うつ病でお金の管理ができない…浪費してしまう原因と簡単な管理方法を解説

KAORUKO

「うつ病になってから、なぜか貯金がどんどん減っていく…」
「ストレスが溜まると、つい衝動買いしてしまう…」

あなたは今、このようにお金のことで悩んでいませんか?

実は、うつ病の症状によっては、以前のようにスムーズにお金の管理ができなくなることがあります。治療費もかかるなかで、これは本当に切実な問題ですよね。

  • うつ病だとお金の管理が難しくなる理由
  • 現状を受け止めることが大切
  • 簡単なお金の管理方法
  • 無理なく続けるための大切な心構え
  • 困ったときに頼れる相談先

について、解説していきます。

うつ病だと「お金の管理ができない」と感じる理由

お金が無い財布

「うつ病になってから、どうしてお金の管理がうまくできなくなったんだろう…」
「前はちゃんとできていたのに、自分がダメになったみたいだ…」

そう感じて、自分を責めてはいませんか?しかし、それは決してあなたのせいではありません。うつ病の症状によって、お金の管理能力に影響が出ている可能性が高いです。

まずはその理由を知ることから始めましょう。

判断力・集中力の低下による影響

うつ病になると、脳の働きが一時的に低下し、判断力や集中力が鈍ることがあります。

お金の管理には、

  • 収支計算
  • 予算立て
  • 契約内容の理解

など、集中して考える力が必要です。

しかし、うつの症状によってこれらの作業が普段通りにできなくなり、「家計簿が続かない」「何から支払うべきか決められない」といった状況に陥りやすくなります。

衝動的な行動や無気力が原因の場合も

気分の波に左右され、衝動買いが増えたり、逆にお金の管理自体に全く手がつかなくなったりするのも、うつ病の症状が影響している可能性があります。

例えば、下記のような状況が考えられます。

  • つらい気持ちを紛らわせるために買い物を繰り返してしまう
  • 請求書の確認や支払いといった手続きをする気力が湧かず、放置してしまう

これらは怠惰などではなく、病気による意欲低下が原因と考えられます。

まずは「できなくても仕方ない」と受け止めることが大切

自信のあるリクルートスーツとハート

まずは「できなくても仕方ない」と現状を受け入れ、心を休ませましょう。うつ病は脳に影響する病気であり、「怠け」ではありません。自分を責めると、さらに気分が落ち込み、回復の妨げになることもあります。

お金の管理がうまくできない現状を、「自分のせいだ」と責めず、「病気の症状が影響しているのかも」と捉え直しましょう。それが、具体的な対策を考える第一歩になります。

お金の管理ができないことが、うつ病が悪化させる可能性も

お金の管理ができないこと、金銭的な問題は強いストレスになりやすいです。強いストレスはうつ病の悪化につながる場合があります。お金の管理ができないことで自分を責めてしまうことは、回復の妨げになったり症状を悪化させたりすることにつながります。

困ったときは早めの対策や相談が重要です。

うつ病が回復したら、お金の管理能力も元に戻る?

うつ病からの回復に伴い、お金の管理能力が改善する可能性は高いですが、個人差があります。

また、うつ病は再発しやすいため、一時的に戻ったと思ったら、再発と同時に悪化した、ということもあり得ます。

焦らず、回復状況に合わせ、無理のない管理方法を構築していくことが大切です。

今日からできる【簡単】お金の管理術5選

家計管理をする女性

うつ病でお金の管理が難しくなる理由は先述した通りです。それでは、具体的にどのような対処をすればいいのでしょうか。この項目では、気力や集中力が落ちている時でも、できるだけ手間をかけずにできる、簡単な管理術を5つご紹介します。

「これなら試せるかも」と感じたものから、気軽に試してみてはいかがでしょうか。

【使った記録】家計簿アプリで手間を激減

銀行口座やクレジットカードと連携できる家計簿アプリを使えば、記録の手間がほぼなくなります。アプリが自動で収支データを記録・集計してくれるため、自分で入力や計算をする必要がありません。

「でもどんなアプリを選べばいいの?」と悩んでしまう場合は、下記のポイントを意識してみてください。

アプリ選びのポイント
  • 現在使っている銀行やカードと連携できる?
    普段使用している銀行やクレジットカードなどに対応しているか、確認しましょう。
  • 表示はシンプル?
    オシャレなものも良いですが、見やすいのが1番。
    見やすく使いやすいデザインのものを選びましょう。
  • 利用明細の自動取得機能はある?
    この機能があればアプリを開くだけで収支を把握できるので、あると便利です。
  • グラフにする機能はある?
    この機能があればお金の流れが視覚的になり、わかりやすくなります。

口座などと連携できる家計簿アプリは「記録が面倒で続かない」という方に最適です。レシートを撮影すれば自動で情報を入力するものもあります。

無料プランを試せるアプリも多いため、余裕のある時に試して、使いやすいものを探してみると良いでしょう。

家計簿アプリ以外で支出を把握する方法

クレジットカードを使いたくない、家計簿アプリを使うことに抵抗がある、という方もいらっしゃるでしょう。

家計簿アプリ以外にも支出を把握する方法として、下記のものがあります。

  • 「レシート箱」を作り、レシートを溜めて、後で大まかに見返す
  • 1週間の予算を決めて、現金で管理する

などの方法があります。完璧を目指さず、続けやすい方法から試すと良いでしょう。

【支払い・記録を自動化】キャッシュレス決済中心で支出を見える化

支払いを可能な範囲でキャッシュレス決済(クレジットカード、デビットカード、スマホ決済など)に切り替えると、お金の流れが把握しやすくなります。

利用記録(明細)がデータとして自動で残るため、下記のようなメリットがあり、「いつ、どこで、いくら使ったか」を後から確認するのがとても簡単です。

キャッシュレス決済のメリット
  • 利用履歴が残る
    Webやアプリからいつでも確認できます。
  • 家計簿アプリと連携できる
    自動で記録され、手間が省けます。
  • 現金管理の手間が減る
    ATMに行く頻度や、財布の中の現金を確認する手間が減ります。

ただし、下記のようなデメリットもあるため、利用する際には気をつけましょう。

キャッシュレス決済のデメリット
  • セキュリティの問題がある
    カードの不正利用などのトラブル回避が重要です。不正利用は場合によっては補償が受けられないこともあります。定期的に利用履歴を確認する、スマートフォンのロックなどの対策が必要です。
  • 金利や手数料、年会費が発生する場合がある
    クレジットカードは、分割払いを選択すると金利や手数料が発生する場合があります。また、カード会社によっては年会費が発生する場合があります。利用する際は用途や限度額に合わせて選びましょう。
  • 使い過ぎに注意
    キャッシュレス決済は手軽で便利ですが、お金を使っている感覚が薄いために使い過ぎてしまう場合があります。自己管理できる最低限のものにとどめましょう。

衝動買いが多い人、「買い物依存症」にキャッシュレス決済は向かない

ストレスによる衝動買いがやめられない、という方もいらっしゃるでしょう。衝動的な買い物が多い方、借金をしてでも買い物をしてしまう、「買い物依存症」を併発している方もいるかもしれません。

そのような方には、お金を使っている感覚が薄いキャッシュレス決済は向きません。

まずは物理的に買い物をしにくい環境づくりが必要です。

  • クレジットカードを持ち歩かない
  • 通販サイトなどをできるだけ見ない
  • 散歩など、別の気分転換を探す

などが有効です。ストレスへの根本的な対処も大切ですが、できることから試していきましょう。

【固定費】内容を見直し、自動引き落としで管理をシンプルに

家賃、光熱費、通信費などの固定費は、一度だけ内容を見直し、支払いを自動化(口座振替やカード払い)すれば、管理の手間が大幅に減ります。

【自動引き落としまでのステップ】

STEP
契約内容の確認
使用していないサブスクリプションサービスなど、不要なサービスが無いかなどもチェックしましょう。
STEP
支払方法を変更
サービスや費用に応じた手続きをして、口座振替やクレジットカード払いに変更しましょう。
STEP
基本的に放置でOK
「管理しなければ」という心理的な負担が軽減されます。
支払い不能にならないよう、口座の残高やクレジットカードの有効期限等は定期的に確認しましょう。

毎月自動で支払いが行われるため、支払い忘れや都度の手続きをする手間などの負担が減るのが魅力です。

契約内容を見直すことで無駄な支出を軽減できる可能性もあります。

【予算管理】「ざっくり予算」で精神的な負担を減らす

食費や日用品などの変動しやすい費用は、細かい費目を分けず、「ざっくりとした予算」で管理すると精神的なプレッシャーが和らぎます。

【例】

  • 「1週間に自由に使えるお金は、大体○円くらいにしておこう」
  • 「食費と日用品は、合わせて○円くらいならいいや」

厳密な予算管理は挫折しやすく、罪悪感の原因にもなりがちです。「大体これくらい」というゆるめのルールなら、気楽に続けやすくなります。

完璧を目指さず、大きな使いすぎを防ぐことを目的に、シンプルなルールを設定しましょう。

【目的別に分ける】使うお金・貯めるお金は口座分けで管理

目的別に銀行口座を分けて管理すると、お金の流れがわかりやすくなり、管理が楽になります。

口座ごとの残高を見れば、目的別の状況は一目瞭然です。「今月はあといくら使えるか」がわかりやすくなります。

銀行口座の分け方例
  • 生活費用口座
    最優先で入金しておき、生活費が必要な時にひきだします。
  • 貯蓄口座
    困ったとき以外は触らない口座です。給料日に自動で一定額を移す「自動積立」などを活用すると、意識せずに貯金できます。
  • お小遣い用口座
    お金に余裕がある時に入金し、溜まったら趣味のために使います。

銀行口座を分けると日々の残高管理で悩むことが減るでしょう。

お金の管理を無理なく続けるための心構え

階段と人の上昇イメージ ステップアップ

便利な管理方法を知っても、「続けられなかったらどうしよう…」と不安になることもあるでしょう。

しかし、1番大切なのは、完璧にこなすことではありません。

この項目では、無理なく、自分を追い詰めずにお金の管理と向き合うための心構えを紹介します。

【完璧を目指さない】まずは「できたこと」を認める

お金の管理は、生活さえできていれば完璧である必要はありません。少しのミスで自分を責めるより、小さな「できたこと」に目を向けて、自分を認めてあげましょう。

  • 「家計簿アプリを開けた」
  • 「レシートを見返すことができた」
  • 「予算内に収まった」 など

小さな成功体験が自信になり、次に進むためのエネルギーになります。

【無理をしない】体調の悪い日はお休みOK!

うつ病は体調が良い時と悪い時とで波があります。毎日しっかり続ける必要はありません。

休んでも自動連携アプリを使用していれば、後から確認ができますし、現金の場合も、いくら使ったのかざっくりとメモしておく程度で良いのです。調子が悪い日はお金を気にせずに休みましょう。

体調が悪い時にお金のことを考えると、不安が増すこともあります。お金の管理のために体調管理を失敗していては困ります。

「休むのも管理のために必要」と考えましょう。

【自分を責めない】上手くいかないこともある

計画通りにいかなくても、「自分がダメなんだ」と責めないでください。自分を責める思考は、回復の妨げになります。

計画通りに上手くいかない理由は、うつ病の影響があるかもしれません。「そういう日もある」「次はどうしようかな?」と客観的に捉えてみましょう。

今の自分を否定せず、労わりましょうね。

1人で抱え込まないで|お金の悩み、相談先4選

相談の文字ブロック

お金に関する問題はデリケートなものです。ここまで解説した内容も、人によっては「管理方法を試しても難しい…」と悩んでしまい、「誰にも話せない…」と1人で抱え込んでしまう場合もあるでしょう。

あなたは1人ではありません。周囲の方や、支援機関など、頼れる場所やサポートをしてくれる人がいます。

困ったときは、この項目で紹介するような頼れる方や機関に相談しましょう。

家族・信頼できる人

可能であれば、パートナーや家族、親しい友人など、自分が信頼できる方に悩みを打ち明けてみましょう。相手が問題に詳しくなくとも、話すだけでも気持ちが楽になることもあるでしょう。

最初から期待したり、無遠慮になったりしてはいけませんが、支払いを手伝ってもらうなど、具体的な協力を得られる可能性があります。

困ったときには、勇気を出して相談してみましょう。

主治医・カウンセラー

うつ病の治療のために定期的な通院を行っている場合、かかりつけの医師やカウンセラーに相談するのも有効な方法です。症状を理解したうえで、専門的な視点からのアドバイスをもらえたり、自立支援医療など、利用できる福祉支援や他の相談機関の紹介を受けられたりします。

金銭問題がストレスになっているなら、伝えてみましょう。

公的な相談窓口

専門知識を持つ公的な相談機関も利用できます。無料で相談できる窓口も多くあります。

  • 精神保健福祉センター(保健所など)
    医療、福祉、就労など、生活全般の相談に対応。
  • 消費生活センター(市区町村の役所など)
    借金問題(多重債務)、契約トラブルなど、消費生活全般の相談に対応。

匿名での相談も可能な場合が多いので、まずは電話などで問い合わせてみると良いでしょう。

お金の専門家(ファイナンシャルプランナーなど)

家計全体の状況を把握し、具体的な改善プランを立てたい場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)への相談も検討しましょう。

家計診断や無理のない貯蓄、支出管理の方法など、専門的なアドバイスが期待できます。「何から手を付ければ良いのかわからない」という場合、特にオススメです。

ただし、相談は有料の場合が多いため、事前に料金やサービス内容を確認しましょう。

うつ病の治療費が負担になっている…使える制度は

制度の文字素材

「うつ病の治療費によって生活が圧迫されている」
「病院に行きづらい」

という方もいらっしゃるでしょう。

指定医療機関での通院・治療にかかる自己負担額が原則1割(所得に応じて上限あり)になる「自立支援医療(精神通院医療)」があります。この制度を利用すると、医療費や薬代などの経済的な不安が軽減されます。

ただし、指定した病院と薬局でなければ減額が適用されない点や、1年ごとの更新が必要など、注意点もあります。
また、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている場合、「障害者控除」という税制上の優遇が受けられます。

都道府県によっては「重度心身障害者医療費助成制度」として、医療費の助成を行っている場合があります。

詳細はお住まいの自治体に設置されている障害福祉窓口などで確認しましょう。

自立支援医療については、下記の記事で解説しています。

うつ病と借金のリスク

文字に潰されるスーツの男性

うつ病になると借金のリスクが高まる傾向があります。

判断力の低下や衝動性から、安易に借り入れをしたり、ストレス解消のために浪費したりすることが原因です。また、収入の減少により借金で生活費を補うケースもあります。

うつ病であっても借金の返済義務がなくなることはありません。早めに状況を把握し、必要に応じて専門機関へ相談しましょう。

まとめ:うつ病で浪費してしまう原因と対処法

  • うつ病の症状によって、お金の管理が難しくなることがある。「できなくても仕方ない」と受け止め、自分を責めないことから始めよう。
  • 「家計簿アプリ」「キャッシュレス決済」「自動引き落とし」で記録・計算の手間を省き、負担を少なく、お金の流れを把握しよう。ただし、衝動買いが多い方には「キャッシュレス決済」は向かないので、他の方法を活用しよう。
  • 「ざっくり予算」と「使うお金・貯めるお金の口座分け管理」で心理的な負担を軽減できる。
  • 無理をしないことに重点を置き、完璧を目指さず、「できたこと」を認めよう。体調が悪い日は休み、自分のペースで続けることが大切。
  • 困ったときは1人で抱え込まず、勇気を出して相談を。「家族や信頼できる方」「主治医やカウンセラー」「公的機関」「お金の専門家」など、相談できる先はたくさんある。

焦らず、ご自身のペースで、お金との健やかな付き合い方を見つけていくことが大切です。

この記事が、あなたが感じているお金への不安を少しでも和らげ、「これならできそう」「ちょっと安心した」と前向きな気持ちになるきっかけとなれば、嬉しいです。

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