パニック障がいになりやすい人の特徴や性格の傾向を解説

パニック障がいとは、なんの前触れもなく突然、激しい動悸どうき、息切れ、めまいなどの身体症状が起こり、命に危険を感じるほどの強い恐怖に襲われるパニック発作が繰り返される精神疾患です。

パニック発作は多くの場合、過度なストレスがきっかけとなり発症します。発作を繰り返すパニック障害の原因は分かっていませんが、なりやすい方には特徴があり、性格に一定の傾向があることが分かっています。

KAORUKO

「原因はストレスだけじゃないの?」
「なりやすい人ってどんな性格なんだろう?」

パニック障がいになりやすい人とは、どんな人なのか気になっている方へ、

  • パニック発作が起きやすい方の特徴
  • パニック障がいになりやすい方の性格の傾向
  • パニック障がいを発症しやすい年齢
  • パニック障がいかもしれないと思ったらするべきこと

について解説していきます。

パニック発作が起きやすい人の特徴

ビジネスマン

パニック発作は場所や時間を問わず、突然動悸どうきや胸の痛み、息苦しさ、めまいなどの身体症状と命の危険を感じるほどの強い恐怖が伴う発作です。

身体症状や恐怖感は苦しいですが、身体検査での異常はなく、発作で死ぬことはありません。不安障害の症状や特定の状況での反応として、発作が表れる場合もあります。

パニック障害は、突発的なパニック発作が繰り返し起きることで、「また発作が起きるんじゃないか」と不安になったり、発作が起こるかもしれない状況を避けたりして生活に支障をきたしている状態です。

パニック発作の原因は解明されていませんが、脳機能の異常やストレスなど、さまざまな要因が重なって起こると考えられています。

ストレスとして考えられる要因として、下記のものが挙げられます。

  • 身体的ストレス
  • 精神的ストレス

身体的ストレス

ハードワークでひどく疲れている、睡眠時間が足りていないという方は、パニック発作を起こしやすくなります。

また、アルコールやカフェインのような刺激物もストレスとなり得ます。身体への大きな負担は過度の疲労となり、パニック障害を発症する要因となる場合があります。

精神的ストレス

仕事や育児などでやることに追われていて、常に気が張った状態で休むことができないという方、環境の変化やトラブルなどで精神的にストレスを感じている方も、パニック発作が起きる可能性が高まります。

精神的に追い詰められていると、現状がこのまま続いていくことへの不安と恐怖心が高まり、強いストレスがかかって発作が起きやすくなるからです。

また、病気や事故、死別などのつらいことだけでなく、結婚や入学・進学、旅行など、嬉しい・楽しいこともストレスとなります。ストレスの強弱は人それぞれ感じ方が異なるので、同じストレスでも要因となる場合とならない場合があります。

パニック発作はこのようなストレスが引き金となって起こると考えられています。ストレスに対する防衛反応として発作が表れる場合もあります。

発作が繰り返し起きることで、発作が起こることへの不安が続いたり、発作が起こるかもしれない状態を避けて生活に支障が出たりすると、パニック障害となります。パニック障害の発症には遺伝的要因もあると考えられていますが、家系にパニック障害の方がいるからと言って必ず発症するわけではない点に注意が必要です。

パニック障がいになりやすい人の性格の傾向

テーブルの上に広がった文字ブロック

パニック障害になりやすい方の性格の傾向としては、次のものが挙げられます。

  • 不安や恐怖心が強い
  • 感受性が豊かで繊細
  • 完璧主義で責任感が強い
  • 人間関係でストレスを溜めやすい
  • うつ病になったことがある

上記の性格の傾向があるからといって、必ずパニック障害を発症するわけではありません。発症の要因の1つとして性格の傾向があると考えられています。

順番に見ていきましょう。

不安や恐怖心が強い

一般的に、パニック障害は、普段から不安や恐怖心が強い方がなりやすいと言われています。

不安や恐怖心が強い方としては、次のような性格の方が当てはまります。

  • 他人からの評価をとても気にしてしまう
  • 人との会話など、対人面で過剰に緊張してしまう
  • 人前で恥ずかしい思いをするのでは、という恐怖がある
  • 仕事や日常生活に不安があり、将来にも悩みを抱えている

このような、心配性で物事に動じやすい方は、些細ささいなことでも心理的な負担を感じてしまうため、ストレスを蓄積しやすくなります。

感受性が豊かで繊細

感受性が豊かな方は、他人の言葉に敏感です。相手の何気ない言葉も、気にし過ぎてネガティブな感情に陥ってしまう癖があります。

また、他人の「怒り」や「悲しみ」の感情に影響されやすく、共感力が高いので、他人の感情を自分の感情のように捉えてしまい、気持ちが不安定になってストレスを溜めやすい傾向があります。

完璧主義で責任感が強い

完璧主義の方は、目標が高く、結果を出すことにこだわるため、たとえ調子が良くないときでも、手を抜かずに全力で取り組み、無理をしてしまうところがあります。

こだわりをもって目標を成し遂げることは大切ですが、仕事でも日常生活でも、完璧を目指し過ぎると、上手くいかなかったときに自分を責めてしまい、自分を苦しめる結果になることがあります。

自分自身を追い詰めてしまう癖がある方は注意が必要です。

人間関係でストレスを溜めやすい

人間関係の悩みは大なり小なり誰にでもあるものですが、特にストレスを溜めやすい方は、次のようなタイプの方が挙げられます。

  • 自己主張ができず、他人にコントロールされやすい
  • 自分の感情を抑制してしまい、怒ることができない
  • 他人への気配りが過剰で、常に人を優先してしまう

感情を抑えがちで、我慢することが当たり前になってしまっている方は、感情を抑え込めなくなった時に、一気にストレスが爆発する場合があります。

うつ病になったことがある

パニック障害が悪化するとうつ病を併発することがありますが、逆に、うつ病を患ったことのある方もパニック障害になりやすい傾向があります。

うつ病はストレスが発症のきっかけや悪化の要因となりやすく、パニック発作の起こる原因と重なる部分が多くあります。

パニック障がいになりやすい年齢と性別はある?

歳を重ねるイメージ

パニック障害は決して珍しい病気ではありません。パニック障害のある方は人口の1~3%とみられており、パニック発作を人生で1度でも経験したことのある方は、全人口の9~10%と見積もられています。

では、パニック障害になりやすい年代や性別による差はあるのでしょうか?

パニック障害になりやすい年齢

男女ともに10代後半から40代の間に発症することが多いですが、発症年齢のピークは男性が25~30歳ごろ、女性は35歳前後となっています。

若年層での発症が多く、60代以降、高齢での発症はやや珍しいようです。

女性の方がなりやすい傾向

パニック障害はどの年代でも女性の方が発症する場合が多く、男性の約2倍の比率となっています。

ただ、パニック障害と似た症状で別の病気だったという例も少なくないので、自己判断せず病院に相談しましょう。

パニック障がいかも?なにをすべき?

胸に手を当てる女性 心配

自分がパニック障害かもしれないと悩んでいる場合は、まず症状を確認してみましょう。

複数の症状に当てはまる場合は医療機関の受診をオススメします。

パニック障害の症状をチェックする

パニック障害の症状として、「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」があります。

パニック発作自体は決して珍しいものではなく、一生のうちに10人に1人が経験すると言われています。パニック発作を何度も繰り返すようになると、「予期不安」や「広場恐怖」の症状が表れる場合があり、この症状が長く続くとパニック障害と判断されます。

パニック発作

一言に発作と言っても、身体的に表れる症状と、精神的に表れる症状があります。それぞれがどのように発生するかは、個人差があります。

➀ 身体的症状
  • 呼吸困難、過呼吸、窒息感
  • 動悸どうき、心拍数の急増
  • めまい、ふらつき、頭が軽くなる、気が遠くなる
  • 発汗
  • からだの震え、手足のしびれ
  • 突然の寒気、熱感
  • 胸の痛み、胸部の不快感
  • 吐き気、腹痛 など
➁ 精神的症状
  • 現実感がなくなる、自分が自分でない感覚(離人症状)
  • 自分をコントロールできなくなりそうな恐怖
  • 意識を失う恐怖
  • 死んでしまうのではないかという恐怖 など

予期不安

発作が起きたときの苦しさや恐怖感から、

  • パニック発作がまた起こるのではないか、という過度な不安
  • 発作の結果、自制心や正気を失うなどが起こるのではないか、という心配 など

を感じることを「予期不安」と言います。

広場恐怖

パニック発作や予期不安によって、

  • 発作の原因になりうる状況
  • 電車やバスなどの公共交通機関の利用
  • 頼れる人がいない状況、一人で出かけること
  • エレベーターや映画館、人混みなどの逃げられない空間・状況 など

を避けようとすることで、社会生活に影響が出る状態になることがあります。

この状態は「広場恐怖」と呼ばれており、避けようとする理由として、恐怖や不安を伴っています。

医療機関を受診する

パニック障害は、自力で完治させることは難しいと言われています。

症状が進むと、発作への恐怖心から1人で外出することができなくなり、引きこもってしまうケースもあります。また、精神的な苦しみからうつ病を発症してしまうこともあるため、治療を早く始めることが大切です。

パニック障害の治療は、精神科や心療内科などで、

  • 薬物療法
  • 精神療法

などを組み合わせて治療を行います。

薬物療法

パニック障害の治療として使われる薬として、抗うつ薬や抗不安薬などが使用されます。

薬物療法によって発作を抑え、不安への対処をしていきます。

副作用のある薬を使用して発作を抑えるため、急に薬をやめると発作が再発することがあります。自分の判断で薬をやめるなどせず、医師の診断に従って治療を受けましょう。

心理療法

薬物療法と並行して、カウンセリングが行われます。認知行動療法や自律訓練法のような方法が使われることもあります。カウンセリングを通して、パニック障害を正しく理解したうえで、原因となっている考え方や行動を改善していき、不安感、恐怖感を減らしていきます。

パニック障がいとわかったら|職場への相談

パニック障害の方の中には、治療と仕事の両立が不安な方もいるでしょう。発作が心配で仕事に影響が出そう、出勤するのが怖いという方は職場への相談が必要です。

職場へ相談すると配慮として、業務の調整や在宅勤務への切り替えをしてもらえる場合があります。働き方が変わる場合はありますが、仕事を続けられる場合もあります。職場への相談が不安な場合、主治医への相談でも大丈夫。1人で悩まず相談してみましょう。

パニック障害と会社への相談については、下記の記事で解説しています。

うつ病を併発しているなど、症状が重い方の場合、休職が必要な場合もあります。

休職については、職場の上司や医療機関へ相談し、手続きを進めていきましょう。パニック障害と休職については、下記の記事で解説しています。

パニック障がい、発作が起きる不安への対策は?

対策をとる イメージ

パニック障害の症状の改善には医療機関での適切な治療が欠かせません。まずは医療機関の受診から始めましょう。

パニック発作への不安や恐怖感を減らすために、治療とあわせて自分でできる対策を紹介します。

自分の症状を理解する

まずは自分の状態や症状を把握し、理解することから始めましょう。

パニック障害は症状の程度や種類が人によって異なり、回復のペースも異なります。どのような状況で症状が出やすいかがわかっていれば、対策も立てやすくなるでしょう。

発作が起きそうなときの対処法をあらかじめ考えておく

パニック発作が起きそうなときの対処をあらかじめ考えておきましょう。準備しておくだけでも、不安が落ち着く場合があります。

下記のような対処法が考えられます。

  • 乗り物やお店では出口の近くに
    すぐに外へ出られる場所にいると安心できるかもしれません。「逃げられないこと」への不安は減らせます。
  • 不安を感じたら意識を他のところに向ける
    音楽を聴く、水を飲む、指を折って数字を数えるなど、他のことをして気を紛わせるのも方法の1つ。いろんな方法があるので、自分に合うものを見つけましょう。
  • 深呼吸する
    不安や緊張が強まると呼吸が浅くなりやすい傾向にあります。不安な時は深呼吸を意識して気持ちを落ち着けましょう。

さまざまな方法があるので、自分に合う対処法を見つけて、準備しておくと良いでしょう。

規則正しい生活を送る

体調不良や睡眠不足などは心身にストレスがかかり、パニック発作が起きやすくなります。

食事と睡眠のリズムを整え、適度に運動をすることで体調が整い、症状の改善につながります。

不安を自然な感情として受け入れてみる

パニック障害の方は、不安や恐怖を感じやすいため、少しの不安でも無理に排除しようとしてしまうところがあります。しかし、感情に抗うと、より不安が増強されてしまいます。

不安な気持ちが沸き起こってきたときは、それを自分の自然な感情として受け入れ、ありのままの姿勢でいられるようにすることがパニック障害の改善につながります。

こうあるべきという価値観を緩めてみる

自分の理想としている、「こうあるべき」「こうでなければならない」といった気持ちを少し緩めて、柔軟な考え方を身につけることも重要です。

理想にとらわれ過ぎていると、上手くいかない度に自分を責めてしまい、自己肯定感も下がってしまいます。

理想を持つことは、人生において大切なことですが、「こうあるべき」とこだわり過ぎず、柔軟な考え方を身につけることが心地よい生き方につながります。

まとめ|パニック障がいになりやすい方の特徴とは

  • パニック発作は、肉体的、精神的に強いストレスを受けている方に起こりやすい。
  • パニック障がいは、「不安を感じやすい性格」「ストレスを溜めやすい性格」の方がなりやすい傾向。男女ともに10代後半から40代の発症が多く、女性は男性の約2倍ほどなりやすい傾向にある。
  • パニック障がいはパニック発作を繰り返すだけでなく、「予期不安」やそれに伴う「広場恐怖」が症状としてある。パニック発作で死ぬことはないが、社会生活に大きな支障をきたす。
  • パニック障がいかもしれないと思ったら「医療機関で早期に治療を行う」こと。自力での完治は難しいが、薬やカウンセリングで治療できる。

パニック障がいになりやすい人の特徴と重なる部分がある、という方もいるかもしれませんね。

今回述べた、柔軟な考え方を身につけるためには、医療機関での相談のほかに、周りの方々の「生き方」や「考え方」を参考にするのも良い方法です。

ストレスへの対処や投薬で発作を減らし、カウンセリングで不安との向き合い方、対処法を知ることでパニック障がいは改善できます。

この記事が改善の一歩をお手伝いできれば幸いです。


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就労支援の一環として生活支援も行っており、すぐに転職や復職を目指すのではなく、まず落ち着いて、生活リズムを整えるところから始めることもできます。

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