴書を書く時の注意点は下記の通りです。
- 学歴、職歴で嘘を書いてはいけない
- 不利になることは書かなくて良い
- 自分を良く見せる話は盛って書いても大丈夫
一つずつ解説していきます。
学歴、職歴で嘘を書いてはいけない
自分の経歴を偽って記入することは、絶対にやってはいけません。ニートや引きこもりで空白の期間が目立つと、「何か書かなきゃ…」と思ってしまう気持ちはとても分かります。
ですが「大学を中退したのに卒業と書く」「働いたことがない企業の名前を書く」「働いていた時期をごまかして書く」といった行為は全て経歴詐称になります。
「でもバレなきゃ大丈夫でしょ?」と思ってはいけません。
内定後に最終学歴の卒業証書を提出するよう求める企業も存在します。職歴を偽った場合は、社会保険や雇用保険の手続きの際に高確率で発覚します。
経歴詐称が発覚した際は、会社を解雇される可能性があります。最悪、軽犯罪法違反で民事責任を問われる場合もあるため、絶対にやめましょう。
不利になることは書かなくて良い
履歴書に嘘を書いてはいけませんが、事実をすべて書く必要もありません。
ニートや引きこもりで空白期間があり、その間に何も取り組んでいなくても、マイナスになることは書かなくて大丈夫です。ニート期間に専門書を購入して読んでいたことがあれば、スキルアップのために勉強していたと言い換えることができます。
1社でも応募した企業があれば、その期間は就職活動をしていたと言い換えることもできるでしょう。
自分を良く見せる話は盛って書くことも有効
履歴書に書いたエピソードの内容が盛られた話、嘘の話である方の割合は4割ほどというデータがあります。
そして、7割近い面接官がその話の内容に興味を示しており、内定を貰った方の8割以上が志望動機や自己PRでエピソードを盛って話しているのが実態です。筆者もこの手段で面接を突破した経験を持つ1人です。
面接では、志望動機や自己PRは確実に深掘りされます。その時、面接官がどのような質問をしてくるのかを想定し、矛盾なくエピソードを組み立てられる場合は「話を少し盛る」という手段も頭に入れておきましょう。
とはいえ、全く事実ではない事や現実離れしすぎた話は、すぐにボロが出るため避けるべきです。
志望動機と自己PRの例文
志望動機と自己PRの文章は、面接官が1分以内で目を通せるように200~300字程度にするのが一般的です。履歴書に行き詰まったら例文を参考にしてみましょう。
この記事を書くにあたり、大衆向けファッションブランド「GU」の求人をみつけました。今回は、GUに応募するという想定で、志望動機と自己PRを書いてみます。志望動機も自己PRも決まった書き方はありませんが、履歴書作成に行き詰まっている方の参考になれば幸いです。
志望動機は、自己分析と企業研究から作っていきます。
【自己分析】
- 学生時代に大衆向けブランドを使ったファッションショーを開催した
- GUがトータルコーディネートの魅力に気付くきっかけとなった
- アルバイトでの接客経験があり、28歳のため体力面に自信がある
【企業研究】
- GUの企業コンセプトは「ファッションをもっと自由に」である
- 品質よりも低価格にこだわっていて、トレンドを押さえた商品展開を目指している
- 元GU店員の声で「接客業だが、商品陳列で重いものを運ぶため意外と体力仕事」とわかった
下記、志望動機の例文です。
ファッションに興味を持つ友人がおり、文化祭の時に大衆向けファッションブランドである「GU」「ユニクロ」「しまむら」などを用いたファッションショーを開催しました。
その時、自分が想像していた以上にファッションは自由に楽しめることを知り、トレンドを押さえたコーディネートの魅力に気付きました。
それが、この度貴社を志望したきっかけです。アルバイトでの接客経験があり、若さを生かした体力仕事に自信があります。
1日でも早く仕事を覚え、貴社の戦力となれるように励みます。(279文字)
次に、自己PRの例文です。
自己分析と企業研究を意識してみます。
【自己分析】
- 相手の悩みの相談に乗る能力が高いと考えた
- 学生時代まで、よく勉強の相談を受けていたという具体的なエピソードがあった
- 学生時代はデザインを学んでおり、流行には敏感である
【企業研究】
- アパレルに限らず、接客業界では相手の要望を聞き出し、的確に商品を提案する力が必要
- アパレル業界はトレンドに敏感な人を欲しがる傾向が強い
下記、自己PRの例文です。
子供の頃から学生時代まで、友人から勉強の相談を受ける機会が多くありました。相手が何で困っているのかを聞き出し、悩みを解決へ導くよう努めてきた経験があります。勉強に悩む友人からは、「先生より聞きやすい!」と言われたこともあります。
貴社の業務においても、常にお客様に寄り添いながら、ファッションに悩みを抱える方の疑問を的確に解決できるように努力していきます。
また、デザインを学んでいた経験を生かして、いち早くファッションのトレンドを押さえて貴社のブランドの魅力をお客様に発信していけると考えております。(283文字)
まとめ
- 自己分析と企業研究はしっかり行う
- 学歴、職歴では絶対に嘘を書いてはいけない
今回は、ニートや引きこもりの方に向けた履歴書の書き方を解説しました。
この2点を意識するだけでも、自分のことを相手に正確に知ってもらえる、充実した内容の履歴書を作成することができます。
あなたが無事に履歴書を作成し、希望の会社と素晴らしいご縁があることを祈っております。