休み方がわからない?うつ病の方に向けて、休息期間の過ごし方を解説

「うつ病は心の風邪、はやく薬を飲んで休んだほうが良い」という話を耳にすることが多いのではないでしょうか。

しかし、それだけでは、

KAORUKO
「休むって、寝ていればいいのかな?」
「うつ病の治療に効果的な休み方ってないの?」

などと、モヤモヤしてしまいませんか?

風邪だからといって、ただ放っておいて良いわけではありません。うつ病から回復するには「正しく薬を飲むこと」だけでなく「正しく休むこと」も大切です。

  • どうしてうつ病は休む必要があるのか
  • うつ病の回復を目指す休み方の工夫
  • 休むことに罪悪感を覚えてしまったときの考え方

について解説していきます。

どうしてうつ病は休む必要があるの?

駅のホームにいる女性

なぜうつ病の診断を受けたら休む必要があるのでしょうか?

うつ病は、脳のエネルギーが欠乏した状態であり、それによって落ち込んだ気分が続いたり、物事への意欲が低下したりするなどの精神的な症状や、不眠または過眠、食欲不振などの身体的症状が起こります。

誰でも普段の生活のなかでショックな出来事があると、憂鬱ゆううつな気分になったり食欲が落ちたりすることがありますよね。

このような症状は健康な状態であれば自然に回復していきますが、

  • あまりにもショックが大きい出来事が起きた
  • 慢性的にストレスのかかる環境にいる

などの原因でうつ病になってしまうとそうはいきません。

状況としては「パンクして潰れたタイヤ」によく似ています。タイヤを修理するには、パンクした穴を塞いで空気を入れ直す必要がありますよね。

うつ病も同様、心に空いた穴は治療によって塞ぎ、休息することで空気を入れ直さなければ、うまく治らないのです。

大切なのは「心身の休息」

うつ病はストレスが引き金となりやすい精神障害です。そのため、

  • 仕事量が多すぎて発症した ⇒ 仕事量を減らして適度に休憩できるようにする
  • 外出が難しくなるほど疲れ切ってしまった ⇒ 自宅療養する
  • 人間関係の問題が原因 ⇒ 問題の相手との関わりを減らす

など、過度なストレスから解放されて気を休めるための「心身の休息」が大切になります。

必ずしも「家で寝ている」ような休み方が、精神的な休息になるとは限りません。塞ぎ込むように布団に入ったまま過ごしたことで、むしろ昼夜の区別がつかなくなり症状が悪化してしまった、というケースもあり得ます。

あなたに合った休み方を探すことが大切

人によって適切な「休息の方法」は違うので、あなたに合った休み方を探すことが大切です。

ですが、休職などにより休息期間に入っても、

「働き続けているほうが安心する」
「ただ家にいるだけだと気が滅入ってしまう」

などの感覚に陥り、家で安静にしていても上手く休めないという方もいるでしょう。

自分に合った休み方がわからなければ、うつ病の回復が遅れる原因になるかもしれません。休息期間中の悩みは主治医や身近な方へ相談しましょう。

身近な方への相談が難しい場合、専門の相談窓口もあります。
相談窓口案内|働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳

人に話をするだけでも、うつ病の原因や感じやすいストレスについて理解を深められるので、治療や再発の防止に役立ちます。

うつ病の休職期間については、下記の記事で解説しています。

必見!うつ病の回復を目指す休み方の工夫5選

腕を伸ばすストレッチする男性

先述の通り、うつ病の方は「身体的な休息」よりも「精神的な休息」が必要です。

この項目では、具体的にうつ病からの回復を目指す休み方の工夫として考えられるものを5つまとめました。

参考にしていただけましたら幸いです。

気分の落ち込むタイミングを把握する

うつ病は、

  • 午前中は調子が悪いが午後には軽くなってくる
  • 雨の日は気分が重くなるが、晴れた日に陽を浴びると少し軽くなる

など、ストレスや周囲の環境によって気分の落ち込みが生じやすくなる病気です。どのような状況で気分が落ち込みやすいのか、きちんと把握しておきましょう。

落ち込むタイミングがわかっていれば、通院などの外出が必要な予定を立てやすくなり、余裕をもって休養に専念することができるようになります。

先を見過ぎず「今日1日をどうするか」だけ考える

「どれくらい休めばいいの?いつまで休めばいいの?」
「早く社会復帰したいのに、完治までの目途が立たず、不安がある…」

などの悩みを抱えて、休息に専念できないこともあるでしょう。

また、うつ病の症状として、思考がまとまらない、先が考えられないなどが表れることがあります。

このような場合は、先のことは考えず「今日1日をどうするか」だけを考えてみましょう。

  • とりあえず朝食を食べる
  • 空を眺める
  • 動けそうなら散歩してみる

など、今できそうなことを1つずつ行ってみましょう。気分が軽くなるはずです。

日光を浴びる

うつ病は脳内の神経伝達物質の不足が要因の1つだと考えられていますが、日光を浴びると脳内神経伝達物質が分泌され、心身がリラックスしやすくなります。また、ビタミンDも生成できるので、骨の形成や免疫機能の調整、精神のバランスを整えることにも役立ちます。

朝日は体内時計の調整にも役立つため、うつ病の方が陥りやすい昼夜逆転生活の改善にも繋がります。目が覚めたらカーテンを開け、少しだけでも陽の光を浴びてみましょう。

質の良い食事・睡眠を意識する

食事・睡眠は毎日行うものなので、うつ病の休養期間中最も意識したい部分です。

質の良い食事

食事は、1日3食バランスの良い食事を心がけましょう。偏った食事や食事の回数が安定しない状態だと、体調を崩しやすくなります。特にビタミン(葉酸など)やミネラル(鉄分、亜鉛)、必須アミノ酸(トリプトファン)、脂肪酸、乳酸菌などが含まれている食材が良いでしょう。

  • 野菜(ホウレンソウなどの青菜類やキノコ類など)
  • レバー
  • 肉類(赤身の肉、牛肉など)
  • 魚介類(青魚、貝類、刺身、海藻など)
  • ヨーグルト、乳酸菌飲料

などがオススメですが、偏らないようにバランスよく摂取しましょう。

身体の病気と同様、精神の病気も栄養バランスの良い食事が大切です。食事が難しい場合、サプリメントも活用しましょう。

質の良い睡眠

質の良い睡眠を行うためには、

  • 決まった時間に寝て起きる
  • 睡眠時間は6時間以上を目安に
  • 光・温度・音に配慮した環境づくり
  • 就寝前のカフェイン・お酒・たばこは控える

などがありますが、あなたに合った寝具に変えることもオススメです。

眠りの質が良くなり、すっきりとした気分で起きることができます。

軽い運動をする

先述した通り、うつ病の方にとっての「休む」は身体を休めることではありません。

適度な運動はストレスの軽減や神経伝達物質の分泌につながるため、うつ病になった後でも、運動はメンタルヘルスに効果があるようです。

うつ病の方の場合、眠れないなどの症状があり、夜は十分に休めないために、日中外に出て身体を動かすのが億劫おっくうになることもあるでしょう。そのような場合はヨガなど、室内でできる運動がオススメです。無理のない範囲で続けることが大切なので、負担にならないペースでできる運動を見つけましょう。

適度な運動は睡眠の質を高める方法の1つでもあります。1人では難しい場合、スポーツクラブの利用なども検討してみると良いでしょう。

休むことに罪悪感を覚えてしまう時は?

罪悪感

うつ病は真面目で責任感と強い方ほどなりやすいと言われることがあります。

あなたは自分が休むことで「迷惑を掛けてしまう」「自分なんていないほうがいいのでは」などと罪悪感を覚えてしまっていませんか?

うつ病は風邪などと同じく、治療が必要な病気ですから、回復のためには罪悪感より、治療に専念することが大切です。もし、罪悪感を感じてしまう場合は無理のない範囲で、下記のように考え方を変えてみるのが良いでしょう。

「罪悪感があるからこそ、休まなくてはいけない」

誰しも必要なときに必要な休息をとることが求められています。うつ病がある方の場合もそれは変わりません。

「休むこと」に真剣にならないのは、周りにとっても自分にとっても良くないです。休むことが今の自分に必要であることを受け入れ、「今休むことで、回復のための準備をしている」と捉えるようにしましょう。

気を張りすぎるとそもそも気が休まらないので難しいところですが、できる限りしっかりと休むことが大切です。

「申し訳ない」ではなく「ありがとう」

誰かに助けられていることで「申し訳ない」と感じているのであれば、謝るのではなく「ありがとう」など、素直に感謝の気持ちを伝えましょう。元気になったらお礼や恩返しをできるように、今は回復に専念する方が良いのです。

「休むこと」を前向きに考えられれば、回復も早くなるでしょう。

まとめ|うつ病の休み方、休息期間の過ごし方

  • うつ病になったときは「あなたに合った休み方」を見つけて、きちんと「精神的に休む」必要がある。
  • うつ病を治す休み方の工夫としては【気分の落ち込むタイミングの把握】【「今日一日どうするか」だけ考える】【日光を浴びる】【質の良い食事・睡眠】【運動】などが考えられる。
  • 休むことに罪悪感を覚えてしまう場合は「罪悪感があるからこそ、休まなきゃいけない」や、「申し訳ない」ではなく「ありがとう」を伝えるなど、考え方を変えてみよう。

うつ病は精神的・身体的な症状が表れる病気です。

ストレスが引き金となりやすいため、休息期間中は家で寝ているだけでなくストレスの少ない「精神的な休息」を心がけましょう。悩みや困ったことは、医師や身近な方、専門の窓口へ相談すると良いでしょう。

お役立ていただけましたら幸いです。

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